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2017年12月17日
中身のない「禁韓令解除」に大喜びする韓国
2017年11月、中国が禁韓令を一部解除した。1年以上も続いた高高度防衛ミサイル(THAAD)関連の報復措置を解いたのだ。韓国は大変喜んだ。今や問題は全て解決したとでも思っていそうなほどの喜びぶりで、安堵(あんど)の雰囲気がありありと見て取れた。一部のメディアは「遊客の帰還」と歓迎し、買い出しに来た商人たちが免税店で列を作って並んでいる写真を撮って、まるで中国人団体観光客が大々的に押し寄せてでもいるかのように軽はずみに取り上げるところもあった。
しかし禁韓令は、ようやく半分のそのまた半分だけ解除されたにすぎない。表向き解除と言ってはいるが、中身はない。まず、中国人観光客の出発地を北京・山東の2カ所に限定した。チャーター機やクルーズ船、オンライン観光商品の販売は禁止した。現在運航中の正規航空路線を使った観光商品だけ許可したのだ。THAAD報復がなされる前、中国人団体観光客は安いチャーター機やクルーズ船を利用して韓国に来ていた。実際、今回の措置を受けて韓国に来る中国人団体観光客はごく少数にとどまる可能性が高い。
THAAD報復が続く中、韓国の観光業者の体力は枯渇しつつある。まず、観光客を誘致した中国の旅行会社に支払う送り出し手数料の金額が、日を追って増えてきている。2016年に韓国の免税店が中国の旅行会社に支払った観光客送り出し手数料は9672億ウォン(現在のレートで約1005億円。以下同じ)に上り、前年比で71.8%も急増した。13年の時点では2966億ウォン(約308億円)にすぎなかった送り出し手数料が雪だるまのように膨れ上がった理由は、わずかばかりの中国人観光客をつかもうとして、免税店がカネをどんどん使ったからだ。売り上げの30%以上を送り出し手数料として支払っているケースもある。
買い出し屋の問題も、解決できていない宿題だ。団体観光客が姿を消している間に、「代工」と呼ばれる買い出し屋による購入が免税店の売り上げに占める割合は一段と高くなった。代工たちは、韓国の免税店で税金のかからないブランド品や化粧品を爆買いした後、中国税関の黙認やほう助の下、現地で売った。代工たちを通した売り上げは免税店の売り上げと受け止められているが、実際のところ、利益はそっくりそのまま中国に渡っていく。代工たちは、こうして買い込んだ品物を中国で売る際に利益を上乗せするが、消費者の立場からすると、しかるべき代金を払って買うよりも安いので、当然ながらよく売れる。これは、中国に進出した韓国の化粧品メーカーにとっては致命的だ。長期的には、韓国製化粧品の信頼性や流通構造を崩壊させるからだ。
さらに深刻なのは、選別的な報復措置だ。中国政府は、ロッテの商品に対する全面禁止に加えて、ロッテホテルに宿泊したりロッテの免税店でショッピングしたりすることを許さなかった。ロッテは、中国によるTHAAD報復以降、大ざっぱにみても2兆ウォン(約2077億円)を上回る有形・無形の被害を受けた。韓国政府に協力した企業に打撃を加えることで、見せしめにしようとしているのだ。
韓国であれ中国であれ、政府の方針に協力せず頑張れる企業などただの一つもない。アリババの馬雲会長は最近、中国市場進出の難しさを訴える米国企業に向けて「中国政府の規制のせいにするな」という現実的なアドバイスを行った。「少なくとも10年は我慢する覚悟をすべき」とも語った。ロッテグループは10年どころか23年間も投資した。資金も10兆ウォン(約1兆400億円)以上使った。しかし、ロッテが所有するゴルフ場を韓国政府がTHAADの配備場所にしたというたった一つの理由で、中国の「ロッテ殺し」は続いている。
立場を変えて考えてみると、中国企業であれば、中国政府の方針に協調せず耐えられるだろうか。商品やサービスの品質ではなく、政府の方針に従う企業を、なぜ中国は責めるのか。中国が本当に韓国と友人になりたいのなら、中国にとってはささいな、しかし企業にとっては死活が懸かった問題を持ち出していじめてはならない。
この上なく残念なのは、「知らぬ存ぜぬ」で一貫している韓国政府の態度だ。中国政府の外交は韓国を手なずけようとするもの、という言葉も、今ではなじみのないものではなくなった。韓国の外交は中国政府に引っ張り回されてばかり、という考えを抱く人は徐々に増えてきている。いつまで無為無策でやられているのか。韓中首脳会談にかかる期待は大きい。企業の涙をこれ以上放置してはならない。国家安全保障のため犠牲になった企業を政府が保護しなければ、どこの企業が国に協力するだろうか。
