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2019年08月09日
まず自分をほめよう、そして他人のいいところもほめよう!
まず自分をほめよう、そして他人のいいところもほめよう!
人間の脳の中には、
『快感』を感じる報酬系
という回路があります。
これは、脳の中で比較的奥の方にある回路で、
外側視床下部、視床、
内側前脳束、腹側中脳、
尾状核といった、
快感を生み出すのに関わる
部分の総称です。
この部分が刺激されると人は快感を感じます。
食欲や性欲などの本能的な
欲求だけでなく、
人助けなど社会的な行動も
含め、
「自分が気持ち良い行動」
をとると活動する部分です。
自分が心地よい、気持ちよいと思える状態を積極的に
作り出している人は、
常にこの報酬系を刺激していることになります。
自分の報酬系を上手に操れる人は、
自分の今ある状態にとても満足できる人です。
他人のために何かをすると、
「えらいね」
「なんてすばらしい人だ」
などと、ほめられたり、
よい評価を受ける場合があります。
人の脳は、ほめられたり、他者からよい評価を受けると、
現金を受け取ったときと同じようにな喜びを感じます。
こんな研究結果があります。
平均21歳の男女19人を対象に、
カードゲームで勝って賞金を得たときと、
ほめ言葉を小型表示装置に映して見せたときの、
それぞれの脳の血液の変化を
特殊な磁気共鳴画像装置(MRI)で調べました。
賞金をもらったときも、
ほめ言葉をもらったときも
ともに、線条体という『快感』を
生み出すのにかかわる脳内の回路
『報酬系』
の一部が活発になったのです。
つまり、脳はほめ言葉を
「報酬」として受け取るのです。
自分以外のだれかのための行動は、
たとえ誰にも見られていなくても、
自分自身は見ています。
人の脳には、
『前頭前野内側部』
という
自分の行動を評価する部位があります。
この部位が、
「よくやった!」
「すばらしい!」
などと自分の行動を評価すると、
たとえ他人からほめられてなくても、
大きな快感をえられるのです。
ボランティア経験のある人に、
「ボランティアをやっていちばんよかったと思うときはいつですか?」
と質問すると、
「相手が喜んでくれたとき」
「ありがとう、と言われたとき」
という答えが多く返ってきます。
相手の喜びを自分の喜びのように感じているから、
といえます。
利他行動をとり、
それによって自分がよい評価をうけ、
さらに相手が喜んでくれたときには、
脳は何重もの喜びを一気に感じています。
自分以外のだれかのための行動をしたときには、
脳が
「よい行動をしているな」
と判断し、脳内に快感物質を出します。
私たちは自分のためだけより、
だれかのための行動のほうが気持ちよく動けるのです。
そのだれかが多ければ多いほど、
脳の快感物質は多く分泌されます。
【引用文献】
科学がつきとめた
「運のいい人」
脳科学者 中野 信子 サンマーク出版
人間の脳の中には、
『快感』を感じる報酬系
という回路があります。
これは、脳の中で比較的奥の方にある回路で、
外側視床下部、視床、
内側前脳束、腹側中脳、
尾状核といった、
快感を生み出すのに関わる
部分の総称です。
この部分が刺激されると人は快感を感じます。
食欲や性欲などの本能的な
欲求だけでなく、
人助けなど社会的な行動も
含め、
「自分が気持ち良い行動」
をとると活動する部分です。
自分が心地よい、気持ちよいと思える状態を積極的に
作り出している人は、
常にこの報酬系を刺激していることになります。
自分の報酬系を上手に操れる人は、
自分の今ある状態にとても満足できる人です。
他人のために何かをすると、
「えらいね」
「なんてすばらしい人だ」
などと、ほめられたり、
よい評価を受ける場合があります。
人の脳は、ほめられたり、他者からよい評価を受けると、
現金を受け取ったときと同じようにな喜びを感じます。
こんな研究結果があります。
平均21歳の男女19人を対象に、
カードゲームで勝って賞金を得たときと、
ほめ言葉を小型表示装置に映して見せたときの、
それぞれの脳の血液の変化を
特殊な磁気共鳴画像装置(MRI)で調べました。
賞金をもらったときも、
ほめ言葉をもらったときも
ともに、線条体という『快感』を
生み出すのにかかわる脳内の回路
『報酬系』
の一部が活発になったのです。
つまり、脳はほめ言葉を
「報酬」として受け取るのです。
自分以外のだれかのための行動は、
たとえ誰にも見られていなくても、
自分自身は見ています。
人の脳には、
『前頭前野内側部』
という
自分の行動を評価する部位があります。
この部位が、
「よくやった!」
「すばらしい!」
などと自分の行動を評価すると、
たとえ他人からほめられてなくても、
大きな快感をえられるのです。
ボランティア経験のある人に、
「ボランティアをやっていちばんよかったと思うときはいつですか?」
と質問すると、
「相手が喜んでくれたとき」
「ありがとう、と言われたとき」
という答えが多く返ってきます。
相手の喜びを自分の喜びのように感じているから、
といえます。
利他行動をとり、
それによって自分がよい評価をうけ、
さらに相手が喜んでくれたときには、
脳は何重もの喜びを一気に感じています。
自分以外のだれかのための行動をしたときには、
脳が
「よい行動をしているな」
と判断し、脳内に快感物質を出します。
私たちは自分のためだけより、
だれかのための行動のほうが気持ちよく動けるのです。
そのだれかが多ければ多いほど、
脳の快感物質は多く分泌されます。
【引用文献】
科学がつきとめた
「運のいい人」
脳科学者 中野 信子 サンマーク出版
追加プレゼント申請
2019年08月08日
幸せホルモン『セロトニン』を上手に分泌させるためには
幸せホルモン『セロトニン』を上手に分泌させるためには
