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2019年10月21日
家族の木 THE FOURTH STORY 真と梨央 <61 待つ女>
待つ女
風羽田裕也は単身で榊島へ渡った。もともと堅実な性格のようだった。ペアブロッサムでは介護補助の仕事を真面目にがんばった。施設長に人を見る目があった。今では事務職、特に経理にかかわる部門を担当していた。
几帳面な上に利益の計算もできた。経費節減の提案もできるようだった。俺から風羽田に連絡を取ることは無かったが、風羽田はは時々状況をを報告してきた。思わず「よく頑張ってるな。」と口をついて出た。
風羽田は榊島へ行く前に、恵美に連絡を取ったが行先は教えなかったようだ。恵美は頻繁に俺に連絡してきた。風羽田の行方を知るために探りを入れられているのが分かっていた。それでも恵美に風羽田の行方を教えなかった。
恵美は俺の留守中にうちへ遊びに来るようになっていた。梨央はお人よしだった。そこが好きだった。口止めはしていたが、いつか何かのはずみで言ってしまわないか心配だった。ところが、「仕事の話は一切知らない。」で通しているようだ。
恵美はだんだん梨央の手伝いをするようになって、いつの間にか梨央と友達同士のように親しくなっていた。第二子の由梨が生まれた。恵美はお手伝いさんと一緒に梨央の世話を焼いてくれた。そこに義母も加わって、家は女の園になっていた。
恵美に「梨央に風羽田の行方を問い詰めてないだろうな。」と念を押すと、「お姉さんには聞かない。お人よしだから教えちゃうに決まってるじゃない。そしたら、またお兄ちゃんにきつく叱られるでしょ?それはやっちゃいけないことだもん。」といった。
「裕ちゃんから連絡が来るのを待とうと思ってるの。あの人、最後の電話で、食べていけるって自信が付いたら連絡するっていったの。どれくらい時間がかかるかわかんないから待ちきれなかったら結婚してくれって。寂しいけどしょうがないって言ったのよ。要するに結婚しないでほしいって言いたかったんだと思うのよ。」 恵美はいつの間にか凄くいい女になっていた。
風羽田がペアブロッサムで勤続3年を迎えた。ぺアブロッサムでは、勤続3年で3万円の祝い金を渡す制度を作っていた。風羽田は興奮気味で連絡をしてきた。「私のような人間でもこういう祝い金を貰えることがあるんだと思うと感激です。」と大人っぽい口上だった。
まだ生活できる自信は付いていないのだろうか?風羽田は恵美のことを聞こうとはしなった。恵美が待っていることを教えようか?迷っていた。恵美に気持ちがあるのかないのか気になった。もし、恵美のことが好きなら、そろそろ連絡してやってほしいと思った。
恵美は今年35になる。気のない男をいつまでも待たせておくわけにはいかなかった。もし、連絡するという言葉が嘘なら恵美には縁談を世話する心づもりだった。恵美は商社のOLとして働いていたが風羽田と逃げてから無断欠勤ののちに解雇されていた。それから職に就いていなかった。けじめをつける時期が来ている。
駆け落ちは恵美主導のようだった。風羽田は、年上でハキハキものをいう恵美に引っ張られてしまうようだ。それでは恵美は幸福にはなれない気がした。本当に結婚する気なら風羽田が動かなければならない。
ある日梨央が、「ねえ風羽田さんにそれとなく、恵美さんがしょっちゅううちにいるって情報入れてみて。私が縁談世話しようかなって言ってるって。そういう情報をそれとなく流せない?それで風羽田さんが何か動いたら、進む話だと思うの。なんにもしないんだったら、本当に大阪の方へ縁談頼もうと思うの。いつまでもはっきりしないものを待たせるの恵美さんかわいそうだわ。」といった。
俺は梨央の提案に賛成した。しかし、方法がわからなかった。それとなく風羽田に情報を流す方法などなかった。
続く
【POLA】インナーリフティア コラーゲン&プラセンタ
【POLA】女性に嬉しい美容成分がこれ1つで。インナーリフティア コラーゲン&プラセンタ
コラーゲン、植物プラセンタ、鉄、ヒアルロン酸、エラスチンを同時配合した美容サプリメント。
風羽田裕也は単身で榊島へ渡った。もともと堅実な性格のようだった。ペアブロッサムでは介護補助の仕事を真面目にがんばった。施設長に人を見る目があった。今では事務職、特に経理にかかわる部門を担当していた。
几帳面な上に利益の計算もできた。経費節減の提案もできるようだった。俺から風羽田に連絡を取ることは無かったが、風羽田はは時々状況をを報告してきた。思わず「よく頑張ってるな。」と口をついて出た。
