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2024年09月01日

トーマス・マンとファジィ10

 要素自体がファジィの場合を考えてみよう。例えば、10ではなく、だ いたい10または10 ±10%などの扱い方が問題になる。すべての測定値は、 通常、絶対的な量や値ではなく、多かれ少なかれ許容範囲を伴う大きさである。つまり、測定器または測量器が示す値は、無条件で受け入れら れるべきではなく、常に測定器などの公差を伴うものとする。こうしたことは、測定技術において自明なことである。上記の数字は、インター バルとして考察され、数字自体(例えば、測定値)は、その中央に存在 し、その幅は、公差によって規定される。例えば、体温計が、36℃の体温を示しているとする。その公差を±1%とすると、メンバーシップ関 数による表記は、三角形になる。
 測定値(36℃)とインターバルの制限を確認する。精度の低い測定器は、公差が大きく、大きなインターバルになる。一方、精度が高い測定器は、限りなく公差が小さく唯一の明白な値となる。また、垂直の線は、公差による値が問題となることを示している。
 では、曖昧な数字のメンバーシップ値は、どのように算出できるのであろうか。最善の方法は、双方のメンバーシップ関数の交点において最大値を選択することであろう。例えば、体温計による測定値 36.0℃ ±0.4℃と健康の目安といえる曲線の流れが与えられる。それらを重ねると、その結果としてが出てくる。ファジィ集合「病気」に対する36.0°C 士 0.4℃のメンバーシップ値は、0.3から0.6 の範囲だが、最大値を使用することが実践的である。さらに、 多くのファジィ集合が問題になる場合もある。平温には個人差があり、低い人もいれば、高い人もいる。但し、ここで紹介した方法とは異なるものが、よりうまくこうした問題を解決できるならば、無論それをやさしい曖昧な数学に取り入れることに異論はないであろう。

花村嘉英(2005)計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?より

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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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