2022年08月29日
【小説】落日/湊かなえ/途中からネタバレあり
こんにちは!
本日は久しぶりに小説回です。
湊かなえさんの「落日」を紹介します。
学生の頃から湊かなえさんの小説が好きで、有名な作品はわりと読んできました。
最近はあまり読んでいませんでしたが、今年久しぶりに読んだので紹介します
★あらすじ
駆け出しの脚本家の甲斐真尋(かい まひろ)と、著名な映画監督の長谷部香(はせべ かおり)、2人の視点で展開されるミステリー。
香は幼少期住んでいたアパートで、たびたび母親からベランダに出されており、その時に防火壁ごしに隣の部屋の女の子もベランダに出されていることに気が付いた。
香と女の子はお互いの顔は見えず、声も出さずに指で防火壁を叩き合うなどの方法で交流をし、香にとって楽しい時間となった。
香は父親が自殺したことをきっかけにそのアパートから引っ越すことになり、引っ越したあともその女の子のことを気にかけていたが、数年後、その子は両親もろとも兄に殺されたことを知る。
事件の真相を調べようとした香は、脚本家の真尋が自分と同じ出身地だと知り、一緒に事件のこと調べ、映画を作らないかと声をかける。
★ネタバレなし感想
久しぶりにこの著者の作品を読みましたが、安定の面白さでした。この人の作品は、毎回どこか仄暗い部分がありますが(殺人事件起きてるし当然なんだけど)惹きこまれるものがあります。
ミステリーと聞くと、
1.事件が起きる。
2.探偵や警察(作品によっては違う職業の人も)が事件を調べ、犯人を見つける。
3.解決
という図式がよく見られますが、そういった図式からは離れていて、もっと複雑です。
この「落日」に関して言えば、女の子を殺したのはその兄、という「犯人」は既にわかっていて、これ以上何を調べるの?と思われそうなところを更に深追いしていきます。
その中で、主人公の真尋や香の心情の変化や成長があり、辛いことをどう乗り越えていくかといったことも考えさせられる作品でした。
終盤、事件の真相がわかります。
「どんでん返し」
これもミステリーを紹介するときによく使われる言葉ですが、たしかに、この作品にもどんでん返しが起こります。
真相がわかって「はい、終わり」ではなく、そこからどうしていくかにも注目です。
ストーリー上悲しい内容が多いですが、希望がある終わり方になっていて、読後感も良かったです!
★以下、ネタバレあり感想
真尋の姉の千穂。たびたび出てきて、と言っても真尋が千穂に宛てたメールの文面のみの登場で、一体何者で、どういう役割の人なのかと思ってた。
結論、千穂はかなりのキーパーソンだったね。
もう亡くなっているというだけでも驚いたけれど、さらに千穂の好きだった相手が「犯人」の力輝斗(以下、リキト)だったことにも驚いた。
しかも沙良が殺される原因でもある。(というか沙良の自業自得感よ)
リキトは本当は悪い人ではなく、「かわいそうな少女」だと思われていた、被害者である沙良のほうが問題ありすぎたね。結果的にリキトは沙良を殺してしまったけれど、十分同情できてしまうな……。
また、本筋以外では、真尋の千穂への、香の父親への思いに救いがあったのが良かった。
真尋は千穂の死をようやく受け入れることができたし、香は父親の死因が自殺じゃないとわかったからね。
いきなり前向きに生きていくことはできないかもしれないけど、それでも2人の時間が進んだんじゃないかな。
というわけでこの作品を手に取れて良かった!
湊かなえさんの本はほかにも
・夜行観覧車
・Nのために
・贖罪
・告白
・白ゆき姫殺人事件
・リバース
・往復書簡
など読んだかな?ここに書いてないのもあるかも。
こうしてみると、この人の作品ほとんど映像化されてる!?
Nのためにはドラマの記憶がまだあって、すごくエモかったの覚えてる。
ただ映像化あるあるで、ちょいちょい設定変わってるとこは気になったけど。
落日もいずれ映像化するのかな?
