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2021年01月27日

どうぞのいす [ 香山 美子 ]







ウサギさんは小さな椅子を作りました。
けれども、その椅子をどこに置くかは決めていませんでした。
「さて、この いす、どこへ おこうかな。」
少し考えて、野原の大きな木の近くに置きました。
その椅子の横には『どうぞのいす』と書いた立て札も立てました。

どうぞ、ご自由にお使いください
そこへ最初にやってきたのはロバさんです。ドングリの入った大きなカゴを背負っています。

「おや なんて しんせつな いすだろう。」

そう言って、自分が座る代わりに、背負っていたカゴを椅子の上に置きました。

ロバさんはドングリを拾った帰りで疲れていました。そこで、大きな木の下に腰掛け、しばらく休憩することに−−。ところが、ついついお昼寝をしてしまうのでした。

どうぞ、ご自由にお召し上がりください
そこへ今度はクマさんがやってきて、カゴに詰まったドングリを見つけました。

「これは ごちそうさま。どうぞならば えんりょなく いただきましょう。」
・・・・
動物たちが繰り返し、感謝の連鎖をする物語です。
うさぎさんは特定の誰かに感謝されたくて行動したわけでではありませんが、
その行動によって物語が始まります。
この話を読むと、人のために行動するというのは、特別なことではないと感じます。
何かしてもらったら何かお返しする。自分の出来る範囲で行えることだけでも、
喜んでくれるひとはいると考えると気が楽ですよね。
子供たちは最初は深い意味はわからないと思いますが、
何回も読み、一緒に楽しみながら読み深めていきましょう。
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