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「ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-」を観てきました。

ストーリーは、

終末期の患者ばかりが次々と不審な死を遂げる事件が相次ぎ、捜査に乗り出した刑事の犬養と高千穂は、依頼を受けて患者を安楽死させる「ドクター・デス」と呼ばれる医者の存在にたどり着く。しかし、そんな矢先、重度の腎臓病に苦しんでいる犬養の一人娘の沙耶香が、ドクター・デスに安楽死を依頼してしまい・・・。

というお話です。

「苦しむことなく殺してさしあげます。」ある闇サイトで依頼を受け、人を安楽死させる連続殺人犯ドクター・デス。その人物の存在が明らかになったのは、「お父さんが殺された。」という少年からの通報がきっかけだった。警視庁捜査一課のNo.1コンビ犬養と高千穂は、さっそく捜査を開始。

すると似たような事件が次々と浮上する。捜査チームのリーダー麻生、新米刑事の沢田、室岡、青木と共に事件の解明を急ぐが、被害者遺族たちの証言は、どれも犯人を擁護するものばかりだった。ドクター・デスは本当に猟奇殺人犯なのか？それとも救いの神なのか？

犬養と高千穂の説得で、被害者のいくつかの証言と、ドクターの似顔絵が完成する。証言により、元看護婦の名前が浮かび、まず、その看護婦を任意聴取するが、疑わしい所は出てこない。仕方なく似顔絵を頼りにドクター・デスを探すが、心当たりは無いと言われてしまう。

高千穂の助言により、ドクター・デスを救いの神と信じている遺族が正直な証言をしているとは思えないということで、似顔絵の嘘の部分を抜いて行き、新しい似顔絵を作り、ドクター・デスを探し始めると、河川敷で見たという人間が出てくる。そして河川敷に住んでいるホームレスを訪ねて行くのだが･･･。

一方、犬養の娘・沙耶香は重度の腎臓病を患っており苦しんでいた。沙耶香は、自分の苦しみと自分の為に苦しむ父親の為に、居なくなっ方が良いのかもと思ってしまい、ドクター・デスに安楽死を依頼してしまう。そして･･･。後は、映画を観て下さいね。

この映画、面白そうで期待していたのですが、うーん、ダメでしたね。キャストはこんなに良くて、面白そうだと思ったのに、やっぱり映画の構成かしら。前半の追い詰めて行く部分が長すぎるんですよね。無駄な動きが多くて、観ていると、眠くなっちゃうんです。

それに、この題材、既に何度も映画化されていて、実は、”またですか”とは思いました。ハリウッドだけでも、何度も映画化されているでしょ。最近、WOWOWで観たのは、アンソニー・ホプキンスとコリン・ファレルの”ブレイン・ゲーム”かな。あと、忘れちゃったけど、安楽死を依頼したら、まず、自分が殺してもらう前に安楽死したい人を殺して、次に自分が殺して貰えて、自分を殺した人も、次の人に殺して貰えるという、ドミノ形式の安楽死の映画かドラマがあったような気がするんだけど、忘れちゃいました。これだと、犯罪者が死んでいくので、警察は捕まえられないって話だったと思う。

それに、今回は、ドクター・デスが悪者として描かれていたけど、これ、神の使いとして描かれている事もあるので、安楽死の問題は、一概に良い悪いを言えません。だってね、あまりにも苦しんでいる家族を見たら、殺してあげたいと思う事だってあると思うんです。それって、愛していればいるほど、苦しむ姿を見ていられないからですよね。

しかし、今回の映画の話に戻るけど、今回のドクター・デスは、マジな猟奇殺人犯だと私は思いました。だって、動機がとっても単純なんですもん。もう少し、ドクターの悩みとか苦しみを描いてくれて、自分がやらなければという正義感と使命感に押されて、安楽死を請け負ってしまうという事を描いてくれれば良かったけど、そういう部分は見受けられませんでした。

それに、もう、邦画はキャスティングがダメですよ。私、ある人が出てきた時点で、あ、この人が犯人なのねって気が付きましたもん。誰が出演すると情報を出していなくても、画面に出てきちゃったら、直ぐに解ります。犯人は有名人でないといけないなんて、決まりはないので、もっと舞台俳優とか、顔が売れていない方をどこかから連れて来ればよいのに、いつもいつも、同じようなキャスティングをするので、もう、出てきた時点で犯人が解かるんです。何とかなりませんかね。それか、裏をかいて、沢山、有名な俳優を散らしておけば、誰だか判らないかもしれませんよ。犯人は、全くの無名な俳優か、または、大勢の有名俳優を散らすか、どちらかにして欲しいです。

ああー、綾野さんと北川さんで、カッコいい刑事コンビだっていうから、凄く期待していたのに、この二人じゃなくても良い感じでした。勿体ないなぁ。この中山七里先生の犬養刑事シリーズって、ドクター・デスの前に３作あるので、安楽死テーマじゃないのを映画にした方が良かったんじゃないかな。

映画としては、ちょっとバラバラとしていたかな。主演二人以外の刑事が生きていなかったし、取り調べ場面も、とっても古臭い気がしました。あとね、警察以外の関係者が、本当にエキストラのようになっちゃっていて面白くないんです。映画なんだから、もう少し、広い感じで全体を眺めながらも、一つ芯が通っているという感じが良かったな。「罪の声」がとても良かったので、あれを観ちゃっていると、凄く陳腐な映画に見えるんです。

私は、この映画、うーん、とりあえずお薦めしておこうと思います。あまり面白かったとは言えないけど、なんたって、主演の二人がカッコイイので、それを眺めているだけでも満足って人もいると思うんです。でも、内容としては、悩ましいところですね。気になった方は、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。

「ドクター・デスの遺産」