風羽田は榊島へ行く前に、恵美に連絡を取ったが行先は教えなかったようだ。恵美は頻繁に俺に連絡してきた。風羽田の行方を知るために探りを入れられているのが分かっていた。それでも恵美に風羽田の行方を教えなかった。
恵美は俺の留守中にうちへ遊びに来るようになっていた。梨央はお人よしだった。そこが好きだった。口止めはしていたが、いつか何かのはずみで言ってしまわないか心配だった。ところが、「仕事の話は一切知らない。」で通しているようだ。
恵美はだんだん梨央の手伝いをするようになって、いつの間にか梨央と友達同士のように親しくなっていた。第二子の由梨が生まれた。恵美はお手伝いさんと一緒に梨央の世話を焼いてくれた。そこに義母も加わって、家は女の園になっていた。
恵美に「梨央に風羽田の行方を問い詰めてないだろうな。」と念を押すと、「お姉さんには聞かない。お人よしだから教えちゃうに決まってるじゃない。そしたら、またお兄ちゃんにきつく叱られるでしょ?それはやっちゃいけないことだもん。」といった。
「裕ちゃんから連絡が来るのを待とうと思ってるの。あの人、最後の電話で、食べていけるって自信が付いたら連絡するっていったの。どれくらい時間がかかるかわかんないから待ちきれなかったら結婚してくれって。寂しいけどしょうがないって言ったのよ。要するに結婚しないでほしいって言いたかったんだと思うのよ。」 恵美はいつの間にか凄くいい女になっていた。
風羽田がペアブロッサムで勤続3年を迎えた。ぺアブロッサムでは、勤続3年で3万円の祝い金を渡す制度を作っていた。風羽田は興奮気味で連絡をしてきた。「私のような人間でもこういう祝い金を貰えることがあるんだと思うと感激です。」と大人っぽい口上だった。
まだ生活できる自信は付いていないのだろうか?風羽田は恵美のことを聞こうとはしなった。恵美が待っていることを教えようか?迷っていた。恵美に気持ちがあるのかないのか気になった。もし、恵美のことが好きなら、そろそろ連絡してやってほしいと思った。
恵美は今年35になる。気のない男をいつまでも待たせておくわけにはいかなかった。もし、連絡するという言葉が嘘なら恵美には縁談を世話する心づもりだった。恵美は商社のOLとして働いていたが風羽田と逃げてから無断欠勤ののちに解雇されていた。それから職に就いていなかった。けじめをつける時期が来ている。
駆け落ちは恵美主導のようだった。風羽田は、年上でハキハキものをいう恵美に引っ張られてしまうようだ。それでは恵美は幸福にはなれない気がした。本当に結婚する気なら風羽田が動かなければならない。
ある日梨央が、「ねえ風羽田さんにそれとなく、恵美さんがしょっちゅううちにいるって情報入れてみて。私が縁談世話しようかなって言ってるって。そういう情報をそれとなく流せない?それで風羽田さんが何か動いたら、進む話だと思うの。なんにもしないんだったら、本当に大阪の方へ縁談頼もうと思うの。いつまでもはっきりしないものを待たせるの恵美さんかわいそうだわ。」といった。
俺は梨央の提案に賛成した。しかし、方法がわからなかった。それとなく風羽田に情報を流す方法などなかった。
続く
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2019年10月20日
家族の木 THE FOURTH STORY 真と梨央 <60 死因>
死因
俺は、風羽田がボーイ時代に通信教育で簿記2級を取っていることに好感を持った。夜の仕事をしながら通信教育を受けるのは大変だろうと普通に想像がついた。恵美の婿にいいんじゃないかと思った。ただし、少なくとも3年は様子を見なければならない、とも思った。義父が「真、ペアブロッサムに入れんかな?意外に合うんじゃないか?」
「はい、すぐに施設長に言ってみましょう。面倒見のいい人ですから裕也君のためになると思いますよ。裕也君、いいんだな。最初は厳しいよ。介護職は資格なしでできないが補助的な立場でも交代勤務になる。それに給与も年齢不相応なものになる。そこが我慢できるかどうかだ。知人とはいうが親戚とは言わない。特別扱いなしだ。」というと義父が「世間は厳しいぞ。浜野専務はまだ優しい方だ。実績を認めてもらえるように頑張れるか?」と最後は親戚の叔父さんになっていた。
義母が「浜野専務はね、強面だけど優しいの。きちんと働けば絶対認めてくれる。」といった。どうもこの人は俺をちょっと舐めてる。家の中の俺の姿を知られているからかと思った。
「裕也君、ご家族には何も言うな。ご家族から闇金にしれたらまずい。」とくぎを刺した。