私たちのからだの中には、
はっきりと確認されているだけで
25種類の神経伝達物質があります。
安心感ややすらぎなどの安心感を
もたらしてくれる神経伝達物質の一つに
”セロトニン”
があります。
別名『幸せホルモン』と呼ばれています。
セロトニンは、
朝の自然光を網膜が感じると
分泌されます。
セロトニンが分泌され始めた
15時間後に
サーカディアンリズム(体内時計)を
整える『メラトニン』
が分泌されます。
早朝は低く、夕方に高くなる体温
体温は、熱が出る病気にかかっていなくても、
運動、時間、気温、食事、睡眠、
女性の生理周期、
感情の変化などにより変動しています。
また、ヒトには朝・昼・夜と、24時間単位の体温リズムがあります。
これも「サーカディアンリズム」です。
普通は1日のうちで早朝が最も低く、
しだいに上がり、夕方が最も高くなります。
1日の体温の差はほぼ1℃以内です。
メラトニンは、
良質な睡眠を作り出すとともに、
体の中の活性酸素を分解し、
抗ウイルス作用を強めるなど、
体を守り、
老化を防止するのにも役立つ
重要なホルモンです。
このメラトニンは、
脳の松果体で、
セロトニンから作られます。
セロトニンがしっかり分泌されていないと、
メラトニンも作られません。
セロトニンとメラトニンを
十分に分泌させるためには、
もともと体に備わっている
”サーカディアンリズム”に
のっとった生活をすること、
つまり、朝は早めに起きて、
朝日をしっかりと浴び、
夜は早めに就寝することが
大事なのです。
セロトニンは
「トリプトファン」
という必須アミノ酸から
できています。
必須アミノ酸とは、
体内で作られない、
食事から摂る必要がある
アミノ酸です。
トリプトファンは、
赤身の魚や、肉類、乳製品
などに含まれています。
セロトニンの合成にはビタミンB6も必要なのですが、
赤身の魚、肉類、乳製品に多く含まれています。
食事以外では腸内細菌
によって合成され、
供給されています。
野菜では、にんにく、とうがらし、ごまなどに多いので、
旨味をますために一緒に調理されるといいでしょう。
また、セロトニンは
お風呂に入っているときなど
リラックスした状態のときに
分泌されることもわかっています。
さらに、セロトニンが作られるためには
適度な運動も必要です。
つまり、早寝早起きをして、
適度な運動をする、
ゆっくりお風呂に入って
リラックスする。
ある意味オーソドックスな
規則正しい生活が、
セロトニンの分泌を促すのです。
【引用文献】
科学がつきとめた
「運のいい人」
脳科学者 中野 信子 サンマーク出版
私たちのからだの中には、
はっきりと確認されているだけで
25種類の神経伝達物質があります。
安心感ややすらぎなどの安心感を
もたらしてくれる神経伝達物質の一つに
”セロトニン”
があります。
別名『幸せホルモン』と呼ばれています。
セロトニンは、
朝の自然光を網膜が感じると
分泌されます。
セロトニンが分泌され始めた
15時間後に
サーカディアンリズム(体内時計)を
整える『メラトニン』
が分泌されます。
早朝は低く、夕方に高くなる体温
体温は、熱が出る病気にかかっていなくても、
運動、時間、気温、食事、睡眠、
女性の生理周期、
感情の変化などにより変動しています。
また、ヒトには朝・昼・夜と、24時間単位の体温リズムがあります。
これも「サーカディアンリズム」です。
普通は1日のうちで早朝が最も低く、
しだいに上がり、夕方が最も高くなります。
1日の体温の差はほぼ1℃以内です。
メラトニンは、
良質な睡眠を作り出すとともに、
体の中の活性酸素を分解し、
抗ウイルス作用を強めるなど、
体を守り、
老化を防止するのにも役立つ
重要なホルモンです。
このメラトニンは、
脳の松果体で、
セロトニンから作られます。
セロトニンがしっかり分泌されていないと、
メラトニンも作られません。
セロトニンとメラトニンを
十分に分泌させるためには、
もともと体に備わっている
”サーカディアンリズム”に
のっとった生活をすること、
つまり、朝は早めに起きて、
朝日をしっかりと浴び、
夜は早めに就寝することが
大事なのです。
セロトニンは
「トリプトファン」
という必須アミノ酸から
できています。
必須アミノ酸とは、
体内で作られない、
食事から摂る必要がある
アミノ酸です。
トリプトファンは、
赤身の魚や、肉類、乳製品
などに含まれています。
セロトニンの合成にはビタミンB6も必要なのですが、
赤身の魚、肉類、乳製品に多く含まれています。
食事以外では腸内細菌
によって合成され、
供給されています。
野菜では、にんにく、とうがらし、ごまなどに多いので、
旨味をますために一緒に調理されるといいでしょう。
また、セロトニンは
お風呂に入っているときなど
リラックスした状態のときに
分泌されることもわかっています。
さらに、セロトニンが作られるためには
適度な運動も必要です。
つまり、早寝早起きをして、
適度な運動をする、
ゆっくりお風呂に入って
リラックスする。
ある意味オーソドックスな
規則正しい生活が、
セロトニンの分泌を促すのです。
【引用文献】
科学がつきとめた
「運のいい人」
脳科学者 中野 信子 サンマーク出版
追加プレゼント申請
2019年08月07日
『快』の状態を作り出す(報酬系を刺激する)
『快』の状態を作り出す(報酬系を刺激する)
人間の脳の中には、
『快感』を感じる報酬系
という回路があります。
これは、脳の中で比較的奥の方にある回路で、
外側視床下部、視床、
内側前脳束、腹側中脳、
尾状核といった、
快感を生み出すのに関わる
部分の総称です。
この部分が刺激されると人は快感を感じます。
食欲や性欲などの本能的な
欲求だけでなく、
人助けなど社会的な行動も
含め、
「自分が気持ち良い行動」
をとると活動する部分です。
自分が心地よい、気持ちよいと思える状態を積極的に
