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2017年11月25日
アガサ・クリスティから (159) (ミス・マープルと十三の謎*聖ペテロの指の跡【4】)
(ミス・マープルと十三の謎*聖ペテロの指の跡【4】)
ミス・マープルは何が原因で喧嘩したのかをメイベルに問いただした・・・。
結局、この夫婦は、しょっちゅう喧嘩の絶え間ない状況だったと分かったのだった。
ミス・マープルはため息をついた・・・。
**********
「何がもとで喧嘩をしたの?」とミス・マープルは聞いた。
それに対してのメイベルの答えはこうだった・・・。
いわく・・・ああ、いつものことなのよ。同じことを繰り返し繰り返しやった・・・つまらないことで、ジェオフレイは手を付けられない程になり、そしてひどいことを言った・・・だから、自分も思っていることをぶちまけてやったのだと。
確かに、メイベルの親族が結婚を反対したのには、理由があった。
ジェオフレイの性格は尋常を異している位に激しく、またその血縁者には本当に常軌を異した精神的な疾患がある人がいるということもあった。
しかし昔ながらの偏見に過ぎないとメイベルは、反対を押し切って結婚したのだった。
「じゃあ、しょっちゅう、喧嘩の絶え間なしだったのね?」
私のせいではないとメイベルは言い張った。
ミス・マープルは姪に言い聞かせた。
どちらかのせいとか言うことではないのは、よく分かるが、こんな狭い土地でしょちゅう喧嘩をしていた夫婦がその朝、大げんかをし、その夜、不思議なことに夫が突然、亡くなったら・・・多かれ少なかれ世間の関心ごとになるのは仕方がないと。
「それだけなの?それともほかに何かまだあって?」
メイベルは言っている意味が分からないと、むっとした。
「それだけのことよ、ねえおまえ、何かバカなことをしたのなら、隠さずに言っておしまい。私はなんとかしてお前を助けてあげたいとばっかり思ってるんだから。」
誰がどんなことをしても助からない・・・私が死ねばいいんだわ・・・とメイベルは取り乱して言った。
「ねえ、時には神の手におすがりすることを、もっと考えるのよ。さあ、メイベルや、おまえまだ何か隠し立てしてるのね。ちゃんとわかってますよ。」
子供の頃でもメイベルがすっかり白状しない時には、それが手に取るようにミス・マープルには分かったものだった。
この時もかなり手間取ったが、なんとかメイベルから彼女が隠している話を聞き出した。
やっと全てが明らかになった・・・メイベルはその朝、薬局に行って少し砒素を買って来ていたのだった・・・。
(次号に続く)
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2017年11月18日
アガサ・クリスティから (158) (ミス・マープルと十三の謎*聖ペテロの指の跡【3】)
(ミス・マープルと十三の謎*聖ペテロの指の跡【3】)
「火のないところに煙は立たないっていうでしょう、ねえ、メイベル、どういうことから皆がそう言いだしたか、言ってくれなきゃあね、何かあったんでしょう、ねえ?」
**********
ミス・マープルは頑張って聞きだそうとしたが、メイベルはなかなか口を開いてくれなかった・・・。
やっとのことでメイベルはポツリポツリと話し出した。
なにもない・・・全然、なにもない・・・ただジェオフレイ(夫)の死が突然だったというだけ。
夫はその晩の食事の時はとても元気だった。
ところが夜中には重体になって、医者を呼びにやったが、医者が来て、二〜三分後に急死した。
死因は毒キノコだという。
ミス・マープルは姪の顔見て言った。
「そうね、そうした変死は口がうるさいのよ。だけど、それだけではなくて、もっと何かあったに違いないわ。メイベル、ジェオフレイと喧嘩したとか?!なかったの?」
メイベルはしぶしぶ首を縦に振った。
前日の朝食の時に喧嘩をしたという。
「メイド達がそれを聞いたんじゃなくて?」
「部屋の中にはいなかったわ。」
「でもね、おまえ、入り口のすぐ外側にいたかも知れないでしょう?」
ミス・マープルはメイベルの甲高いヒステリックな声がよく通るのを知っていた。
