バッティングセンターでも身につく重要な技術1
右打ちは、チームバッティングのためだけではない
3割打者と言えば、一流の好打者ですが、一流の好打者でも、
10回に7回は打てないということは、いかにバッティングが
難しいかの証明でもあります。
実際、投手が投げる140キロの球を、140キロのバットスイングで
打ち返すわけですが、80数センチのバットの打つポイントは
数センチのみで、上過ぎても下過ぎても、先っぽでも根本でも
芯を外せば打球は飛びません。
バッティングは、そもそもが難しく、確実性の低い
作業であることの前提を認識しておく必要があります。
その上、好投手や調子のいい投手が相手であったりすると、
ますます打てません。
更に打者の調子の良さを常にキープしておくことも
至難の業で、どんな好打者でも必ず打てない時期はあります。
そういった時期にどうするか、ということをあらかじめ
想定して、普段から練習しておき、明らかな結果を出せなくとも
チームが勝つためには、確実に貢献できるプレーが
必要となります。
その対応策、第一が右打ち、となります。
本当は、バントと言いたいところですが、しょぱなから
バントの話では面白くありませんので、右打ちとしました(笑)
さて、右打ち、すなわち進塁打ですが、走者一塁での進塁打に
右打ちをすること、これは、テレビの解説では、最低限の仕事
のように、よく言われますが、難しくないですか。
一塁ゴロ・二塁ゴロでは、併殺となりますので、併殺にならないよう
一二塁間の最も深いところに打つか、もしくは一二塁間を抜くか、
抜ければ、一塁走者が三塁に行ける可能性がありますので、
これができれば最高ですが、安打の確率はよくて3割。
確率3割の一二塁間を抜く安打を目指して、二塁ゴロでは、
右打ちの進塁打を目指すバッティングとしましては、
リスクが大きすぎると思います。
ですので、私が行ってきた右打ちの進塁打は
走者二塁を想定しています。
走者二塁であれば、二塁ベースから右に打つ、二塁ゴロか一塁ゴロで
三塁への進塁が可能です。走者の立場としましては、遊撃ゴロの
二塁ベースよりの当たりも、進塁しなければいけませんが、
遊撃ゴロの二塁よりの当たりを狙って打つのは、これも難しいので
進塁打を狙う立場からは除外します。
無死か一死の走者二塁の場面で、右打ちの進塁打を前提とする
バッティングをすること。これが、第一課題です。
この場面で、最も良いのは当然二塁走者を返す、安打を打つことですが、
その確率は良くて3割。
二塁手の頭の上を抜く当たりを目標に、打ち損じて、二塁ゴロか一塁ゴロ
となるようなバッティングを目指します。
二塁手の頭の上というのは、投手越しに目に入りますので、目標にしやすい
だけで、二塁ベースより右に低い当たりを打つ意識で構いません。
これを、普段から練習しておくわけです。
打ち込みの時は必ず、何10球と続けて、右打ちしておきます。
意識して練習しておきますと、必ず「うまいこと右に打つね」と
感心してもらえるレベルになります。
私が、こういう練習を始めたのは、大学卒業後です。
社会人初本塁打を打った試合で、調子に乗ると駄目なのでと、
その後、場面に係わらず右打ちして、2打席連続一二塁間
を抜く安打して、職人かと褒められたこともありましたし、
バッティングセンターで、右側のネットが前方にせり出していて、
そのネットに打球をぶつけて、前に飛ばす右打ちをしていましたら
興味深げに高校生球児が集まっていたこともありました。
更に、球場で打ち込める環境がありましたら、二塁手の定位置を
目指して打つ、一二塁間真っ二つを打つ、も遣り甲斐があります。
前者は、エンドランで二塁手がベースカバーに入ることが
予想される場面で効果を発揮します。遊撃ゴロと打ち分ける
練習ですね。私はできていないですが、これも練習で十分にできる
技術かと思います。
こういった、右打ちの技術を身に付けることで、10回中7回の凡打が
チームの勝利に結びつける働きとなり得ます。
走者が三塁となれば、パスボールでもエラーでも得点となります。
その一点が、勝ち越し点になるわけです。
そして、スモールベースボールを目指す日本の指導者の多くは、
こういった取り組みを高く評価しますが、この技術を取得している
選手は多くありません。
私の大学時代も、同級生の外野手が2年の時にレギュラーを
取りましたが、全くダークホース的選手でありながら、
こういったプレーができる選手でした。
当時は、2番打者だから仕方が無いと思っていましたが、
違うんですね。
打順とか関係なく、もともと不利な打者の、打てないリスクヘッジが
右打ちと言っていいかもしれません。
あと、右打ちのメリットを上げますと、右投手対右打者の場合、
外角低目が、野村監督流に言えば原点ですが、原点が組み立て
の基本にありますので、原点を打ち返すには、右に打つ方が
確率が高まります。
更に、継投で右打者に右投手をぶつけるのは、打者の目に遠い
外角に逃げる球を投げられるという点があります。
そういった攻略が難しい、外角に逃げる球に対応するには、
右に打つしかありません。
右に打つには、ポイントが近まりますので、軸を残すと言いますか、
開かない・突っ込まない・インサイドアウトの
フォームの矯正ができるという側面もあります。
ちょっと長くなりましたが、どうでしょう、右打ちは習得すべき
と思いません。絶対オススメの技術です。