2009年05月01日
勝谷誠彦の××な日々。2009年5月1日号。<メキシコも今日から5連休ながら大統領は外出自粛を呼びかけ、日本国は能天気な行楽地賑わい情報>。
2009年5月1日号。<メキシコも今日から5連休ながら大統領は外出自粛を呼びかけ、日本国は能天気な行楽地賑わい情報>。
4時起床。
わかってはいたがやはり新聞広告を見ると何かが終わった、いや崩壊した手触りがある。『諸君!』の廃刊号の広告だ。
http://www.bunshun.co.jp/mag/shokun/
正直言って、自分がいたどんな雑誌の廃刊よりも衝撃が大きい。文藝春秋にかつて籍を置き、かなわなかったものの、いちどは『諸君!』で働きたかったという個人的な気持ちはさておいても、日本国はやはり何かを失った、いや失わせるような国になってしまったのだと思う。
文春内部でも今回の廃刊についてはちゃんとしたコンセンサスが出来ていないとは、社内のあちこちから聞こえてきた。いわば看板のひとつを、あまりにあっけなく降ろしてしまうほど経営体質が弱まっているとすれば、痛々しい。
とはいえ、最終号の目次や登場人物を見ると、これは文春や『諸君!』だけのせいではなく、保守と称する論壇そのものが、ついに次世代を育てられないままに滅んでいくのだとも思う。そしてまた保守とは何かを、結局は自己証明できないままに。
かつて私は「アベイスト」という言葉を使って情緒的保守を批判した。利権談合共産主義とのかかわりを清算せず、具体的に言うならば日本国中のうさぎ追いしかの山、小鮒釣りしかの川、白砂青松の海岸をことごとくコンクリートで固めて得たカネで保守を標榜する政権を維持しながら「美しい国」と同じ口でほざくような奴らを持ち上げていれば、それは心中するほかにないと指摘してきた。
指摘しながらも、私はそこからどうやって再び保守論壇が立ち上がって来るのかと見ていたが、今のところその兆候はない。
その結果がついに『諸君!』の廃刊である。あとに残されたのは同様な滅亡への路線を走る『正論』とアジテーテョンじいさん雑誌の『WiLL』ということか。
民主党が政権をとった時に、批判勢力としてのきちんとした保守論壇は不可欠だ。その危機感があるやなしや。
まあ右翼からは左翼と批判され、左翼からは右翼と叱られる私にはどうでもいいことだけどね。
ニュヨークタイムズについに意見広告が掲載された喜びで昨日は一本書いてしまったが、あのしらせが突然飛びこんでこなければ、私は豚インフルエンザに対するこの国の政府と国民のあまりな無警戒ぶりに警鐘を鳴らすはずだった。
この日記がいかなる報道よりも早くから事態の深刻さを指摘し、起こりうることを予測して的中させていることについては、医療関係者からもお褒めを頂戴している。
しかし、そんなものは素人の私が普通に考えても当たり前のことであり、むしろ政府や大マスコミや国民のみなさんのの想像力の欠如が私には不思議でならない。
誰ひとり現場にいかないでメキシコの映像を深刻ぶって流しながら、画面が切り替わると「黄金週間の出国ラッシュで賑わう空港」を映し出す。頭がおかしいんじゃないかと思うのは私だけだろうか。
「やっぱり怖いです〜」とか言うゆる口女がマスクをしてゲートをくぐっていく。あっ、ゆる口かどうかはマスクでわからないけど、口調からね(笑)。自分や自国民の命と、目先のレジャーとの軽重がわからないのである。いつも指摘している、日本人に蔓延している「コトの優先順位が理解できない」症候群だ。
いいですか。あの空港の光景は「世界中にウィルスの採取のために運搬装置を送り出している状態」なんですよ。火中の栗を拾うどころではない。爆薬を背負って火の中に飛びこむことを国民に奨励しているのだ。
本来ならば渡航禁止はできなくとも、強烈な警告を政府はして「本当に必要な渡航かどうか」を考え直させるべきなのである。
WHOがフェーズ5に警告を引き上げている世界に、よりによって年間で最多の日本人を送り出す狂気をなぜ大マスコミは指摘しないのか。今日あたりから連休後半の出国ラッシュが始まる。今からでも遅くはない。ここで止めるならば、全体の半分の人たちの出国を阻止でき、リスクは確実に減る。
それとも6日あるいは10日あたりに、ハイリスクグループが怒濤のように押し寄せる光景を政府はそんなに作りたいのか。今からその日までの間に、世界の感染状況がどれほど悪化するかという想像力が働かないのか。
現在のところウィルスが弱毒性であるということへの油断があると思う。
確かに今回のH1N1型はH5N1型などに比べて毒性が弱い。しかし20世紀初頭に大流行して4千万人が死んだと言われるスペイン風邪もH1N1型だった。
