日本のゲームの出どころは、このような昔の言い伝えや神話、物語から考えられたものが多いものです。
それらはすべて伝説であり、本物という過程ではないのですが、勇者の剣の物語のような岩に刺さった剣が存在するのを知っていますか?
実在した勇者の剣
岩に剣が刺さるなんてことは普通に考えればあり得ませんよね。
しかし、実際に岩に刺さった剣が存在するのです。
場所はイタリアの修道院、トスカーナ地方にある聖がルガノ大聖堂近くにあるモンテシエピ礼拝堂です。
その礼拝堂の中にその件は存在しています。
きちんとガラスケースの中、厳重に管理されているその剣は見事に伝説のように岩に刺さっています。
この剣には言い伝えがあり、剣を岩に突き刺した人物と云われが語り継がれています。
モンテシエピ礼拝堂に行けばこの剣を見ることが出来るようです
剣の伝説
シエナ地方に貴族の子息として生まれたガルガーノ・グイドッティという男がいました。
彼は約1100年代の中ごろに生きていた騎士だったといわれています。
当時の騎士の中でも暴れ者だったというがルガーノですが、ある日、大天使ミカエルから啓示を受けます。
「物欲を捨てよ!」という言葉だったといわれています。
ガルガッティがいたころの騎士は、まだ鉄鎧を着て馬にまたがっていたわけではなく、結構軽装で馬にまたがり剣を持っていたようです。
また、騎士は信仰を守るといった部分があり、宗教に深くかかわっていた集団だったのです。
そんなガルガッティも信仰心が強かったであろうと推測されますね。
イタリアといえばカソリックの総本山の近くですから、彼が大天使ミカエルから啓示を受けたといえば、誰もが彼を特別な存在と見ることにもなったはずです。
ガルガッティは大天使ミカエルの啓示を受けた時に反発し「それは岩に剣を突き立てるぐらいに困難なことだ」と言ったといいます。
そして岩に剣を突き立てた処、岩がまるでバターのように柔らかくなり剣が簡単に突き刺さってしまったのだそうです。
後に、ガルガッティは神の言葉に従い、剣が突き刺さった場所にモンテシエピ礼拝堂を建立し、この剣を十字架に見立て修道士として祈りの日々を過ごすことになります。
彼が亡くなったのち、ローマ法王によって聖人として序せられています。
どこまでの話が信実なのかはわかりませんが、現にこの礼拝堂には岩に突き刺さった剣が存在しているのです。
岩に刺さった剣は本物なのか?
実際に目の前に岩に刺さった剣があったとしても、人々はその話を「アーサー王の話を真似た作り物」と思っていました。
現代では化学が進み、放射性炭素年代測定というものが出来るようになりました。
2001年、この件が本物かを見極めるために放射性炭素年代測定法で年代を測定しています。
その結果、この剣は西暦1100年〜1200年ごろの物であることが判明しました。
ガルガッティが存在していた年代にマッチしていますね。
あながち、言い伝えが間違いではなかったといえます。
アーサー王の物語の方が怪しく、実際にはアーサー王という人物が実在したのかさえ特定できていません。
アーサー王伝説が爆発的人気になったのが12世紀ごろ、ウェールズ人聖職者ジェフリー・オヴ・モンマスの『ブリトン諸王の歴史』を書き、世に出回ったのがきっかけのようです。
この書物も、伝説なのか彼の創作なのかがはっきりしていないもののようで、ガルガッティの話が聖職者に伝わり、アーサー王の物語の一つに創作されたのかもしれません。
実際に、ガルガッティの剣は岩に突き刺さっていますから、こちらの話の方が信実に近いものなのではないでしょうか。
盗賊の腕のミイラ
この剣の近くには切り落とされた腕のミイラが発見されています。
この剣を盗もうとしたものの腕は切り落とされる
という伝説があるそうです。
このミイラの手にも伝わっている話があります。
1181年、聖ガルガーノ巡礼の最中に、ガルガッティを妬む3人の修道士がこの剣を抜いて壊してやろうと考えました。
すると神の怒りに触れ、一人は川でおぼれ、もう一人は雷に打たれ、最後の一人は腕を狼に噛み千切られたといわれています。
このミイラの腕は噛み千切られたものの腕という事です。
この修道士、運よく狼に腕は噛み千切られたものの、聖ガルガーノに助けられたといわれています。
このミイラ化した腕も放射性炭素年代測定が行われており、剣と同年代の物だと判明しています。
この腕も礼拝堂の中に展示されています。
この剣の刺さった岩の下には空洞があることがわかっています。
ガルガッティのお墓ではないか?と推測されており、現在も調査中であるという事です。
伝説には元の真実が隠されている!
世界にはたくさんの物語や伝説があります。
創作物の中にも、元の話がある場合が多いのではないでしょうか。
人間が物語を創作するにしても初めから話を作るのではなく、何かのもとの話があり、それを題材にして物語を展開していると思うのです。
そのもとになった話は、実際に起きた出来事の場合が多いのではないでしょうか。
そう考えると世の中にある多くの伝説、神話、逸話、物語はあながち嘘ではないのかもしれませんね。
雑学・豆知識ランキング