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2018年03月28日

障害者働くB型事業所 居場所からやりがいへ

障害者働くB型事業所 居場所からやりがいへ
経営の工夫で賃金アップ
 障害者に働く機会を提供する国の就労継続支援事業のうち、雇用契約を結ばない「B型事業所」。重い障害の人も含まれることから「仕事場」よりも「居場所」の意味合いの強い事業所が多い中、経営の工夫で賃金を高める所が出始めた。仕事のやりがいを重視した試みが注目されている。
 伊万里市のB型事業所「にこにこいまり」は、牛乳パックを再利用した手すき紙作りや野菜の漬物作りが作業の中心だった。だが、昨年4月、古民家を改装した飲食店「漬(つけ)もん屋 鉢瓶」を開業、事業所の障害者が配膳やレジの仕事を担当することになった。
 伊万里焼の食器を使い、牛や車エビなどの地元食材を使った料理は好評で、働く障害者たちと地元の人が触れ合う場にもなった。車いすに乗ってレジ係をする副島愛佳さん(20)は「人と接することに戸惑いがあったけれど、大きな声を出して笑顔を見せられるようになって自信がついた」。半身まひでつえを突いて歩行していた迎徳子さん(53)は、店の配膳をするようになってから立ち仕事が増え「つえなしで歩けるようになった」と喜ぶ。
 B型事業所で働く障害者の賃金は、各事業所の収益から賄う。厚生労働省によると全国に約1万あるB型事業所の2015年度の月額平均賃金は1万5033円だ。
 「にこにこいまり」の賃金も2016年度は同額レベルだったが、漬もん屋の開店後は2万3000円に。副施設長の椎谷良史さん(32)は「危ないからやらせたらいけないと仕事を限定してきたが、それが彼らの可能性をつぶしていたのかもしれない。自信と誇りを持って働ける場を提供したい」と言葉に力を込める。
 鳥取県米子市のB型事業所「ほたる」所長の吉持秀紀さん(58)は「お金が目的ではなく、自分が居る場所があるだけでいいと考える人がいるのも事実。でも、どんな人も賃金が上がれば安心が増すと思う」。
 主な作業はクッキーの箱折りで賃金は約1万円だったが、障害者の賃金を上げるため、4月に野菜や野菜の加工品を販売する店舗をオープン。賃金6万円が目標という。
 知的障害があり、事業所で働く男性(42)は、65歳の母親と2人暮らし。「母は新聞配達で生活を支えてくれている。僕ももっと稼いで楽にさせてあげたい。一般就労を目指して頑張りたい」と話した。
■変わる補助金算出法
 賃金を上げようと努力するB型事業所の取り組みを、全国社会就労センター協議会の阿由葉寛会長は「障害者は受け身になりがちだが、働くことが評価されれば、前向きになれる」と歓迎する。
 就労継続支援事業は、障害者総合支援法で就労支援対策として定められており、障害者と雇用契約を結ぶ「A型事業所」と、雇用契約を結ばない「B型事業所」がある。
 事業所の運営を成り立たせているのは、国の補助金だ。B型の場合、これまでは働く障害者の人数を基準に補助金の額を決定したが、4月からは、障害者の賃金レベルに準じて算定する方法に改められる。
 事業所が積極的に収益を上げようとする動きに慎重な意見もある。障害者が通う作業所などでつくる全国団体「きょうされん」の藤井克徳専務理事は「障害が重い人が多く、なかなか収益を上げられない事業所が軽視されてしまうのではないか。肩身の狭い思いをする障害者が出ないようにしてほしい」と心配する。
3/19    佐賀新聞
posted by tiryousyoku at 21:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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