この時は何度か流行の波が訪れる中で、ウィルスが強毒性に変化したとも言われるが、理由はいまもってさだかではない。不気味なのは、この時も若年者が多く死んでいることだ。メキシコでいま起きていることと同じである。
ということは、ひょっとすると今回の場合も最初の発生源はメキシコではないのかもしれない。そこからメキシコへ伝播したウィルスが、かの地で変化して強毒性となったという想像も十分に考えられる。DNAの解析を通じて、ウィルスが伝わっていった道筋を明らかにすることが急がれる。
このウィルスの「変化」とはどういうことか。つまり、いったんウィルスが世界中にばらまかれてしまったならば、あとはウィルス任せということなのだ。どこで強毒性に変化するかは、まさに運を天に任せるしかない。だからこそ、まずはウィルスが広がることを防ぐのが大切なのである。
日本国政府が「毒性が強くないので安心して下さい」と広報しているのは、パニックを防止する意味では効果があるかもしれないが、コトの一面しか伝えていないことを私たちは知っておくべきだ。
それどころかその広報を自分に有利に解釈して、今日も海外にいそいそと出かけていく人たちが多いことを、政府はどこまで自覚しているのか。私は寡聞にして、今回のインフルエンザのために、海外旅行を中止にしたという人の話を聞かない。
成田空港の行列の映像を見ながら、私はこれも戦後60年の妄想的平和主義が作り上げてしまった一種の「平和ボケ」だと痛感する。「私だけには起きない」のだ。
「日本だけは攻められない」と教育されてきたのだから「私だけはインフルエンザに感染しない」と信じ込んで火の中へ突っ込んでいっても批判できないだろう。
しかし、と私は彼ら彼女らに申し上げておく。
同じ便に感染の可能性がある人物が乗り合わせていた場合、同乗者も10日間にわたって隔離される可能性があることを、知って出かけていくのでしょうか。
<機内簡易検査15分 疑いあれば隔離−−厚労省、対応決める>
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090430ddm041040039000c.html
<厚生労働省は29日、新型インフルエンザ(H1N1)発生国からの帰国者に対する診断手順と対応方法をまとめた。A香港型(H3N2)以外のA型インフルエンザに感染しているか、症状や発生国での患者などとの接触歴からその可能性が高い場合、検疫法に基づいて隔離入院の措置が取られる。隔離された人と機内で長時間近くにいた「濃厚接触者」も、入国を認めずホテルなどに最長10日間留め置くことになっている。>
帰国して翌日から仕事の予定など入れていませんか?そこから10日間会社に行かないで大丈夫ですか?普通に流行するソ連型もH1N1なので正確な結果が出るまで隔離されますよ。
おそらくその可能性は、私がたびたび行っていた戦場で弾に当たるよりもはるかに確率が高い。「よくそんなところに行きますね」と私はよく言われたものだが、そのことばを私はあなたがたにそのまま返したい。
「よくそんなところに行きますね」と。
そんな中で、ついに豚インフルエンザの陽性患者が出た。
<新型インフル、国内初の感染疑い例/横浜の男子高校生>
http://www.asahi.com/national/update/0430/TKY200904300275.html
<舛添厚生労働相は1日未明、記者会見し、国内で初めて、新型の豚インフルエンザの疑いがある患者が見つかったと発表した。カナダから帰国した横浜市に住む日本人男子高校生(17)という。今後、さらに詳しく調べて、新型インフルエンザ患者と確認されれば、国内初の症例となる。同行者がおり、複数の感染者が出ている可能性があるという。ただし、現段階ではAソ連型の可能性も残っている。>
報道と人権の問題に大マスコミはまた直面するね。完全な陽性となった場合に、学校名も含めてこの高校生の動いた場所をすべてに公開するのだろうか。
本来ならば乗っていた便までも書いて、同乗者に今の時点で注意喚起をすべきなのだろうが、そこは腰が引けている。
私はマスコミですらなく、これは私信なので少しでもあなたや、あなたにリスクを回避をしていただくべく書くが、今のところ入ってきている情報では、この高校生が通っているのは横浜市の港南台駅近くにある高校のようだ。
乗ってきた飛行機は日本航空のJL17便。メキシコシティからきた機材をそのまま使っているとの情報もあるがさだかではない。しかし、別機材の場合でも、このフライトはメキシコシティからのJALのコードシェア便の乗客が乗り継ぐので、同国からの感染者が乗りこんでくる可能性は非常に高い。