また夫のジェオフレイ・デンマンも怒ったら大声を出す癖のある男だった。
ミス・マープルは何が原因で喧嘩したのかをメイベルに問いただした・・・。
結局、この夫婦は、しょっちゅう喧嘩の絶え間ない状況だったと分かったのだった。
ミス・マープルはため息をついた・・・。
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「火のないところに煙は立たないっていうでしょう、ねえ、メイベル、どういうことから皆がそう言いだしたか、言ってくれなきゃあね、何かあったんでしょう、ねえ?」
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ミス・マープルは頑張って聞きだそうとしたが、メイベルはなかなか口を開いてくれなかった・・・。
やっとのことでメイベルはポツリポツリと話し出した。
なにもない・・・全然、なにもない・・・ただジェオフレイ(夫)の死が突然だったというだけ。
夫はその晩の食事の時はとても元気だった。
ところが夜中には重体になって、医者を呼びにやったが、医者が来て、二〜三分後に急死した。
死因は毒キノコだという。
ミス・マープルは姪の顔見て言った。
「そうね、そうした変死は口がうるさいのよ。だけど、それだけではなくて、もっと何かあったに違いないわ。メイベル、ジェオフレイと喧嘩したとか?!なかったの?」
メイベルはしぶしぶ首を縦に振った。
前日の朝食の時に喧嘩をしたという。
「メイド達がそれを聞いたんじゃなくて?」
「部屋の中にはいなかったわ。」
「でもね、おまえ、入り口のすぐ外側にいたかも知れないでしょう?」
ミス・マープルはメイベルの甲高いヒステリックな声がよく通るのを知っていた。
また夫のジェオフレイ・デンマンも怒ったら大声を出す癖のある男だった。
ミス・マープルは何が原因で喧嘩したのかをメイベルに問いただした・・・。
結局、この夫婦は、しょっちゅう喧嘩の絶え間ない状況だったと分かったのだった。
ミス・マープルはため息をついた・・・。
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2017年11月05日
アガサ・クリスティから (157) (ミス・マープルと十三の謎*聖ペテロの指の跡【2】)
(ミス・マープルと十三の謎*聖ペテロの指の跡【2】)
姪はひどく悩んでいた・・・彼女が夫を毒殺したのだと、うわさが街中にひろがっていて、もともと仲良くしていた友人や知人でさえ、彼女を避けて通るのだった・・・。
日に日に、噂はひどくなり、広まっていった・・・。
**********
ミス・マープルは、子供の頃から手の掛かった姪のメイベルから詳しいことを聞き出すのに苦労していた・・・。
メイベルはただぼんやりとしか言ってくれなかった。
悪意あるうわさ話。
うわさをするしか用事もないなまけもののことや、こそこそと他人の耳になにかをふれまわるおっせかいのこと等・・・。
ミス・マープルは姪のメイベルにはっきりと内容を言うように諭した。
そして聞き出せたのが、彼女が夫を毒殺したのだといううわさ話だった。
うわさ話ほど残酷なものはないのだった。
そしてそれと闘うことも非常に困難であった。
一方的に陰でこそこそ言われているだけで、反対することも反駁することも出来ないのだから。
なすすべもないまま・・・その間にうわさはどんどん広まるばかりで、もう止めようがなくなってしまっていた。
ただメイベルが人を毒殺するような女ではないということだけは、ミス・マープルには確信があった。
ミス・マープルの勘では何か?メイベルがばかげたことをしでかしただけだろうと。
それだけのことで、彼女の一生をめちゃくちゃにし、家庭の生活を耐えられないようにさせるなんて、全くひどい話に思えた。
「火のないところに煙は立たないっていうでしょう、ねえ、メイベル、どういうことから皆がそう言いだしたか、言ってくれなきゃあね、何かあったんでしょう、ねえ?」
(次号に続く)
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