まだ読んでいない作品も読んでいきたいなー。
本日は久しぶりに小説回です。
湊かなえさんの「落日」を紹介します。
学生の頃から湊かなえさんの小説が好きで、有名な作品はわりと読んできました。
最近はあまり読んでいませんでしたが、今年久しぶりに読んだので紹介します
★あらすじ
駆け出しの脚本家の甲斐真尋(かい まひろ)と、著名な映画監督の長谷部香(はせべ かおり)、2人の視点で展開されるミステリー。
香は幼少期住んでいたアパートで、たびたび母親からベランダに出されており、その時に防火壁ごしに隣の部屋の女の子もベランダに出されていることに気が付いた。
香と女の子はお互いの顔は見えず、声も出さずに指で防火壁を叩き合うなどの方法で交流をし、香にとって楽しい時間となった。
香は父親が自殺したことをきっかけにそのアパートから引っ越すことになり、引っ越したあともその女の子のことを気にかけていたが、数年後、その子は両親もろとも兄に殺されたことを知る。
事件の真相を調べようとした香は、脚本家の真尋が自分と同じ出身地だと知り、一緒に事件のこと調べ、映画を作らないかと声をかける。
★ネタバレなし感想
久しぶりにこの著者の作品を読みましたが、安定の面白さでした。この人の作品は、毎回どこか仄暗い部分がありますが(殺人事件起きてるし当然なんだけど)惹きこまれるものがあります。
ミステリーと聞くと、
1.事件が起きる。
2.探偵や警察(作品によっては違う職業の人も)が事件を調べ、犯人を見つける。
3.解決
という図式がよく見られますが、そういった図式からは離れていて、もっと複雑です。
この「落日」に関して言えば、女の子を殺したのはその兄、という「犯人」は既にわかっていて、これ以上何を調べるの?と思われそうなところを更に深追いしていきます。
その中で、主人公の真尋や香の心情の変化や成長があり、辛いことをどう乗り越えていくかといったことも考えさせられる作品でした。
終盤、事件の真相がわかります。
「どんでん返し」
これもミステリーを紹介するときによく使われる言葉ですが、たしかに、この作品にもどんでん返しが起こります。
真相がわかって「はい、終わり」ではなく、そこからどうしていくかにも注目です。
ストーリー上悲しい内容が多いですが、希望がある終わり方になっていて、読後感も良かったです!
★以下、ネタバレあり感想
真尋の姉の千穂。たびたび出てきて、と言っても真尋が千穂に宛てたメールの文面のみの登場で、一体何者で、どういう役割の人なのかと思ってた。
結論、千穂はかなりのキーパーソンだったね。
もう亡くなっているというだけでも驚いたけれど、さらに千穂の好きだった相手が「犯人」の力輝斗(以下、リキト)だったことにも驚いた。
しかも沙良が殺される原因でもある。(というか沙良の自業自得感よ)
リキトは本当は悪い人ではなく、「かわいそうな少女」だと思われていた、被害者である沙良のほうが問題ありすぎたね。結果的にリキトは沙良を殺してしまったけれど、十分同情できてしまうな……。
また、本筋以外では、真尋の千穂への、香の父親への思いに救いがあったのが良かった。
真尋は千穂の死をようやく受け入れることができたし、香は父親の死因が自殺じゃないとわかったからね。
いきなり前向きに生きていくことはできないかもしれないけど、それでも2人の時間が進んだんじゃないかな。
というわけでこの作品を手に取れて良かった!
湊かなえさんの本はほかにも
・夜行観覧車
・Nのために
・贖罪
・告白
・白ゆき姫殺人事件
・リバース
・往復書簡
など読んだかな?ここに書いてないのもあるかも。
こうしてみると、この人の作品ほとんど映像化されてる!?
Nのためにはドラマの記憶がまだあって、すごくエモかったの覚えてる。
ただ映像化あるあるで、ちょいちょい設定変わってるとこは気になったけど。
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