「闇金に恵美の存在は知られてるか?」
「知られてないと思います。」
「そうか。中野の部屋の契約は誰の名前だ?」
「恵美さんの名前です。」
「わかった、すぐ解約する。恵美はしばらく外出させない。わかったね。呼び出し禁止だ。」
一通りの話が終わってペアブロッサムの名前の話になった。「梨の花、梨花よ。おばあちゃんの名前。おじいちゃん、ここに二人で入居しようとしてたの。それで恋女房の名前を付けたのよ。」と義母が言った。
「へえ。じゃ梨央ならペアセンターだ。」というと義父が「君もなんか施設を作るのか?」といった。恥ずかしくなって赤面してしまった。
お婆ちゃんも本当におじいちゃんが好きだったみたいで、いっつも二人でなんかくすくす笑ってたわよね。お婆ちゃん、あれでおじいちゃんのこと可愛くて仕方なかったのよ。おじいちゃんってかわいい人だったわよね。」
「会社じゃ怖かったらしい。それが婆さんにかかると可愛くなるんだ。不思議なもんだよ。なにしろ、婆さんが亡くなったらさっさと自分も逝ってしまうんだからな。」と義父が笑った。
「お爺さんなんで亡くなられたんですか?」と聞くと義父も義母も一瞬とまどったような顔をした。「ああ、卒中だ。婆さんの49日が終わった翌日に卒中で亡くなった。」と答えた。
俺はおじいさんがおばあさんの後を追って自殺したのではないかと思った。それでも、義父夫婦は、それを不幸だとは思っていないようだった。俺は自分の憶測に奇妙な落ち着きを感じた。甘くて優しい気持ちになった。
夕食になると梨央も真也を連れてやってきた。義父も義母も梨央の顔色を見て安心したようだった。
続く
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俺は、風羽田がボーイ時代に通信教育で簿記2級を取っていることに好感を持った。夜の仕事をしながら通信教育を受けるのは大変だろうと普通に想像がついた。恵美の婿にいいんじゃないかと思った。ただし、少なくとも3年は様子を見なければならない、とも思った。義父が「真、ペアブロッサムに入れんかな?意外に合うんじゃないか?」
「はい、すぐに施設長に言ってみましょう。面倒見のいい人ですから裕也君のためになると思いますよ。裕也君、いいんだな。最初は厳しいよ。介護職は資格なしでできないが補助的な立場でも交代勤務になる。それに給与も年齢不相応なものになる。そこが我慢できるかどうかだ。知人とはいうが親戚とは言わない。特別扱いなしだ。」というと義父が「世間は厳しいぞ。浜野専務はまだ優しい方だ。実績を認めてもらえるように頑張れるか?」と最後は親戚の叔父さんになっていた。
義母が「浜野専務はね、強面だけど優しいの。きちんと働けば絶対認めてくれる。」といった。どうもこの人は俺をちょっと舐めてる。家の中の俺の姿を知られているからかと思った。
「裕也君、ご家族には何も言うな。ご家族から闇金にしれたらまずい。」とくぎを刺した。
「闇金に恵美の存在は知られてるか?」
「知られてないと思います。」
「そうか。中野の部屋の契約は誰の名前だ?」
「恵美さんの名前です。」
「わかった、すぐ解約する。恵美はしばらく外出させない。わかったね。呼び出し禁止だ。」
一通りの話が終わってペアブロッサムの名前の話になった。「梨の花、梨花よ。おばあちゃんの名前。おじいちゃん、ここに二人で入居しようとしてたの。それで恋女房の名前を付けたのよ。」と義母が言った。
「へえ。じゃ梨央ならペアセンターだ。」というと義父が「君もなんか施設を作るのか?」といった。恥ずかしくなって赤面してしまった。
お婆ちゃんも本当におじいちゃんが好きだったみたいで、いっつも二人でなんかくすくす笑ってたわよね。お婆ちゃん、あれでおじいちゃんのこと可愛くて仕方なかったのよ。おじいちゃんってかわいい人だったわよね。」
「会社じゃ怖かったらしい。それが婆さんにかかると可愛くなるんだ。不思議なもんだよ。なにしろ、婆さんが亡くなったらさっさと自分も逝ってしまうんだからな。」と義父が笑った。
「お爺さんなんで亡くなられたんですか?」と聞くと義父も義母も一瞬とまどったような顔をした。「ああ、卒中だ。婆さんの49日が終わった翌日に卒中で亡くなった。」と答えた。
俺はおじいさんがおばあさんの後を追って自殺したのではないかと思った。それでも、義父夫婦は、それを不幸だとは思っていないようだった。俺は自分の憶測に奇妙な落ち着きを感じた。甘くて優しい気持ちになった。
夕食になると梨央も真也を連れてやってきた。義父も義母も梨央の顔色を見て安心したようだった。
