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2023年01月13日

IOG、カルダノ上のカスタムサイドチェーンを開発するためのツールキットの提供を開始

2023年1月12日付のInput Output Globalのブログ記事「IOG launches a toolkit for developing custom sidechains on Cardano」の内容です。

タイトル:IOG、カルダノ上のカスタムサイドチェーンを開発するためのツールキットの提供を開始

カルダノでのサイドチェーンの構築:ドキュメント、コンポーネント、および動作例

スクリーンショット (558).png

Input Output Global(IOG)は、カルダノの強固な基盤を利用して、カスタムサイドチェーンを開発するためのツールキットを構築するべく、専門エンジニアのチームを結成した。ツールキットを用いて、概念実証としてイーサリアム仮想マシン(EVM)互換のサイドチェーン公開テストネットを構築した。メインチェーンの安定性やセキュリティを損なわずにカルダノを拡張可能にし、さらにスケーラブルにしてくれるのがサイドチェーンだ。

サイドチェーンによるカルダノの拡張

カルダノは、学術研究に基づく第3世代のブロックチェーンで、数学的な正当性の証明のため、Haskellで書かれている。

Ouroborosコンセンサスプロトコルの分散化、セキュリティ、スケーラビリティは、5年以上にわたって数千個の独立したステークプールと数百万件のウォレットアドレスというスケールとボリュームによって証明されている。ネットワークは、2017年の創業以来、障害なく稼働している。

分散化と相互運用性は、ブロックチェーンの未来にとって重要だ。その機能によって、いかなる個人も団体もブロックチェーンを支配することはできず、また、1つのエコシステムだけに制限されることもない。エンジニアリングの観点からも社会的観点からも成長するためには、ほとんどのアプリケーションとコミュニティが独自の主権と設計の選択権を持つ必要がある。

この相互運用可能な環境を実現するため、IOGはサイドチェーンのファミリーを構築するためのツールキットの作成に取り組んできた。このツールキットを使えば誰でもカルダノのセキュリティとインフラを活用して、ミッションに特化したサイドチェーンを作り始めることができる。EVMサイドチェーンがこのコンセプトの実現可能性を証明している。この作業はいずれもカルダノコミュニティと共有され、完全にオープンソースとなる予定だ。第一段階としては、2022年11月下旬、エディンバラで開催されたIO ScotFestでEVMアプリケーションのデモが実施された。今現在、私たちは正式な文書の最初のトランシェを利用できるようにしている。

ツールキットについて

サイドチェーンとは、簡単に言えば、そのメインチェーンに依存し、接続されたブロックチェーンのことだ。

このツールキットを使えば、サイドチェーンは独自のコンセンサスアルゴリズムと機能を備えることができる。サイドチェーンは、チェーン間の資産移動を可能にするブリッジを介してメインチェーンに接続されている。ブロックの最終性は、メインチェーンのセキュリティに依存するコンセンサスメカニズムによって決定される。

ツールキットの構成は以下のとおりだ。

●メインチェーンのPlutusスクリプト:このスクリプトはカルダノのメインチェーン上で実行され、安全なクロスチェーン取引とトークン移動を可能にし、ミンティングポリシーを活用して、サイドチェーンのトークンをサポートする。
●チェーンフォロワー:チェーンフォロワーは、サイドチェーンを司るメインチェーンのデータとイベントを追跡する。v1ツールキットのリリースでは、これがカルダノのdb-syncインスタンスとなる。
●サイドチェーンモジュール:このモジュールはサイドチェーンクライアントの一部である。メインチェーンのデータを解釈し、必要な元帳の構造を実装する。

スクリーンショット (559).png
図1. サイドチェーンツールキットの構成要素

また、ツールキットには、カルダノのサイドチェーンの紹介と手引きも記載された技術仕様書が付属している。ツールキットのビルディングブロックは、開発者に以下のような権限を付与するよう設計されている。

●メインチェーンとカスタムサイドチェーン間でデータやアセットを移動させる。
●さまざまなコンセンサスプロトコル、台帳ルール、言語をサポートする。
●安全なサイドチェーンを立ち上げる。
●小さなチェーンのセキュリティを確保する。
●実験、インキュベーション、研究を可能にする。

EVMサイドチェーンアプリケーションはまだ監査中で、2023年1月後半にパブリックテストネットとして利用できるようになる。開発者は、Solidityアプリケーションをいくつか実行し、そのポテンシャルの感触を試すことができる。EVMサイドチェーンを使用するDApp開発者は、メインチェーンでデータの最終確認をしてからサイドチェーンに移動させるよう注意する必要がある。

サイドチェーンツールキットのコンポーネントを利用する
ブロックチェーン開発者、分散型アプリケーション(DApp)開発者、ステークプールオペレーター(SPO)、DAppユーザーは、いずれもカスタムサイドチェーンの恩恵を受けることができる。開発者はツールキットを使って、カルダノのセキュリティと分散化に基づく特定のユースケースに対応したブロックチェーンを作成することができる。

この方法で作成されたブロックチェーンは、既存のSPOコミュニティのサポートを活用し、カルダノの信奉者らで構成される熱心なコミュニティから利益を得ることができる。

DApp開発者にとっては、カスタムサイドチェーンは相互運用性、スケーラビリティ、テスト容易性、互換性の面でメリットがある。

相互運用性

メインチェーンとサイドチェーン間の最も基本的な通信は、アセットの交換である。アセットがサイドチェーンに転送されてもその性質が維持されるため、同じく簡単に転送し直すことができる。ブリッジの仕組みはこのやりとりを可能にする。双方のチェーンが安全であるかぎり、この安全性は双方向の送金に引き継がれる。

