茂の「最近調子どう？」

　過去の出来事で、今の自分に劣等感を持つことになったり、人を憎しみ続けたりすることって、人間誰しも、多かれ少なかれあるんじゃなかな。

　そういう私も、過去の出来事に囚われていたり、脳裏をよぎったりして、嫌な気持ちになったり、行動が制限されることってあるんだよね。

　でもね、考えてみると、過去の出来事って、今になってみれば、それ自体は記憶であり、単に思い出なんだよね。

　子供の頃、母親の財布から小銭を盗んだことがあって、それが母親にバレたんだ。その時、えらい剣幕で怒られ、手足を紐で縛られて、しばらく部屋に放置されたんだ。子供の私にとっては、それはとても辛くショッキングな出来事だった。

　まあ、母にしてみれば、自分の息子が、たとえ自分のものとはいえ、盗みをしたのだから、悲しいやら、悔しいやら、情けないやらで激怒するのは当たり前なんだけどな。

　私が大人になって、お酒を飲みながら、その時の話を母親にしたことがあってね。するとそんなこと全然覚えてないって　笑。私自身の罪とはいえ、あんなに厳しいお叱りを受け、一生のことのように感じていたことが、当の母親は何も覚えてないって。

　いや〜、拍子抜けしたというか、なんというか。まあうちの母親は今でも健在なんだけど、能天気なところがあって。

　でも、それ聞いて、私自身、ふ〜っと力が抜けたというか、気持ちがすーっと軽くなったんだ。解るかな、この感じ。

　子供の頃の嫌な思い出が、些細な、懐かしい思い出に変わった。文字通り、過去が変わった瞬間だった。

　そう、私の言いたいのは、一つ一つ過去の嫌な記憶を遡り、クルっクルっていい思い出に変えることができるんじゃないかって。

　例えば、子供の頃、かけっこが遅くて劣等感を抱いれいたけど、大人になって、そんなに全速力で走ることがありますか？

　学校の先生に嫌なことを言われて、それをいつまでも心の傷としたって、学校の先生は、そんなこととっくに忘れていますよ。

　どうせ過ぎたことなら、過去に遡って、過去を変えようよって。そうすれば自ずとワクワクした素敵な未来が想像できんじゃないかな。