新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
2022年11月21日
【小説】楽園のカンヴァス/原田マハ/後半からネタバレあり
こんにちは!
本日は久しぶりの小説回。
原田マハさんの「楽園のカンヴァス」(新潮社)を紹介します。
原田マハさんは、美術の専門家ということもあり、美術作品をテーマにした作品が多くあります。
今回紹介する「楽園のカンヴァス」も、画家・ルソーが描いた絵をテーマとした作品です。
「美術のことよくわからないんだけど……」という人でも(私もそうです)惹き込まれます。
ちなみに以前このブログで紹介した、「スイート・ホーム」は美術要素はありません。
スイート・ホームの記事はこちらから↓
https://fanblogs.jp/ringocandyyy1/archive/46/0?1668997857
★あらすじ
2000年。日本の美術館の監視員として働く早川織絵(はやかわ おりえ)は、ある日美術館の職員に呼び出され、「ルソーの美術展を開きたい。作品をMoMA(ニューヨーク近代美術館)から借りたいから、力を貸してほしい」という趣旨の話をされる。
一介の監視員である自分になぜそのような話を?と思っていると、MoMAのチーフ・キュレーター(学芸部長)であるティム・ブラウンが、織絵が交渉の窓口になることを望んでいるとのことだった。
織絵は最初はティム・ブラウンという名前を知らない振りをしていたが、実は知っていた。
織絵はかつてフランスで美術史の研究をしていた過去があり、その時に出会っている。
時はさかのぼり、1983年、ティムの目線で語られる。
ティムはバイラーという美術コレクターから、ルソーの「夢をみた」という絵画の真贋を見極めてほしいという依頼を受け、その仕事で織絵と出会ったのだった。
物語はその1983年を中心に、かつての織絵とティムが、絵画の見極めをめぐって調査し、謎を解き明かしていく。
★ネタバレなし感想
原田マハさんの作品は、これを含めて今まで7冊読みました。
7冊中7冊、全て面白いのですが、これはその中でも1、2を争うと思います。
ポイントは3つ。
1つ目は、冒頭やあらすじにも書いた美術要素。
ルソーの絵はなんとな〜く知っていましたが、ピカソやゴッホに比べたらややマイナーな印象でした。
でも、この作品を読んで、絵だけでなくルソーの生い立ちや人柄も知ることができて、一気に存在感が強くなりました。生で作品を見てみたくなるし、美術館へ行きたくなりました。
さらにルソーはピカソに注目されていたとのこと。これも驚きでした。
作品内で絵の名前がちょこちょこ出てきたのですが、タイトルだけではどんな絵かわからなくても、すぐスマホで調べられるので便利な時代ですよね!
2つ目は、ミステリー要素。
ただ単にルソーの絵画の真贋を見極めるのではなく、何者かが書いた「物語」を1日1章読んで判断してほしいと言われる織絵とティム。誰が書いたのかもわからない「物語」(劇中劇的な感じ)も興味深い内容でした。
「物語」だけでなく、絵画をめぐる個々の思惑や、取引、悪意など、まるでミステリー小説のような展開にはドキドキさせられます。
3つ目は、読後、じんわりとした感動があるところ。
お涙頂戴的な感じではなく、心の芯から温まって自然と目が少し潤む感覚の感動です。
ハッピーエンドはハッピーエンドですが、無理矢理感がなく、心から「読んで良かったな〜」と思える読後感です。
美術に詳しくなれて、ハラハラドキドキもあって、最後は心温まる、素敵な小説でした
★以下、ネタバレあり感想
ちょいちょい出てきた謎の女性・ジュリエット。ただのインターポールじゃなくてバイラーの孫だったなんて!
しかもバイラーってジョゼフのことだったのが1番驚いた。
ジュリエットはもしかしたらヤドヴィガの子孫かな?とチラッと思ったけど孫だったとは。二等親!近っ!
バイラーがルソーに、「夢をみた」にこだわっていた理由も納得だった。
妻のヤドヴィガがモデルになった絵だから、ヤドヴィガが「永遠に生きる」ために絵を守りたかったんだなっていう……。
使い古された表現になるけど、「どんでん返し」がエモいにもほどがある。
なおのこと、この絵がジュリエットに渡って良かったわ。
あと、織絵とティム。出会った当初は仲が悪かったけれど、だんだんと心を通わせていく様子が心に残った。
そういう過去があったから、17年ぶりに再会するラストも感動した。
現実的に2人がこのあと恋人関係になるかはちょっとわからないけど(日本とアメリカという距離だし、織絵には母と娘がいるから)、再会の様子は本当に幸福に満ちている感じが伝わってきた。
まとまりのない文章になったけど(いつものこと)、読んで後悔のない作品でした。
ではこのへんで!
本日は久しぶりの小説回。
原田マハさんの「楽園のカンヴァス」(新潮社)を紹介します。
原田マハさんは、美術の専門家ということもあり、美術作品をテーマにした作品が多くあります。
今回紹介する「楽園のカンヴァス」も、画家・ルソーが描いた絵をテーマとした作品です。
「美術のことよくわからないんだけど……」という人でも(私もそうです)惹き込まれます。
ちなみに以前このブログで紹介した、「スイート・ホーム」は美術要素はありません。
スイート・ホームの記事はこちらから↓
https://fanblogs.jp/ringocandyyy1/archive/46/0?1668997857
★あらすじ
2000年。日本の美術館の監視員として働く早川織絵(はやかわ おりえ)は、ある日美術館の職員に呼び出され、「ルソーの美術展を開きたい。作品をMoMA(ニューヨーク近代美術館)から借りたいから、力を貸してほしい」という趣旨の話をされる。
一介の監視員である自分になぜそのような話を?と思っていると、MoMAのチーフ・キュレーター(学芸部長)であるティム・ブラウンが、織絵が交渉の窓口になることを望んでいるとのことだった。
織絵は最初はティム・ブラウンという名前を知らない振りをしていたが、実は知っていた。
織絵はかつてフランスで美術史の研究をしていた過去があり、その時に出会っている。
時はさかのぼり、1983年、ティムの目線で語られる。
ティムはバイラーという美術コレクターから、ルソーの「夢をみた」という絵画の真贋を見極めてほしいという依頼を受け、その仕事で織絵と出会ったのだった。
物語はその1983年を中心に、かつての織絵とティムが、絵画の見極めをめぐって調査し、謎を解き明かしていく。
★ネタバレなし感想
原田マハさんの作品は、これを含めて今まで7冊読みました。
7冊中7冊、全て面白いのですが、これはその中でも1、2を争うと思います。
ポイントは3つ。
1つ目は、冒頭やあらすじにも書いた美術要素。
ルソーの絵はなんとな〜く知っていましたが、ピカソやゴッホに比べたらややマイナーな印象でした。
でも、この作品を読んで、絵だけでなくルソーの生い立ちや人柄も知ることができて、一気に存在感が強くなりました。生で作品を見てみたくなるし、美術館へ行きたくなりました。
さらにルソーはピカソに注目されていたとのこと。これも驚きでした。
作品内で絵の名前がちょこちょこ出てきたのですが、タイトルだけではどんな絵かわからなくても、すぐスマホで調べられるので便利な時代ですよね!
2つ目は、ミステリー要素。
ただ単にルソーの絵画の真贋を見極めるのではなく、何者かが書いた「物語」を1日1章読んで判断してほしいと言われる織絵とティム。誰が書いたのかもわからない「物語」(劇中劇的な感じ)も興味深い内容でした。
「物語」だけでなく、絵画をめぐる個々の思惑や、取引、悪意など、まるでミステリー小説のような展開にはドキドキさせられます。
3つ目は、読後、じんわりとした感動があるところ。
お涙頂戴的な感じではなく、心の芯から温まって自然と目が少し潤む感覚の感動です。
ハッピーエンドはハッピーエンドですが、無理矢理感がなく、心から「読んで良かったな〜」と思える読後感です。
美術に詳しくなれて、ハラハラドキドキもあって、最後は心温まる、素敵な小説でした
★以下、ネタバレあり感想
ちょいちょい出てきた謎の女性・ジュリエット。ただのインターポールじゃなくてバイラーの孫だったなんて!
