(認知症)満たされぬ領域 新薬開発に期待

6月15日7時56分配信 産経新聞

【医薬最前線】2010年の壁

 東京都目黒区で6月6日、認知症の患者や家族が100人以上集まった交流会が開かれた。同区の高橋健二さん(57)=仮名=は「認知症は治らない病気。
将来、どんな症状が出るのかを知り、心の準備をすることが大切です」と参加者に語りかけた。

 高橋さんの妻(56)は6年前、認知症の一つ、若年性アルツハイマー病と診断された。

最初は物忘れが多い程度だったが、徐々に悪化。家事ができなくなり、トイレットペーパーを散らかしたり、室内に水をまいたり…。
今では夫のことも分からなくなった。高橋さんは勤めていた会社を辞め、アルバイトで家計を支えながら、妻の介護にあたった。


 ところが、今度は介護を手伝ってきた長女(27)が精神的に不安定になり、家に閉じこもるようになった。
「このままでは家族が崩壊する…」。
高橋さんは今年2月、妻を施設に入所させることを決めた。


 妻は洋裁が好きで手先も器用だった。
「たった6年でこんなになっちゃうなんてね。薬がないのがこの病気の一番の問題」。
高橋さんは唇をかみしめる。



 国内のアルツハイマー病患者は約130万人もいると推計されている。

だが有効な治療法は確立されておらず、病気の進行を抑える薬が1種類あるだけだ

この薬が効かなければほかに選択肢はない。

介護にあたる家族にとっては、同じ境遇の仲間の支えが唯一の“クスリ”なのだ。


 財団法人「ヒューマンサイエンス振興財団」が平成17年、60の病気について、医師を対象に「治療に対する薬剤の貢献度」と「治療の満足度」の相関関係を調査(147人回答)した。

結果はアルツハイマー病の貢献度と満足度がともに10%以下ともっとも低かった。

逆にいずれも90%を超えたのは消化性潰瘍(かいよう)だった。


 アルツハイマー病ははっきりとした原因が解明されていないため、根本的な治療薬の開発が困難とされる。

一方の消化性潰瘍には効果的な治療薬があり、手術をしなくても治せる。


 製薬業界や医療関係者はアルツハイマー病やがんのように有効な治療方法が確立されていない領域を「アンメット・メディカル・ニーズ(満たされていない医療ニーズ)」と呼んでいる。