作り出している人は、
常にこの報酬系を刺激していることになります。
自分の報酬系を上手に操れる人は、
自分の今ある状態にとても満足できる人です。
人がもっともしあわせを感じるのは、
自分が心地よいと思える状態に心底浸っているとき。
「もっとああしたい」
「もっとこうなったらいいのに」
という欲を忘れ、
「ああ、気分がいいな」
「気持ちがいいな」
としか感じない瞬間です。
その瞬間には、
「ああ、もう何もいらない」
とさえ思えます。
自己一致の状態
常に『快』の状態を作り出す努力をしている人
(報酬系を刺激している人)
は、心理学では『自己一致』の状態になりのです。
自己一致の状態とは、
こうなったらいい、
こうあるべきだと考えている
『理想の自分』と
『実際の自分』
が一致していること。
あるがままの自分を自分で受け入れていること。
自分で自分が好きな状態です。
もっと頭が良ければいいのに、
もっと仕事がうまくできればいいのに、
もっとスタイルが良ければいいのに、
などといった欲を持っていない、
私は今のままの私でいいんだ、
と自分で認めている状態です。
この『自己一致』の状態になる人は、
人をひきつける力があります。
「もっとこうしたい」
「もっとああしたい」
といった、ある意味攻めの姿勢が全くないので、
一緒にいる人はとても楽なのです。
また、常に『快』の状態でいるので、
一緒にいる人も快い気持ちになってくる。
さらに、『自己一致』の状態にある人は、
人の話を素直に聞けるという特徴もあります。
話ししている側の心が多少波だっても、
それを吸収してしまう余裕も持っています。
こういう人が他人に好かれないわけはありません。
【引用文献】
科学がつきとめた
「運のいい人」
脳科学者 中野 信子 サンマーク出版
人間の脳の中には、
『快感』を感じる報酬系
という回路があります。
これは、脳の中で比較的奥の方にある回路で、
外側視床下部、視床、
内側前脳束、腹側中脳、
尾状核といった、
快感を生み出すのに関わる
部分の総称です。
この部分が刺激されると人は快感を感じます。
食欲や性欲などの本能的な
欲求だけでなく、
人助けなど社会的な行動も
含め、
「自分が気持ち良い行動」
をとると活動する部分です。
自分が心地よい、気持ちよいと思える状態を積極的に
作り出している人は、
常にこの報酬系を刺激していることになります。
自分の報酬系を上手に操れる人は、
自分の今ある状態にとても満足できる人です。
人がもっともしあわせを感じるのは、
自分が心地よいと思える状態に心底浸っているとき。
「もっとああしたい」
「もっとこうなったらいいのに」
という欲を忘れ、
「ああ、気分がいいな」
「気持ちがいいな」
としか感じない瞬間です。
その瞬間には、
「ああ、もう何もいらない」
とさえ思えます。
自己一致の状態
常に『快』の状態を作り出す努力をしている人
(報酬系を刺激している人)
は、心理学では『自己一致』の状態になりのです。
自己一致の状態とは、
こうなったらいい、
こうあるべきだと考えている
『理想の自分』と
『実際の自分』
が一致していること。
あるがままの自分を自分で受け入れていること。
自分で自分が好きな状態です。
もっと頭が良ければいいのに、
もっと仕事がうまくできればいいのに、
もっとスタイルが良ければいいのに、
などといった欲を持っていない、
私は今のままの私でいいんだ、
と自分で認めている状態です。
この『自己一致』の状態になる人は、
人をひきつける力があります。
「もっとこうしたい」
「もっとああしたい」
といった、ある意味攻めの姿勢が全くないので、
一緒にいる人はとても楽なのです。
また、常に『快』の状態でいるので、
一緒にいる人も快い気持ちになってくる。
さらに、『自己一致』の状態にある人は、
人の話を素直に聞けるという特徴もあります。
話ししている側の心が多少波だっても、
それを吸収してしまう余裕も持っています。
こういう人が他人に好かれないわけはありません。
【引用文献】
科学がつきとめた
「運のいい人」
脳科学者 中野 信子 サンマーク出版
追加プレゼント申請
2019年08月05日
依存症のメカニズム
こころの病気の原因と対策
依存症のメカニズム
報酬系回路とは、
食行動や性行動などの本能的行動を快感として感じることで、
行動の継続を図る種の保存のための神経系です。
報酬系回路は、中脳辺縁系を中心とする
ドーパミン神経系(別名A10神経系)からなり、
中脳の腹側被蓋野から側坐核に投射するが、
側坐核を含む腹側線条体のみならず、
眼窩前頭皮質、前部帯状回皮質、
扁桃体、海馬、大脳の前頭前野へも投射している。
依存性物質や、飲食、性行為などの
快情動をもたらす自然の強化因子は、
腹側被蓋野から側坐核へ
一過性のドーパミン放出を誘発することで、
報酬系を活性化させる。
なお、腹側被蓋野は、
必ずしも報酬により快感覚を得られる状況だけではなく、
報酬を期待して行動をしているときにも活性化するため、
日常生活における意欲の向上や動機づけにおいても重要な役割を担う。
自分のためだけでなく、
愛しい恋人、パートナー、子供のため、
コミュニティ、社会のため、国のために
行動したり、貢献していることが
強い『快』情動をもたらす。
腹側被蓋野から『ドーパミン伝達』により側坐核が刺激されると、
快感や高揚感がもたらされる。
つまりドーパミンは反復行動の強化と動機づけに
重要な役割を果たすと考えられており、
報酬系と遊離ドーパミンの濃度が
物質乱用や嗜癖にも関わっている
ことを示す知見は数多く存在する。
依存症をもたらす『メカニズム』でもある。
側坐核のみでなく、
腹側被蓋野領域から扁桃体、眼窩前頭皮質、前部帯状回皮質、海馬、前頭前野へも
一過性のドーパミン放出が惹起される。
扁桃体と眼窩前頭皮質は、報酬を予期させるものと、
それにより実際に生じた報酬である『快』情動とを関連づける