続く
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2019年10月19日
家族の木 THE FOURTH STORY 真と梨央 <59 ペアブロッサム>
ペアブロッサム
裕也は金もなかったので社員寮付きの職についてはどうかと提案した。義父が「うちの老人福祉施設なら社員寮がある。仕事は楽じゃない。夜勤もある。老人介護の仕事だ。親切心、良心、介護知識、腕力が必要だ。やってみるなら担当者に話してみるが。まあ、そこは裕也君が決めることだ。」
「あの、場所はどっち方面すか?やっぱ、見つかりにくいところがいいんすけど。」
この時、義父と俺がほぼ同時に「榊島だ。」と答えた。
「えっ、榊島ですか?あのペアブロッサムっすか?」と裕也に聞かれた。
「知ってるのか?」
「ええ、俺の爺ちゃんがあそこに入居してたんす。婆ちゃんがなくなってから、あの中野の家を売ってペアブロッサムに入って、あそこで亡くなりました。」
「そうかあ、全く知らなかった。入居者の名前まではこちらでわからんからなあ。ご縁だなあ。」と言いながらキッチンに居た義母を呼んだ。「裕也君のお爺さんはペアブロッサムで亡くなったらしい。」といった。
義母は目を丸くして、「まあ、それはご縁だわねえ。ねえ、お宅のお墓に香織って名前があるでしょ?それが主人のお母さんなのよ。ペアブロッサムにおられたお爺様の妹さんになるの。だから、あなたのご両親とうちは従妹関係なのよ。まあ全く面識もないし戸籍もつながってないんだけど。」といった。
「お義父さん、こりゃ決まりですかね。それに裕也君、言葉はあれですけど、しっかりしてますよ。今回金で失敗しましたけど、金にしっかりしてます。」
「俺、簿記2級なんすよ。商売するのに絶対いると思ってボーイ時代に通信教育受けたんす。」「ほお〜、なかなか努力家だなあ。」と義父が感心した。
続く
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コラーゲン、植物プラセンタ、鉄、ヒアルロン酸、エラスチンを同時配合した美容サプリメント。
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「あの、場所はどっち方面すか?やっぱ、見つかりにくいところがいいんすけど。」
この時、義父と俺がほぼ同時に「榊島だ。」と答えた。
「えっ、榊島ですか?あのペアブロッサムっすか?」と裕也に聞かれた。
「知ってるのか?」
「ええ、俺の爺ちゃんがあそこに入居してたんす。婆ちゃんがなくなってから、あの中野の家を売ってペアブロッサムに入って、あそこで亡くなりました。」
「そうかあ、全く知らなかった。入居者の名前まではこちらでわからんからなあ。ご縁だなあ。」と言いながらキッチンに居た義母を呼んだ。「裕也君のお爺さんはペアブロッサムで亡くなったらしい。」といった。
義母は目を丸くして、「まあ、それはご縁だわねえ。ねえ、お宅のお墓に香織って名前があるでしょ?それが主人のお母さんなのよ。ペアブロッサムにおられたお爺様の妹さんになるの。だから、あなたのご両親とうちは従妹関係なのよ。まあ全く面識もないし戸籍もつながってないんだけど。」といった。
「お義父さん、こりゃ決まりですかね。それに裕也君、言葉はあれですけど、しっかりしてますよ。今回金で失敗しましたけど、金にしっかりしてます。」
「俺、簿記2級なんすよ。商売するのに絶対いると思ってボーイ時代に通信教育受けたんす。」「ほお〜、なかなか努力家だなあ。」と義父が感心した。
続く
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コラーゲン、植物プラセンタ、鉄、ヒアルロン酸、エラスチンを同時配合した美容サプリメント。
2019年10月18日
家族の木 THE FOURTH STORY 真と梨央 <58 破産>
破産
田原の家で風羽田裕也の借金について話し合った。風羽田裕也は涙目になっていた。義父が裕也に自分の親に居場所だけでも連絡をするように言った。裕也は言われた通り電話をしたが、「もう、縁を切った。居場所は知りたくない。」といわれたそうだ。闇金は親の家に押しかけていた。
風羽田の家は三代続いた公務員の家だそうだ。祖父と祖母は区役所の職員、その息子夫婦は二人とも教師、その子供である兄は文科省職員。裕也だけが大学進学に失敗して今また事業にも失敗していた。ただ失敗しただけではなく大きな借金を抱えていた。風羽田の家族からはどうしようもない馬鹿な奴だといわれているらしい。
