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2017年04月01日

ヴェルナー・ゾンバルト『ユダヤ人と経済生活』(1911)

なぜ資本主義が発展したのかという問題について、日本で有名なのはマックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』だ。いわゆる『プロ倫』は、カトリックの「節制」が資本主義を作り上げたと説明する。一方でゾンバルトはこの論に反対し、「奢侈」が資本主義を作り上げたと主張する。
 ユダヤ人が流入した地域は勃興し、退出した地域は衰退した。ユダヤ人はいかなる苦境にあっても世界を肯定し富を楽しむ態度を勧める。ゾンバルトによれば、資本主義の理念とはつまるところ営利であり、それは長期的展望のもとで事物に関心を持つ「企業家」と、有利な仕事をしようとする「商人」の「二つの魂」から成り立っている。
 経済思想史の展開を見れば、企業家の投資活動に注目するウェーバー説は、アダム・スミスや新古典派の供給重視の立場にあり、奢侈や商売熱心さを重視するゾンバルト説は、ヴェブレン、ボートリヤール、ハイエクなど需要重視の立場にある。


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