2019年08月11日
幸せホルモン『オキシトシン』
幸せホルモン『オキシトシン』
オキシトシンは、
視床下部の室傍核と視索上核の神経分泌細胞で合成され、
下垂体後葉から分泌されるホルモンで、
9個のアミノ酸からなるペプチドホルモンです
(Cys-Tyr-Ile-Gln-Asn-Cys-Pro-Leu-Gly)。
1906年にヘンリー・ハレット・デールによって発見され、
1952年に分子構造が決定されました。
オキシトシンには末梢組織で働くホルモンとしての作用、
中枢神経での神経伝達物質としての作用があります。
末梢組織では主に平滑筋の収縮に関与し、
分娩時に子宮収縮させます。
また乳腺の筋線維を収縮させて
乳汁分泌を促すなどの働きを持つ。
このため臨床では
子宮収縮薬や陣痛促進剤をはじめとして、
さまざまな医学的場面で使用
されてきており、その歴史は長い。
最初は女性に特有な機能に
必須なホルモンとして発見されましたが、
その後、男性にも普遍的に存在することが判明しました。
オキシトシンには、感情や行動を落ち着かせたり、
互いの信頼関係を強化し、
夫婦や親子の絆を作りやすくする
効果もあるとされ、
その特徴から
「愛情ホルモン」とも呼ばれています。
岡山大学の富澤一仁助教授(当時)の研究チームは、
次のような実験を行いました。
妊娠したことのないマウス
の脳に
オキシトシンを注射し、
エサを隠した迷路に入れます。
この迷路には8つの順路
があり、
そのうち4つの順路にエサを隠しました。
この結果、オキシトシンをより多く
注入されたマウスのほうが、
エサのある順路を記憶する
能力が高いことがわかったのです。
また、妊娠を経験したマウスの脳に
オキシトシンを抑制する注射をし、
同じ迷路に入れました。
すると、このマウスでは
記憶力が低下していることがわかりました。
つまり、この実験結果から、
オキシトシンが記憶と学習の能力を
向上させることがわかったのです。
オキシトシンは、
女性のほうが分泌されやすいホルモンですが、
男性でも分泌されます。
オスのマーモセットを単独でケージに入れた場合と、
オスのマーモセットを子どもと一緒にケージに入れた場合では、
子どもと一緒だったマーモセットの方が
オキシトシンの分泌量が多かった、
という実験結果があります。
オキシトシンは愛情をもって誰かを育てれば、
たとえそれが自分の子どもでなくても、
分泌されるのです。
そしてこのオキシトシンが
記憶や学習の能力を向上させます。
人の場合なら、
子どもに限らず、
部下や後輩などを
愛情をもって育てた
場合にも分泌されます。
よく、子どもをもった母親が
「子どもを育てることで
自分が成長できた」
と言います。
これは実際にその通りで、
誰かを育てることは
自分を育てることに
つながるのです。
そして、それは実の子どもかどうかは
関係なく、他人の子どもであれ、
部下や後輩であれ、
誰でも目いっぱいの愛情をもって
育てれば、自分もともに成長できるのです。
さらに、オキシトシンは、
精神的な安らぎを与えるといわれる
セロトニン作動性ニューロン
の働きを促進する
ことでストレス反応を抑え、
人と交わったりする社会的行動
への不安を減少させると考えられます。
これまでの研究でも、オキシトシンを人に投与すると、
他人に対する信頼感を増加させる
という報告がありますし、
社会行動に障害がある
自閉症スペクトラムの患者さんに
オキシトシンを投与したところ、
前頭前野の活動が増加して
症状の改善が見られた
という報告も話題を呼びました。
さらに、オキシトシンは、
前頭前野、海馬、扁桃体などに
働きかけるホルモンとして、
例えば、うつ病に関わりの深い
海馬の神経細胞の新生
を促進させることによって、
うつ病を改善する可能性
があることも明らかになりつつあります。
【引用文献】
科学がつきとめた「運のいい人」
脳科学者 中野 信子 サンマーク出版
抗ストレス作用や社会行動に関与する「オキシトシン」
公益財団法人 テルモ生命科学振興財団
中高生と”いのちの不思議”を考えるー生命科学DOKIDOKI研究室
https://www.terumozaidan.or.jp/labo/class/s2_11/interview02.html
オキシトシンは、
