2016年02月07日
三十九話 お題:全般(物事の全体) 縛り:同伴(一緒に連れ立って行くこと)、中休み(仕事などの途中で一旦休むこと)、識別(物事の種類や性質などを見分けること)
知人の女性から聞いた話である。
彼女は昼は一般の企業で、夜はキャバクラで働いているのだが、キャバクラの客の一人にやたらと粘着してくる男がいたのだという。
「同伴何度もいれてくれるからありがたいといえばありがたいんだけど、隙あらば口説いてくるからうんざりしちゃって」
それでもなんとかあしらっていたそうなのだが、ある日企業での仕事で中休みを取っていた時、携帯電話が鳴った。出てみるとくぐもった男の声で、俺は君のことを全て知っている、だから君の仕事の邪魔にならない時間に電話できるんだ、君と僕は結ばれる運命なんだ、といったことを囁かれたという。
「それまでもストーカーとかはあったんだけど、プライベートの番号を知られたのは初めてで。かかってきた番号を着信拒否にしても番号変えて何度もかけてくるから、もうどうしようもないなぁって感じだったね」
犯人はキャバクラの粘着してくる客だろうと思っていたのだが、店での態度が全く変わらなかったため、もし違っていたらと思うと問い詰つめることもできなかった。その後も電話は続き、とうとう彼女も我慢できなくなった。
「電話に向かってその客の名前を大声で言ってから、お前いい加減にしろよって言っちゃったんだけど、誰それ? って返ってきてさ」
そこでようやく彼女と電話の主がお互いに誤解をしていたことがわかったのだそうだ。なんでも電話の主は生き霊を飛ばして人の生活を覗き見ることができるのだが、生き霊の感覚というのは肉体の感覚に比べてずっと曖昧らしく、覗き見ている対象の識別が上手くできないのだという。電話の主は意中の女性と間違えて彼女をずっと覗き見ていたことを知ると素直に謝ってくれたそうだ。
「電話がかかってこなくなったのはいいけど、勘違いでも覗かれてたんだから正直許せないよね。でも生き霊使って覗かれましたなんて言っても信じてもらえるわけないし」
なお例の粘着してくる客は彼女のことを諦めて別のキャバクラ嬢をターゲットにしたそうで、彼女はずいぶん気が楽になったそうだ。
彼女は昼は一般の企業で、夜はキャバクラで働いているのだが、キャバクラの客の一人にやたらと粘着してくる男がいたのだという。
「同伴何度もいれてくれるからありがたいといえばありがたいんだけど、隙あらば口説いてくるからうんざりしちゃって」
それでもなんとかあしらっていたそうなのだが、ある日企業での仕事で中休みを取っていた時、携帯電話が鳴った。出てみるとくぐもった男の声で、俺は君のことを全て知っている、だから君の仕事の邪魔にならない時間に電話できるんだ、君と僕は結ばれる運命なんだ、といったことを囁かれたという。
「それまでもストーカーとかはあったんだけど、プライベートの番号を知られたのは初めてで。かかってきた番号を着信拒否にしても番号変えて何度もかけてくるから、もうどうしようもないなぁって感じだったね」
犯人はキャバクラの粘着してくる客だろうと思っていたのだが、店での態度が全く変わらなかったため、もし違っていたらと思うと問い詰つめることもできなかった。その後も電話は続き、とうとう彼女も我慢できなくなった。
「電話に向かってその客の名前を大声で言ってから、お前いい加減にしろよって言っちゃったんだけど、誰それ? って返ってきてさ」
そこでようやく彼女と電話の主がお互いに誤解をしていたことがわかったのだそうだ。なんでも電話の主は生き霊を飛ばして人の生活を覗き見ることができるのだが、生き霊の感覚というのは肉体の感覚に比べてずっと曖昧らしく、覗き見ている対象の識別が上手くできないのだという。電話の主は意中の女性と間違えて彼女をずっと覗き見ていたことを知ると素直に謝ってくれたそうだ。
「電話がかかってこなくなったのはいいけど、勘違いでも覗かれてたんだから正直許せないよね。でも生き霊使って覗かれましたなんて言っても信じてもらえるわけないし」
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