豚インフルのウィルスの潜伏期間は10日以内なので、当該の生徒はカナダで感染したというよりも、機内でウィルスをもらった可能性の方が高いのではないか。
となれば、一緒に移動していた生徒たちの健康がまことに危ぶまれる。今回の報道が出る前から、生徒たちの間では健康への不安が囁かれていたという情報もある。冗談で「豚インフルじゃねえの」などと言い合っていたとも。
500人の生徒たちがこの間に移動して接触した相手を考えると、ちょっと想像を絶する。皮肉なことに横浜市ではこの黄金週間に狙いを定めて開港博が29日から始まった。
http://event.yokohama150.org/
とってつけたようにこんなことを言い始めてはいるが、
<衛生管理への対応につきまして>
http://event.yokohama150.org/news/20090428.html
<■ 飲食の前に、手洗い、うがいを行うようお願いいたします。
■ 具合が悪くなられた場合、すぐに近くのスタッフにお申し出ください。>
こりゃ、幼稚園児に言うのと同じレベルだ(笑)。
当該の高校生が正式の検査でも陽性だった場合、政府はどういう対応をとるのか。一緒に旅行した500人の高校生の行動の軌跡をすべてチェックするのか。同乗していた乗客たちの追跡もするのか。
これらは最低限行われるべきことだろうが、その結果、横浜市を中心に無数の接触が行われており、その先でも感染者が見つかった場合、開港博をはじめとする、横浜市内での大規模イベントはどう対応するのか。黄金週間のど真ん中でのことなので、まことに見ものである。皮肉っているのではない。真の危機管理が試されると言いたいのだ。
実は日本国以外に、まさに今日から大型連休を迎える国がもうひとつある。
メキシコだ。
かの国では大統領が外出を控えるようにという指示を出した。
<「連休中の外出自粛を」メキシコ大統領、国民に呼びかけ>
http://www.asahi.com/international/update/0430/TKY200904300259.html
まるで神の見えざる手が書く小説のようだ。この判断の違いが太平洋をはさんで明暗を分ける展開にならないように願いたい。
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(c)2009 勝谷誠彦、katsuyamasahiko.jp All Rights Reserved.
4時起床。
わかってはいたがやはり新聞広告を見ると何かが終わった、いや崩壊した手触りがある。『諸君!』の廃刊号の広告だ。
http://www.bunshun.co.jp/mag/shokun/
正直言って、自分がいたどんな雑誌の廃刊よりも衝撃が大きい。文藝春秋にかつて籍を置き、かなわなかったものの、いちどは『諸君!』で働きたかったという個人的な気持ちはさておいても、日本国はやはり何かを失った、いや失わせるような国になってしまったのだと思う。
文春内部でも今回の廃刊についてはちゃんとしたコンセンサスが出来ていないとは、社内のあちこちから聞こえてきた。いわば看板のひとつを、あまりにあっけなく降ろしてしまうほど経営体質が弱まっているとすれば、痛々しい。
とはいえ、最終号の目次や登場人物を見ると、これは文春や『諸君!』だけのせいではなく、保守と称する論壇そのものが、ついに次世代を育てられないままに滅んでいくのだとも思う。そしてまた保守とは何かを、結局は自己証明できないままに。
かつて私は「アベイスト」という言葉を使って情緒的保守を批判した。利権談合共産主義とのかかわりを清算せず、具体的に言うならば日本国中のうさぎ追いしかの山、小鮒釣りしかの川、白砂青松の海岸をことごとくコンクリートで固めて得たカネで保守を標榜する政権を維持しながら「美しい国」と同じ口でほざくような奴らを持ち上げていれば、それは心中するほかにないと指摘してきた。
指摘しながらも、私はそこからどうやって再び保守論壇が立ち上がって来るのかと見ていたが、今のところその兆候はない。
その結果がついに『諸君!』の廃刊である。あとに残されたのは同様な滅亡への路線を走る『正論』とアジテーテョンじいさん雑誌の『WiLL』ということか。
民主党が政権をとった時に、批判勢力としてのきちんとした保守論壇は不可欠だ。その危機感があるやなしや。
まあ右翼からは左翼と批判され、左翼からは右翼と叱られる私にはどうでもいいことだけどね。
ニュヨークタイムズについに意見広告が掲載された喜びで昨日は一本書いてしまったが、あのしらせが突然飛びこんでこなければ、私は豚インフルエンザに対するこの国の政府と国民のあまりな無警戒ぶりに警鐘を鳴らすはずだった。