ことに重要な役割を担うとされている。
さらに眼窩前頭皮質は、その得られた報酬の価値を
符号化し情報を更新することに関連している。
また、中脳からのドーパミン伝達により、
海馬からの長期記憶形成が強化されるため、
その報酬に関連した刺激や状況が記憶され、
その後の嗜癖形成への発展につながる。
前部帯状回は、嗜癖行動とそれにより得られる報酬とを関連づけ、
得られる報酬によって行動を選択・制御する。
そして、報酬系ドーパミン伝達により、
理性的思考により衝動行為を制御する
前頭前野の機能が低下する。
眼窩前頭皮質と前部帯状回を経由して、
トップダウンの信号が中脳辺縁系領域に再び到達し、
報酬探索の動機が制御される。
物質依存症も行動嗜癖も、強い渇望が繰り返し起きることによって、
中脳辺縁系の活性化と前頭前野の抑制力減弱を招くという点では、
『衝動制御能低下』という共通の特徴をもつ。
依存や嗜癖に関連した行動を実行しようとする動機が、
それを制御しようとする努力にまさってしまう。
徐々にそのような行動の頻度が増え、習慣化していく。
物質使用障害では、依存の習慣が形成されていく過程において、
刺激により誘発される活性化が、
側坐核の背外側部から腹内側部へ、
最後には、感覚運動の皮質線条体系回路も
関連する腹側線条体へ移動していくことによって、
衝動制御の障害においても、
同様の変化を示唆する知見が出てきている。
ただし嗜癖行動は依存性物質と異なり、
直接中枢の神経細胞に作用し、
ドーパミン神経系を混乱させるわけではないため、
幻覚妄想、認知機能障害などの
中毒症状や、離脱症状を来たすことはない。
【参考文献】
ニュートン別冊 精神科医が語る 精神の病気
心の病気の原因と対策が、この1冊でよくわかる!
監修 仮屋暢聡 株式会社ニュートンプレス 2019年4月5日発行
『行動嗜癖』谷渕 由布子 医療法人同和会千葉病院精神科
松本 俊彦 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究部
薬物依存研究部/自殺予防総合対策センター
原稿受付日:2014年1月8日 原稿完成日:2014年1月31日
担当編集委員:加藤 忠史(独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%A1%8C%E5%8B%95%E5%97%9C%E7%99%96
依存症のメカニズム
報酬系回路とは、
食行動や性行動などの本能的行動を快感として感じることで、
行動の継続を図る種の保存のための神経系です。
報酬系回路は、中脳辺縁系を中心とする
ドーパミン神経系(別名A10神経系)からなり、
中脳の腹側被蓋野から側坐核に投射するが、
側坐核を含む腹側線条体のみならず、
眼窩前頭皮質、前部帯状回皮質、
扁桃体、海馬、大脳の前頭前野へも投射している。
依存性物質や、飲食、性行為などの
快情動をもたらす自然の強化因子は、
腹側被蓋野から側坐核へ
一過性のドーパミン放出を誘発することで、
報酬系を活性化させる。
なお、腹側被蓋野は、
必ずしも報酬により快感覚を得られる状況だけではなく、
報酬を期待して行動をしているときにも活性化するため、
日常生活における意欲の向上や動機づけにおいても重要な役割を担う。
自分のためだけでなく、
愛しい恋人、パートナー、子供のため、
コミュニティ、社会のため、国のために
行動したり、貢献していることが
強い『快』情動をもたらす。
腹側被蓋野から『ドーパミン伝達』により側坐核が刺激されると、
快感や高揚感がもたらされる。
つまりドーパミンは反復行動の強化と動機づけに
重要な役割を果たすと考えられており、
報酬系と遊離ドーパミンの濃度が
物質乱用や嗜癖にも関わっている
ことを示す知見は数多く存在する。
依存症をもたらす『メカニズム』でもある。
側坐核のみでなく、
腹側被蓋野領域から扁桃体、眼窩前頭皮質、前部帯状回皮質、海馬、前頭前野へも
一過性のドーパミン放出が惹起される。
扁桃体と眼窩前頭皮質は、報酬を予期させるものと、
それにより実際に生じた報酬である『快』情動とを関連づける
ことに重要な役割を担うとされている。
さらに眼窩前頭皮質は、その得られた報酬の価値を
符号化し情報を更新することに関連している。
また、中脳からのドーパミン伝達により、
海馬からの長期記憶形成が強化されるため、
その報酬に関連した刺激や状況が記憶され、
その後の嗜癖形成への発展につながる。
前部帯状回は、嗜癖行動とそれにより得られる報酬とを関連づけ、
得られる報酬によって行動を選択・制御する。
そして、報酬系ドーパミン伝達により、
理性的思考により衝動行為を制御する
前頭前野の機能が低下する。
眼窩前頭皮質と前部帯状回を経由して、
トップダウンの信号が中脳辺縁系領域に再び到達し、
報酬探索の動機が制御される。
物質依存症も行動嗜癖も、強い渇望が繰り返し起きることによって、
中脳辺縁系の活性化と前頭前野の抑制力減弱を招くという点では、
『衝動制御能低下』という共通の特徴をもつ。
依存や嗜癖に関連した行動を実行しようとする動機が、
それを制御しようとする努力にまさってしまう。
徐々にそのような行動の頻度が増え、習慣化していく。
物質使用障害では、依存の習慣が形成されていく過程において、
刺激により誘発される活性化が、
側坐核の背外側部から腹内側部へ、
最後には、感覚運動の皮質線条体系回路も
関連する腹側線条体へ移動していくことによって、
衝動制御の障害においても、
同様の変化を示唆する知見が出てきている。
ただし嗜癖行動は依存性物質と異なり、
直接中枢の神経細胞に作用し、
ドーパミン神経系を混乱させるわけではないため、
幻覚妄想、認知機能障害などの
中毒症状や、離脱症状を来たすことはない。
【参考文献】
ニュートン別冊 精神科医が語る 精神の病気
心の病気の原因と対策が、この1冊でよくわかる!
