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2024年10月13日

中小企業診断士試験 令和6年経営情報システム第10問 〜中小企業診断士〜


 こんにちは!
 EVE2です。
仕事疲れ.jpg
 9月中は毎日のようにDXについて「ゼロからはじめるシステム開発」で書いていましたが、きっかけは、中小企業診断士試験経営情報システムからの出題からでした。
 ブログの更新期間、いろいろなことを調べ、学びましたが、その知識は試験に役に立つのでしょうか?試験の問題を解く知識として役に立つかどうか、問題を解いて検証をしてみたいと思います。問題は、令和6年経営情報システム第10問です。

[令和6年経営情報システム第10問]
 以下が令和6年経営情報システム第10問になります。

第10問
 近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進の取り組みが中小企業にも拡大している。DX推進に関する下記の設問に答えよ。

(設問1)
 DX認定制度は、DX 推進の準備が整っていると認められた企業を国が認定する制度であり、デジタル技術による社会変革に対して経営者に求められる事項を取りまとめた「デジタルガバナンス・コード」に対応している。
 経済産業省および情報処理推進機構(IPA)による「DX 認定制度 申請要項(申請のガイダンス)」(第2版)では、下記に示す〈デジタルガバナンス・コードの項目〉とDX 認定制度の申請項目の対応関係が説明されている。
〈デジタルガバナンス・コードの項目〉
 1.経営ビジョン・ビジネスモデル
 2.戦略
   2.1.組織づくり・人材・企業文化に関する方策
   2.2.ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策
 3.成果と重要な成果指標
 4.ガバナンスシステム
 上記の「2.1.組織づくり・人材・企業文化に関する方策」に対応するDX認定制度の申請項目として、最も適切なものはどれか。

ア,最新の情報処理技術を活用するための環境整備の具体的方策の提示
イ,サイバーセキュリティに関する対策の的確な策定及び実施
ウ,実務執行総括責任者が主導的な役割を果たすことによる、事業者が利用する情報処理システムにおける課題の把握
エ,実務執行総括責任者による効果的な戦略の推進等を図るために必要な情報発信
オ,戦略を効果的に進めるための体制の提示

(中小企業診断士試験 令和6年経営情報システム第10問)



[令和6年経営情報システム第10問 考察]
デジタル・ガバナンスコードの全体像.png

 問題自体は今まで読んできたDXの内容に近いようですが、デジタルガバナンス・コードの部分が違います。デジタルガバナンス・コードは、5つの柱3つの視点から右記のような図で説明してきました。上記の問題は、その内容とは違いますが、どうも右記の図の5つの柱の「3-1組織づくり」ついて書いているようです。
 ちょっと、違和感を感じつつ、デジタルコードガバナンス・コード3.0の資料を読んでみて、気づいたことがありました。この資料2024年9月19日に改定されているのです。ただ、策定が2020年11月9日だし、まさかと思い、デジタルガバナンスコード2.0の資料を探し目を通したところ、2.0だということが分かりました。
 出題としてどうなのでしょうか?デジタルガバナンス・コード2.0の最終改定が2022年9月13日ではあるのですが、3.0の策定は、2020年11月9日だし、できれば、できるだけ直近のものを使用してほしいような気がします・・・。ただ、この調査をはじめるまで、見たことがない資料だったので、偉そうなことはいえないのですが?(笑)

[デジタルガバナンス・コード3.0 5つの柱]
 過去のことは勉強しても意味はないので、この問題をデジタルガバナンスコード3.0から解答を導き出したいと思います。
 デジタルガバナンスコード3.0の5つの柱とはどのようなモノだったでしょうか?
 概要は上記図で確認していただくとして、ここではその詳細な内容を確認していきたいと思います。
 以下は、経済産業省から提供されている、デジタルガバナンス・コード3.0の抜粋です。

1.経営ビジョン・ビジネスモデルの策定
❶柱となる考え方
 企業は、データ活用やデジタル技術の進化による社会及び競争環境の変化が自社にもたらす影響(リスク・機会)も踏まえて、経営ビジョン及び経営ビジョンの実現に向けたビジネスモデルを策定する。

