2016年04月01日
九十三話 お題:接点(二つの物事が触れ合うところ) 縛り:ゴール(最終目的)、フローチャート(作業や処理の手順を図式化したもの)、死斑(死んだ人の皮膚に現れる斑点)、しぶく(激しい雨が吹きつけるように降る)
推理小説の同好会でできた友人の話である。
彼には人を殺害することをゴールに設定し、かつその過程をこと細かに書いたフローチャートを作るという奇妙な趣味があるのだが、ある時自分が書いたフローチャートを勝手に使われたのだそうだ。
「その日は確か朝からしぶく日だったなぁ。いきなり家に警察が来てさ。なんですかって聞いたら、殺人事件の犯人があなたが共犯だって自供したとか言われて、ほんとびっくりしたよ」
犯人の証言は、彼に殺人のフローチャートを見せてもらって盛り上がり、これの通りに人を殺してみようと二人で犯行に及んだ、というものだった。もちろん彼には全く覚えがなかった。
「友達にだって見せないよ、あんなもの。それなのに共犯扱いされて散々取り調べされて、途中嘘の自白しようかって本気で思ったよ」
幸い死体の死斑から死亡推定時刻が割り出され、その間の彼のアリバイが証明されたことと、犯人の証言に様々な矛盾が見つかったことから彼の容疑は晴れた。
「色々しんどかったよ、本当に。殺人犯が家に忍び込んで俺のフローチャート覗き見してたってのもショックだったしね。それにしてもあの犯人センスないんだよなぁ、よりにもよって一番つまらないやつを使ったんだぜ?」
彼は今も、より独創的な殺人計画のフローチャートを考えているという。
彼には人を殺害することをゴールに設定し、かつその過程をこと細かに書いたフローチャートを作るという奇妙な趣味があるのだが、ある時自分が書いたフローチャートを勝手に使われたのだそうだ。
「その日は確か朝からしぶく日だったなぁ。いきなり家に警察が来てさ。なんですかって聞いたら、殺人事件の犯人があなたが共犯だって自供したとか言われて、ほんとびっくりしたよ」
犯人の証言は、彼に殺人のフローチャートを見せてもらって盛り上がり、これの通りに人を殺してみようと二人で犯行に及んだ、というものだった。もちろん彼には全く覚えがなかった。
「友達にだって見せないよ、あんなもの。それなのに共犯扱いされて散々取り調べされて、途中嘘の自白しようかって本気で思ったよ」
幸い死体の死斑から死亡推定時刻が割り出され、その間の彼のアリバイが証明されたことと、犯人の証言に様々な矛盾が見つかったことから彼の容疑は晴れた。
「色々しんどかったよ、本当に。殺人犯が家に忍び込んで俺のフローチャート覗き見してたってのもショックだったしね。それにしてもあの犯人センスないんだよなぁ、よりにもよって一番つまらないやつを使ったんだぜ?」
彼は今も、より独創的な殺人計画のフローチャートを考えているという。
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