2008年10月22日 | Posted by 公 at 19:09 | キリスト教 | この記事のURL |
日下公人語録17
<9・11テロ>のあと、イタリアのベルルスコー二首相(当時)が、「イスラム文明より西欧文明が優れている。人権や宗教の尊重を保証しているわれわれの文明の優位性を自覚すべきだ」とドイツ訪問中の同年9月26日に語ったという報道があった(なぜか日本の活字メディアはほとんど報じなかったが)。 この発言はイスラム諸国の怒りを買っただけでなく、さすがにEU(欧州連合)諸国も懸念を表明したが、この発言の深層にある「西欧」の世界観、文明観を見過ごすべきではない。 キリスト教文明の優位という彼らの無意識下の意識をはからずもベルルスコーニ氏は吐露してしまったのであり、EU諸国の懸念は、域内にイスラム圏出身者を多く抱えているという事情である。神の意志に基づいて「明白なる天意」を掲げ、世界に普遍性を押し広げようとするアメリカにも、ベルルスコーニ氏の発言と同じような無意識下の意識がある。アメリカに対する世界の反発にはこうした宗教や歴史に根ざす奥深い背景(略)があることを日本人は知っておく必要がある。
アメリカに頼らなくても大丈夫な日本へ―「わが国」の未来を歴史から考える