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2021年08月04日

into the blond & blue

不意に、彼が片手をあげる。

ウェイターを呼んだもの、と思っていると、女性が一人向かってくる。
ブロンドで、ミニのドレスからスラリと長い脚、真っ直ぐワタシたちの席に迫る。
彼の席の脇で、立ち止まる。

その女性が、サングラスを外す。
女のワタシが思わず息をのむ、本物のブロンドに青い瞳の彼女。
一瞬、何故か、懐かしい思いに包まれる。
ナニ?怪訝に思いながらも、彼をみる。
二人ともにブロンドに青い瞳、悔しいけどお似合い。

彼が口火を切る。
「紹介しよう」
彼女が、立ったまま彼に寄りかかるようにする。
「今回の僕のパートナー、まぁ君は、別格だから」
何故か半ば笑いながら、彼が言う。

誂えたドレス姿の彼女に、市販のワンピースのワタシ。
「よろしく」
言って、彼女が右手を差しのべてくる。
左手は彼の肩に置いたまま。

「よろしく」
右手で彼女の手を握りながら、思わぬぶっきら棒な自分の口調に驚く。
嫉妬?思って直ぐに打ち消す。
握り返してくる彼女の手に、やさしさを感じて、強く握ろうとした自分の手を思わず引っ込める。

魅了するような笑顔で、ワタシを見つめる彼女。
彼女が笑いながら言う。
「ごめんなさい、彼とはなんでもないから」
言い終わらぬうちに、踵を返して歩いていく。

彼にかワタシにか分からないが、ポーチを持った片手を上げて出て行く。
艶かしいミニドレスの後ろ姿と、ピンヒールの白い脚を残して。
その姿に、何か引っかかるものを感じるが、今はその正体が分からない。

堪えていたらしい彼が、とうとう声をあげて笑う。
何故か、ホッとしている自分にドギマギしながら、悟られまいと、笑う彼を睨みつける。

ワタシの視線に応えるように、彼が言う。
「すまない、彼女の素振りが、あまりに可笑しくて…」
「二人してワタシを笑いにきたの?」
腹立ち紛れに、残ったエスプレッソを一気に飲み干す。

本当に可笑しそうに笑いながら見ている彼が、言葉を継ぐ。
「そんなつもりはないよ、何かで二人、協力してもらうことも、あるかと思ってさ」
「…」
「それで、引き受けてくれるかな」
「そのつもりだけど、確認したいことがあるから、返事は明日にでも連絡するわ」
「いろいろと、期待しているよ」
言って、彼がウィンクする。

彼の妙な魅力に惑わされないよう顔を背ける。
「ごちそうさま」
言うと同時に立ち上がると、彼の横を通って、振り返らずに片手を上げてみる。
笑われてるかしら?。

blond & blueカラーに対抗するように響かせるピンヒール。
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posted by afakenation at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 3.meetup
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