2014年11月05日
Review46. 脳と疲労 慢性疲労とそのメカニズム
脳神経系や、内科関連疾患で入院などされた場合、
疲労症状を呈しやすいことを、
臨床を経験されたことがあるセラピストの方は、
感じることがあるかもしれません。
臨床などを経験をする中で、
疲労について知見を深めたいと、
考えるようになりました。
そのような時にみつけたのが、
今回書評させていただく書籍です。
この書籍では、
主に「慢性疲労症候群(CFS : Chronic Fatigue Syndrome)」
を主体として、
「 疲労 」というものに対して、
科学的な視点で、
説明を試みられています。
特に、脳を主体とする神経系や、
分子・神経伝達物質に関連させながら
疲労について考察が進められています。
この書籍のアマゾンレビューや、
楽天レビューなどをみてみると、
様々な捉え方があるようですが、
一読者の視点で書評をさせていただこうと思います。
この書籍を、一読して、
まず感じたこととしては、
「 疲労 」に関連する研究が、
徐々に行なわれ始めている段階であり、
様々な、研究機関などが出来てきていることを知り、
驚きました。
例として、
・疲労および疲労感の
分子・神経メカニズムと
その制御に関する研究
:文部科学省のホームページや、
上記のタイトルで検索すると
研究の要旨や、
研究結果などが確認できると思います。
・疲労克服研究教育拠点の形成
:文部科学省21世紀COEプログラム
・国際慢性疲労学会 (IACFS)
・日本疲労学会
(Japanese Society of Fatigue Science)
・疲労定量化及び
抗疲労医薬・食品開発プロジェクト
・癒し環境空間研究開発
・疲労クリニカルセンター
など
様々な取り組みが行なわれているようです。
この書籍を
「疲労」に関する研究成果を把握するための
ガイドとして、
検索システム等で、
関連する研究成果や論文を把握することで、
「疲労」に関する現在の知見が深められるのではないかと思います。
不勉強ながら、
この書籍を読むまで知らなかったこととしては、
第1・2章でとりあげられている、
「 乳酸 」に関する知見でした。
また、
第2章の
「
慢性疲労の神経科学的基礎」
では、
・水泳その他運動による疲労
・運動時の脳内動態
・疲労と脳活動動態
・ウィルス感染と疲労
・ストレスと疲労
・中枢性タスクによる脳の疲労
・小児の疲労・不登校
・緑の香りと疲労
などと、個人的に興味深い内容であり、
勉強になりました。
第3章の
「
慢性疲労症候群の神経科学的な基礎」
では、
おそらく、
慢性疲労症候群に関連する、研究結果や、疲労の神経メカニズムなどを
考察する上で、
基礎となる神経科学的な説明がされています。
この章の内容だけでは、
「慢性疲労症候群」との関連性を、
イメージすることは難しいかもしれませんが、
脳を主体とする神経系の基礎的なメカニズム等を学ぶ上では、
参考となりました。
また、
帯状回の知見(機能分化、発声、学習、伝達物質)、
脳の修飾系(アセチルコリン系、生物活性アミン系、オピオイド系など)
報酬系、
の知見などの要点がまとまっており、
その領域の要点を学びたい場合には、
役にたつのではないかと思います。
書籍全体の内容としては、
臨床で働くセラピストの方にとっては、
すぐに臨床にいかせるかといわれると、
難しいかもしれませんが、
疲労について、
神経科学的な考察をする上では、
参考になる書籍ではないかと思います。
また、高次脳機能領域に関心のある方の場合、
より、日々の臨床所見と脳との関連などの考察を
深める上では、
長い目で見て、
なにかの役に立つのではないかと思います。
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感想(2件)
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posted by RehaBookReview at 17:15
| 書評: 慢性疲労関連