2011年05月14日
不幸な国の幸福論(加賀乙彦) 感想
本書は冒頭で秋葉原の無差別殺傷事件から
その犯人の反抗の動機からはじまり
日本で蔓延する生きづらさのことについて
書いた本。
本書の結論としては、
「心の持ち方しだい」ということになってるが
残念ながら今の日本では
世間に対しての「恥」などから
その生き方を柔軟に変えることは
難しいと思う。
例をだすと世間では
ニートやフリーターなど定職についてない人が
「社会人としては未熟だ」という世間の流れがある。
しかし、世の中で正社員に就職できる人は
昔とくらべて多くなくなったと思う。
それに関わらず、個人に自己責任だとか
将来のことをどうするんだかといって
責めてもなにもならないし、
本書でいう「幸福な思考」をするための邪魔になるだろう。
つまり、秋葉原事件の例を出すまでもなく
日本人は世間の視線を気にするばかりか、
周囲の言葉がそれに拍車をかけるので
精神的に負担が大きいのだろう。
もちろん、それは経済的にはプラスに作用
したので現在でもそのようなことばかり言われます。
p65 景気が悪くなり失業者が増えれば自殺も増えて当然と 思うでしょうが、OECDに加盟している他の国々では、 経済状況と自殺率の間に日本ほど強い相関が見られません。 スウェーデンなどは逆に、90年代に完全失業率が二%から 十%に急上昇したのにもかかわらず自殺率が減少しています。 |
自殺者が3万を超えるといわれる日本ですが
景気などによって自殺率が変動するのは
日本だけだそうです。
つまり、日本自体が個人が生き難い社会になってるのでしょう。
それを変えるには、「自分自身の考え方を変える」と
書いていますが、残念ながらこれができるのは
いわゆる「できた人」でしょう。
しかも、社会で高い地位にいる人ほど
このような考え方はできないだろうし、
そのような人ほど発言力があるので
日本人の心を縛り付けているように思う。
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