❷認定基準
 データ活用やデジタル技術の進化による社会及び競争環境の変化の影響も踏まえた経営ビジョン及びビジネスモデルの方向性を公表していること。

2.DX戦略の策定
❶柱となる考え方
 企業は、データ活用やデジタル技術の進化による社会及び競争環境の変化も踏まえて目指すビジネスモデルを実現するための方策としてDX戦略を策定する。

❷認定基準
 データ活用やデジタル技術の進化による社会及び競争環境の変化の影響も踏まえて策定したビジネスモデルを実現するための方策として、DX戦略を公表していること。

3−1.組織づくり
❶柱となる考え方
 企業は、DX戦略の推進に必要な体制を構築するとともに、外部組織との関係構築・協業も含め、組織設計・運営の在り方を定める。

❷認定基準
 DX戦略において、DX戦略の推進に必要な体制・組織に関する事項を示していること。

3−2.デジタル人材の育成・確保
❶柱となる考え方
 企業は、DX戦略の推進に必要なデジタル人材の育成・確保の方策を定める。

❷認定基準
 DX戦略において、DX戦略の推進に必要な人材の育成・確保に関する事項を示していること。

3−3.ITシステム・サイバーセキュリティ

❶柱となる考え方
・企業は、DX戦略の推進に必要なITシステム環境の整備に向けたプロジェクトやマネジメント方策、利用する技術・標準・アーキテクチャ、運用、投資計画等を明確化する。
・経営者は、事業実施の前提となるサイバーセキュリティリスクに対して適切な対応を行う。

❷認定基準
 DX戦略において、ITシステム環境の整備に向けた方策を示していること。


4.成果指標の設定・DX戦略の見直し

❶柱となる考え方
・企業は、DX戦略の達成度を測る指標を定め、指標に基づく成果についての自己評価を行う。
・経営者は、事業部門(担当)や ITシステム部門(担当)等とも協力し、デジタル技術に係る動向や自社のITシステムの現状を踏まえた課題を把握・分析し、DX戦略の見直しに反映する。
[取締役会設置会社の場合]
・取締役会は、経営ビジョンやDX戦略の方向性等を示すにあたり、その役割・責務を適切に果たし、また、これらの実現に向けた経営者の取組を適切に監督する。

❷認定基準
 DX戦略の達成度を測る指標について公表していること。

5.ステークホルダーとの対話
❶柱となる考え方
・企業は、経営ビジョンやビジネスモデル、DX戦略、DX戦略の推進に必要な各方策、成果指標に基づく成果について、「価値創造ストーリー」として投資家をはじめとした適切なステークホルダーに示す。
・経営者は、DX戦略の実施に当たり、ステークホルダーへの情報発信を含め、リーダーシップを発揮する。

❷認定基準
 経営ビジョンやDX戦略について、経営者が自ら対外的にメッセージの発信を行っていること。

経済産業省 デジタルガバナンス・コード3.0より

以上の3.1組織づくりから、解答はオだということが分かります。

[あとがき]
 ちょっと、驚きですね・・・。新しすぎると正解者がいないケースがあり、古いものを出題するというケースがあることは理解できるのですが、ちょっと混乱しました。ただ、次回試験等で出題される場合は、デジタルガバナンス・コード3.0から出題されると思われます。過去問を見て試験に臨む人が多くいると思いますが、気を付けた方がいいでしょう?
 このブログを書き始めのころ、DXとセキュリティは関係はあるけれど、かなり距離を感じていました。しかし、5つの柱を見ると、3-3にITシステム・サイバーセキュリティという形できちんと項目として上がっていました。これ以降は、身近に感じ話しができると思います。

 では、また!


■中小企業診断士令和6年 第1次試験問題(日本中小企業診断士協会連合会)
https://www.jf-cmca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

■中小企業診断士令和6年 第1次試験正解と配点(日本中小企業診断士協会連合会)
https://www.jf-cmca.jp/contents/010_c_/010_c_r06_shiken/R06_1ji_shiken_kaitou.html

■「デジタルガバナンス・コード3.0〜DX経営による企業価値向上に向けて〜」を策定しました(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/press/2024/09/20240919001/20240919001.html