投稿者 株式トレーダーM
今日は6670
MCJ(マウスコンピュータージャパン)の
決算短信を見てみたいと思います。
MCJは現在のところ私の長期投資の対象とはなりえませんが、パソコンの販売動向を見る
上で勉強になると思い、MCJの決算短信を読んで見ました。
パソコンからスマホやタブレット端末への移行が進んでいく過程でパソコンの
売上げの現状を決算書を読むことによって見てみたいと思います。
業績の推移(単位 百万円)
平成24年3月期 売上高 80238 営業利益2373 純利益1741
平成25年3月期 売上高 85536 営業利益1524 純利益1054
平成26年3月期 売上高 83900 営業利益1750 純利益1100(注1)(注1) 平成26年3月期は会社予想前期(平成25年3月期)は売上げこそ6.6%伸びたものの、営業利益(35.7%減)
純利益(39.4%減)と減益となりました。
原因はパソコン単価下落と円安に伴う仕入れ価格上昇が大きな要因のようです。さて減益要因を確認するために損益計算書の売上総利益率を見てみましょう。
平成24年3月期 売上総利益率 18.56%
平成25年3月期 売上総利益率 17.18%
売上総利益率は1.38%悪化しています。
数字の上からも、利幅を十分確保できていない現状が確認できます。
それ以上に気になるのが営業キャッシュフローが2期連続のマイナスという現状です。決算短信では営業キャッシュフローは2期分しか確認できないので、有価証券報告書
で足りない分を補足してみましょう。
平成22年3月期 営業キャッシュフローは約34.4億のプラス(有価証券報告書より)
平成23年3月期 営業キャッシュフローも同じく約34.4億のプラス(有価証券報告書より)
平成24年3月期 営業キャッシュフローは約13.2億の
マイナス(決算短信より)
平成25年3月期 営業キャッシュフローは約11.9億の
マイナス(決算短信より)
ここ2年間は営業キャッシュフローのマイナスが続いています。つまりここ2年間は本業の
営業活動での現金流出が続いていることになります。
さて、いつものように原因を探るためキャッシュフロー計算書を見てみましょう。
やはり営業キャッシュフローが赤字の原因は、売上債権の増加(11.1億円)と棚卸資産
の増加(18.7億円)が一番の営業キャッシュフロー低下の要因だと思われます。
(平成25年3月期決算短信 連結キャッシュフロー計算書より)
今後、MCJは在庫を減らし、売掛金回収を徹底する必要があります。
MCJも危機感を持っているようで、社長兼会長の役員報酬を95.9%返上するIRを発表して
います。
以上まとめてみると、スマホ・タブレット端末がパソコンの需要をそれほど奪っているとは
いえないが、パソコンの販売単価下落と円安による仕入れ価格上昇により売上総利益
が減少し、売掛金・在庫等の増加により本業のパソコン販売での現金流失が続いている。
ただ、自己資本比率(41.8%)と比較的高く、現金残高も約94億円と厚めに残してあるこ
とから、今後の改革への基礎体力をMCJは十分残していると考えます。
参考資料
平成25年3月期 MCJ決算短信
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