 鬱病(うつびょう)などの中枢神経疾患やリウマチなどの免疫疾患なども含まれる。


 大型品の特許切れで業績悪化が懸念される「2010年問題」。

問題を乗り越えるための製薬大手が高い関心を寄せている分野が、まさに「アンメット・メディカル・ニーズ」だ。

各社は飽和状態にある高血圧症などからアルツハイマー病やがんに開発の重点領域をシフトさせている。


 病気のメカニズムが完全に解明されていないなど新薬の開発が難しいアンメット領域だが、近い将来、国内市場に登場する可能性がある薬もある。


 現在、1種類しか流通していないアルツハイマー治療薬では、新たに3種が承認申請中。

武田薬品工業や第一三共などが2010年問題を乗り越える“切り札”の一つとして市場投入を計画している。


 エーザイは「現代有機合成化学の最高傑作」(内藤晴夫社長)と自負する乳がん治療薬「エリブリン」が日米欧などで申請中だ。


 いずれも「根本治療薬」とはいえないまでも、従来の薬よりも高い効能も期待される。


 妻の病気に悩む高橋さんの、新薬への思いは切実だ。

「妻はもう少しで『食べ物がのみ込めなくなる』と医師に言われた。いい薬が出たら試したい」


 同じ薬を使い続けると細胞が「耐性」を持ってしまう“宿命”を持つがん患者も新薬の登場に期待を込める。

「卵巣がん体験者の会スマイリー」の片木美穂代表は「新薬が一つ出れば、延びる命が増える。患者にとって選択肢が増えることは希望」と話している。

メタボ男性、うつ病リスク2倍以上 女性は関連見られず



肥満や血糖値、血圧などの異常が重なるメタボリック症候群の男性は、そうでない男性に比べ、うつ病になる恐れが2倍以上であることが、九州大学の調査でわかった。

メタボの男性はうつ病かどうかを早めに調べ、治療につなげることが重要だと、研究チームは指摘している。


 九大が40年以上にわたり、住民の生活習慣と病気との関係を調べている福岡県久山町でのデータを分析した。


 2007年の健診で腹囲や血圧などを測定した40歳以上の男女3025人に、うつ病の診断に使われる質問票に答えてもらい、抗うつ薬を飲んでいるかなどを尋ねた。


 男性でメタボだった364人のうち、7.3%にうつ状態が見られた。メタボでない910人では2.8%。統計的な補正をするとメタボの男性はリスクが2.3倍だった。

おなかのサイズが大きい人、善玉コレステロールの値が低い人に、その傾向が特に強かった。

女性は、うつ状態とメタボの関連性は見られなかった。


 メタボとうつ病との関連性は欧米の研究でも指摘されているが、原因はよくわかっていない。

九大チームは「メタボで症状が出ない程度の小さな脳梗塞(こうそく)ができ、うつ病につながっているかもしれない」と推測する。

金沢市で開かれている日本うつ病学会総会で11日、発表した。


(メタボリック)生活習慣病の医療費急増 練馬 3年で10%



練馬区で高血圧や糖尿病など生活習慣病に関する医療費が平成17年度から20年度の3年で10%増え、区財政を圧迫する要因になっていることが、区の調査で分かった。

生活習慣病になる可能性が高いメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)とその予備軍の割合は男性が圧倒的に多い

区は「特に男性はメタボ健診を積極的に受診して」と呼びかけている。


 区が区内在住の30〜74歳の国民健康保険被保険者を対象に、17年5月と20年5月の月額医療費を比較したところ、医療機関が診療報酬を請求するために提出する書類は、生活習慣病については15%も増加。

また、生活習慣病の医療費も10%増加していた。


 さらに、1人当たりの年間医療費も調べたところ、2千万円以上の高額な医療費がかかった区民の8割が、複数の生活習慣病を抱えていることも判明した。


 生活習慣病が医療費を押し上げ区財政を圧迫する一因となっている一方で、メタボやその予備軍を見つけるために国が実施する特定健診の受診率は20年度は36%にとどまった。

特に40〜44歳の働き盛りの男性の受診率は16%と著しく低いことが浮き彫りになった。


 区は「特定健診の受診券は、年に3回に分けて発送する。

特に男性は、ぜひ受けてほしい」と話している。


<AIM>脂肪を溶かすたんぱく質 やせ薬候補に新薬開発へ

脂肪の塊を溶かす働きを持ったたんぱく質を、宮崎徹・東京大教授(疾患生命科学)らが発見し、9日付の米医学誌セル・メタボリズムに発表した。

このたんぱく質を接種したマウスの体重は減った。

研究チームは、肥満を抑えるやせ薬の候補として、新薬の開発に乗り出した。


 研究チームは99年、白血球の仲間であるマクロファージで作られているたんぱく質「AIM」を見つけた。

その作用を調べようと、AIMを作れないように操作したマウスを観察すると、同じ量の餌を与えても通常のマウスより太ることに気付いた。


 そこで、脂肪の貯蔵庫となる「脂肪細胞」にAIMを加えると、72時間後に脂肪の塊が溶けて4分の1の大きさになった。

毎週1回0.1ミリグラムを接種した太めのマウス(体重40グラム)は、高カロリーの餌を食べても4週間後の体重は5グラム減ったが、未接種のマウスでは50グラムに増えた。

AIMは、脂肪細胞の表面にある別のたんぱく質の力を借りて細胞内に入り、脂肪の塊を溶かすだけでなく、脂肪細胞自体もできないように作用していたという。


 脂肪の塊を溶かす薬剤はすでに開発されているが、脳への悪影響が課題になっている。

AIMは脂肪細胞とマクロファージのみに作用し、体内で作り出されるので副作用の心配もないとしている。

 宮崎教授は「脂肪細胞は数が増えすぎると肥満を招くが、エネルギーを貯蔵する役割もある。

人でのAIMの働きを詳しく調べ、糖尿病や動脈硬化につながる肥満の解消に貢献したい」と話す。


(乳がん)マンモ検診の無料クーポン券を発行

財団法人日本対がん協会は「乳がんをなくすほほえみ基金」に寄せられた寄付を基に、マンモグラフィ検診の無料クーポン券を発行し、乳がん検診の受診率向上を目指す


 同協会はこれまで基金を基に、乳がん啓発の小冊子の製作やマンモグラフィ撮影技術講習会の開催などを実施してきた。

今年度は、「検診を受けたことのない人に検診を受けてもらいたい」との願いから、初めて検診無料クーポン券を発行する

現在、通信販売会社ディノスと提携し、同社のホームページなどを通じて1000枚分の希望者を募っている。

 クーポン券の使用期限は来年3月末までで、対象は40歳以上の人

受けられる乳がん検診の内容は、国の指針にのっとって、「問診、乳房エックス線検査(マンモグラフィ)並びに視診及び触診」としている。

 応募は6月27日までで、希望者多数の場合は抽選となる。

なお、クーポン券が使える検診機関は同協会の協力機関に限られている。

 同協会では今年度中にさらに2000枚を発行し、がんセミナーやピンクリボンフェスティバルなどでの配布を予定している。

詳しくは日本対がん協会03(5218)4771

メタボのことちゃんと知ってます?



