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ペン牛といいます。子供の頃から怖い話が好きで、ブログを始めたいけどネタがない、と悩んでいたところ辞書からランダムに選んだ言葉を使って怖い話を書けないかと思いつき、やってみたら案外できることが判明、気がついたらブログを開設していた。こんなですが、どうぞよろしくお願いします。なお当ブログはリンクフリーです。リンクしてもらえるとすごく喜びます。にほんブログ村アクセスランキング、人気ブログランキング、アルファポリスに参加中です。 


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2016年01月29日

三十話 お題:残業(残って仕事をすること) 縛り:竜脳(竜脳樹の略)、奠都(都をある場所に定めること)

 主人が失踪した時のことを話そうと思います。


主人は真面目な人で、仕事を休むどころか遅刻すらしないような人でした。ただ、失踪する前に何度も墨の香りがするんだが、どこからするんだろうと言っていたのを覚えています。同僚の方の話によると主人は残業中に突然会社を出ていったそうで、そこから全く連絡がつかなくなりました。警察に捜索願を出したのですが特に成果らしい成果もなく途方に暮れていたところ、私宛てに主人から小包が届きました。開けてみると中には主人の日記帳が入っており、主人が失踪してからのことが書かれていたのですが支離滅裂な内容が多く、辛うじて意味がわかるところをまとめると、自分は今インドネシアのスマトラ島にいる、スマトラ島に生えている古くて巨大な竜脳樹に呼ばれたため行くしかなかった、会社や家で墨の香りが何度もしたのはこの樹の香りが自分のところまで漂ってきたため、自分が呼ばれた理由は樹の退屈を慰める人間が必要だったから、樹は高さ100mほどにもなり会話もできる、会話は手で触れることで樹の意思が直接伝わってくる、話をしたところ恐らくこの樹はシュリーヴィジャヤ王国がパレンパンに奠都する更に前から生きているため樹齢は1500年を超えるかもしれない、日記は樹に仕えている現地の人達に頼みこんで送ってもらった、一生ここで暮らしていくしかないので、自分のことは忘れてどうか幸せになってほしい、といったことが書かれていました。すぐにこの日記を警察に持っていきましたが、海外での行方不明者の場合は力になれないと言われ、インドネシア政府に捜索を要請するため手を尽くしましたが、日記の内容が不明瞭なこともあり結局失敗に終わりました。ただ私としてはどうしても主人のことを諦めたくありません。この日記を手がかりにして現地で主人を探せるよう、今死にもの狂いでインドネシア語を勉強しています。

posted by ペン牛 at 08:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 怖い話
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