しかもバイラーってジョゼフのことだったのが1番驚いた。
ジュリエットはもしかしたらヤドヴィガの子孫かな?とチラッと思ったけど孫だったとは。二等親!近っ!
バイラーがルソーに、「夢をみた」にこだわっていた理由も納得だった。
妻のヤドヴィガがモデルになった絵だから、ヤドヴィガが「永遠に生きる」ために絵を守りたかったんだなっていう……。
使い古された表現になるけど、「どんでん返し」がエモいにもほどがある。
なおのこと、この絵がジュリエットに渡って良かったわ。
あと、織絵とティム。出会った当初は仲が悪かったけれど、だんだんと心を通わせていく様子が心に残った。
そういう過去があったから、17年ぶりに再会するラストも感動した。
現実的に2人がこのあと恋人関係になるかはちょっとわからないけど(日本とアメリカという距離だし、織絵には母と娘がいるから)、再会の様子は本当に幸福に満ちている感じが伝わってきた。
まとまりのない文章になったけど(いつものこと)、読んで後悔のない作品でした。
ではこのへんで!
2022年08月29日
【小説】落日/湊かなえ/途中からネタバレあり
こんにちは!
本日は久しぶりに小説回です。
湊かなえさんの「落日」を紹介します。
学生の頃から湊かなえさんの小説が好きで、有名な作品はわりと読んできました。
最近はあまり読んでいませんでしたが、今年久しぶりに読んだので紹介します
★あらすじ
駆け出しの脚本家の甲斐真尋(かい まひろ)と、著名な映画監督の長谷部香(はせべ かおり)、2人の視点で展開されるミステリー。
香は幼少期住んでいたアパートで、たびたび母親からベランダに出されており、その時に防火壁ごしに隣の部屋の女の子もベランダに出されていることに気が付いた。
香と女の子はお互いの顔は見えず、声も出さずに指で防火壁を叩き合うなどの方法で交流をし、香にとって楽しい時間となった。
香は父親が自殺したことをきっかけにそのアパートから引っ越すことになり、引っ越したあともその女の子のことを気にかけていたが、数年後、その子は両親もろとも兄に殺されたことを知る。
事件の真相を調べようとした香は、脚本家の真尋が自分と同じ出身地だと知り、一緒に事件のこと調べ、映画を作らないかと声をかける。
★ネタバレなし感想
久しぶりにこの著者の作品を読みましたが、安定の面白さでした。この人の作品は、毎回どこか仄暗い部分がありますが(殺人事件起きてるし当然なんだけど)惹きこまれるものがあります。
ミステリーと聞くと、
1.事件が起きる。
2.探偵や警察(作品によっては違う職業の人も)が事件を調べ、犯人を見つける。
3.解決
という図式がよく見られますが、そういった図式からは離れていて、もっと複雑です。
この「落日」に関して言えば、女の子を殺したのはその兄、という「犯人」は既にわかっていて、これ以上何を調べるの?と思われそうなところを更に深追いしていきます。
その中で、主人公の真尋や香の心情の変化や成長があり、辛いことをどう乗り越えていくかといったことも考えさせられる作品でした。
終盤、事件の真相がわかります。
「どんでん返し」
これもミステリーを紹介するときによく使われる言葉ですが、たしかに、この作品にもどんでん返しが起こります。
真相がわかって「はい、終わり」ではなく、そこからどうしていくかにも注目です。
ストーリー上悲しい内容が多いですが、希望がある終わり方になっていて、読後感も良かったです!
★以下、ネタバレあり感想
真尋の姉の千穂。たびたび出てきて、と言っても真尋が千穂に宛てたメールの文面のみの登場で、一体何者で、どういう役割の人なのかと思ってた。
結論、千穂はかなりのキーパーソンだったね。
もう亡くなっているというだけでも驚いたけれど、さらに千穂の好きだった相手が「犯人」の力輝斗(以下、リキト)だったことにも驚いた。
しかも沙良が殺される原因でもある。(というか沙良の自業自得感よ)
リキトは本当は悪い人ではなく、「かわいそうな少女」だと思われていた、被害者である沙良のほうが問題ありすぎたね。結果的にリキトは沙良を殺してしまったけれど、十分同情できてしまうな……。
また、本筋以外では、真尋の千穂への、香の父親への思いに救いがあったのが良かった。
真尋は千穂の死をようやく受け入れることができたし、香は父親の死因が自殺じゃないとわかったからね。
いきなり前向きに生きていくことはできないかもしれないけど、それでも2人の時間が進んだんじゃないかな。
というわけでこの作品を手に取れて良かった!
湊かなえさんの本はほかにも
・夜行観覧車
・Nのために
・贖罪
・告白
・白ゆき姫殺人事件
・リバース
・往復書簡
など読んだかな?ここに書いてないのもあるかも。
こうしてみると、この人の作品ほとんど映像化されてる!?
Nのためにはドラマの記憶がまだあって、すごくエモかったの覚えてる。
ただ映像化あるあるで、ちょいちょい設定変わってるとこは気になったけど。
落日もいずれ映像化するのかな?
まだ読んでいない作品も読んでいきたいなー。
本日は久しぶりに小説回です。
湊かなえさんの「落日」を紹介します。
学生の頃から湊かなえさんの小説が好きで、有名な作品はわりと読んできました。
最近はあまり読んでいませんでしたが、今年久しぶりに読んだので紹介します
★あらすじ
駆け出しの脚本家の甲斐真尋(かい まひろ)と、著名な映画監督の長谷部香(はせべ かおり)、2人の視点で展開されるミステリー。
香は幼少期住んでいたアパートで、たびたび母親からベランダに出されており、その時に防火壁ごしに隣の部屋の女の子もベランダに出されていることに気が付いた。
香と女の子はお互いの顔は見えず、声も出さずに指で防火壁を叩き合うなどの方法で交流をし、香にとって楽しい時間となった。
香は父親が自殺したことをきっかけにそのアパートから引っ越すことになり、引っ越したあともその女の子のことを気にかけていたが、数年後、その子は両親もろとも兄に殺されたことを知る。
事件の真相を調べようとした香は、脚本家の真尋が自分と同じ出身地だと知り、一緒に事件のこと調べ、映画を作らないかと声をかける。
★ネタバレなし感想
久しぶりにこの著者の作品を読みましたが、安定の面白さでした。この人の作品は、毎回どこか仄暗い部分がありますが(殺人事件起きてるし当然なんだけど)惹きこまれるものがあります。
ミステリーと聞くと、
1.事件が起きる。
2.探偵や警察(作品によっては違う職業の人も)が事件を調べ、犯人を見つける。
3.解決
という図式がよく見られますが、そういった図式からは離れていて、もっと複雑です。
この「落日」に関して言えば、女の子を殺したのはその兄、という「犯人」は既にわかっていて、これ以上何を調べるの?と思われそうなところを更に深追いしていきます。
その中で、主人公の真尋や香の心情の変化や成長があり、辛いことをどう乗り越えていくかといったことも考えさせられる作品でした。
終盤、事件の真相がわかります。
「どんでん返し」
これもミステリーを紹介するときによく使われる言葉ですが、たしかに、この作品にもどんでん返しが起こります。
真相がわかって「はい、終わり」ではなく、そこからどうしていくかにも注目です。
ストーリー上悲しい内容が多いですが、希望がある終わり方になっていて、読後感も良かったです!
★以下、ネタバレあり感想
真尋の姉の千穂。たびたび出てきて、と言っても真尋が千穂に宛てたメールの文面のみの登場で、一体何者で、どういう役割の人なのかと思ってた。
結論、千穂はかなりのキーパーソンだったね。
もう亡くなっているというだけでも驚いたけれど、さらに千穂の好きだった相手が「犯人」の力輝斗(以下、リキト)だったことにも驚いた。
しかも沙良が殺される原因でもある。(というか沙良の自業自得感よ)
リキトは本当は悪い人ではなく、「かわいそうな少女」だと思われていた、被害者である沙良のほうが問題ありすぎたね。結果的にリキトは沙良を殺してしまったけれど、十分同情できてしまうな……。
また、本筋以外では、真尋の千穂への、香の父親への思いに救いがあったのが良かった。
真尋は千穂の死をようやく受け入れることができたし、香は父親の死因が自殺じゃないとわかったからね。
いきなり前向きに生きていくことはできないかもしれないけど、それでも2人の時間が進んだんじゃないかな。
というわけでこの作品を手に取れて良かった!
