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2019年05月15日

3.基底核の入出力と神経回路の機能@

最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。

3.基底核の入出力と神経回路の機能@大脳皮質ー基底核ループと基底核ー脳幹系.jpg


基底核の機能を理解する上で重要なポイントは,
@基底核への入出力系とその作用,
A基底核内神経回路の仕組み,
Bドーパミン作動系の働き,
の3点である.

3―1;基底核の入出力系の概略(図)
大脳皮質領域から線条体への入力系を皮質線条体投射(Corticostriatal projections)と呼ぶ.

異なった皮質領域に由来する情報は,
それぞれ基底核の異なった部位で処理された後に,
出力核から視床を介してもとの大脳皮質領域に戻る(視床─大脳皮質投射;Thalamocortical projection).

これらを併せて大脳皮質―基底核ループ(Corticobasal ganglia loop)と呼ぶ.

また基底核の出力は脳幹の活動を調節する(基底核―脳幹系;Basalganglia-brainstem system).
即ち,基底核は2つのルートを用いて運動を制御する.

大脳皮質―基底核ループで修飾された情報は,
皮質核路や皮質脊髄路を,
そして,基底核―脳幹系は脳幹からの下行路を
それぞれ経由して行動を制御する[3].

歩行運動を例にとれば,
前者は歩行の開始や停止・障害物を避ける随意的運動過程に,
後者は歩行時のリズミカルな手足の動作や筋緊張の調節など
随意運動に随伴する自動的(無意識な)運動過程に関与する[14].

3―2;大脳皮質―基底核ループ

大脳皮質―基底核ループには次の4種類が存在する.
サルを用いた研究により各々のループの構造や機能が明らかになってきた.

ここでは,各ループの概略を示すに留めるが,
詳細についてはAlexander et al.[15]やMiddleton and Strick[4]などの総説を参照して頂きたい.

(1)運動系ループ(Motor loop);
大脳皮質運動関連領域(一次運動野,補足運動野,運動前野,前補足運動野,帯状皮質運動野)と主に被殻とを結ぶループは運動機能に関与する.

各々の領域は運動の遂行に際して異なる機能を担う.
このループにおける基底核出力は,主に淡蒼球内節から視床腹側核群(外側腹側核や前腹側核)を経由して
補足運動野・運動前野・一次運動野へと戻る.

運動系ループにはサブループが存在する.

一次運動野から始まるサブループは運動遂行(運動量や運
動速度)に,運動前野・補足運動野と基底核とを結ぶサブループは
運動プログラムや運動準備などに関与すると考えられている.

また,運動系ループには体部位局在が存在し,
体の各々の部位の運動は体部位局在に基づく個々のループで調節される[16].

(2)前頭前野系ループ(Prefrontal loop);
前頭連合野と尾状核・被殻吻側部を結ぶ前頭前野系ループは認知情報や記憶(特にワーキングメモリー;Working memory)を有効に活用し,意志の発動や行動計画,注意,社会行動などの高次脳機能の発現に関与する.

淡蒼球内節と黒質網様部からの出力は,視床背内側核や前腹側核を経由して前頭連合野や運動前野に戻る.

(3)辺縁系ループ(Limbic loop);
辺縁皮質は側座核を中心とする尾状核の腹側部に投射し,
黒質網様部からの入力を受ける.

側座核は辺縁系(扁桃体,海馬,視床下部,側頭葉など)からの興奮性入力や
腹側被蓋野からのドーパミン作動性入力も受けている.

辺縁皮質と前頭前野には強い線維連絡があり,
このループは前頭前野系ループと共に,
認知情報の評価,情動や感情の表出,意欲などの高次脳機能や精神活動に関与する.

(4)眼球運動ループ(Oculomotor loop);
眼球運動領域(前頭眼野・補足眼野)と尾状核とを結ぶループは眼球運動に関与する.

このループで処理された情報は,眼球運動領域から上丘や橋の注視中枢へ送られると共に,
黒質網様部から上丘への線維投射を介して眼球運動を制御する.

特に後者はサッケード(Saccade;視野の中の物体に視線を向ける速い眼球運動)の発現に関与する.

基底核による運動調節メカニズムは,尾状核〜黒質網様部〜上丘系において最も解析が進んでおり[3],
この系におけるニューロン活動の動作原理が,大脳皮質─基底核ループや基底核─脳幹系の機能を解明する上での基盤となっている.

各々のループは独立して並列的な情報処理をすると考えられている.

しかし,ループ間での相互作用が基底核内において存在するのか否かは必ずしも明確になっていない.

【引用文献】
大脳基底核の機能;パーキンソン病との関連において
旭川医科大学 生理学第二講座
高草木 薫
参考文献
3.Hikosaka O, Takikawa Y, Kawagoe R : Role of the basal ganglia in the control of purposive saccadic eye
movements. Physiol Rev 80 : 953― 978, 2000.
4.Middleton FA & Strick PL : Basal ganglia and cerebellar loops : motor and cognitive circuits. Brain Res
Rev 31 : 236― 350, 2000.
14.高草木薫,斉藤和也,幅口竜也 & 杉本純子:大脳基底核による歩行と筋緊張の制御.脳の科学 23 ; 1049
― 1054, 2001.
15.Alexander GE, Delong MR & Strick PE : Parallel organization of functionally segregated circuits linking
basal ganglia and cortex. Ann Rev Neurosci 9 : 357―381, 1986.
16.Delong MR : The basal ganglia. In : Principles of neural science, 4th edition, Ed. Kandel ER, Schwartz JH
& Jessell TM, McGraw-Hill Press, Heath Professions Division pp 853-867, 2000
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総合診療科 医学博士 元外科学会専門医指導医、元消化器外科学会専門医指導医、元消化器外科化学療法認定医、元消化器内視鏡学会専門医、日本医師会産業医、病理学会剖検医
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