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2024年02月18日

高行健の「朋友」で執筆脳を考える2

2 文学の理由−20世紀の中国文学

2.1 文学と作家

 高行健は、文学の理由として一人の作家の声について説明する。作家も人民の代弁者とか正義の化身として説けば、微弱ではない。個人の声は、真実に至る。彼の言い分は、文学も個人の声であり、国家の頌歌や民族の手本となり、伝搬手段を用いて勢いが増し、天地を覆いつくすも、すぐに本性を喪失し権力や利益の代用品に変わる。 
 この一世紀、文学は、不幸に見舞われた。政治の権力が深まり、作家は甚だしく迫害を受けた。文学は、自身の存在理由を擁護し政治の道具にならないようにする。そして、個人の感受を出て、文学が政治を離脱するとか政治に口出しし、関連する所謂傾向性や作家の政治傾向など、これに類する論戦も20世紀ならではの文学の病気といえる。こうした相関が起す伝統の革新や保守革命は、文学の問題を進歩に変え、反動の争いを起し、皆の意識形態を怪しくする。意識形態が権力と結合し、現実の勢力に変わり、文学は、個人が共に災いを被るようにする。  
 20世紀の中国文学の災難は、文学の革命が個人を死地に置いたことであり、革命の名義を持って中国の伝統文化の盗伐が公然と禁書や焼書をもたらした。作家は、殺害を被り監禁され、放流そして罰せられ、苦役をもってこの百年に関し計算するものがなくなり、中国の歴史上、一時代では比較の仕様もなく無比の苦難に満ち、自由な創作がさらに難しくなった。

花村嘉英(2021)「高行健の『朋友』で執筆脳を考える」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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