「俺、成功して鼻明かしてやりたかったんすけど、やっぱ頭悪いと甘い言葉に引っかかっちゃうんですよね。ホントはもっと小規模でこじんまりやろうと思ってたんすけど、金貸すからでっかくやれって言われて、最初はことわってたんすけど、気が付いたら断れなくなっちゃってて、なんかガラの悪い店になってて、毎日売り上げ取られて、借金減らなくて、なんか、もう何やってるんだかわからなくなって。」と初めて感情をあらわにして泣いた。
「恵美さん、開店当初から来てくれてて危ないから来ないほうがいいって言ったら泣いちゃって。そんで俺の部屋に来てもらったんすよ。本気で惚れちゃって落ち着いたら結婚したいなって思ってたんすけど、一文無しで宿なしで。もう俺みたいなやつ相手にしてたら不幸になっちゃうし、第一、闇金の奴ら何するかわかんないですし。家に帰ってもらってよかった。もう俺みたいなろくでなしとは縁切った方が恵美さんのためっすから。」とまた泣いた。
悪い奴じゃないと思ったが言葉遣いがなってなかった。水商売と言っても客層の良くない店で働いていたのだとわかった。
「まあ、ちょっと経験不足だったな。とにかく借金を何とかしなきゃな。コツコツ返したところで闇金の方は絶対ん減らん。闇金は闇金でも金融業者じゃなくてほんもののやくざに引っかかったようだ。銀行の分はコツコツ返して意味があるように思うがな。」というと、義父は「破産というテもあるが、破産してしまうと10年間は何にもできん。しかしなあ、闇金と縁を切りたきゃ破産しかないように思うがね。」
「破産して家に迷惑は掛かりませんか?」
「闇金の質にもよるが君をひっかけたところは親兄弟に迷惑かけるだろうね。破産してもしなくてもかけるよ。おんなじだ。」
「家に迷惑が掛かった場合どうすればいいんですかね。」「まあ、闇金やくざを抑え込むのは、それより力のある組織だけだね。まあ、うちにしても真のところにしても、この業界で長くやってれば強面の社員ぐらいは抱えているがね。それに、僕は日本一たくさん武器を持ってて日本一構成員の多い組織に伝手がある。」
「えっどこですか?その組織?」
「警察だよ。違法なことで迷惑をかけられたら被害届を出すのが一番だ。闇金やくざだって800万ぐらいで警察と揉めたくないからな。それに多分もう元を取ってるだろう。3年弱やられてるんだろう?」
「俺もそう思うよ。おすすめのコースは破産して、10年間東京を離れてコツコツ働く。これしかないと思うがね。ただし、この先10年はしんどいと思うよ。よくあるのが、破産後の生活に疲れてまた借金するケースだ。銀行や大手ローン会社は借りられないから、また闇金だ。そして今度こそ抜けられなくなる。そういうリスクは覚悟しなくちゃな。」
「でも、俺一文無しなんすよ。東京離れてったって部屋借りる金もないっす。」「社員寮のある会社で勤めたらどうだ?」「俺思い付くのはホストか山奥の建築現場ですけど、どっちも無理っす。酒飲めないし力ありません。」
裕也は都会の堅実な家に育ったので荒い仕事は無理だろうと思った。
続く
【POLA】インナーリフティア コラーゲン&プラセンタ
【POLA】女性に嬉しい美容成分がこれ1つで。インナーリフティア コラーゲン&プラセンタ
コラーゲン、植物プラセンタ、鉄、ヒアルロン酸、エラスチンを同時配合した美容サプリメント。
田原の家で風羽田裕也の借金について話し合った。風羽田裕也は涙目になっていた。義父が裕也に自分の親に居場所だけでも連絡をするように言った。裕也は言われた通り電話をしたが、「もう、縁を切った。居場所は知りたくない。」といわれたそうだ。闇金は親の家に押しかけていた。
風羽田の家は三代続いた公務員の家だそうだ。祖父と祖母は区役所の職員、その息子夫婦は二人とも教師、その子供である兄は文科省職員。裕也だけが大学進学に失敗して今また事業にも失敗していた。ただ失敗しただけではなく大きな借金を抱えていた。風羽田の家族からはどうしようもない馬鹿な奴だといわれているらしい。
「俺、成功して鼻明かしてやりたかったんすけど、やっぱ頭悪いと甘い言葉に引っかかっちゃうんですよね。ホントはもっと小規模でこじんまりやろうと思ってたんすけど、金貸すからでっかくやれって言われて、最初はことわってたんすけど、気が付いたら断れなくなっちゃってて、なんかガラの悪い店になってて、毎日売り上げ取られて、借金減らなくて、なんか、もう何やってるんだかわからなくなって。」と初めて感情をあらわにして泣いた。
