(掲載)2024年9月6日
国土交通省は6月7日、マンション管理業者による外部管理者方式(管理業者管理者方式)の適正な運営を担保することなどを目的として 、「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」を公表しました。
このガイドラインの最大の注目点は、マンション管理会社にマンション管理の全権を任せるような「管理業者管理者方式」について「たが」をはめたことです。管理業者管理者方式は悪用されればマンション管理組合(=マンションの区分所有者)に大きな損害を与えることとなります。
管理組合の運営の一部または全部を外部の専門家に任せる方式を「第三者管理方式」と呼び、第三者管理方式の中のいくつかの種類の中で特に急増しているのが理事会を廃止し、理事長が担っていた管理者の業務を管理会社が代行する「管理業者管理者方式」です。
東洋経済オンラインによると、主要マンション管理会社による「管理業者管理者方式」取扱件数は既に以下の通りです。なお、大和ライフネクストは2027年までに400管理組合の取扱いを見込んでいます。
・合人社計画研究所 (1990年 〜 取扱開始) 1,476管理組合
・長谷工コミュニティ(2021年8月取扱開始) 76管理組合
・大和ライフネクスト(2022年5月取扱開始) 90管理組合
NHKはニュースおはよう日本(2024/5/16 HHK7:00〜7:45)で「マンション管理のいま」と題して、理事会の担い手不足から、管理を外部の会社に委託する「外部管理者方式」(「管理業者管理者方式」)は、住民の負担を軽減できるが、一方で規約内容次第では住民の同意なくても様々なことを決定できるため、住民と外部管理者の間にトラブルが発生するケースが増えていると下記のような事例を示して警鐘を鳴らしました。
<「管理業者管理者方式」の思わぬ落とし穴(事例)>
事例1:管理会社が、事前説明も無く共用設備リース料金の大幅値上げを行い、更に9割以上の工事を管理会社のグループ企業が発注していた 。
事例2:管理会社が、大規模修繕工事において外壁タイルの張り替え工事を計画していたが、説明もなく接着剤での補修に変更され、タイル貼替と同等費用となったと事後説明。
事例2:管理会社が、大規模修繕工事において外壁タイルの張り替え工事を計画していたが、説明もなく接着剤での補修に変更され、タイル貼替と同等費用となったと事後説明。
管理会社から管理組合に対して管理業者による外部管理者方式(管理業者管理者方式)の提案があった際には、必ず「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」を基に慎重に協議しましょう。
(出典)国土交通省 2024/6/7 「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」
(出典)東洋経済オンライン 2024/ 8/28 マンションの「管理業者管理者方式」は悪用されればマンション管理組合(=マンションの区分所有者)に大きな損害を与える。
(関連情報)20240612 国土交通省「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」を策定!