騎士きどり　knight kidori

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葬儀は十時からでした。

私は、仕事が超忙しくて
「遅くなるけどお通夜いこうか、
今から行こうか」
「もう死んでるから、来てもねぇ」
「いや、お母さんが心配だから。お母さんいま一人なんじゃないの」
「もーすぐみんな来るから大丈夫ー」
みたいな呑気な会話の末、
葬儀だけ行くことになり、
朝からガソリン入れたりバタバタして
到着したのが９時半すぎ(笑)

その道中も、

葬儀場には妹は来ているのだろうかとか

妹こそ祖母を嫌っていたから
そもそも「仕事の都合がつかない」とか言って来ないのではないかとか

いて欲しいような
欲しくないような

色々考えて死にそうで

でもどこかで
きっといないんだろうなと思ってた。

なにしろ妹は、
ばーちゃんのことを一番嫌っていた。
生理的にダメという感じで
汚い汚いと嫌っていた。

だけど到着してみれば
妹の車があって
「…ああ、いるのか」と覚悟が決まって。

葬儀場に入ると、姪っ子の立ち姿が
一番に目に入りました。
2019.10月に別れて以来三年ぶり

毎週土日のたびに私と母の家にやって来て
あれだけ遊び倒していた姪っ子たちは、

私の顔を見ても、動きませんでした。
目を逸らして、
手元の折り鶴を折っていて気づいていないふりをしていました。
それが分かったので私もすぐには
声はかけずにいました。

ママと私の関係を、
うっすら「仲が悪い。ママはカラ子ねぇが
大嫌い」としか理解してなかった
天真爛漫な三年生だったチビちゃんは

すっかりママの顔色を見るお姉ちゃんに
成長していて、
小さかった身長も、もうママを追い越しそうで


母は
「大きくなったでしょ、でも中身は
チビちゃんのままなんよ」と
何度も私に言ってきたけど

中身が一番変わったよ

恐れていた方向に。

もうこの子は、
「カラ子ぶたー」と言って私のベッドに
飛び乗ってきてはくれない。

高校生になったおねぇちゃんの方は
ママのそばにべったり張り付いていて
私から話しかけられないように
しているのが分かった。


そのまま誰にも話しかけられないまま
棺に入れるらしい折り鶴を黙々と折って
もう極限状態になるとヒトは
頭では何も考えられなくなるんだね、
なんか飽和して呆然として、
だけど、今日ここに来るまでに私、
「絶対話しかけよう」って決めてきたから

高校生のおねえちゃんに話しかけました。

「来てくれたんやね、ありがとうね」
姪っ子は私の方は見なかったけど
そばにいた妹がにっこり笑って
「ご無沙汰してます」みたいなことを言って
ぺこりと頭を下げた。

正直びっくりした。

笑ってくれたから。

だからと言って
「あはは久しぶり、やっとばーちゃん
死んだね、マジ長生きじゃね？」
と盛り上がれるはずもなく、
それだけで離れた。

私が姪っ子に話しかけた瞬間
妹がぐいっと笑顔を見せてきたのは
姪っ子ズに、話しかけさせないぞ、
という意思表示に思えた。

係員の説明があってる時に
ちびちゃんが一人でトイレに行ったので
私もさりげなくトイレに向かうと、
ちょうど出てきた所だった。
入り口の所で
「○ちゃん？大きくなったねぇ！」と
話しかけたけど、
「あ、うん」と
顔も上げず足も止めず足速に去られた。


ばーちゃんが焼けている間
お弁当を食べて待っていたんだけど
姪っ子ズと妹はソファーの席にいて
母もそこにいて
だけど誰も私を呼んでくれないから
私は親戚のおじさんらと和室で
味のしないお弁当を
美味しい美味しいと、それだけの話題で
完食した。