「恵美さん、開店当初から来てくれてて危ないから来ないほうがいいって言ったら泣いちゃって。そんで俺の部屋に来てもらったんすよ。本気で惚れちゃって落ち着いたら結婚したいなって思ってたんすけど、一文無しで宿なしで。もう俺みたいなやつ相手にしてたら不幸になっちゃうし、第一、闇金の奴ら何するかわかんないですし。家に帰ってもらってよかった。もう俺みたいなろくでなしとは縁切った方が恵美さんのためっすから。」とまた泣いた。
悪い奴じゃないと思ったが言葉遣いがなってなかった。水商売と言っても客層の良くない店で働いていたのだとわかった。
「まあ、ちょっと経験不足だったな。とにかく借金を何とかしなきゃな。コツコツ返したところで闇金の方は絶対ん減らん。闇金は闇金でも金融業者じゃなくてほんもののやくざに引っかかったようだ。銀行の分はコツコツ返して意味があるように思うがな。」というと、義父は「破産というテもあるが、破産してしまうと10年間は何にもできん。しかしなあ、闇金と縁を切りたきゃ破産しかないように思うがね。」
「破産して家に迷惑は掛かりませんか?」
「闇金の質にもよるが君をひっかけたところは親兄弟に迷惑かけるだろうね。破産してもしなくてもかけるよ。おんなじだ。」
「家に迷惑が掛かった場合どうすればいいんですかね。」「まあ、闇金やくざを抑え込むのは、それより力のある組織だけだね。まあ、うちにしても真のところにしても、この業界で長くやってれば強面の社員ぐらいは抱えているがね。それに、僕は日本一たくさん武器を持ってて日本一構成員の多い組織に伝手がある。」
「えっどこですか?その組織?」
「警察だよ。違法なことで迷惑をかけられたら被害届を出すのが一番だ。闇金やくざだって800万ぐらいで警察と揉めたくないからな。それに多分もう元を取ってるだろう。3年弱やられてるんだろう?」
「俺もそう思うよ。おすすめのコースは破産して、10年間東京を離れてコツコツ働く。これしかないと思うがね。ただし、この先10年はしんどいと思うよ。よくあるのが、破産後の生活に疲れてまた借金するケースだ。銀行や大手ローン会社は借りられないから、また闇金だ。そして今度こそ抜けられなくなる。そういうリスクは覚悟しなくちゃな。」
「でも、俺一文無しなんすよ。東京離れてったって部屋借りる金もないっす。」「社員寮のある会社で勤めたらどうだ?」「俺思い付くのはホストか山奥の建築現場ですけど、どっちも無理っす。酒飲めないし力ありません。」
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続く
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コラーゲン、植物プラセンタ、鉄、ヒアルロン酸、エラスチンを同時配合した美容サプリメント。
2019年10月17日
家族の木 THE FOURTH STORY 真と梨央 <57 恋心>
恋心
梨央に強い言葉を投げて怒らせてしまった日の翌日、義母や父から電話がかかってきた。無事に仲直りしたことをいうと喜んでくれた。父から「あの人を大事にしなきゃ罰が当たるぞ。立派なご家族だ。」といった。
何をきれいごと言ってやがるんだ。自分は何もせずにただ見ていただけだった。そして娘を家に連れて帰った。父が今まで事業を継続させてきたのは、自分は動かず利益だけをそっとかすめ取る手法だとわかってきた。今も息子が田原家に気に入られたら何か得をすると思っているに違いなかった。
恵美からも連絡がきた。「お兄ちゃん、ごめんね。お兄ちゃんイライラさせちゃって。お姉さんに迷惑かけちゃった。お願いだからお姉さんに当たらないで。」といった。「もう、仲直りしたよ。お母さん騒いでるのか?」「ううん。落ち着いてる。っていうか気が抜けて寝込んでる。裕ちゃん、どうしてる?」と聞かれた。
「夜、また話す予定だ。お前、これから、あいつとどうしたいか考えろ。」というと、「結婚したい、裕ちゃんを支えたいの。」と答えた。
「ゆっくり考えろ。ちょっと時間がたってから結論を出した方がいい。これはあっちも同じだぞ。向こうが一人になりたいっていう可能性もある。とにかく落ち着いて考えろ。」
「そんなことあるかな?裕ちゃん別れたがるかな?」
「わからんよ。とにかくゆっくり考えろ。」と電話を切った。妹がかわいそうだった。恋につかれた女だった。
俺は妹や父のことを考えた。継母は感情的で身勝手だった。泣き出すと手に負えなくなった。父はなぜそんな女のために家庭をないがしろにしたのだろうか?今だって継母のいいなりだった。父はなぜあんな女と別れないんだろうか?