チェ・ジュンソン成均館大学ロースクール名誉教授
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/12/15/2017121501887.html
【平昌五輪】北朝鮮頼みが招く北朝鮮リスク[12/17]
1988年のソウル五輪では、ソ連の参加が大きな焦点になっていた。
韓国と北朝鮮は長い間勢力を誇示する競争を繰り広げてきたが、韓国の経済成長が軌道に乗ってきた1980年代、南北の差は、はっきりし始めていた。
そうした状況で、共産圏の盟主であるソ連がソウル五輪に参加することは、北朝鮮にとって決定的なダメージであった。
金日成主席はゴルバチョフ書記長に、参加しないよう要請したが、拒否されたといわれる。ソウル五輪では、日本やアメリカはヒールであり、ソ連には、観客から声援が送られていた。
ソ連が崩壊した後も、その中心であるロシアは、相変わらずスポーツ大国である。
韓国でソウル五輪以来、30年ぶりに開催されるオリンピックである平昌五輪でロシアは、ドーピング問題により、国としての参加が禁止されることが決まった。
ロシアが参加しないことは、それでなくても盛り上がらない平昌五輪に、また大きな難題を抱えたことを意味する。
ドーピングで汚染された疑いのある選手が参加することは、大会の価値を下げることになる。その一方で、注目の選手が参加しないことも、大会の価値を下げることであり、平昌五輪は、ジレンマを抱えたまま、状況は厳しくなる一方だ。
■北朝鮮は平昌五輪出場の意思を持っていた?
参加といえば、北朝鮮問題も大きい。北朝鮮は唯一自力で出場権を獲得したフィギュアスケートのペアで、出場の意思を示さないまま、期限が過ぎた。これにより北朝鮮は、フィギュアスケート・ペアの出場権を放棄したことになる。
まだ特別枠での出場の可能性があるので、出場の可能性がなくなったわけではない。出場するにしても少人数の選手団になるだけに、逆にギリギリまで、態度表明を伸ばすことが可能だとも言える。
そもそも北朝鮮は、出場の意思を十分に持っていたのではないか。4月には、平昌五輪の会場である江陵で開催された女子アイスホッケーの世界選手権、ディビジョン2・グループAの大会に、北朝鮮も参加している。
同じ時期に平壌で開催された女子サッカーのアジアカップの予選に韓国も参加し、平壌に韓国の国歌が流れ、国旗が掲揚された。2013年に平壌で開催された重量挙げのアジアクラブ選手権で一度あるものの、これは極めて異例のことである。
孤立を深める北朝鮮にとって、スポーツは軍事的な問題でなく、自国の存在をアピールできる数少ない機会である。金正恩体制になった後も、国防委員会所属でスポーツ担当機関である「国家体育指導委員会」を新設するなど、力を入れてきた。
■韓国は北朝鮮に足元をみられている
そうした中、5月に韓国では文在寅政権が誕生した。文政権は、北朝鮮に平昌五輪への参加と、一部種目の南北統一チームの結成などを呼び掛けた。
文政権はもともと、北朝鮮に融和的な人たちの支持を受けて当選を果たしたものの、ミサイル発射や核実験などで、北朝鮮には厳しい態度を取らざるを得ない。
平昌五輪は、北朝鮮に融和的な態度を示すことができる数少ない機会である。また、北朝鮮の参加で、盛り上がりに欠ける平昌五輪の関心を高めることも期待されている。
しかも、開幕まで2カ月余りとなった11月29日、北朝鮮がミサイルを発射した。
オリンピック、パラリンピックが終わる3月18日までの間、北朝鮮が新たな挑発行為に出れば、緊張がますます高まるし、挑発がなければないで不気味な沈黙として、落ち着かない状況が続くに違いない。だからこそ、大会の安全な開催のために、北朝鮮の参加を求める声も大きい。
国際社会で孤立を深めている北朝鮮にとって、平昌五輪は、歓迎されている数少ない機会であると同時に、最高のカードになっている。
北朝鮮の権力者が何を考えているか、読めない部分はあるものの、平昌五輪そのものに対する妨害行為は、致命的な孤立を招くだけに行わないと思う。
それでも、参加の可能性を残しながら、揺さぶることで、何かを得ようとする可能性は十分ある。北朝鮮の平昌五輪の参加をより切実に願っているのは、北朝鮮よりも韓国の方であるからだ。韓国は北朝鮮に足元をみられている状況だ。
文在寅政権にとって、北朝鮮参加への思いが強いだけに、かえって平昌五輪開幕ギリギリまで、北朝鮮に揺さぶられるリスクを負いそうな感じがする。
2017年12月17日
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