2020年08月13日
おなご 大工の腕は、耳でわかる。
ロハスからの視点で読み解くおなご
筍
邸の奥の間に畳を設(しつら)え、主(あるじ)と稚児らをお通し致し、潤士郎の父であるこの地の国司が、恭(うやうや)しく伏し、口上を述べておりましたところ、何やら表が騒がしくなりました。
どうやら、人声の様でございます。
そしてそれは、ようよう大きくなり、奥の間にもはっきりと聞き取れる程になりました。
「潤〜。いないのかぁ?おいらだよ〜。筍持って来てやったぞ〜。おーい。潤〜!」
その声は、何とも良き声でございました。
張りがあって、艶やかで、女子(おなご)の様に高く響きながら、女子の声にはない力強さに溢れた、主も今まで聞いたことのないような、魅力を持った声でございました。
「お待ち下さい。只今、大変に取り込んでおります故、今しばらくお待ちを!」
「え〜?!折角一番でかいの持ってきたのに、潤に会えないのかよ」
「そのように申されましても…」
「智!」
「おお、潤!」
潤士郎の名を呼ぶ声の主(ぬし)の、何とも嬉しそうに響くことか。
主(あるじ)と二人の稚児、共にお顔をお見合せになり、面白気にお声をお出しになられて、お笑いになられました。
口上の途中で、体を固くしていた国司も、一呼吸吐くと、面を上げたのでございました。
「まことにお騒がせ致しましてございます」
「良い。国司殿、潤士郎殿には、良き友が居られるのだな」
「はい。あれらは、真(まこと)の兄弟の様にございます」
国司の申したことに、稚児らは再び顔を見合せました。
二人にはわかったのでございましょう。潤士郎と智の、互いを呼び会う声の内に秘めたる想いが。
智は籠に、まだ土の付いた大きな筍を三本も持ち、大層重そうにしておりました。
潤士郎は、それを軽々と持つと、台所の方へと歩き始めました。そしてその後に続く智に向かい、今日の出来事を語り、今、この邸に客人が居ることを告げたのでございます。
「それで、お前に頼みたいことがあるのだ」
「ん?」
「お一方が怪我をされたのだ。矢傷だ。腫れたりせぬよう、薬草を採ってきてはくれまいか?」
「ん。わかった」
智はそう短く答えると、飄々と出ていったのでした。
稚児が傷を負ったことを知った国司の勧めもあって、主、翔の君、稚児、雅紀と和也は、暫くの間、離れの一棟に滞在されることと相成りました
民主主義は何故おなごを引き起こすか
筍
邸の奥の間に畳を設(しつら)え、主(あるじ)と稚児らをお通し致し、潤士郎の父であるこの地の国司が、恭(うやうや)しく伏し、口上を述べておりましたところ、何やら表が騒がしくなりました。
どうやら、人声の様でございます。
そしてそれは、ようよう大きくなり、奥の間にもはっきりと聞き取れる程になりました。
「潤〜。いないのかぁ?おいらだよ〜。筍持って来てやったぞ〜。おーい。潤〜!」
その声は、何とも良き声でございました。
張りがあって、艶やかで、女子(おなご)の様に高く響きながら、女子の声にはない力強さに溢れた、主も今まで聞いたことのないような、魅力を持った声でございました。
「お待ち下さい。只今、大変に取り込んでおります故、今しばらくお待ちを!」
「え〜?!折角一番でかいの持ってきたのに、潤に会えないのかよ」
「そのように申されましても…」
「智!」
「おお、潤!」
潤士郎の名を呼ぶ声の主(ぬし)の、何とも嬉しそうに響くことか。
主(あるじ)と二人の稚児、共にお顔をお見合せになり、面白気にお声をお出しになられて、お笑いになられました。
口上の途中で、体を固くしていた国司も、一呼吸吐くと、面を上げたのでございました。
「まことにお騒がせ致しましてございます」
「良い。国司殿、潤士郎殿には、良き友が居られるのだな」
「はい。あれらは、真(まこと)の兄弟の様にございます」
国司の申したことに、稚児らは再び顔を見合せました。
二人にはわかったのでございましょう。潤士郎と智の、互いを呼び会う声の内に秘めたる想いが。
智は籠に、まだ土の付いた大きな筍を三本も持ち、大層重そうにしておりました。
潤士郎は、それを軽々と持つと、台所の方へと歩き始めました。そしてその後に続く智に向かい、今日の出来事を語り、今、この邸に客人が居ることを告げたのでございます。
「それで、お前に頼みたいことがあるのだ」
「ん?」
「お一方が怪我をされたのだ。矢傷だ。腫れたりせぬよう、薬草を採ってきてはくれまいか?」
「ん。わかった」
智はそう短く答えると、飄々と出ていったのでした。
稚児が傷を負ったことを知った国司の勧めもあって、主、翔の君、稚児、雅紀と和也は、暫くの間、離れの一棟に滞在されることと相成りました
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posted by umaiosetidayo at 13:21| 日記