この日記がいかなる報道よりも早くから事態の深刻さを指摘し、起こりうることを予測して的中させていることについては、医療関係者からもお褒めを頂戴している。
しかし、そんなものは素人の私が普通に考えても当たり前のことであり、むしろ政府や大マスコミや国民のみなさんのの想像力の欠如が私には不思議でならない。
誰ひとり現場にいかないでメキシコの映像を深刻ぶって流しながら、画面が切り替わると「黄金週間の出国ラッシュで賑わう空港」を映し出す。頭がおかしいんじゃないかと思うのは私だけだろうか。
「やっぱり怖いです〜」とか言うゆる口女がマスクをしてゲートをくぐっていく。あっ、ゆる口かどうかはマスクでわからないけど、口調からね(笑)。自分や自国民の命と、目先のレジャーとの軽重がわからないのである。いつも指摘している、日本人に蔓延している「コトの優先順位が理解できない」症候群だ。
いいですか。あの空港の光景は「世界中にウィルスの採取のために運搬装置を送り出している状態」なんですよ。火中の栗を拾うどころではない。爆薬を背負って火の中に飛びこむことを国民に奨励しているのだ。
本来ならば渡航禁止はできなくとも、強烈な警告を政府はして「本当に必要な渡航かどうか」を考え直させるべきなのである。
WHOがフェーズ5に警告を引き上げている世界に、よりによって年間で最多の日本人を送り出す狂気をなぜ大マスコミは指摘しないのか。今日あたりから連休後半の出国ラッシュが始まる。今からでも遅くはない。ここで止めるならば、全体の半分の人たちの出国を阻止でき、リスクは確実に減る。
それとも6日あるいは10日あたりに、ハイリスクグループが怒濤のように押し寄せる光景を政府はそんなに作りたいのか。今からその日までの間に、世界の感染状況がどれほど悪化するかという想像力が働かないのか。
現在のところウィルスが弱毒性であるということへの油断があると思う。
確かに今回のH1N1型はH5N1型などに比べて毒性が弱い。しかし20世紀初頭に大流行して4千万人が死んだと言われるスペイン風邪もH1N1型だった。
この時は何度か流行の波が訪れる中で、ウィルスが強毒性に変化したとも言われるが、理由はいまもってさだかではない。不気味なのは、この時も若年者が多く死んでいることだ。メキシコでいま起きていることと同じである。
ということは、ひょっとすると今回の場合も最初の発生源はメキシコではないのかもしれない。そこからメキシコへ伝播したウィルスが、かの地で変化して強毒性となったという想像も十分に考えられる。DNAの解析を通じて、ウィルスが伝わっていった道筋を明らかにすることが急がれる。
このウィルスの「変化」とはどういうことか。つまり、いったんウィルスが世界中にばらまかれてしまったならば、あとはウィルス任せということなのだ。どこで強毒性に変化するかは、まさに運を天に任せるしかない。だからこそ、まずはウィルスが広がることを防ぐのが大切なのである。
日本国政府が「毒性が強くないので安心して下さい」と広報しているのは、パニックを防止する意味では効果があるかもしれないが、コトの一面しか伝えていないことを私たちは知っておくべきだ。
それどころかその広報を自分に有利に解釈して、今日も海外にいそいそと出かけていく人たちが多いことを、政府はどこまで自覚しているのか。私は寡聞にして、今回のインフルエンザのために、海外旅行を中止にしたという人の話を聞かない。
成田空港の行列の映像を見ながら、私はこれも戦後60年の妄想的平和主義が作り上げてしまった一種の「平和ボケ」だと痛感する。「私だけには起きない」のだ。
「日本だけは攻められない」と教育されてきたのだから「私だけはインフルエンザに感染しない」と信じ込んで火の中へ突っ込んでいっても批判できないだろう。
しかし、と私は彼ら彼女らに申し上げておく。
同じ便に感染の可能性がある人物が乗り合わせていた場合、同乗者も10日間にわたって隔離される可能性があることを、知って出かけていくのでしょうか。
<機内簡易検査15分 疑いあれば隔離−−厚労省、対応決める>
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090430ddm041040039000c.html
<厚生労働省は29日、新型インフルエンザ(H1N1)発生国からの帰国者に対する診断手順と対応方法をまとめた。A香港型(H3N2)以外のA型インフルエンザに感染しているか、症状や発生国での患者などとの接触歴からその可能性が高い場合、検疫法に基づいて隔離入院の措置が取られる。隔離された人と機内で長時間近くにいた「濃厚接触者」も、入国を認めずホテルなどに最長10日間留め置くことになっている。>