湊かなえさんの本はほかにも
・夜行観覧車
・Nのために
・贖罪
・告白
・白ゆき姫殺人事件
・リバース
・往復書簡
など読んだかな?ここに書いてないのもあるかも。
こうしてみると、この人の作品ほとんど映像化されてる!?
Nのためにはドラマの記憶がまだあって、すごくエモかったの覚えてる。
ただ映像化あるあるで、ちょいちょい設定変わってるとこは気になったけど。
落日もいずれ映像化するのかな?
まだ読んでいない作品も読んでいきたいなー。
2022年05月27日
【小説】夏への扉/ロバート・A・ハインライン/途中からネタバレあり
こんにちは!
本日は小説回です。
ロバート・A・ハインラインの「夏への扉」というSF小説を紹介します。
このブログで海外の物語を取り上げるのは初めてです。
筆者は、1907年から1988年まで生きたアメリカの作家で、この「夏への扉」は日本では1958年に出版されました。
そんな約60年前の作品ですが、日本では昨年実写映画化もされて話題になりました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
出典:「夏への扉」より
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
★あらすじ
1970年、主人公のダニエルは冷凍睡眠<コールドスリープ>によって30年間眠りにつき、2001年に目覚める。
しかし、予想外のトラブルにみまわれ、過去をやり直したいと思う。
そんな中、タイムマシンが実は存在していることを知り、タイムマシンを発明した教授を発見し、そそのかし、再び1970年へ戻る。
再び戻った過去で、ダニエルを未来を変えるための行動を起こす。
★ネタバレなし感想
元祖、タイムスリップものという印象。
バックトゥザフューチャーを思い浮かべました。(「東京卍リベンジャーズ」の記事を書いたときにも書いたかも)
私、タイムスリップものが好きなのかもしれません。
でも、ただ過去や未来に行って物見遊山するんじゃなくてそこで四苦八苦するのにグッときます。ダニエルも、そりゃあもう大変な目にあいます。何が大変だったかは読んでください。笑
あと、昔の人が想像する未来を味わえたのが面白かったです。
昔の人が想像する未来といえば、空を飛ぶ車とか、気軽な宇宙旅行とか、思い浮かべますよね。そんな感じで、空を飛ぶ車こそ出てきませんが「なるほどね!」と思える発想が良かったです。
2001年は今より20年も過去ですが、1900年代半ばの人から見たらとてつもない未来なんだろうなと思います。今でいうと2070年くらい?空を飛ぶ車はなさそうですが、IT関係なら今よりもすごいことになっていそうです。
話はずれましたが、今で言うペッパー君みたいなロボットとか出てくるのですが、そういう「昔の、未来の発明」には興味深いものがあります。あ、ルンバみたいなのもあります。
話全体としては、SFものであるのは大前提ですが、恋愛要素や日本人好みの勧善懲悪な要素もあり、多方面から楽しめる作品でした!
★以下、ネタバレあり感想
1回未来へ行くところまでは想像できたけれど、過去へ戻ってまた未来に行くところには驚いた。
1度目の2001年ではピートもいなく、リッキィも行方不明で、ダニエルかわいそうすぎた。。ベルに注射打たれた時なんてこの世の終わりかと思ったよ。それを過去に戻って着実に良い方向へ直すところが痛快だった。頑張ってた……!
そもそも、過去へ戻るために教授に近づくところ、挑発するところ、なんて勇気があるんだろ。一歩間違えば正反対の時代に飛ばされてたかもしれないのに。そうなったら戻る手段もないからそこでおしまいになってたね。
賭けに出たダニエル、かっこいいよ!笑
最終的にはピートも側にいるし、リッキィとは結婚できてめでたしめでたしでよかった。
一つ言うなら主人公ロ●コンか!?
1970年では子どもだった相手と結婚…っていうのがちょっと個人的には残念ポイントだけど、ダニエルもリッキィも幸せならそれでいいですよ。
映画も気になるけど時代も国も違うらしいから、同じタイトルの違う映画だと思ってみたほうがいいのかな。ちょっと気になる。
では良い週末を!
本日は小説回です。
ロバート・A・ハインラインの「夏への扉」というSF小説を紹介します。
このブログで海外の物語を取り上げるのは初めてです。
筆者は、1907年から1988年まで生きたアメリカの作家で、この「夏への扉」は日本では1958年に出版されました。
そんな約60年前の作品ですが、日本では昨年実写映画化もされて話題になりました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
出典:「夏への扉」より
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
★あらすじ
1970年、主人公のダニエルは冷凍睡眠<コールドスリープ>によって30年間眠りにつき、2001年に目覚める。
しかし、予想外のトラブルにみまわれ、過去をやり直したいと思う。
そんな中、タイムマシンが実は存在していることを知り、タイムマシンを発明した教授を発見し、そそのかし、再び1970年へ戻る。
再び戻った過去で、ダニエルを未来を変えるための行動を起こす。
★ネタバレなし感想
元祖、タイムスリップものという印象。
バックトゥザフューチャーを思い浮かべました。(「東京卍リベンジャーズ」の記事を書いたときにも書いたかも)
私、タイムスリップものが好きなのかもしれません。
でも、ただ過去や未来に行って物見遊山するんじゃなくてそこで四苦八苦するのにグッときます。ダニエルも、そりゃあもう大変な目にあいます。何が大変だったかは読んでください。笑
あと、昔の人が想像する未来を味わえたのが面白かったです。
昔の人が想像する未来といえば、空を飛ぶ車とか、気軽な宇宙旅行とか、思い浮かべますよね。そんな感じで、空を飛ぶ車こそ出てきませんが「なるほどね!」と思える発想が良かったです。
2001年は今より20年も過去ですが、1900年代半ばの人から見たらとてつもない未来なんだろうなと思います。今でいうと2070年くらい?空を飛ぶ車はなさそうですが、IT関係なら今よりもすごいことになっていそうです。
話はずれましたが、今で言うペッパー君みたいなロボットとか出てくるのですが、そういう「昔の、未来の発明」には興味深いものがあります。あ、ルンバみたいなのもあります。
話全体としては、SFものであるのは大前提ですが、恋愛要素や日本人好みの勧善懲悪な要素もあり、多方面から楽しめる作品でした!
★以下、ネタバレあり感想
1回未来へ行くところまでは想像できたけれど、過去へ戻ってまた未来に行くところには驚いた。
1度目の2001年ではピートもいなく、リッキィも行方不明で、ダニエルかわいそうすぎた。。ベルに注射打たれた時なんてこの世の終わりかと思ったよ。それを過去に戻って着実に良い方向へ直すところが痛快だった。頑張ってた……!
そもそも、過去へ戻るために教授に近づくところ、挑発するところ、なんて勇気があるんだろ。一歩間違えば正反対の時代に飛ばされてたかもしれないのに。そうなったら戻る手段もないからそこでおしまいになってたね。
賭けに出たダニエル、かっこいいよ!笑
最終的にはピートも側にいるし、リッキィとは結婚できてめでたしめでたしでよかった。
一つ言うなら主人公ロ●コンか!?
1970年では子どもだった相手と結婚…っていうのがちょっと個人的には残念ポイントだけど、ダニエルもリッキィも幸せならそれでいいですよ。
映画も気になるけど時代も国も違うらしいから、同じタイトルの違う映画だと思ってみたほうがいいのかな。ちょっと気になる。
では良い週末を!
2022年04月15日
【小説】時雨のあと/藤沢周平/途中からネタバレあり
こんにちは。
本日は久々の小説回。藤沢周平さんの「時雨のあと」を紹介します。
【まんが王国】★お得感No.1★国内最大級の電子コミックサイト
藤沢周平(以下敬称略)は、1927年に生まれ、1997年に亡くなった小説家で、時代小説を主に書かれた人です。
国語の教科書にも載っていたり、数々の作品が映画化されていたりと著名な小説家の1人です。
え、時代小説とか渋っ!とっつきづらい!って思われた方、ちょっとだけ待ってください!