恵美だってそうだ。風羽田は無口であまりしゃべらない。大きな借金を抱えていて将来だってどうなるかわからない。そんな男と結婚したいという。
そいうえば梨沙ちゃんだってそうだ。梨沙ちゃんなら、もっと若くて金持ちの男と結婚できるだろう。なのに詩音を選んだ。しかも、子供が持てない体だった。それでも詩音以外には目もくれなかった。
多分、父も恵美も性愛に突き動かされていたのだろうと思った。それを卑しいとは思わなかった。もし、梨央の性格がヒステリックで利己的だったら俺は梨央と暮らせるだろうか?暮らせなかったかもしれない。それでも、きっと結婚していたと思う。あのころ俺は梨央の性的な魅力におぼれていた。
そして俺は梨央の忌まわしい事故経験に付け込んで何か得をしようとして結婚をしたのだと思い出した。しかも、それは家の意向だと自分の責任を家族に押し付けていた。人のことをとやかく言う立場ではなかった。
梨央はどうだ。梨央はなぜおれを選んだ。俺がおじいさんに似ていたからだ。それに、梨沙ちゃんが自分のせいで結婚しないと思っていたからだ。それでも、ハワイの5日目の夜には離れたら死ぬかもしれないといった。なぜたった5日間で死ぬほど惚れた?
多分、父も継母も恵美も梨沙ちゃんも梨央も俺も同じだ。恋をして恋心から逃げられなくなったんだ。そう思うと、俺の母はかわいそうだった。多分父に惚れていただろう。父以外の男を知らなかっただろう。それなのに、父は外に家庭があって子供がいた。
母は生涯に一度の恋に破れたのだ。恋に破れた女はかわいそうだ。恵美の恋心をかなえてやりたかった。
続く
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梨央に強い言葉を投げて怒らせてしまった日の翌日、義母や父から電話がかかってきた。無事に仲直りしたことをいうと喜んでくれた。父から「あの人を大事にしなきゃ罰が当たるぞ。立派なご家族だ。」といった。
何をきれいごと言ってやがるんだ。自分は何もせずにただ見ていただけだった。そして娘を家に連れて帰った。父が今まで事業を継続させてきたのは、自分は動かず利益だけをそっとかすめ取る手法だとわかってきた。今も息子が田原家に気に入られたら何か得をすると思っているに違いなかった。
恵美からも連絡がきた。「お兄ちゃん、ごめんね。お兄ちゃんイライラさせちゃって。お姉さんに迷惑かけちゃった。お願いだからお姉さんに当たらないで。」といった。「もう、仲直りしたよ。お母さん騒いでるのか?」「ううん。落ち着いてる。っていうか気が抜けて寝込んでる。裕ちゃん、どうしてる?」と聞かれた。
「夜、また話す予定だ。お前、これから、あいつとどうしたいか考えろ。」というと、「結婚したい、裕ちゃんを支えたいの。」と答えた。
「ゆっくり考えろ。ちょっと時間がたってから結論を出した方がいい。これはあっちも同じだぞ。向こうが一人になりたいっていう可能性もある。とにかく落ち着いて考えろ。」
「そんなことあるかな?裕ちゃん別れたがるかな?」
「わからんよ。とにかくゆっくり考えろ。」と電話を切った。妹がかわいそうだった。恋につかれた女だった。
俺は妹や父のことを考えた。継母は感情的で身勝手だった。泣き出すと手に負えなくなった。父はなぜそんな女のために家庭をないがしろにしたのだろうか?今だって継母のいいなりだった。父はなぜあんな女と別れないんだろうか?