帰国して翌日から仕事の予定など入れていませんか?そこから10日間会社に行かないで大丈夫ですか?普通に流行するソ連型もH1N1なので正確な結果が出るまで隔離されますよ。
おそらくその可能性は、私がたびたび行っていた戦場で弾に当たるよりもはるかに確率が高い。「よくそんなところに行きますね」と私はよく言われたものだが、そのことばを私はあなたがたにそのまま返したい。
「よくそんなところに行きますね」と。
そんな中で、ついに豚インフルエンザの陽性患者が出た。
<新型インフル、国内初の感染疑い例/横浜の男子高校生>
http://www.asahi.com/national/update/0430/TKY200904300275.html
<舛添厚生労働相は1日未明、記者会見し、国内で初めて、新型の豚インフルエンザの疑いがある患者が見つかったと発表した。カナダから帰国した横浜市に住む日本人男子高校生(17)という。今後、さらに詳しく調べて、新型インフルエンザ患者と確認されれば、国内初の症例となる。同行者がおり、複数の感染者が出ている可能性があるという。ただし、現段階ではAソ連型の可能性も残っている。>
報道と人権の問題に大マスコミはまた直面するね。完全な陽性となった場合に、学校名も含めてこの高校生の動いた場所をすべてに公開するのだろうか。
本来ならば乗っていた便までも書いて、同乗者に今の時点で注意喚起をすべきなのだろうが、そこは腰が引けている。
私はマスコミですらなく、これは私信なので少しでもあなたや、あなたにリスクを回避をしていただくべく書くが、今のところ入ってきている情報では、この高校生が通っているのは横浜市の港南台駅近くにある高校のようだ。
乗ってきた飛行機は日本航空のJL17便。メキシコシティからきた機材をそのまま使っているとの情報もあるがさだかではない。しかし、別機材の場合でも、このフライトはメキシコシティからのJALのコードシェア便の乗客が乗り継ぐので、同国からの感染者が乗りこんでくる可能性は非常に高い。
豚インフルのウィルスの潜伏期間は10日以内なので、当該の生徒はカナダで感染したというよりも、機内でウィルスをもらった可能性の方が高いのではないか。
となれば、一緒に移動していた生徒たちの健康がまことに危ぶまれる。今回の報道が出る前から、生徒たちの間では健康への不安が囁かれていたという情報もある。冗談で「豚インフルじゃねえの」などと言い合っていたとも。
500人の生徒たちがこの間に移動して接触した相手を考えると、ちょっと想像を絶する。皮肉なことに横浜市ではこの黄金週間に狙いを定めて開港博が29日から始まった。
http://event.yokohama150.org/
とってつけたようにこんなことを言い始めてはいるが、
<衛生管理への対応につきまして>
http://event.yokohama150.org/news/20090428.html
<■ 飲食の前に、手洗い、うがいを行うようお願いいたします。
■ 具合が悪くなられた場合、すぐに近くのスタッフにお申し出ください。>
こりゃ、幼稚園児に言うのと同じレベルだ(笑)。
当該の高校生が正式の検査でも陽性だった場合、政府はどういう対応をとるのか。一緒に旅行した500人の高校生の行動の軌跡をすべてチェックするのか。同乗していた乗客たちの追跡もするのか。
これらは最低限行われるべきことだろうが、その結果、横浜市を中心に無数の接触が行われており、その先でも感染者が見つかった場合、開港博をはじめとする、横浜市内での大規模イベントはどう対応するのか。黄金週間のど真ん中でのことなので、まことに見ものである。皮肉っているのではない。真の危機管理が試されると言いたいのだ。
実は日本国以外に、まさに今日から大型連休を迎える国がもうひとつある。
メキシコだ。
かの国では大統領が外出を控えるようにという指示を出した。
<「連休中の外出自粛を」メキシコ大統領、国民に呼びかけ>
http://www.asahi.com/international/update/0430/TKY200904300259.html
まるで神の見えざる手が書く小説のようだ。この判断の違いが太平洋をはさんで明暗を分ける展開にならないように願いたい。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
(c)2009 勝谷誠彦、katsuyamasahiko.jp All Rights Reserved.
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