私もそう思ってました!
でも、昨年秋に読む機会があり、その考えが変わりました。
このブログを放置していた時期ですが、もしブログを再開したら取り上げてみたい作品だなと思ったのを覚えています。
こんなに面白いんだよ!と広めたくなりました。
さて、この「時雨のあと」は、7つの話が入ったで短編小説集で、だいたい1日1話のペースで隙間時間にキリよく読むことができました。
この小説が発行されたのは1982年と40年前だし、舞台も江戸時代なのに、その違和感をあまり感じませんでした。それどころか、まるで江戸時代にタイムスリップして、自分の目でその出来事を見ているような気持ちにさえなります。
カタカナ語はもちろんないし、たまにわからない単語も出てきますが、スマホで調べれば出てくるので読むのに大きな支障はありませんでした。調べるのがめんどくさくてもなんとなく前後の文脈で予想できることもありましたし。
これは今で言うアルバイトのことかな?とかスナックのことかな?とか。
ざっくりと7つの話をそれぞれ一行でまとめるとこんな感じです。お気に入りの話の詳細はあとで書きます。
1.「雪明かり」血の繋がっていない妹との再会。
2.「闇の顔」仇討ち、犯人捜し。ミステリー風。
3.「時雨のあと」お金にクズな兄と献身的な妹の話。
4.「意気地なし」婚約者がいる主人公が、妻を亡くした男と出会う話。
5.「秘密」ある老人が若かりし頃の記憶を辿る。
6.「果し合い」ニートな叔父は実が最強に頼りになる!?
7.「鱗雲」救助した娘と本当の家族のような絆へ。
女性の結婚する年齢など、江戸時代ならではの価値観も多いですが、現代の価値観読んでも面白いと思える話ばかりです。登場人物の心情が細かく伝ってきて、どの話も読んだあとは心が温かくなりました。
それぞれの話を一行で書きましたがなかなか興味深いテーマじゃないですか?(私だけ?)
「果し合い」とかラノベみたいな紹介になった気がします。笑
というわけで、読んでみてください。タイムスリップに行ってらっしゃい!(無茶苦茶)
以下はネタバレになります。
★「雪明かり」ネタバレ
主人公の菊四郎は、ある日町で妹、由乃(よしの)と4、5年ぶりの再会をする。
由乃は親の再婚でできた血の繋がりのない妹で、菊四郎は親が再婚してしばらくしてから養子に出されたため、由乃と普段会う機会はなかった。
だが、久々の再会で、昔は子どもだった由乃は18歳と大人っぽく、美しくなっていた。
由乃とはその偶然会ったきりだった。
その後、由乃は結婚し、菊四郎にも親に結婚相手を決められていた。
由乃が病気になったと聞いた菊四郎が婚家に見舞いに行くと、医者に診てもらったこともなく、ろくに看病もされておらずでかなり弱った由乃がいた。
菊四郎は由乃を実家に戻し、由乃は婚家と離縁した。
体が回復した由乃は茶屋で働くようになり、菊四郎もたびたび由乃の働く茶屋に訪れ話をする仲になる。お互いに好意を滲ませるが、婚約者を決められている菊四郎は世間体から何も行動をできずにいた。
やがて、由乃は茶屋をやめ、引っ越すことに。菊四郎は由乃の新居の住所を知らされ、やっと世間体も何もかも捨てて、由乃のもとへ行く決意をする。
という話。この、しっとり静かに、でも情熱的な恋の感じ、好き。
菊四郎のセリフも良くて、
由乃との関係を進められないときは「跳べんな」というセリフ、そして由乃のもとへ行こうという決意をするときの独白は、「いま、跳んだのか」。
「跳ぶ」という表現、かっこよすぎる!なかなか思いつかないのでは。
前途多難な恋だろうけど2人の情熱に心打たれた。
あとこの短編集のタイトルにもなっている「時雨のあと」も良かった。というか全部良かったんだけどね。
この短編集は基本的にハッピーエンドで終わるんだけど、バッドエンドで終わる話もいくつか入っている短編集もあって、それも面白かったのでいずれ紹介します。
ではでは良い週末を
本日は久々の小説回。藤沢周平さんの「時雨のあと」を紹介します。
【まんが王国】★お得感No.1★国内最大級の電子コミックサイト
藤沢周平(以下敬称略)は、1927年に生まれ、1997年に亡くなった小説家で、時代小説を主に書かれた人です。
国語の教科書にも載っていたり、数々の作品が映画化されていたりと著名な小説家の1人です。
え、時代小説とか渋っ!とっつきづらい!って思われた方、ちょっとだけ待ってください!
私もそう思ってました!
でも、昨年秋に読む機会があり、その考えが変わりました。
このブログを放置していた時期ですが、もしブログを再開したら取り上げてみたい作品だなと思ったのを覚えています。
こんなに面白いんだよ!と広めたくなりました。
さて、この「時雨のあと」は、7つの話が入ったで短編小説集で、だいたい1日1話のペースで隙間時間にキリよく読むことができました。
この小説が発行されたのは1982年と40年前だし、舞台も江戸時代なのに、その違和感をあまり感じませんでした。それどころか、まるで江戸時代にタイムスリップして、自分の目でその出来事を見ているような気持ちにさえなります。
カタカナ語はもちろんないし、たまにわからない単語も出てきますが、スマホで調べれば出てくるので読むのに大きな支障はありませんでした。調べるのがめんどくさくてもなんとなく前後の文脈で予想できることもありましたし。
これは今で言うアルバイトのことかな?とかスナックのことかな?とか。
ざっくりと7つの話をそれぞれ一行でまとめるとこんな感じです。お気に入りの話の詳細はあとで書きます。
1.「雪明かり」血の繋がっていない妹との再会。
2.「闇の顔」仇討ち、犯人捜し。ミステリー風。
3.「時雨のあと」お金にクズな兄と献身的な妹の話。
4.「意気地なし」婚約者がいる主人公が、妻を亡くした男と出会う話。
5.「秘密」ある老人が若かりし頃の記憶を辿る。
6.「果し合い」ニートな叔父は実が最強に頼りになる!?
7.「鱗雲」救助した娘と本当の家族のような絆へ。
女性の結婚する年齢など、江戸時代ならではの価値観も多いですが、現代の価値観読んでも面白いと思える話ばかりです。登場人物の心情が細かく伝ってきて、どの話も読んだあとは心が温かくなりました。
それぞれの話を一行で書きましたがなかなか興味深いテーマじゃないですか?(私だけ?)
「果し合い」とかラノベみたいな紹介になった気がします。笑
というわけで、読んでみてください。タイムスリップに行ってらっしゃい!(無茶苦茶)
以下はネタバレになります。
★「雪明かり」ネタバレ
主人公の菊四郎は、ある日町で妹、由乃(よしの)と4、5年ぶりの再会をする。
由乃は親の再婚でできた血の繋がりのない妹で、菊四郎は親が再婚してしばらくしてから養子に出されたため、由乃と普段会う機会はなかった。
だが、久々の再会で、昔は子どもだった由乃は18歳と大人っぽく、美しくなっていた。
由乃とはその偶然会ったきりだった。
その後、由乃は結婚し、菊四郎にも親に結婚相手を決められていた。
由乃が病気になったと聞いた菊四郎が婚家に見舞いに行くと、医者に診てもらったこともなく、ろくに看病もされておらずでかなり弱った由乃がいた。
菊四郎は由乃を実家に戻し、由乃は婚家と離縁した。
体が回復した由乃は茶屋で働くようになり、菊四郎もたびたび由乃の働く茶屋に訪れ話をする仲になる。お互いに好意を滲ませるが、婚約者を決められている菊四郎は世間体から何も行動をできずにいた。
やがて、由乃は茶屋をやめ、引っ越すことに。菊四郎は由乃の新居の住所を知らされ、やっと世間体も何もかも捨てて、由乃のもとへ行く決意をする。
という話。この、しっとり静かに、でも情熱的な恋の感じ、好き。
菊四郎のセリフも良くて、
由乃との関係を進められないときは「跳べんな」というセリフ、そして由乃のもとへ行こうという決意をするときの独白は、「いま、跳んだのか」。
「跳ぶ」という表現、かっこよすぎる!なかなか思いつかないのでは。
前途多難な恋だろうけど2人の情熱に心打たれた。
あとこの短編集のタイトルにもなっている「時雨のあと」も良かった。というか全部良かったんだけどね。
この短編集は基本的にハッピーエンドで終わるんだけど、バッドエンドで終わる話もいくつか入っている短編集もあって、それも面白かったのでいずれ紹介します。
ではでは良い週末を
2022年03月12日
【小説】デビクロくんの恋と魔法/中村航/途中からネタバレあり
こんにちは。今日は小説回です。
中村航さんの「デビクロくんの恋と魔法」(小学館)を紹介します。
-----------------------
出典:「デビクロくんの恋と魔法」より
-----------------------
こちら、2013年に発売された小説で、翌年には映画化もされた作品です。
ずっとタイトルだけは知っていて、図書館へ行くとなぜかよく目に入ってくることが多かったのですが、手に取ったことはありませんでした。「デビクロくんって何?」って気になってはいましたが。
でも今年に入って図書館に行った際、また目に入ったのでついに読むことにしました!