その後骨を拾って

そのまま解散となった。

勇気を出して駐車場で
義理の弟に「気をつけて帰ってね」と
話しかけると

高校生の姪っ子が突然振り向いて
「じゃあね」と言った。
それに続いてちびちゃんも
「じゃあね」と言った。
「うん、ありがとうね」と私は答えた。

それだけだった。


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大雨、浸水、土砂災害…
と、色々な危険がせまり、
学校が休校になりました。


休校になるたびに、
「前なら、ばぁば、ばぁばって2人で
大喜びで来ていただろうな」って思い出す。


妹も仕事があるから、
姪っ子が休校だのインフルエンザだのになると
毎回預けてくれていたから


その度に私と母は、
姪っ子たちが退屈しないように
ケーキの材料や百均のおもちゃなんかを
用意して待っていた。


何もなくても、
子供のことだから、
何かしら生み出して大騒ぎしていた。
お店屋さんごっこ、懐かしいな。
割引券を配られたら、大喜びで買いに行かないと怒られるんだよ(笑)


帰る時間になると毎回
「まだ帰りたくない」
「晩御飯食べて帰っていいって言って」
「おねがいおねがい今回だけ」
「ママに、まだお迎え来ないでってラインして」とおねだりする。

毎週来ていても
毎週「帰りたくない」とゴネる。


ばぁば大好きな、孫たち。
孫命の、母。





ごめんね、
ごめんね、
この家で私が母と
同居することを選んでいれば
何も変わらずにいられたのに


定期的に襲ってくるこの
どうしようもない罪悪感で
今日も涙がとまりません。


バランスボールさん、
コメントありがとうございます！
忙しくて、ここに来て気持ちを吐き出す暇もありませんでした。
そしたら案の定、こんなに気持ちが落ちてしまい…
そんな時、きっといつかって言ってもらえて、とても嬉しかったです。
分かってるのに、気持ちが急降下(笑)
落ちる時はとことん落ちて泣いて、
「でもいつかね」って自分に言い聞かせたいと思います。

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先週、父から

「次の日曜、○ちゃんたちが来るって」

と聞いていた。

入院前の父は、もうヘロヘロで
髪も落ち武者で
ベッドから起き上がる体力も筋力もなく
床に倒れたら倒れたまま、
そんな状態だったので
とても姪っ子たちには見せられた姿ではなかったのだけど
退院後の今は、随分しっかりしてきているので
このタイミングで来てくれるのは良かった。

だけど先日、
退院後に、動線を取り直して
テーブルも捨てたし
汚いカーペットもはがして床はフローリングのままだし、
あの子達がきても座る場所もない。


座布団くらい買ってあげとけばよかったな。

去年の秋くらいに、
「いつ姪っ子たちが来ても良いように」と、
お菓子をたくさん買って父の部屋に置いていた。
八月で賞味期限が切れる予定だったので、
ギリギリ良かった。


夕方に
「今日きたよ、昼ごはん食べに行ったよ、お菓子喜んで持って帰ったよ、ありがとう言ってたよ、大きくなるの早いね」
と報告メールがあった。

一緒にご飯行けたのね。
車椅子押してもらったのかな？

どんな様子だったか知りたかったけど
それ以上に
私は二年近く会えていないので、
「大きくなるの早いね」という文に
「ああ大きくなってしまう、もう私とは遊んでくれなくなってしまう」
と淋しくなった。


一緒にプールのスライダーに夢中になったり
ホテルごっこでバイキングの食べ物を並べたり
そんなこと出来なくなっても
今度はきっと一緒ショッピングしたり
コイバナしたり
違う楽しみが出てくるんだろうな、
そんな日がまた来たらいい。

そんな日が、またいつか。

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憂鬱です。

日程調整の結果、
明日、例の「おとなりさん」を
我が家に呼ぶことになりました。

それ自体はとても楽しみなんだけど、
私も母も、憂鬱なのは、
その送迎だ。


距離はすごく近いから
迎えに行くのは、なんちゃないのですが(方言？)