監修 仮屋暢聡 株式会社ニュートンプレス 2019年4月5日発行
『行動嗜癖』谷渕 由布子 医療法人同和会千葉病院精神科
松本 俊彦 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究部
薬物依存研究部/自殺予防総合対策センター
原稿受付日:2014年1月8日 原稿完成日:2014年1月31日
担当編集委員:加藤 忠史(独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%A1%8C%E5%8B%95%E5%97%9C%E7%99%96
追加プレゼント申請
2019年08月04日
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
こころの病気の原因と対策
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
適応障害
精神科で診断される病気の中で、
最も多いものが「適応障害」だと言われています。
適応障害の発症を引き起こす原因として、
病気、大切な人との離別、人間関係のもつれなどのストレス
入学、結婚、転居、仕事の引退などの人生におけるイベント
が、あります。
これらが生じてから3ヶ月以内に、
抑うつ感や不安などの感情面の異常や、
気力や思考力、集中力の低下、
イライラ感、人付き合いに対して過敏になるなどの
行動面の異常が見られます。
適応障害では、これらの症状が、ストレスの程度より
過剰な反応だったり、
仕事の停滞、引きこもりなどといった、
社会的な機能が損なわれるほどの重症になったります。
しかし、ひとたびストレス原因がなくなったら、
症状がその後6ヶ月以上続くことはなく、回復の早い病気です。
心的外傷・ストレス因関連障害
心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは、
戦争や大災害などを体験したことで
受けた心的外傷後ストレス(トラウマ)に対して、
潜伏期を経て、しばらくしてから発症する障害です。
PTSDの有病率は約7%です。
ベトナム戦争に従軍した退役軍人では、
15%がPTSDと診断されています。
1995年3月20日に発生した地下鉄サリン事件の
被害者299人への調査では、
事件発生から20年経っても、
PTSDに苦しんでいる人たちが3割にのぼるという結果です。
2011年3月11日に発生した東日本大震災におけるPTSDの調査では、
宮城県の沿岸に暮らす3744人を調査した結果、
約5%の人がPTSDの疑いがあることが判明しました。
クリニックにもPTSDの患者さんが来院します。
職場でのハラスメントによってうつ病を起こしたり、
過重労働で適応障害を起こしたりした患者さんが、
通勤で使用していた電車に乗れなくなったり、
職場近くに行くと動悸、発汗、呼吸促迫などの
パニック発作、自律神経症状を起こしたり、
ハラスメントの加害者と似たシルエットの人物を見ただけで
フラッシュバック(出来事が急に頭に浮かんでくること)を起こしたりします。
もう一つ、PTSDを起こす身近な例として、
熱傷があります。
80%の子供は、その1〜2年後に
なんらかのPTSDの症状を示すことが知られています。
成人が熱傷から症状を示す割合は30%程度であることから、
年齢、社会的サポート、ストレスへの脆弱性などによって、
発症率は変わると言われています。
トラウマ体験から時期をおいて発症
多くの場合、トラウマとなった体験から
3ヶ月以内に発症します。
経過は一定ではなく、安定しませんが、
最終的にはほとんどの人が回復します。
ほとんどの患者が軽度以上に回復
治療は薬物療法と認知行動療法の併用になります。
薬物療法では主に、
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、
ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)
が使われます。
まずは、安心感の提供、
外傷体験と関連した場所や状況から隔離する
ことが治療の第一歩になります。
トラウマ体験を表現させて感情を吐き出させたり、
症状の対処法を学んでもらったり、
患者さんが望むなら
同様の障害を持つ患者さんを集めたグループ療法を行うこともあります。
PTSD患者の脳では、扁桃体、前頭前野と海馬に特徴がある
脳内で恐怖が作られる経路
(感覚野⇨視床⇨扁桃体⇨海馬⇨前頭前野)
の中で、喜怒哀楽を司る『扁桃体』、
扁桃体の過剰反応を抑制する『前頭前野』、
記憶の固定・再生を行う『海馬』が
特に重要な役割を果たします。
扁桃体の活動性亢進による“恐怖条件づけ”反応
恐怖を司る扁桃体が興奮して恐怖を感じると、
@視床下部が亢進して
視床下部ー下垂体ー副腎皮質HPA系
および交感神経系が活性化、
A中脳中心灰白質が活性化して
すくみ・回避行動が惹起、
B橋・結合腕傍核が過活動と
なって呼吸数が増大、
C橋・青斑核が亢進して血圧・心拍数の上昇と警戒反応の高まり、
といった情動・身体反応が引き起こされます。
これら一連のプロセスは“恐怖条件づけ”と呼ばれます。
前頭前皮質の機能低下による
“恐怖記憶の減弱”の障害
扁桃体の興奮により“恐怖条件づけ”が引き起こされたとしても、
通常は前頭前皮質(特に内側前頭前皮質)から
扁桃体に投射する神経回路が
扁桃体の興奮を抑制して、
恐怖記憶を減弱(消去)する
ように働きます。
しかし、前頭前皮質の機能が低下した状態では、
恐怖記憶の減弱プロセスが働かず
(消去の失敗)、恐怖記憶が維持されつづけます。
海馬の機能不全による“恐怖記憶の再生”の亢進
一方、“恐怖記憶の再生”では
記憶を司る海馬が重要な役割を果たしています。
記憶の保持・強化を司る海馬が機能不全となると、
海馬から扁桃体に投射する神経回路が
前頭前皮質―扁桃体の恐怖記憶トラウマ の減弱メカニズム
を抑制してしまい、
恐怖記憶の再生を引き起こすようになります。
【参考文献】
ニュートン別冊 精神科医が語る 精神の病気
心の病気の原因と対策が、この1冊でよくわかる!
