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2017年04月07日
フランク・ナイト『リスク・不確実性および利潤』(1921
ナイトは、ヴァイナーやサイモンズと共に自由主義市場経済を擁護するシカゴ学派の創始者だが、彼自身は独占的な企業体を自由の象徴とみなす新自由主義者に対しての強力な批判者でもあった。ナイトは、将来の変化につき確立で予測できる「危険 risk」と、主観的にしか推定できない「不確実性 uncertainty」とを区別する。リスクと区別される「不確実性」が現実の経済には常に存在し、その大きすぎる不確実性に対処するために経営と職能を分離する株式会社の仕組みが必要だった。技術革新とは未知の領域に挑むことであるから、それが経済社会にどのような帰結を招き寄せるのかはナイトの言う意味で「不確実」である。
市場が倫理的な「グッド・ゲーム」であり得るためには、能力・努力・運の割合が適切でなければならない。運が必要というのは、結果が事前にわかってしまえばゲームにならないからだ。しかし、不確実性が個人の能力や努力で担えないほど高ければ、最初に運を掴んだものが累積的に有利になっていく。良い教育機会は金で買えるし、巨大化した企業だけが不確実性を処理しうるからだ。
市場が倫理的な「グッド・ゲーム」であり得るためには、能力・努力・運の割合が適切でなければならない。運が必要というのは、結果が事前にわかってしまえばゲームにならないからだ。しかし、不確実性が個人の能力や努力で担えないほど高ければ、最初に運を掴んだものが累積的に有利になっていく。良い教育機会は金で買えるし、巨大化した企業だけが不確実性を処理しうるからだ。