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2019年05月07日

ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」で執筆脳を考える4

 共生の読みは、コンパクトなスケッチ風の空間描写を好むベルの文体から、「大脳辺縁系と頭頂連合野」にする。大脳辺縁系は、本能や情動を司り、記憶の海馬、好き嫌いの扁桃体、やる気の側座核などからなる。これに対して、感覚、思考、判断といった行動を司っているのは、大脳皮質である。大脳皮質は、思考、判断、創造の前頭葉、刺激を筋肉に送り運動を制御する頭頂葉、記憶の側頭葉、視覚の後頭葉という4つの脳葉がある。
 さらに、高島(2006)では、機能面の領野として、五感の情報を受け取る感覚野、運動を制御する運動野、大脳各部からの情報を受け取り統合して言語や思考を判断する連合野を加えている。連合野とは、記憶を蓄積する側頭連合野、感覚や空間認識の情報を処理する頭頂連合野、創造性、やる気、反省、自己顕示欲といった精神活動の前頭連合野である。
 ハインリッヒ・ベルの作品では空間認識が重要な情報となっているため、シナジーのメタファーは、「ハインリッヒ・ベルと頭頂連合野」にする。

花村嘉英(2005)「ハインリッヒ・ベルの『旅人よ、汝スパ…にいたりなば』で執筆脳を考える」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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