★あらすじ
書店員として平凡な毎日を送る主人公、光(ひかる)。
でも、夜になると変装をして、自分で書いた「デビクロ通信」なるものを不定期にバラまくという活動をしている。
それは誰にも内緒だが、唯一知っているのは、女友達の杏奈だけ。
ある日、光は道端でぶつかってしまった相手、韓国人女性のソヨンに一目ぼれをする。
実は光のことを好きな杏奈はショックを受けるものの、それを隠して光の恋を応援することになるが……。
★ネタバレなし感想
タイトル的にはファンタジーものなのかと思っていましたが、ファンタジーのようなキラキラ感を閉じ込めた、現代の現実世界の小説でした。「魔法」要素はないけれど、魔法が使われたのではないかと思うような出来事がちょこちょこありました。
なぜデビクロくんという名前になったのかも読んでいくうちに明かされます。摩訶不思議な名前ではなく、ちゃんと理由があるんです。
主人公の光は一見ほわわんとしていて天然なのかなと思う部分もありますが、優しくて、決めるときは決めることのできる人で、実在しないとはいえ、素敵な人なんだろうなと思い巡らすのが楽しいです。
映画はまだ見ていませんが、光の役は相葉雅紀さんが演じたみたいで、なんとなく合ってる気がします。笑
ファンタジーが苦手な人には「ファンタジーじゃないよ!」と言えるし、ファンタジーが好きな人には「ファンタジーだよ!」と言える作品です。良い意味で、ファンタジーであり、ファンタジーではありません。
長いですが、まとめると、「ファンタジーであり、ファンタジーではない恋愛小説」です。
★ここからネタバレあり
中盤、杏奈が光のデート服を見立てるために出かけるところが切なかった。杏奈、このために可愛い服を着てきたようで、光も「可愛いね」という始末。
レストランで、告白の練習をさせるところなんて特に切なさMAX。自分には言ってもらえないから、練習という名目で「好き」って言わせるの、言葉の音としては嬉しいけど、気持ちがともなってないから悲しいよね。
でも、見立てた服も、レストランも、ソヨンの前で着る(行く)機会はなかったのはそういう運命だったからなんだと思う。ソヨンからの誘いが急だったから、着替える時間もレストランを予約する時間もなかったみたいだけど、結果、杏奈しか見て(行って)いないっていうのが杏奈ENDの伏線だったんだろうね。
本屋さんでカニカニダンスを踊った先に杏奈がいた時点で「あ、これは杏奈ENDだな」ってなんとなくわかってたけど!笑
それにしても、子どものころの初恋が叶うって、ロマンチックでときめいた。
この記事の前半で「ファンタジーであり、ファンタジーではない」って書いたことについて補足。最後、杏奈にとっては光が走ってきてくれたことがファンタジーのようだけど、光にとっては違うよね。光本人の強い意思だからね!ここが好き。
光と杏奈のその後とか、絵本作家になれたのかどうかとか、続きが気になる
中村航さんの「デビクロくんの恋と魔法」(小学館)を紹介します。
-----------------------
出典:「デビクロくんの恋と魔法」より
-----------------------
こちら、2013年に発売された小説で、翌年には映画化もされた作品です。
ずっとタイトルだけは知っていて、図書館へ行くとなぜかよく目に入ってくることが多かったのですが、手に取ったことはありませんでした。「デビクロくんって何?」って気になってはいましたが。
でも今年に入って図書館に行った際、また目に入ったのでついに読むことにしました!
★あらすじ
書店員として平凡な毎日を送る主人公、光(ひかる)。
でも、夜になると変装をして、自分で書いた「デビクロ通信」なるものを不定期にバラまくという活動をしている。
それは誰にも内緒だが、唯一知っているのは、女友達の杏奈だけ。
ある日、光は道端でぶつかってしまった相手、韓国人女性のソヨンに一目ぼれをする。
実は光のことを好きな杏奈はショックを受けるものの、それを隠して光の恋を応援することになるが……。
★ネタバレなし感想
タイトル的にはファンタジーものなのかと思っていましたが、ファンタジーのようなキラキラ感を閉じ込めた、現代の現実世界の小説でした。「魔法」要素はないけれど、魔法が使われたのではないかと思うような出来事がちょこちょこありました。
なぜデビクロくんという名前になったのかも読んでいくうちに明かされます。摩訶不思議な名前ではなく、ちゃんと理由があるんです。
主人公の光は一見ほわわんとしていて天然なのかなと思う部分もありますが、優しくて、決めるときは決めることのできる人で、実在しないとはいえ、素敵な人なんだろうなと思い巡らすのが楽しいです。
映画はまだ見ていませんが、光の役は相葉雅紀さんが演じたみたいで、なんとなく合ってる気がします。笑
ファンタジーが苦手な人には「ファンタジーじゃないよ!」と言えるし、ファンタジーが好きな人には「ファンタジーだよ!」と言える作品です。良い意味で、ファンタジーであり、ファンタジーではありません。
長いですが、まとめると、「ファンタジーであり、ファンタジーではない恋愛小説」です。
★ここからネタバレあり
中盤、杏奈が光のデート服を見立てるために出かけるところが切なかった。杏奈、このために可愛い服を着てきたようで、光も「可愛いね」という始末。
レストランで、告白の練習をさせるところなんて特に切なさMAX。自分には言ってもらえないから、練習という名目で「好き」って言わせるの、言葉の音としては嬉しいけど、気持ちがともなってないから悲しいよね。
でも、見立てた服も、レストランも、ソヨンの前で着る(行く)機会はなかったのはそういう運命だったからなんだと思う。ソヨンからの誘いが急だったから、着替える時間もレストランを予約する時間もなかったみたいだけど、結果、杏奈しか見て(行って)いないっていうのが杏奈ENDの伏線だったんだろうね。
本屋さんでカニカニダンスを踊った先に杏奈がいた時点で「あ、これは杏奈ENDだな」ってなんとなくわかってたけど!笑
それにしても、子どものころの初恋が叶うって、ロマンチックでときめいた。
この記事の前半で「ファンタジーであり、ファンタジーではない」って書いたことについて補足。最後、杏奈にとっては光が走ってきてくれたことがファンタジーのようだけど、光にとっては違うよね。光本人の強い意思だからね!ここが好き。
光と杏奈のその後とか、絵本作家になれたのかどうかとか、続きが気になる
タグ:小説 デビクロくんの恋と魔法
2022年02月28日
【小説】スイート・ホーム/原田マハ/後半からネタバレあり
こんにちは。今日で2月も終わりですね。
先月末、2年ぶりにこのブログを再開して、毎日ではないにせよ、一応1カ月記事を書くことができました。
2月は15記事。2日に1回くらいは書いてたのかな?