監修 仮屋暢聡 株式会社ニュートンプレス 2019年4月5日発行
トラウマ体験に苦しむストレス症候群
心的外傷後ストレス障害
を診る
2014年10月作成
監修
公益財団法人 東京都医学総合研究所 副所長
飛鳥井 望 先生
http://www.amel-di.com/kyowa2/files/handbook/PTSD_handbook2.pdf
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
適応障害
精神科で診断される病気の中で、
最も多いものが「適応障害」だと言われています。
適応障害の発症を引き起こす原因として、
病気、大切な人との離別、人間関係のもつれなどのストレス
入学、結婚、転居、仕事の引退などの人生におけるイベント
が、あります。
これらが生じてから3ヶ月以内に、
抑うつ感や不安などの感情面の異常や、
気力や思考力、集中力の低下、
イライラ感、人付き合いに対して過敏になるなどの
行動面の異常が見られます。
適応障害では、これらの症状が、ストレスの程度より
過剰な反応だったり、
仕事の停滞、引きこもりなどといった、
社会的な機能が損なわれるほどの重症になったります。
しかし、ひとたびストレス原因がなくなったら、
症状がその後6ヶ月以上続くことはなく、回復の早い病気です。
心的外傷・ストレス因関連障害
心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは、
戦争や大災害などを体験したことで
受けた心的外傷後ストレス(トラウマ)に対して、
潜伏期を経て、しばらくしてから発症する障害です。
PTSDの有病率は約7%です。
ベトナム戦争に従軍した退役軍人では、
15%がPTSDと診断されています。
1995年3月20日に発生した地下鉄サリン事件の
被害者299人への調査では、
事件発生から20年経っても、
PTSDに苦しんでいる人たちが3割にのぼるという結果です。
2011年3月11日に発生した東日本大震災におけるPTSDの調査では、
宮城県の沿岸に暮らす3744人を調査した結果、
約5%の人がPTSDの疑いがあることが判明しました。
クリニックにもPTSDの患者さんが来院します。
職場でのハラスメントによってうつ病を起こしたり、
過重労働で適応障害を起こしたりした患者さんが、
通勤で使用していた電車に乗れなくなったり、
職場近くに行くと動悸、発汗、呼吸促迫などの
パニック発作、自律神経症状を起こしたり、
ハラスメントの加害者と似たシルエットの人物を見ただけで
フラッシュバック(出来事が急に頭に浮かんでくること)を起こしたりします。
もう一つ、PTSDを起こす身近な例として、
熱傷があります。
80%の子供は、その1〜2年後に
なんらかのPTSDの症状を示すことが知られています。
成人が熱傷から症状を示す割合は30%程度であることから、
年齢、社会的サポート、ストレスへの脆弱性などによって、
発症率は変わると言われています。
トラウマ体験から時期をおいて発症
多くの場合、トラウマとなった体験から
3ヶ月以内に発症します。
経過は一定ではなく、安定しませんが、
最終的にはほとんどの人が回復します。
ほとんどの患者が軽度以上に回復
治療は薬物療法と認知行動療法の併用になります。
薬物療法では主に、
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、
ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)
が使われます。
まずは、安心感の提供、
外傷体験と関連した場所や状況から隔離する
ことが治療の第一歩になります。
トラウマ体験を表現させて感情を吐き出させたり、
症状の対処法を学んでもらったり、
患者さんが望むなら
同様の障害を持つ患者さんを集めたグループ療法を行うこともあります。
PTSD患者の脳では、扁桃体、前頭前野と海馬に特徴がある
脳内で恐怖が作られる経路
(感覚野⇨視床⇨扁桃体⇨海馬⇨前頭前野)
の中で、喜怒哀楽を司る『扁桃体』、
扁桃体の過剰反応を抑制する『前頭前野』、
記憶の固定・再生を行う『海馬』が
特に重要な役割を果たします。
扁桃体の活動性亢進による“恐怖条件づけ”反応
恐怖を司る扁桃体が興奮して恐怖を感じると、
@視床下部が亢進して
視床下部ー下垂体ー副腎皮質HPA系
および交感神経系が活性化、
A中脳中心灰白質が活性化して
すくみ・回避行動が惹起、
B橋・結合腕傍核が過活動と
なって呼吸数が増大、
C橋・青斑核が亢進して血圧・心拍数の上昇と警戒反応の高まり、
といった情動・身体反応が引き起こされます。
これら一連のプロセスは“恐怖条件づけ”と呼ばれます。
前頭前皮質の機能低下による
“恐怖記憶の減弱”の障害
扁桃体の興奮により“恐怖条件づけ”が引き起こされたとしても、
通常は前頭前皮質(特に内側前頭前皮質)から
扁桃体に投射する神経回路が
扁桃体の興奮を抑制して、
恐怖記憶を減弱(消去)する
ように働きます。
しかし、前頭前皮質の機能が低下した状態では、
恐怖記憶の減弱プロセスが働かず
(消去の失敗)、恐怖記憶が維持されつづけます。
海馬の機能不全による“恐怖記憶の再生”の亢進
一方、“恐怖記憶の再生”では
記憶を司る海馬が重要な役割を果たしています。
記憶の保持・強化を司る海馬が機能不全となると、
海馬から扁桃体に投射する神経回路が
前頭前皮質―扁桃体の恐怖記憶トラウマ の減弱メカニズム
を抑制してしまい、
恐怖記憶の再生を引き起こすようになります。
【参考文献】
ニュートン別冊 精神科医が語る 精神の病気
心の病気の原因と対策が、この1冊でよくわかる!
