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2015年10月02日

麻布十番では傘の骨を折らない程度が見られる

夕方の麻布十番は普段と同じくらいの混み方だ。
きょうは雨が降っている。
歩道を中年女性がビニール傘をさして行く。
彼女と行き違う、白人男性は180センチ・80キロ。
雨が降ってるというのにイギリス人なのか、傘はさしていない。
イギリス人かどうかはともかく、彼が過去、傘の骨を折り言い合いがあったことは識っている。

中年女性は視野が狭いような、訥々とした歩き方で白人男性を気にしない。
傘が明らかに邪魔なのに。
行き違いざまに白人男性は、肩にぶつかるそのビニール傘を左手で押し除ける。
押しのけつつ女性を見下ろし獣のような低い唸り声を浴びせた。
「あっごめんなさい」高い声で中年女性は腰をかがめる。
白人男性は歩みを進める。


・すぐに「ごめんなさい」と言う
・傘の骨が折れない程度に、押し除ける

すれ違って後、中年女性は「怖いわ」と思うだろう。
歩みを進めつつ白人男性は「ナイーブだ」と思うのだろう。

この時僕は、〔だからサッカーだ。フットボールをやるんだ。〕と、改めて思い出した。



イギリス人かどうかはともかく、彼が過去、傘の骨を折り言い合いがあったことは識っている。

行き違いに、肩にぶつかるそのビニール傘を左手で押し除ける。
骨が折れない程度の強さで押す〔心得〕が白人男性にはある。
僕にそれがたやすく出来るためには、同じことを何度経験する必要があるだろう。

白人男性はこの〔心得〕を得るまでにたぶん僕よりも多い経験が必要だろう。
日本人は器用だからね。
経験の中にはたぶん、傘の骨を折ったこともあるだろうし、そうであれば言い合いにもなっただろう。

しかしそうして、彼は、相手に力でもって意志を示し、しかし損害は与えない。という行為を、
実にスマートにやってのけている。



中年女性は、すぐに「ごめんなさい」と言う

〔ごめんなさい〕と、〔すみません〕は、たぶん多くの外国人が最初に知る日本語だろう。
そうしてこの単語を簡単に使う外国人を僕は知らない。
知ってはいるが使わないのだろう。

麻布十番で見かけた場景での、ごめんなさい。は、まことに妥当であったが、
挨拶がわりのようにぼくらは、この単語を使う。
それが文化だとして、好意をもってここで過ごすが、世界ではそうではないことも判っていないとね。



サッカープレーヤーは皆、同じルールの中でプレーしている。
そこに国ごとの違いは無い。

接触プレーになって後に彼らにインタビューしたら多分こう言う。
「やられたらやり返す」
しかし相手に損害を与えてはいけない。損害を与えない程度に〔やり返す〕

同じ年齢のプレーヤーのチームで過ごす時期がある。
そのうち、年齢に関係なく、技量が同じレベルのチームに再編されることもある。その時、女性の保護者にはよく、
もっと歳を重ねたらそのようになるのだから、だから、今からそうする必要もない。と言う。

いつかは厳しい状況になるのは判っている。
だができるだけ先送りしたい。ということだろう。



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