メインチェーンとサイドチェーン間の通信により、それぞれのコンセンサスプロトコルやブロック形式を維持しながらも連携することができ、従来よりも幅広い応用が可能になる。

スケーラビリティ

プロジェクトマネージャーが、良いか、速いか、安いかの(どれか2つを選ぶ)選択肢があるのと同じように、ブロックチェーンも分散化、セキュリティ、スケーラビリティという3つの拮抗する目的を選択する必要がある。

サイドチェーンはアプリケーションのドメインに特化できるため、トランザクションを速く完了させることができ、メインチェーンからこの負荷を軽減することができる。サイドチェーンのスケーラビリティの向上は、セキュリティを損なわずに実現することができ、分散化に影響を及ぼさずに済む。

テスト容易性

開発者は、専用のサイドチェーンでパイロットDAppsをテストすることができる。チェーンへのインターフェースの再起動や修正をしなければならないような障害が発生したら、影響を受けるのはメインチェーンではなくサイドチェーンだけで済む。このフェーズは、実験的な機能や新しいアプリケーションのためのテストネット運用と本格的なメインネットへのリリースの間を取り持つ中間段階として機能する。

互換性

サイドチェーンは、既存のチェーンと同じアプリケーションプログラムインターフェース(API)を公開し、カルダノのコンセンサスプロトコルのセキュリティと効率性を利用することができる。たとえば、カルダノEVMサイドチェーンは、マイナーを必要としないSolidityの実行環境を提供しつつも、イーサリアムのJSON RPCメソッドを提供する。イーサリアムのスマートコントラクトは変更せずに、ガス代をかなり安価に抑えながら実行することができる。

SPOの場合

SPOがサイドチェーンノードも運営することにした場合、サイドチェーンは、そのプールがADAだけでなく、さらに多くのトークンを授与することを可能にし、SPOに機会提供をすることになる。このようなサイドチェーン固有のトークンは、さまざまな目的を果たすことができ、その結果、ネットワークに参加するデリゲーターを惹きつけることができる。サイドチェーンでの報酬の設定方法によっては、サイドチェーンのブロック作成者がブロックを構築し、検証し、ネットワークのセキュリティに貢献することによって、新しいトークンで報酬を得ることができる。カルダノのSPOは誰でも、サイドチェーンのブロックを検証することも選択できる。その場合、追加サービスを提供し、さらに多くのリソースを利用することによって、追加収入から利益を得ることができる。

SPOがサイドチェーンブロックを検証することを選択した場合、リソースを追加する必要がある。サイドチェーンを保存するにはいくらかのディスクスペースが必要で、さらにチェーンフォロワーとサイドチェーンノードの2つのプロセスを実行しなければならない。

DApp利用者へ

チェーン間の相互運用性の向上、開発プロセスの簡素化、開発プラットフォームの増加、取引手数料の低減により、DAppの数と種類が増加する傾向にある。カルダノのサイドチェーンが増えるということは、革新的なブロックチェーンのデザインやユースケースが多様性を増し、ステーク報酬の総額が増えるということで、さらに多くのSPOやデリゲータを惹きつけることになり、その結果、セキュリティの強化と分散化を確保できるようになる。それが、サイドチェーンエコシステムのポテンシャルと言える。

まとめ

サイドチェーンツールキットは、スケーリングフェーズであるBasho時代に提供されるカルダノロードマップ上の最新のサービスであり、プログラマビリティも相互運用性もスケーラビリティも向上させて導入する。サイドチェーンの開発は、分散性やセキュリティを低下させずに、はるかに高いスループットを実現することによって、カルダノの大量採用への道を開くものである。ブロックチェーン開発者は、もっと簡単にカスタムサイドチェーンを作成することができるようになる。最終的に、IOGはカルダノのサイドチェーンとパートナーチェーンのファミリーの出現を待望している。

EVMサイドチェーンのパブリックテストネットは2023年1月にリリースされ、コミュニティはDAppsのデプロイ、スマートコントラクトの作成、テスト環境のチェーン間でのトークンの移動ができるようになる予定である。

1月にリリースされるツールキットは、完全なソリューションではない。ブリッジエクスペリエンス、SPO報酬メカニズム、セキュリティモデルなど、改善すべきいくつかの領域があることがわかっている。このような領域はいずれも、コミュニティとともに、注意深く、着実に、フィードバックやアイデアや提案を求めつつ、協力しながら取り組んでいく。

改善すべき点は多く、サイドチェーンの運営方法もさまざまである。しかし、私たちがIOGの中で開発したものが機能の中核を成し、一式のツールを構築し、コミュニティと協力して今後も改善を進めていくための強固な基盤にしたいと思う。

今後も詳しいドキュメントやビデオチュートリアルを順次公開していくことを予定しており、いつもどおり、IOGのソーシャルメディアをフォローすれば、最新情報を入手することができます。

サイドチェーンの技術仕様開発ドキュメントを読み、IOGの技術コミュニティDiscordに参加して、議論を進めてください。近々、興味のある開発者のためのDiscordステージを開催するため、IOGの開発者向けニュースレターに登録し、お知らせを受け取ってください。商用およびパートナーシップに関するお問い合わせは、お問い合わせページからIOGにご連絡ください。

以上です。

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