監修 仮屋暢聡 株式会社ニュートンプレス 2019年4月5日発行
トラウマ体験に苦しむストレス症候群
心的外傷後ストレス障害
を診る
2014年10月作成
監修
公益財団法人 東京都医学総合研究所 副所長
飛鳥井 望 先生
http://www.amel-di.com/kyowa2/files/handbook/PTSD_handbook2.pdf
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2019年08月03日
扁桃体の暴走 不安症/不安障害
扁桃体の暴走 不安症/不安障害
扁桃体がストレス反応(不安、緊張、恐怖など)を
引き起こすことによって、
私たちを生命の危険から守る仕組みになっているのです。
脳の中の扁桃体が活性化することによって、
時折「扁桃体のハイジャック」と
呼ばれる現象が私たちの頭に起こります。
例えば、目の前にスズメバチが飛んできたとします。
「スズメハチだ!」と視覚で確認すると、
扁桃体が活性化してストレス反応を引き起こします。
扁桃体から分泌され、
人間は血圧や心拍数が上昇したり、
筋肉の緊張などの自律神経の反応が起こります。
また扁桃体の活性により、
大脳新皮質(だいのう
しんひしつ)という部位
では、
スズメハチに注意が集中してスズメハチに関する記憶が蘇ってきます。
それとは別の一次体性感覚野でも、
自分の体で起こっている自律神経の反応を感知して
「緊急事態発生」
という情報を大脳新皮質へ流します。
人間の命に関わるような
瞬時の大切な判断を
体に伝えているのが『扁桃体』です。
病的な不安は、
強度や過剰に持続することで
脅威に対する反応をかえって妨げるという結果を招きます。
不安が強すぎて”死の恐怖”まで強まる発作が起きる人がいます。
『パニック障害』です。
自律神経症状である身体症状を伴なうことが特徴です。
発汗、頻脈、呼吸促迫、動悸、
下痢、めまい、血圧上昇、失神、
四肢のふるえ、落ち着きがない、
尿意、胃の不快感、吐き気など。
不安が10分ほどで急速に高まり、
20〜30分ほどで収まります。
欧米諸国のパニック障害の12ヶ月有病率は
2〜3%と推定されています。
女性は男性より2倍ほど多いといわれています。
どの年代でも発生しますが、
思春期後期や成人早期に最も多く発症します。
パニック障害の発症には
遺伝的要因が関与していると考えられています。
発病時期の患者には
生活上のストレスが多かったり、
特に重要な人や物との別離を
体験したりしていることが
報告されています。
患者の扁桃体に異常な興奮が見られ、
前頭前野、海馬後のネットワークの
変調が起こっています。
治療は、扁桃体興奮の抑制と、
ネットワークの復旧にあります。
パニック障害では10〜65%に
うつ病が起こっています。
また恐怖症、強迫性障害、
薬物依存症を併発している人も多いです。
治療には、うつ病で使用する抗うつ薬や
認知行動療法が有効な治療法です。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、
ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)
を第一選択薬として使用します。
認知行動療法は、
不安の発作と身体症状との関係に
ついて教育したり、
不安を回避する方法や
呼吸法などのリラックスする方法を訓練したりします。
不安症から「恐怖症」に
特定の対象に、
不合理な恐れを抱き、
それを避けようとするのが「恐怖症」です。
不安とは、将来の脅威に対する予期。
恐怖とは、目の前の脅威に対する情動反応です。
患者に不安を引き起こすような
刺激がなんども繰り返されるうちに、
それを避けようとする行動が
学習され、条件反射のようになったものが
『恐怖症』です。
恐怖症は家族で発症することが多いので、
遺伝的要因が関係していると
考えられています。
また、両親との死別や離別、
家庭内の暴力などは、
子供の恐怖症を増加させる
ことが知られています。
【参考文献】
ニュートン別冊 精神科医が語る 精神の病気
心の病気の原因と対策が、この1冊でよくわかる!
監修 仮屋暢聡 株式会社ニュートンプレス 2019年4月5日発行
扁桃体がストレス反応(不安、緊張、恐怖など)を
引き起こすことによって、
私たちを生命の危険から守る仕組みになっているのです。
脳の中の扁桃体が活性化することによって、
時折「扁桃体のハイジャック」と
呼ばれる現象が私たちの頭に起こります。
例えば、目の前にスズメバチが飛んできたとします。
「スズメハチだ!」と視覚で確認すると、
扁桃体が活性化してストレス反応を引き起こします。
扁桃体から分泌され、
人間は血圧や心拍数が上昇したり、
筋肉の緊張などの自律神経の反応が起こります。
また扁桃体の活性により、
大脳新皮質(だいのう
しんひしつ)という部位
では、
スズメハチに注意が集中してスズメハチに関する記憶が蘇ってきます。
それとは別の一次体性感覚野でも、
自分の体で起こっている自律神経の反応を感知して
「緊急事態発生」
という情報を大脳新皮質へ流します。
人間の命に関わるような
瞬時の大切な判断を
体に伝えているのが『扁桃体』です。
病的な不安は、
強度や過剰に持続することで
脅威に対する反応をかえって妨げるという結果を招きます。
不安が強すぎて”死の恐怖”まで強まる発作が起きる人がいます。
『パニック障害』です。
自律神経症状である身体症状を伴なうことが特徴です。
発汗、頻脈、呼吸促迫、動悸、
下痢、めまい、血圧上昇、失神、
四肢のふるえ、落ち着きがない、
尿意、胃の不快感、吐き気など。
不安が10分ほどで急速に高まり、
20〜30分ほどで収まります。
欧米諸国のパニック障害の12ヶ月有病率は
2〜3%と推定されています。
女性は男性より2倍ほど多いといわれています。
どの年代でも発生しますが、
思春期後期や成人早期に最も多く発症します。
パニック障害の発症には
遺伝的要因が関与していると考えられています。
発病時期の患者には
生活上のストレスが多かったり、
特に重要な人や物との別離を
体験したりしていることが
報告されています。
患者の扁桃体に異常な興奮が見られ、
前頭前野、海馬後のネットワークの
変調が起こっています。
治療は、扁桃体興奮の抑制と、
ネットワークの復旧にあります。
パニック障害では10〜65%に
うつ病が起こっています。
また恐怖症、強迫性障害、
薬物依存症を併発している人も多いです。
治療には、うつ病で使用する抗うつ薬や
認知行動療法が有効な治療法です。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、
ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)
を第一選択薬として使用します。
認知行動療法は、
不安の発作と身体症状との関係に
ついて教育したり、
不安を回避する方法や
呼吸法などのリラックスする方法を訓練したりします。
不安症から「恐怖症」に
特定の対象に、
不合理な恐れを抱き、
それを避けようとするのが「恐怖症」です。
不安とは、将来の脅威に対する予期。
恐怖とは、目の前の脅威に対する情動反応です。
患者に不安を引き起こすような
刺激がなんども繰り返されるうちに、
それを避けようとする行動が
学習され、条件反射のようになったものが
『恐怖症』です。
恐怖症は家族で発症することが多いので、
遺伝的要因が関係していると
考えられています。
また、両親との死別や離別、
家庭内の暴力などは、
子供の恐怖症を増加させる
ことが知られています。
【参考文献】
ニュートン別冊 精神科医が語る 精神の病気
心の病気の原因と対策が、この1冊でよくわかる!