今度はいつまで続くかなー。まだいける!たぶん。
さて、今日は最近読んだ小説を紹介します。
源氏物語以来、2回目の小説です。源氏物語が異例すぎたので、これが実質初の小説紹介になるかもしれません笑
今日紹介するのは、原田マハさんの「スイート・ホーム」(ポプラ社)という小説です。
----------------------------
出典:「スイート・ホーム」より
----------------------------
★あらすじ
洋菓子屋「スイート・ホーム」を中心に、その街で暮らす人々の物語を描いた作品。「スイート・ホーム」のパティシエ一家の長女、次女、街の料理教室の先生がそれぞれ主役の中編小説が3つと、「スイート・ホーム」の近所に住む人たちの短編小説が5つ掲載されている。
★ネタバレなし感想
昨年から原田マハさんの小説を読み始めて、これで5作品目。どれもハズレがなく、いつかどれか紹介したいと思っていました。中編&短編集なので読みやすく、一番手に取ってもらいやすいかと思いこの作品にしました。
この「スイート・ホーム」は、活字なのにまるで五感で物語を楽しんでいるような気持ちにさせられるところが素敵です。
嗅覚や聴覚までどうやって!?と思われるかもしれませんが、本当に錯覚しそうになります。
具体的な描写はネタバレ含むといけないので後半に書きますが、活字とは思えないほど想像が膨らみます。
また登場人物も魅力的で、私には眩しすぎると感じるほど。温かい人たちばかり。心がじーんとなる。
現代では何かと気を遣いがちな近所の人との交流も盛んで、こんな世界観もいいなぁと思わせてくれます。
そんな登場人物たちの気持ちの描写もおすすめで。
これは恋愛小説ではありませんが、恋愛パートでは、好きな人ができたときの気持ちや、その後の嬉しかったり切なかったりする気持ちも手に取るように伝わってきてキュンとします。
受験生も登場するのですが、受験を前に不安な気持ちも、自分の学生当時の記憶を呼び覚まされて懐かしくなりました。
これは阪急不動産とのタイアップ作品とのことですが、商業要素をあまり感じさせず、奥付を見るまでそのことに気が付きませんでした。(むしろスイーツの描写がおいしそうすぎて、スイート・ホームっていう洋菓子屋さんが実際にあって、その宣伝かと思ったくらい。笑)
家、家族、地域、人との触れ合い。それらを温かく描いてある作品でした。
★以下、ネタバレあり感想
前半に書いた五感の具体的です。
視覚→おいしそうなスイーツや食事、桜の花びらを模したマジパン
嗅覚→スイーツや食事、スイート・ホームにある金木犀の香り、コーヒーの香り
味覚→スイーツや食事
聴覚→薪のはぜる音、バスの音、包丁がまな板に触れる音
触覚→季節感、風
特にスイーツの描写が食欲をそそる!影響されやすい私はすぐケーキ屋さん行きたくなった。笑
原田マハさんのほかの小説でも思ったんだけど、五感を刺激するところや季節を感じさせるところの描写が丁寧で好き。
あと、前半に書いた眩し過ぎる登場人物たちなんだけど、こんなところがすごい。
・晴日たちが伯母さんと一緒に住もうとすること(お母さんや晴日にとってはいいけどお父さんは他人だよね。めっちゃ優しくない!?)
・両親の家に同居しようとすること
正臣が薪ストーブをダシに(?)に娘夫婦+孫を呼び寄せようとしていたら、なんと娘のほうが一緒に住まないかと言ってきたところね。
個人的には義両親には当然気を遣うし、実の親でも生活習慣がもう違いすぎて一緒に住むのは抵抗があるから、一緒に住もうと思えることにびっくり。旦那さんも優しい。
・受験生の子が受験を終えたあとにお疲れ様会を開き、受かったあとにもお祝いしてあげること
スイート・ホームの皆さん優しい。いくらお得意さんとはいえ、そこまでやってあげるの!?!?って思った。
でもこのツッコミも、マイナスな気持ちではないです。
心が洗われました。
週末には図書館に返却してしまうけどまた読みたい。
この人の作品、まだ読んでいないのいっぱいあるからどんどん読んでいきたいな。
電子書籍をお得に読むなら【ひかりTVブック】
先月末、2年ぶりにこのブログを再開して、毎日ではないにせよ、一応1カ月記事を書くことができました。
2月は15記事。2日に1回くらいは書いてたのかな?
今度はいつまで続くかなー。まだいける!たぶん。
さて、今日は最近読んだ小説を紹介します。
源氏物語以来、2回目の小説です。源氏物語が異例すぎたので、これが実質初の小説紹介になるかもしれません笑
今日紹介するのは、原田マハさんの「スイート・ホーム」(ポプラ社)という小説です。
----------------------------
出典:「スイート・ホーム」より
----------------------------
★あらすじ
洋菓子屋「スイート・ホーム」を中心に、その街で暮らす人々の物語を描いた作品。「スイート・ホーム」のパティシエ一家の長女、次女、街の料理教室の先生がそれぞれ主役の中編小説が3つと、「スイート・ホーム」の近所に住む人たちの短編小説が5つ掲載されている。
★ネタバレなし感想
昨年から原田マハさんの小説を読み始めて、これで5作品目。どれもハズレがなく、いつかどれか紹介したいと思っていました。中編&短編集なので読みやすく、一番手に取ってもらいやすいかと思いこの作品にしました。
この「スイート・ホーム」は、活字なのにまるで五感で物語を楽しんでいるような気持ちにさせられるところが素敵です。
嗅覚や聴覚までどうやって!?と思われるかもしれませんが、本当に錯覚しそうになります。
具体的な描写はネタバレ含むといけないので後半に書きますが、活字とは思えないほど想像が膨らみます。
また登場人物も魅力的で、私には眩しすぎると感じるほど。温かい人たちばかり。心がじーんとなる。
現代では何かと気を遣いがちな近所の人との交流も盛んで、こんな世界観もいいなぁと思わせてくれます。
そんな登場人物たちの気持ちの描写もおすすめで。
これは恋愛小説ではありませんが、恋愛パートでは、好きな人ができたときの気持ちや、その後の嬉しかったり切なかったりする気持ちも手に取るように伝わってきてキュンとします。
受験生も登場するのですが、受験を前に不安な気持ちも、自分の学生当時の記憶を呼び覚まされて懐かしくなりました。
これは阪急不動産とのタイアップ作品とのことですが、商業要素をあまり感じさせず、奥付を見るまでそのことに気が付きませんでした。(むしろスイーツの描写がおいしそうすぎて、スイート・ホームっていう洋菓子屋さんが実際にあって、その宣伝かと思ったくらい。笑)
家、家族、地域、人との触れ合い。それらを温かく描いてある作品でした。
★以下、ネタバレあり感想
前半に書いた五感の具体的です。
視覚→おいしそうなスイーツや食事、桜の花びらを模したマジパン
嗅覚→スイーツや食事、スイート・ホームにある金木犀の香り、コーヒーの香り
味覚→スイーツや食事
聴覚→薪のはぜる音、バスの音、包丁がまな板に触れる音
触覚→季節感、風
特にスイーツの描写が食欲をそそる!影響されやすい私はすぐケーキ屋さん行きたくなった。笑
原田マハさんのほかの小説でも思ったんだけど、五感を刺激するところや季節を感じさせるところの描写が丁寧で好き。
あと、前半に書いた眩し過ぎる登場人物たちなんだけど、こんなところがすごい。
・晴日たちが伯母さんと一緒に住もうとすること(お母さんや晴日にとってはいいけどお父さんは他人だよね。めっちゃ優しくない!?)