なにしろ、あの家の、お隣さんなのだ。

明日は祝日の金曜日。
姪っ子ズは外に出てきているかもしれない。
お外で遊んでいるかもしれない。
そこに私のクルマが行ったら？

ばぁばが来ていると知って、
姪っ子ズはどんな思いをするだろう。

会いたいけど、
会いたいって言っちゃダメだと
それは子供心に分かってて、
苦しい思いをさせて。


この、母のお泊り期間には
お互い報告することもたくさんあり、
私と母は、夜遅くまで話をした。

この正月に、
母のところに、妹一家は来たらしい。
姪っ子ズを連れて。

だけど、
父の所を訪ねた時と同じで、
姪っ子ズを置いてすぐ、妹夫婦は出かけたそうだ。

一番下の姪っ子は、ばぁばを見て抱きついてきたらしい。

物心ついた頃から八年間、
週末一緒に過ごした大好きなばぁばなのだから当たり前だ。

母は、義弟に
「正月、年に一度しか会えないなんておかしい、
子供達にもよくない」
と強く言ったらしいが、
義弟は黙っていたそうだ。

妹と義弟からすれば、
過去どれだけ世話になったかは忘れて
「本当は会わせたくもないところを
年に一度、子供達のために連れてきてやってるんだ」くらいの気持ちなんだろう。


そんなチビちゃんたちが
子供だけで留守番しているあの家の、

その真ん前に車を停めて
お隣さんを迎えに行く。


庭の愛犬のお墓に手を合わせることもかなわず。

上の姪っ子にLINEで「行くよ」と言えば
慌てて「だめだめだめだめ」と返信がくる状態だし。

だけどお隣さんは車もないし
氷川きよし鑑賞会をするためには
お迎えしかないのだ。

はぁ。

会いたいけど、
いませんように。

ややこしいことを神に祈る。

会いたいよ、
私も母も姪っ子ズも、
みんな、
お互い会いたがっているのに、
会えない。

会いたい。

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洗濯機二回回して
部屋の中を片付けながら
考え中


母が来る
そして姪っ子たちは、やることなくて
二人で留守番してる

こんな一週間を私は、
死にそうに自分を責めながら
過ごすんだろうなぁ
今だって
「ばぁば、きてるよ」
と姪っ子にLINEしたくてたまらない
…しないけど。

こんな気持ち、姪っ子に分けられない

そして母もまた、
どんな思いで姪っ子を思うのだろう

お正月は、父のところにも御節を持って行った。
五十前まで実家暮らしだった、ぬるい私は、
御節なんか作ったことはもちろんないので
ほんと、真似事も真似事…



それでも、父の所にもお正月が来なければ困るので
出向いた。

すると、
「(妹)も、昨日持って来てくれたんよ」
と。

ああ、妹も、
パパにも御節を！って思ってくれたんだなぁと
とても嬉しくなった。


クリスマス前に、
姪っ子用のお年玉を父宅に用意しておいた。
大人の事情でこんなことになり、
姪っ子にとってはお年玉をくれる大人は両家のジジババだけ。
そして肝心の父はお金を持ってないときている。
なので、私が二人分用意した。
「カラ子ねぇより」と書けば、
ママの逆鱗に触れてしまうだろうし
姪っ子が困らないように
「じぃじからって言っていいからね」と託しておいた。

お年玉をもらった姪っ子ズは、
部屋の隅っこに突っ走り
中を確認していたという(笑)

もっと入れてやればよかった。
だけど、あまり入れても、
ママとパパもいい気はしないんだろうし、この先高校生になるまで続くわけだからね。

お年玉とは別に
いつもの「作るお菓子」とジュースも用意していたんだけど
それは喜んで持ち帰ったそうだ。

なんでここまで私は色々してしまうんだろう、と考えて、
「姪っ子にあれこれしてあげたい」のはもちろんだけど
姪っ子が父の所に来て「たのしい！」と思ってもらわないと
もう来てくれないのではないかというのが怖いんだなと思った。

