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2019年03月03日

長期記憶のしくみ

最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。

記憶力

長期記憶のしくみ

長期記憶では”キャッチャー”が増えた状態を固定する

短期記憶は、ニューロンどうしのつなぎ目であるシナプスで化学物質の”キャッチャー”『受容体』が増えて、信号伝達の効率のよい状態が数時間続くこと(E-LTP)だった。

では、長期記憶に関してはどうなるのだろうか?

長期記憶は、短期記憶をより安定させたものだと言える。
E-LTPの状態を長期間保てば、記憶は固定されるだろう。

つまり、増えた受容体をそのまま維持する仕掛けが必要なのだ。
それには『細胞核』の力を借りる。

ます、E-LTPの時と同じように、ごく短い時間に連続して信号が送られることで、受け手側のニューロンにカルシウムイオンが流れ込み、これをきっかけに受容体の数が増える。

E-LTPと違うのはここから。
カルシウムイオンはさらに、細胞核の遺伝子のスイッチが入るように働きかけるタンパク質を活性化させる。

すると、遺伝子が働き、新たに様々な種類のタンパク質が合成される。
こうしてできたタンパク質は受容体を固定させるための”部品”として使われる。
こうして信号の伝達効率のよい状態を、より長時間維持するのである。これが長期記憶を保つしくみだと考えられている。

この変化には、数十分程度は必要だと考えられている。
短期記憶のE-LTPのように即座に作ることはできないが、一旦出来上がってしまえばかなり安定している。
このように細胞核で遺伝子が働いて、長期的にシナプスの信号伝達がよくなることを、
『L-LTP』と呼んでいる。

長期記憶が細胞核の助けを借りて作られていることの証拠が、実際にある。
ラットに薬剤を与えて、タンパク質を作れなくすると、そのラットは新たに長期記憶を覚えられなくなる。

短期記憶は正常に覚えられることから、長期記憶にはタンパク質の合成が必要だとわかる。

長期記憶に関しては、増えた受容体を固定することに加えて、新たにシナプスを作ることも行われていると考えらえている。

つまり、電車の例で行けば、新たな乗り換え駅を作ることである。
新たなシナプスを作る場合にもやはり細胞核でタンパク質を合成する必要があると考えられている。

なお、L-LTPに関わる遺伝子が全て解明されているわけではない。

参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2018年7月15日発行
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タナカマツヘイ
総合診療科 医学博士 元外科学会専門医指導医、元消化器外科学会専門医指導医、元消化器外科化学療法認定医、元消化器内視鏡学会専門医、日本医師会産業医、病理学会剖検医
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