・両親の家に同居しようとすること
正臣が薪ストーブをダシに(?)に娘夫婦+孫を呼び寄せようとしていたら、なんと娘のほうが一緒に住まないかと言ってきたところね。
個人的には義両親には当然気を遣うし、実の親でも生活習慣がもう違いすぎて一緒に住むのは抵抗があるから、一緒に住もうと思えることにびっくり。旦那さんも優しい。
・受験生の子が受験を終えたあとにお疲れ様会を開き、受かったあとにもお祝いしてあげること
スイート・ホームの皆さん優しい。いくらお得意さんとはいえ、そこまでやってあげるの!?!?って思った。
でもこのツッコミも、マイナスな気持ちではないです。
心が洗われました。
週末には図書館に返却してしまうけどまた読みたい。
この人の作品、まだ読んでいないのいっぱいあるからどんどん読んでいきたいな。
電子書籍をお得に読むなら【ひかりTVブック】
2022年02月01日
源氏物語/紫式部/ネタバレあり
本日はネタバレあり編です。
……っていう表現もどうかと思うけど、あらすじと感想です。
まず、あらすじなんですが、今回初めてWikipediaのURLを貼り付けるという所業に出ました。
過去の記事で、あらすじは自分の言葉で書きたいなどとのたまっておきながら。
でも、言い訳すると、長編すぎるので私の文章力ではまとめられなくてですね;
詳しいあらすじは下記URLをご覧ください。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%90%E6%B0%8F%E7%89%A9%E8%AA%9E
……うん、URLぺたん、味気ないね。
簡単に私の言葉であらすじを書くと、
★光源氏編
主人公は天皇の息子、光源氏。幼い頃に母を亡くし、父の後妻(母とそっくりらしい)に恋、父に内緒で子どもを作ってしまう。その後もいろいろあって、傷心中にたまたま見かけた紫の上(まだ子ども)を半ば強引に引き取り、自分好みの女性に育てる。妻を愛人の生き霊に呪い殺される。手を出してはいけない相手に手を出し、左遷。左遷先でも、恋&子どもを作る。
左遷先から戻る。左遷先でできた子どもを紫の上に育てさせる。
2度目の正妻をもらう。紫の上病む。親友でありライバルの頭中将の息子が正妻に惚れてアタックして、子どもができる。
頭中将の息子は心労で死亡、正妻も心労で出家、産まれた子どもは世間的には源氏の子と思われているが実際は違う。
紫の上死亡。源氏、出家?その後死亡?
★薫、匂宮編
薫は頭中将の孫、匂宮は頭中将の孫。W主人公。
薫と匂宮は大君、中君という姉妹をそれぞれ好きになる。薫は大君が好きだったけれど拒まれるし、大君は病死する。匂宮は中君とうまくいく。
大君、中君には異母姉妹がいて、その名を浮舟という。薫は大君に似た浮舟を好きになるが、浮舟は身分の差に困惑。匂宮も浮舟に興味を持つが、またも困惑した浮舟は入水自殺をする。しかし実際は未遂ですんでおり、助けられた浮舟は出家してひっそりと暮らす。
浮舟が生きていることがわかった薫は浮舟に会いにいくが、浮舟は会おうとしなかった。
紫式部さん、こんなあらすじでごめんなさいぃ。。
だいたい合ってるとは思うけど;
まず、光源氏編あらすじの最後、「出家?死亡?」と「?」まみれにしたのは、光源氏編の最終章、「雲隠」がタイトルだけで文章がなく、推定で出家、その後死亡したのでは、と言われているからです。
諸説ありますが、
本当は文章はあったけれど、源氏が死亡してショックのあまり、出家してしまう読者が続出したから文章をなくした
という説もあるらしい!
現代でも、推しキャラが作品の中で死亡すると出家はないにしても祭壇作る人はいるからね。気持ちはわかる。
個人的には、紫式部が読者に想像を委ねるためにあえて空白にした説を推したいところ。
数々の女性遍歴がありながら、源氏にとって紫の上は特別な存在だったと思うから、紫の上の死後は俗世に生きていても辛いだけだったよね。
そこをどんな気持ちで、何をしながら余生を過ごしてだんだろう。
ってしんみりとさせられるのが趣があっていいよね!
光源氏編は前回の記事で触れた「伏線回収」らしきものがあって、
源氏は父の後妻にアタックして子どもも作ってしまうけれど、何十年も経って、頭中将の息子が自分の妻にアタック&子どもも、という展開は同じだよね。
紫式部は、源氏がのちのち同じ目に遭うことまで考えて序盤の話を書いたんかな?
できることならインタビューしてみたい。。笑
薫、匂宮編については、学生の頃はちゃんと知らなかったから、こんな話だったんだと初めて知った。
浮舟と薫が再会したら、ザ・ハッピーエンドだったのに、浮舟は再会は拒んでそれで終わりって、切ないけれど現実的だし、人の世の儚さみたいなものを感じる。
光源氏編のときも思ったけれど、儚さこそ美しさなのかなとか考えさせられた。
そして、紹介が遅くなりましたが、前回の記事で触れた源氏物語のダイジェスト本は、
「面白くてよくわかる!源氏物語 日本の美と恋愛のロマンを知る大人の教科書」(根本浩)
です。
源氏物語のあらすじだけでなく、時代背景や登場人物の解説もあり、とてもわかりやすかったです。
あらすじのページは見開きになっていて、右側はあらすじ、左側はイラストで構成されていて、さくさく読むことができました!
受験生におすすめ
別に源氏物語を知らなくても生きていけるけど、私は知れて良かった!
いつかちゃんとした時間がとれたら現代語訳読んでみたいなー
……っていう表現もどうかと思うけど、あらすじと感想です。
まず、あらすじなんですが、今回初めてWikipediaのURLを貼り付けるという所業に出ました。
過去の記事で、あらすじは自分の言葉で書きたいなどとのたまっておきながら。
でも、言い訳すると、長編すぎるので私の文章力ではまとめられなくてですね;
詳しいあらすじは下記URLをご覧ください。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%90%E6%B0%8F%E7%89%A9%E8%AA%9E
……うん、URLぺたん、味気ないね。
簡単に私の言葉であらすじを書くと、
★光源氏編
主人公は天皇の息子、光源氏。幼い頃に母を亡くし、父の後妻(母とそっくりらしい)に恋、父に内緒で子どもを作ってしまう。その後もいろいろあって、傷心中にたまたま見かけた紫の上(まだ子ども)を半ば強引に引き取り、自分好みの女性に育てる。妻を愛人の生き霊に呪い殺される。手を出してはいけない相手に手を出し、左遷。左遷先でも、恋&子どもを作る。
左遷先から戻る。左遷先でできた子どもを紫の上に育てさせる。
2度目の正妻をもらう。紫の上病む。親友でありライバルの頭中将の息子が正妻に惚れてアタックして、子どもができる。
頭中将の息子は心労で死亡、正妻も心労で出家、産まれた子どもは世間的には源氏の子と思われているが実際は違う。
紫の上死亡。源氏、出家?その後死亡?
★薫、匂宮編
薫は頭中将の孫、匂宮は頭中将の孫。W主人公。
薫と匂宮は大君、中君という姉妹をそれぞれ好きになる。薫は大君が好きだったけれど拒まれるし、大君は病死する。匂宮は中君とうまくいく。
大君、中君には異母姉妹がいて、その名を浮舟という。薫は大君に似た浮舟を好きになるが、浮舟は身分の差に困惑。匂宮も浮舟に興味を持つが、またも困惑した浮舟は入水自殺をする。しかし実際は未遂ですんでおり、助けられた浮舟は出家してひっそりと暮らす。
浮舟が生きていることがわかった薫は浮舟に会いにいくが、浮舟は会おうとしなかった。
紫式部さん、こんなあらすじでごめんなさいぃ。。
だいたい合ってるとは思うけど;
まず、光源氏編あらすじの最後、「出家?死亡?」と「?」まみれにしたのは、光源氏編の最終章、「雲隠」がタイトルだけで文章がなく、推定で出家、その後死亡したのでは、と言われているからです。
諸説ありますが、
本当は文章はあったけれど、源氏が死亡してショックのあまり、出家してしまう読者が続出したから文章をなくした
という説もあるらしい!
現代でも、推しキャラが作品の中で死亡すると出家はないにしても祭壇作る人はいるからね。気持ちはわかる。
個人的には、紫式部が読者に想像を委ねるためにあえて空白にした説を推したいところ。
数々の女性遍歴がありながら、源氏にとって紫の上は特別な存在だったと思うから、紫の上の死後は俗世に生きていても辛いだけだったよね。
そこをどんな気持ちで、何をしながら余生を過ごしてだんだろう。
ってしんみりとさせられるのが趣があっていいよね!
光源氏編は前回の記事で触れた「伏線回収」らしきものがあって、
源氏は父の後妻にアタックして子どもも作ってしまうけれど、何十年も経って、頭中将の息子が自分の妻にアタック&子どもも、という展開は同じだよね。
紫式部は、源氏がのちのち同じ目に遭うことまで考えて序盤の話を書いたんかな?