私は、父と母から、最高に可愛い孫を奪ってしまったから、
その罪滅ぼしをしようとしてるのだと気付いて
ああなんというエゴイストだと、うんざりする正月。

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あの、連れ戻された日から
たぶんそろそろ一年経つ。
もう、写真も見ないようにしてる。
見たら泣いてしまう

姪っ子(上)の体育大会に来ています。
行くね、とは言ってないし、
できれば見つかりませんように。

八月末の、「母が来たけど、やはり姪っ子に会えなかったこと」の顛末を。


妹に、「あずからせて」とラインしても既読がつかないのに業を煮やした母が、
直接姪っ子(上の子、中一)に、
「会える？」とラインした。
すぐには既読はつかず、母は寝てしまい、
私はその横で漫画を読んでいた。

一時間も寝て、起きた母が
「…あら。○ちゃんから返信がきてる。部活行ってたんだって。
スタンプが200も押されてる」

なんだと？！

なんてもったいない。

慌てて母が、今から会おうとラインすると
「どこで？」
「どうやって？」
「だれと？」
と一気に返事が来る。

「カラ子ねぇと迎えにいくよ」
と母がラインすると
「ママがダメって言うよ。絶対絶対絶対絶対絶対ダメって言うよ」


そう言われた瞬間に、
私達はもう何も言えなくなった。
「そんなの無視しろ！会うよ！」
と言えば、この子の心がどうなるか、
そんなことは簡単に思い至るわけで。

「でも会いたいね」とでも言えば
「うん、会いたいね」と答えるだろう。
それも言えない。

言えない言葉がたくさん溜まるけど
ただ、私と母は、二人で
カンカンに怒った表情を作って、
ほっぺをパンパンに膨らませて腕を組んだ写メを送った。
姪っ子からは
「www」と返事が来た。
これでいいのだろう。


「じゃ、行かないから、
ばぁばが来てることも、◯ちゃん(下のチビちゃん)には言わないでね」
「なんで」
「会えないから、かわいそうだから」
「あーね、しかたないことよ」

なんで、こんな思いを、
こんな子供が。
おばあちゃんに会いたい、
孫に会いたい、
そして徒歩圏内に二人はいるのに。

全部私のせいだ。

やっと中学生になったような子供が
「仕方のないことよ」という結論を出している。
私の中にいる、三歳のあの子、五歳になったあの子、8歳の…
って、小さな小さな子供だったはずの姪っ子が、なんだか大人になっていく。

「大人になって、自由に会えるようになったら会おう」
というと
「うん！私が一人暮らしし始めたら毎日会えるよ！」
と。

そんな先まで、我慢するつもり？
一番「ばぁばに甘えたい年頃」でしょう。

ちびちゃんが「ばぁばに会いたいー！なんでばぁばの家に行けなくなったの」って言うたびに、
この子は、おねえちゃんは、胸を詰まらせているに違いないのに。

「今まで土曜日は、毎週ばぁばの家に来てたのに、
チビちゃんはどうしてるの？」
と聞いた。
この四月から中学生になったお姉ちゃんは部活になってしまったし、
今まで学校ごっこだホテルごっこだと楽しく過ごしていた二年生のチビちゃんは、まさか一人でお留守番？
と思ってきくと
「ママの会社に行ってる」
とのこと。
連れてってもらえる職場なのだろう。
ゲームしてるのかな？


そのあと
「ねー、この前試合したんよ」
と、部活の話をしてくれたり、
一気にたくさんの報告をしてくれた。
めんどくさいから電話しよーと言っても、
「やだ」
「思春期か」
「そうwww」
と電話はしてくれなかった。
そして、
とつぜん、
「ママ帰ってきたから、ばいばい」
と、ラインは終わった。

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いま、そばにいてくれる人を大切にしよう