立憲民主党の川内氏は共通テストを巡り、導入が見送られた英語民間試験に加えて国語と数学の記述式にも問題があると訴え、英語と合わせて白紙から検討すべきとした。
それに対して安倍首相は「子どもたちの人生で大変大きな出来事だ。その後の人生の進路に大きな影響を与える。安心して受験できる環境を整えることが重要だ」と答えた。
また、川内氏は50万人の受験生の採点について質が担保されるされるのかという問いに、萩生田文部科学大臣は「事業者には質の高い採点者の確保と複数の視点による採点の実施を求めている」と説明した。
衆議院 予算委員会 集中審議 2019年11月6日(水)より
この民間試験活用を決めた経緯を検証するため、過去に非公開で行われた関連会議の議事録(メモ?)を基本的に公表する意向を示したようだが、そもそもどのような経緯でこの事態を招いたのか私なりに検証してみたいと思います。
◆そもそも「高大接続改革」とは?
文部科学省「高大接続改革:大学入学共通テストについて」
ここには次の3つのことが書かれております。
1.高大接続改革とは?
2.なぜ記述式問題を導入するの?
3.なぜ英語4技能評価に資格・検定試験を活用するの?
そして、2018年3月時点での進捗状況はというと
ここにも記載されているように、2017年7月には大学入学共通テストの実施方針が決定されています。
◆大学入学共通テストの実施方針(2017年7月)
英語の試験についてのポイントは以下の通りです。
(1)英語の資格・検定試験のうち、試験内容や実施体制などが適切な試験をセンターが決定し、「認定試験」とする。
(2)国は、各認定試験と CEFRの段階別成績表示による対照表を提示する。
(3)センターは、高校 3 年 4 月から 12 月の間の 2 回までの試験結果を各大学に送付する。
(4)共通テストの英語試験は2023 年までは実施し、各大学の判断で共通テストと認定試験のいずれか、又は双方を選択利用することを可能とする。
◆共通テストで英語民間試験を活用することの理由
グローバル化が急速に進展し英語によるコミュニケーション能力の向上が課題となっている中で、学習指導要領で重要視されている「聞く」「読む」「話す」「書く」の 4 技能を大学入学者選抜においても適切に評価する必要があることがあげられる。
前述の文科省『「大学入学共通テスト」について』にもそのように記載があります。
現行のセンター試験では直接的には「読む」「聞く」の 2 技能しか測れず、また、国が 4 技能試験を実施するのは無理なため、民間試験を活用するという理屈でしょうけど。。。
このような民間企業も役に立つんでしょう!
◆英語民間試験活用を決めた経緯
過去に非公開で行われた関連会議の議事録(メモ?)の公表を待たないと確かなことは言えませんが、私がいろいろ調べたところによると、次のようなものではないかと思います。
●2016 年3月に出された高大接続システム改革会議の最終報告では、民間試験の知見を活用しつつスピーキングテストも現在のセンター試験と同様な方式で実施する見通しをもっていたとのこと。
だが、その 5 ヵ月後の「高大接続改革の進捗状況について」では、民間試験の積極的な活用と将来におけるセンター試験英語の廃止の方針が打ち出されたということである。
さらに、この段階で残っていた、センター試験によるリーディング、リスニングと民間試験によるライティング、スピーキングを組み合わせるという案も、その後、取り上げられることがなくなり、民間試験を使うなら 4 技能すべてについて使う方式に一本化されていくということのようである。
その間の関連会議でどなたがどのようは発言をされてそのような流れになったのかを知りたいところですが、おそらく萩生田大臣は本人の了解が得られなかったとのことで公表しないのではないでしょうか。
◆国の共通テストで英語だけが民間試験を使うのは如何なものか!
英語民間試験見送りとなるも、1年間かけてしっかり検討していく云々というが、4技能を重視した英語教育が求められ、そのためには大学入試も変わらなくてはならないとしたら、私の結論としては次の通り提言いたします。
国として4技能を評価できる共通テストを開発する
さもなければ、共通テストそのものを白紙撤回し、各大学の個別入試とする!
この問題については、まだまだ検証したいことがありますので、また改めて記したいと存じます。
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