メタボとは・・・

メタボリック症候群(シンドローム)の略。

内蔵に脂肪がついている状態に加えて、高血糖、高血圧、高脂血症のうちの二つ以上を合併した状態のこと。

内臓脂肪は皮下脂肪と異なり、腸や肝臓など内臓の周囲にたまる。

内臓脂肪がつきすぎると、ホルモン分泌のバランスを崩し、放置すると高血圧や高血糖などを引き起こし、心疾患や脳卒中などのリスクを高めるとされる。

●05年に厚生労働省が定めたメタボリックシンドロームの判定基準

◇ウエストが

男性…85cm以上
女性…90cm以上
しかも…

◇血圧

収縮期血圧値130mmHg以上
拡張期血圧値85mmHg以上
◇血糖 ヘモグロビンA1C値5.5%以上

◇血中脂質 HDLコレステロール値(善玉)40mg/dl未満


◆該当項目

1項目…予備群 2項目以上…疑いが強い

メタボ人口は、予備軍を含めると、40歳から74歳で約2千万人いるとされる。

 この診断基準に基づき、08年4月から、40歳から74歳までの公的医療保険加入者全員が健診対象となる「特定健診」(メタボ健診)が始まった。

厚労省は、メタボ健診およびその後の保健指導で、12年度末までに10%、15年度末までに25%減らすという目標をまとめている。

糖尿病や脳卒中など生活習慣病の患者を減らすとともに、医療費の伸びを抑えるのが狙いだ。


だが、この基準には発表当時より専門家から「やせていて病気のリスクが高い人を見落とす」「女性の方が腹囲が大きいのはおかしい」などと疑問が投げかけられた。

また、やせていて血圧や血糖値が高い人はとりわけ日本に多く、死亡リスクが高いことが指摘されてきた。

 09年には、国際糖尿病連合(IDF)、世界心臓連合、国際動脈硬化学会など国際的な6組織が新たな統一基準を作り、腹囲のほか中性脂肪、HDLコレステロール、血圧、血糖値の5項目のうち、3項目以上の検査値に異常があれば、メタボとすることに決めた。

腹囲が普通でも、血圧や血糖値に異常があればメタボということになる


 この流れの中、厚労省の研究班(研究代表者=門脇孝・東京大教授)も健診基準を検証中だ。

 全国の男女3万人を対象に調べた結果、おなかのサイズが大きくてもそうでなくても、血圧や血糖値などで異常が重なればメタボリック症候群と同じように心筋梗塞(こうそく)や脳卒中を起こすリスクが高まることがわかった。

研究班は腹が出ていない人たちの対策も進めるよう提言を報告書に盛り込む。

将来の基準に反映される見通しだ。


生活習慣病の改善に役立つポリフェノール(レモン搾りかす活用)

レモンを搾った後の皮を発酵処理し、生活習慣病の改善に役立つポリフェノールを生産する新技術を開発したと、科学技術振興機構が7日までに発表した。

愛知学院大の大沢俊彦教授らによる研究成果。

同機構が製造技術の開発を委託した大手飲料メーカー「ポッカコーポレーション」(名古屋市)が、機能性食品の素材として商品化を目指すという。

 レモン果皮にポリフェノールが多く含まれることは知られていたが、効率良く取り出す方法がなかった。

大沢教授らは、糖と結合した状態で含まれるポリフェノールから、まず酵素で糖を分離。

さらにこうじ菌で発酵処理し、抗酸化作用が強い新たな種類のポリフェノールを生み出した。

 果汁を搾った後のレモンの皮は捨てられていたが、この技術が実用化されれば、廃棄物の有効活用にもなるという。 


アトピー性皮膚炎、花粉症などアレルギー症状を抑える分子の発見



ぜんそくやアトピー性皮膚炎、花粉症などアレルギー症状を抑える分子を、渋谷彰・筑波大教授(免疫学)らが発見した。

この分子の働きを強めることができれば、さまざまなアレルギーに共通する薬の開発につながる可能性がある。

6日付の米科学誌ネイチャー・イムノロジー電子版に発表した。


 アレルギーは、花粉や食べ物などに含まれる特定の物質「抗原」が体内に侵入し、肥満細胞が反応、炎症を起こすヒスタミンなどの化学物質が過剰に放出されて起きる。

これらの化学物質の働きを抑える薬はあるが、完全に抑えるのは難しい。


そこで、研究チームは化学物質を出させない方法を探った。

その結果、肥満細胞の表面にある特定の分子を刺激すると、化学物質の量が、刺激なしに比べて半分程度に減ることを突き止めた。

また、この分子を持たないマウスを作ると、通常のマウスより激しいアレルギー反応が起きた。


この分子は花粉など抗原の種類に関係なく、アレルギー反応を抑えることも分かり、研究チームは「アラジン1」と命名

人にもアラジン1が存在することを確認した。


 日本では国民の3割が何らかのアレルギーを持つと言われる

渋谷教授は「アラジン1の働きを高めることによって、アレルギーを効果的に抑制できる」と話す。

酒かす成分、肝臓保護

かす汁など冬の家庭料理で親しまれている酒かすに含まれる成分が、肝臓を保護する効果があるという研究結果を、月桂冠総合研究所(京都市伏見区)がマウスを使った実験で明らかにした。