視床下部の室傍核と視索上核の神経分泌細胞で合成され、
下垂体後葉から分泌されるホルモンで、
9個のアミノ酸からなるペプチドホルモンです
(Cys-Tyr-Ile-Gln-Asn-Cys-Pro-Leu-Gly)。
1906年にヘンリー・ハレット・デールによって発見され、
1952年に分子構造が決定されました。
オキシトシンには末梢組織で働くホルモンとしての作用、
中枢神経での神経伝達物質としての作用があります。
末梢組織では主に平滑筋の収縮に関与し、
分娩時に子宮収縮させます。
また乳腺の筋線維を収縮させて
乳汁分泌を促すなどの働きを持つ。
このため臨床では
子宮収縮薬や陣痛促進剤をはじめとして、
さまざまな医学的場面で使用
されてきており、その歴史は長い。
最初は女性に特有な機能に
必須なホルモンとして発見されましたが、
その後、男性にも普遍的に存在することが判明しました。
オキシトシンには、感情や行動を落ち着かせたり、
互いの信頼関係を強化し、
夫婦や親子の絆を作りやすくする
効果もあるとされ、
その特徴から
「愛情ホルモン」とも呼ばれています。
岡山大学の富澤一仁助教授(当時)の研究チームは、
次のような実験を行いました。
妊娠したことのないマウス
の脳に
オキシトシンを注射し、
エサを隠した迷路に入れます。
この迷路には8つの順路
があり、
そのうち4つの順路にエサを隠しました。
この結果、オキシトシンをより多く
注入されたマウスのほうが、
エサのある順路を記憶する
能力が高いことがわかったのです。
また、妊娠を経験したマウスの脳に
オキシトシンを抑制する注射をし、
同じ迷路に入れました。
すると、このマウスでは
記憶力が低下していることがわかりました。
つまり、この実験結果から、
オキシトシンが記憶と学習の能力を
向上させることがわかったのです。
オキシトシンは、
女性のほうが分泌されやすいホルモンですが、
男性でも分泌されます。
オスのマーモセットを単独でケージに入れた場合と、
オスのマーモセットを子どもと一緒にケージに入れた場合では、
子どもと一緒だったマーモセットの方が
オキシトシンの分泌量が多かった、
という実験結果があります。
オキシトシンは愛情をもって誰かを育てれば、
たとえそれが自分の子どもでなくても、
分泌されるのです。
そしてこのオキシトシンが
記憶や学習の能力を向上させます。
人の場合なら、
子どもに限らず、
部下や後輩などを
愛情をもって育てた
場合にも分泌されます。
よく、子どもをもった母親が
「子どもを育てることで
自分が成長できた」
と言います。
これは実際にその通りで、
誰かを育てることは
自分を育てることに
つながるのです。
そして、それは実の子どもかどうかは
関係なく、他人の子どもであれ、
部下や後輩であれ、
誰でも目いっぱいの愛情をもって
育てれば、自分もともに成長できるのです。
さらに、オキシトシンは、
精神的な安らぎを与えるといわれる
セロトニン作動性ニューロン
の働きを促進する
ことでストレス反応を抑え、
人と交わったりする社会的行動
への不安を減少させると考えられます。
これまでの研究でも、オキシトシンを人に投与すると、
他人に対する信頼感を増加させる
という報告がありますし、
社会行動に障害がある
自閉症スペクトラムの患者さんに
オキシトシンを投与したところ、
前頭前野の活動が増加して
症状の改善が見られた
という報告も話題を呼びました。
さらに、オキシトシンは、
前頭前野、海馬、扁桃体などに
働きかけるホルモンとして、
例えば、うつ病に関わりの深い
海馬の神経細胞の新生
を促進させることによって、
うつ病を改善する可能性
があることも明らかになりつつあります。
【引用文献】
科学がつきとめた「運のいい人」
脳科学者 中野 信子 サンマーク出版
抗ストレス作用や社会行動に関与する「オキシトシン」
公益財団法人 テルモ生命科学振興財団
中高生と”いのちの不思議”を考えるー生命科学DOKIDOKI研究室
https://www.terumozaidan.or.jp/labo/class/s2_11/interview02.html
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