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2022年01月28日

モンタギュー文法からGPSGへ−イディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正3

2.2 GPSGの統語規則 

 GPSGの統語部門は、表示レベルを単層で扱える一応均一な文脈自由の句構造文法(Phrase Structure Grammar: PSG)になっている。X−バー理論の手法を継承してはいるが、カテゴリーに関しては、原始的な記号(S、N、V・・・)ではなく、素性と素性値の束からなるという考えをさらに進めて、それらの依存性(素性共起制限Feature Co-occurrence Restriction: FCR)やそれらの通常値(素性値指定黙約 Feature Specification Defaults: FSD)をも指定している。* 
 PSGに関しては、親と娘の直接支配関係と娘間の線的順序に関する情報も二分され、前者は、ID(Immediate Dominance)規則、後者は、LP(Linear Precedence)規則になりうる。* ID規則は、さらにメタ規則により新たにID規則にもなりうる。* ID規則内では統語素性が受け渡されるが、その際の制約として足素性原理(Foot Feature Principle: FFP)、制御一致原理(Control Agreement Principle: CAP)、主要部素性原理(Head Feature Structure: HFC)が設定されている。*これらの規則や制約が複合体をなして部分木を認可する役割を果たしている。

花村嘉英(2022)「モンタギュー文法からGPSGへ−イディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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