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ペン牛といいます。子供の頃から怖い話が好きで、ブログを始めたいけどネタがない、と悩んでいたところ辞書からランダムに選んだ言葉を使って怖い話を書けないかと思いつき、やってみたら案外できることが判明、気がついたらブログを開設していた。こんなですが、どうぞよろしくお願いします。なお当ブログはリンクフリーです。リンクしてもらえるとすごく喜びます。にほんブログ村アクセスランキング、人気ブログランキング、アルファポリスに参加中です。 


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2016年05月01日

百二十三話 お題:ピンホール(針でつついた程度の穴) 縛り:粒揃い(たくさんの中の粒の大きさや質が良質でよく揃っていること)、早場米(早場から秋早くに出荷される新米)、内海(周りを陸地に囲まれ、狭い海峡で外洋と連絡している海)

 妻の地元にまつわる話である。

妻の地元は有名な内海の側にある小さな村なのだが、村には米農家が多く、またどの米農家も早場米だけを作っているのだそうだ。妻の説明によれば、
「やっぱり端境期に新米として出荷できるのは大きいからね。それに私の村だと米の成長を調整しやすいから」
 とのことなのだが、米の成長を調整しやすいとはどういうことだろうと思い、聞いてみると、
「うーん、本当はあんまり言っちゃいけないんだけど、いいか。私の村にはね、不思議な泉があるの」
 その泉の水は、泉の中央にある針でついたような小さな穴が無数にあいた巨大な岩から流れ出たもので、それを飲んだ生き物は皆急速に老いていくのだそうだ。
「動物、植物関係なく効果があって、しかもそのままだと強すぎるから薄めて使うの。村の人はもう慣れてるから、どのくらい使えばお米の質を落とさずに早く成長させられるかとか全部わかってるんだよね」
 結果として粒揃いの米が早い時期に収穫できるのだという。しかし泉の水がどんな生き物にも効果があるのなら悪用されたりはしないのか、と聞くと、
「もちろんそれは絶対に駄目ってことになってるよ――建前だけど」
 妻の最後の一言は聞かなかったことにした。

posted by ペン牛 at 12:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 怖い話
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