ヨークシャーテリア みるくの物語　♪

ぼく＝くるみ

最近、ぼくのまわりで犯罪が勃発している。
その犯罪とは「おもちゃ泥棒」である。


この「おもちゃ泥棒」なかなかのやつで
ぼくの他のおもちゃにはほとんど興味はしめさない。
巷では「したぎ」と呼ばれている
ぼくのお気に入りのおもちゃをターゲットとしているようだ。

「したぎ」を見つけ
狙いを定めると
思いっきり手を伸ばして奪い、
ぼくの届かないところにしまってしまう。
その動作はなかなか知的だ。

しかしこの泥棒、結構間抜けなところがあり
奪った「したぎ」は
翌日の洗濯物のタオルなどと一緒に
ソファの上に必ず置いているのだ。

いつまでの泣き寝入りしているわけにはいかない。
ぼくは勇気をだして「したぎ」を取り返すべき行動をおこす。
そうっと洗濯物に近付いた。
やつはまだ気付いていない。
たぁっとジャンプして「したぎ」をくわえた時
はっ。気付かれた！？
こっちを見ている！
追ってくる。

だが、ぼくの足のほうが速かった。
泥棒のダッシュもなかなかのものだったが
明らかにやつはぼくのことを甘く見ていた。
やつは敗北の目でぼくを見つめていた。
ぼくは見事奪還に成功したのである。


ところが、この泥棒
全く悪びれる様子もない。
「返してよ」とまるで自分のもののように
追いかけてくる。
まるでジャイ子のようだ。

今日もおもちゃ泥棒は
「したぎ」にむかって
手を伸ばしてくる。