できることならインタビューしてみたい。。笑
薫、匂宮編については、学生の頃はちゃんと知らなかったから、こんな話だったんだと初めて知った。
浮舟と薫が再会したら、ザ・ハッピーエンドだったのに、浮舟は再会は拒んでそれで終わりって、切ないけれど現実的だし、人の世の儚さみたいなものを感じる。
光源氏編のときも思ったけれど、儚さこそ美しさなのかなとか考えさせられた。
そして、紹介が遅くなりましたが、前回の記事で触れた源氏物語のダイジェスト本は、
「面白くてよくわかる!源氏物語 日本の美と恋愛のロマンを知る大人の教科書」(根本浩)
です。
源氏物語のあらすじだけでなく、時代背景や登場人物の解説もあり、とてもわかりやすかったです。
あらすじのページは見開きになっていて、右側はあらすじ、左側はイラストで構成されていて、さくさく読むことができました!
受験生におすすめ
別に源氏物語を知らなくても生きていけるけど、私は知れて良かった!
いつかちゃんとした時間がとれたら現代語訳読んでみたいなー
2022年01月31日
源氏物語/紫式部/ネタバレなし
今回は源氏物語です。え、いきなり何?って思われた方すみません。たまに小説も紹介しますって書いたけど漫画、漫画、漫画……ときていきなり源氏物語って異様なのは自覚してます。
でも小説っていうのは間違っていないし、もしこの記事を読んでくださる人がいるなら心の中でめっちゃお礼言いますね!笑
いつもと違いすぎるので、いつもの「★あらすじ★ネタバレなし感想」という書き方ではないです。
ではでは本題。
このタイトルを知らない日本人はおそらくいないと言っても過言ではありません。
でも、おおまかな認識としては「平安時代に紫式部が書いた、光源氏が主人公の物語」という人が多いのではないでしょうか。登場人物も多いし、話も長いし、ちゃんと最後まで話を知るのはちょっと大変かと思います。
私の登場人物への認知度は下記のようでした。
桐壺、桐壺の更衣…知ってる!
藤壺の女御、紫の上…知ってる!
頭中将、柏木…聞いたことある!
薫、匂宮…聞いたこと…あ…る…かも
浮舟…誰ぇ!?
序盤はなんとなくわかるけど、後半、特に源氏の子孫の話までいくと「子孫って!?」って感じでした。
学生時代、古典の授業で触れただけなのでこの程度の認識です。それから大人になっても、特に源氏物語のことを考えたりはしませんでした(そりゃそうか)
ところが2021年の年末、オリラジ中田さんのYouTubeチャンネル、「中田敦彦のYouTube大学」で源氏物語の解説動画(https://youtu.be/YYq2Gyp7c1M)をたまたま見てすごく面白くて、ダイジェスト解説本を読んでみようと思い立ちました。さすがに古文は読めないし、現代語訳でも解説なしには読めないので。
動画について軽く説明すると、中田さんが時代背景を交えながら、源氏物語をまるでその場で見てきたかのように解説してくれます。それが数分に1回は笑えて、1話だけ……と思って見たら全部見ていたっていう。
中田さんいわく、源氏物語は「ロイヤル、パニック、サクセス、ラブストーリー」で、「島耕作、花より男子、半沢直樹、バチェラー」を混ぜたような話だそうです。
動画+本で、その表現はめちゃくちゃしっくりしました。
ロイヤル→平安貴族要素
パニック→若い頃の源氏は色々やらかす要素
サクセス→政治的要素
ラブストーリー→そのまま、恋愛要素
源氏物語シリーズの動画、何本かあるのでぜひ見てみてください。(回し者じゃないです。一応。)
で、脱線しましたが。
源氏物語をちゃんと知ると、源氏がチャラチャラするだけの話じゃなくて(実際チャラチャラはする)、当時は一夫多妻制だからそういう価値観なんだろうし、関係持った相手とはそれっきりじゃなくて後々面倒を見たり子どもを育てたりと筋は通してるんだなと思えました。
意外と良いやつじゃん!的な。
あと、平安貴族の暮らし、シンプルに面白いです。
方違え(こっちの方角は今日は縁起が悪いから、いったん別の方角へ行ってから目的地に行く)とか、お妃を決めるために絵合わせ(どっちが素敵な絵を持っているか)とか、ある意味新鮮ですよね。
そして作者の紫式部、手書きで、筆で、よくこんな長編書けたなって尊敬しますよ。長さだけじゃないです。伏線回収するところや、読者に想像を委ねるところなど、今でも創作物に使われている技法があって、1000年前からあったんだ!!って驚きがありました。創作物の祖なんじゃないかと。
いつもの記事に比べてだいぶ長くなったので今日はここで区切ります。
次回は源氏物語のあらすじと、さきほど触れたダイジェスト本の紹介をします。
でも小説っていうのは間違っていないし、もしこの記事を読んでくださる人がいるなら心の中でめっちゃお礼言いますね!笑
いつもと違いすぎるので、いつもの「★あらすじ★ネタバレなし感想」という書き方ではないです。
ではでは本題。
このタイトルを知らない日本人はおそらくいないと言っても過言ではありません。
でも、おおまかな認識としては「平安時代に紫式部が書いた、光源氏が主人公の物語」という人が多いのではないでしょうか。登場人物も多いし、話も長いし、ちゃんと最後まで話を知るのはちょっと大変かと思います。
私の登場人物への認知度は下記のようでした。
桐壺、桐壺の更衣…知ってる!
藤壺の女御、紫の上…知ってる!
頭中将、柏木…聞いたことある!
薫、匂宮…聞いたこと…あ…る…かも
浮舟…誰ぇ!?
序盤はなんとなくわかるけど、後半、特に源氏の子孫の話までいくと「子孫って!?」って感じでした。
学生時代、古典の授業で触れただけなのでこの程度の認識です。それから大人になっても、特に源氏物語のことを考えたりはしませんでした(そりゃそうか)
ところが2021年の年末、オリラジ中田さんのYouTubeチャンネル、「中田敦彦のYouTube大学」で源氏物語の解説動画(https://youtu.be/YYq2Gyp7c1M)をたまたま見てすごく面白くて、ダイジェスト解説本を読んでみようと思い立ちました。さすがに古文は読めないし、現代語訳でも解説なしには読めないので。
動画について軽く説明すると、中田さんが時代背景を交えながら、源氏物語をまるでその場で見てきたかのように解説してくれます。それが数分に1回は笑えて、1話だけ……と思って見たら全部見ていたっていう。
中田さんいわく、源氏物語は「ロイヤル、パニック、サクセス、ラブストーリー」で、「島耕作、花より男子、半沢直樹、バチェラー」を混ぜたような話だそうです。
動画+本で、その表現はめちゃくちゃしっくりしました。
ロイヤル→平安貴族要素
パニック→若い頃の源氏は色々やらかす要素
サクセス→政治的要素
ラブストーリー→そのまま、恋愛要素
源氏物語シリーズの動画、何本かあるのでぜひ見てみてください。(回し者じゃないです。一応。)
で、脱線しましたが。
源氏物語をちゃんと知ると、源氏がチャラチャラするだけの話じゃなくて(実際チャラチャラはする)、当時は一夫多妻制だからそういう価値観なんだろうし、関係持った相手とはそれっきりじゃなくて後々面倒を見たり子どもを育てたりと筋は通してるんだなと思えました。
意外と良いやつじゃん!的な。
あと、平安貴族の暮らし、シンプルに面白いです。
方違え(こっちの方角は今日は縁起が悪いから、いったん別の方角へ行ってから目的地に行く)とか、お妃を決めるために絵合わせ(どっちが素敵な絵を持っているか)とか、ある意味新鮮ですよね。
そして作者の紫式部、手書きで、筆で、よくこんな長編書けたなって尊敬しますよ。長さだけじゃないです。伏線回収するところや、読者に想像を委ねるところなど、今でも創作物に使われている技法があって、1000年前からあったんだ!!って驚きがありました。創作物の祖なんじゃないかと。
いつもの記事に比べてだいぶ長くなったので今日はここで区切ります。
次回は源氏物語のあらすじと、さきほど触れたダイジェスト本の紹介をします。