 酒かすをそのまま食べただけでは効果は限定的とみられるが、酒かすの利用法で選択肢が広がるとして、月桂冠は今後、成分を機能性食品などとして商品化することを検討するとしている。


 強い酸化力をもつ「活性酸素」が体内で増えると、臓器が傷つくなどして、様々な病気を引き起こす。

特に肝臓は血液にのって活性酸素や過酸化脂質が集まりやすく、酸化を防ぐことが重要だと考えられている。


 同研究所の堤浩子・副主任研究員、大浦新・副主任研究員は、日本酒を製造する過程で副産物としてできる酒かすの約6割を占めるたんぱく質に注目。

これを酵素で分解してペプチドと呼ばれる断片にし、その働きを調べたところ、肝臓内で活性酸素を防御する働きがあるグルタチオンという物質と同様の酸化抑制作用があることを確認した

 さらに、マウスの腹部に肝障害を引き起こす薬剤を一定期間、注射し続け、その間、グループごとに様々な餌をやる実験を実施。


 その結果、肝障害の指標となるGOTとGPTの数値について、普通の餌を食べさせた場合を100とすると、断片の入った餌をやったグループでは、それぞれ39と26だった。

一方、酒かすをそのまま食べさせた場合は、普通の餌より両方の数値とも低かったが、断片入りの餌ほどには効果が出なかった。


 このことから堤研究員らは、酒かすに含まれる成分に肝機能保護や肝障害予防の効果があると結論づけた


 月桂冠は「成分は、みそ汁やスープに混ぜたり、錠剤にしたりする活用方法があるだろう。

共同研究の要望があれば、他の企業と協力して商品開発することも考えたい」としている。

(2010年6月4日 読売新聞)


神奈川のバー、全面禁煙を前倒し 県の指導!?愛煙家は不満顔

飲食店での原則禁煙が条例で定められた神奈川県で、条例施行後も喫煙容認を貫いているバーが、9月をめどに禁煙にすることがわかった。

当初は禁煙条例違反への過料(罰金)が科される来年4月直前まで、喫煙を容認する予定だったが、半年早く禁煙に転換する。

大口顧客でもある県の指導に配慮したとみられ、愛煙家からは隠れ家の予定より早い幕引きを惜しむ声が聞かれそうだ。

 ◆6割が喫煙者

 このバーは横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ(横浜市西区)3階にあるメインバー「ベイ・ウエスト」で、「利用者の6割が喫煙客」という愛煙家御用達のバーだ。

 禁煙条例施行後も喫煙を認め、過料が適用される来年3月末まで続ける姿勢を示していたが、このほど方針を変更。

ホームページの受動喫煙対策の告知欄を、当初の「2011年末まで喫煙可能」の部分を、このほど「10年9月を目処に禁煙とする予定です」と変更した。


 ホテル担当者は「当初から条例にそった体制をできるだけ早く整える考えだった」と話すが、事情を知る関係者は「禁煙条例施行後も喫煙を容認していたことで県がホテルを指導したため、方針の変更を迫られたものとみられる。

県は大口顧客でもあり、影響力も大きいため、そのあたりも配慮したとみられる」という。


 ◆来年4月から過料

 神奈川県の禁煙条例は、他人のたばこの煙を吸い込むことが原因の健康被害を防止するため、県内の公共的な施設を原則禁煙とする内容で、今年4月1日に施行している。

 飲食店、旅館などは小規模店や風営法対象店をのぞき、禁煙か、禁煙エリアに煙が流れ出ないような設備を整える完全分煙かの選択を義務づけられていて、違反した場合には、喫煙者本人なら2万円以下、施設管理者なら5万円以下の過料が適用される規定があるが、飲食店、旅館などの場合、過料の適用が1年先の来年4月からとなる。

 県は条例施行後の4月中旬以降、県内の商店街を中心に見回りを実施していて、違反を見つけた場合には改善を促す取り組みを進めている。

 受動喫煙については厚生労働省も対応を進めていて、健康被害を不安視する層から歓迎される一方、愛煙家からは「合法的な嗜好品であるはずなのに、どこで楽しめばいいのか」と不満もくすぶっている。


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