監修 仮屋暢聡 株式会社ニュートンプレス 2019年4月5日発行
追加プレゼント申請
2019年08月01日
「うつ」セルフチェック
こころの病気の原因と対策
「うつ」セルフチェック
最近、気分が落ち込む、
仕事に集中できない、
不安で落ち着かない…。
「もしかして、うつ病では?」
そんな悩みを抱えている人も多いのではないだろうか。
うつ病では気分の落ち込みや喜びの消失などが見られる。
特に、初期症状として多いのは不安だという。
「不安からうつ病に進む人はとても多い。
不安が強いと眠れなくなったり、
疲労がたまったりして、うつ病になりやすくなる」
もっとも、うつ病にはならず、
強い不安だけが続くこともある。
これは「不安障害」と呼ばれる。
「不安障害と不安を伴ううつ病は区別します」。
関係する脳内の神経伝達物質が異なるから。
不安や焦燥、緊張といった感情は、
脳内のセロトニンという物質の機能低下が関係している。
一方、憂うつや意欲の低下にはノルアドレナリン、
喜びの消失にはドーパミンの機能低下がある。
つまり、不安障害にはセロトニンが関わるが、
うつ病には3つの物質全部が関与する。
長期ストレスで脳が傷つく
慢性的なストレスが続いてコルチゾール
(ストレス緩和ホルモン)
が過剰になると、
脳の細胞に必要な神経栄養因子が低下し、
海馬
(日常的な出来事や、勉強して覚えた情報は、
海馬の中で一度ファイルされて整理整頓され、
その後、大脳皮質にためられていく。
つまり私たちの脳の中で、
「新しい記憶」は海馬に、
「古い記憶」は大脳皮質にファイルされている)
などにもダメージが。
MRI(磁気共鳴画像法)では、
うつ病患者(右)では海馬が萎縮し、
黒いすき間ができている
(側脳室下角の開大)。
左は健常者
うつ病になると、脳内の特定の部位にも変化が生じるという。
「情動を抑える帯状回(たいじょうかい)や
記憶などに関わる海馬が、健康な人に比べて小さくなっている」。
ストレス下でうつうつと悩んでいるとき、
脳はかくも傷めつけられている。
「悩む期間が長いほど脳は傷つき、治療にも時間がかかる。
うつ病の入り口の『不安でたまらない』という段階で、
生活を見直すように心がけてほしい」。
不安な状態が続く場合は、まずは医療機関に相談しましょう。
どの病医院に行けばいいのかわからないときは、
診療科にこだわることなく、
ふだんから診てもらっているかかりつけ医に相談してみましょう。
また、地元の保健所や
精神保健福祉・センターの相談窓口を利用するのもよいですよ。
「うつ」セルフチェック
最近、気分が落ち込む、
仕事に集中できない、
不安で落ち着かない…。
「もしかして、うつ病では?」
そんな悩みを抱えている人も多いのではないだろうか。
うつ病では気分の落ち込みや喜びの消失などが見られる。
特に、初期症状として多いのは不安だという。
「不安からうつ病に進む人はとても多い。
不安が強いと眠れなくなったり、
疲労がたまったりして、うつ病になりやすくなる」
もっとも、うつ病にはならず、
強い不安だけが続くこともある。
これは「不安障害」と呼ばれる。
「不安障害と不安を伴ううつ病は区別します」。
関係する脳内の神経伝達物質が異なるから。
不安や焦燥、緊張といった感情は、
脳内のセロトニンという物質の機能低下が関係している。
一方、憂うつや意欲の低下にはノルアドレナリン、
喜びの消失にはドーパミンの機能低下がある。
つまり、不安障害にはセロトニンが関わるが、
うつ病には3つの物質全部が関与する。
長期ストレスで脳が傷つく
慢性的なストレスが続いてコルチゾール
(ストレス緩和ホルモン)
が過剰になると、
脳の細胞に必要な神経栄養因子が低下し、
海馬
(日常的な出来事や、勉強して覚えた情報は、
海馬の中で一度ファイルされて整理整頓され、
その後、大脳皮質にためられていく。
つまり私たちの脳の中で、
「新しい記憶」は海馬に、
「古い記憶」は大脳皮質にファイルされている)
などにもダメージが。
MRI(磁気共鳴画像法)では、
うつ病患者(右)では海馬が萎縮し、
黒いすき間ができている
(側脳室下角の開大)。
左は健常者
うつ病になると、脳内の特定の部位にも変化が生じるという。
「情動を抑える帯状回(たいじょうかい)や
記憶などに関わる海馬が、健康な人に比べて小さくなっている」。
ストレス下でうつうつと悩んでいるとき、
脳はかくも傷めつけられている。
「悩む期間が長いほど脳は傷つき、治療にも時間がかかる。
うつ病の入り口の『不安でたまらない』という段階で、
生活を見直すように心がけてほしい」。
不安な状態が続く場合は、まずは医療機関に相談しましょう。
どの病医院に行けばいいのかわからないときは、
診療科にこだわることなく、
ふだんから診てもらっているかかりつけ医に相談してみましょう。
また、地元の保健所や
精神保健福祉・センターの相談窓口を利用するのもよいですよ。