恵美だってそうだ。風羽田は無口であまりしゃべらない。大きな借金を抱えていて将来だってどうなるかわからない。そんな男と結婚したいという。
そいうえば梨沙ちゃんだってそうだ。梨沙ちゃんなら、もっと若くて金持ちの男と結婚できるだろう。なのに詩音を選んだ。しかも、子供が持てない体だった。それでも詩音以外には目もくれなかった。
多分、父も恵美も性愛に突き動かされていたのだろうと思った。それを卑しいとは思わなかった。もし、梨央の性格がヒステリックで利己的だったら俺は梨央と暮らせるだろうか?暮らせなかったかもしれない。それでも、きっと結婚していたと思う。あのころ俺は梨央の性的な魅力におぼれていた。
そして俺は梨央の忌まわしい事故経験に付け込んで何か得をしようとして結婚をしたのだと思い出した。しかも、それは家の意向だと自分の責任を家族に押し付けていた。人のことをとやかく言う立場ではなかった。
梨央はどうだ。梨央はなぜおれを選んだ。俺がおじいさんに似ていたからだ。それに、梨沙ちゃんが自分のせいで結婚しないと思っていたからだ。それでも、ハワイの5日目の夜には離れたら死ぬかもしれないといった。なぜたった5日間で死ぬほど惚れた?
多分、父も継母も恵美も梨沙ちゃんも梨央も俺も同じだ。恋をして恋心から逃げられなくなったんだ。そう思うと、俺の母はかわいそうだった。多分父に惚れていただろう。父以外の男を知らなかっただろう。それなのに、父は外に家庭があって子供がいた。
母は生涯に一度の恋に破れたのだ。恋に破れた女はかわいそうだ。恵美の恋心をかなえてやりたかった。
続く
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2019年10月16日
家族の木 THE FOURTH STORY 真と梨央 <56 弁解>
弁解
義母が「どう考えたって真さんが良くない。ちゃんと謝らないと」といった。「真、いつも梨央にあんな口の利き方か?」義父の目が怒っていた。「いや、そんなことありません。話の流れでつい、すんません。」と義父に謝った。「いや、僕に謝ってる場合か!梨央に謝れ、あれはまずいぞ。」といった。玄関から梨央と真也が外へ出る音がした。俺は慌てて追いかけた。
梨央に追いついてすぐ「梨央、ごめん、あんな言い方して悪かった。」と声をかけた。梨央は「いいの、私が軽率だから。」と返事をしたが冷たい。家の玄関を入るとすぐに、「ごめん、イライラしてたんだ。」「イライラさせてごめんなさい。私は軽率なの。これから夕食の準備なの。真也を遊んでやって。」とキッチンへ行ってしまった。
俺のイライラの原因は遊園地だった。俺が不安にさいなまれていた時に父は別宅の妹たちを連れて遊園地ではしゃいでいた。それが許せなかった。母が亡くなってからの俺の子供時代は本当に孤独だった。祖母が亡くなってからは不安が上積みされていった。
やっと父に引き取られたときには俺は小さな資産家だった。そして、妹たちの存在が母を悲しませていたとわかった。俺はまともな育ちじゃない。そのことが大きなコンプレックスだった。
その妹の駆け落ち騒動の後始末を俺がするのかと思うと腹が立った。ましてやなんで妊娠中の妻がいる家で預からなければならないのかと思うとむかっ腹が立った。梨央に当たるのは筋違いだ。しかも梨央が俺のために言った言葉を強く否定して我ながら何てバカなんだと嫌になった。
食事中も「梨央、あの時ちょっといらだつ原因があったんだよ。梨央にイラだったんじゃないんだ。俺は自分の父親にイラだったんだ。ごめん。なんかお詫びしなきゃな。今度の休みに、新しい服を新調しよう。」というと「これからおなかが大きくなるんだから、今は服は要らないの。」
「じゃあ、どうだ、香水を買おうか?」「今つわりで気持ち悪いの。香水は要らないわ。」
「指輪はどうだ。ちょっといいのを買おうか?」「子供たちが小さいうちは指輪は使わないの。けがをさせちゃったらいけないから。」
「じゃあ、え〜と、う〜ん、何がいい?」と困っていると梨央が笑い出した。
「なんで、要らないものばっかり思い付くの?」といわれて、「わかってないオッサンなんだよ。ごめんな。お義父さんとお義母さんに怒られたよ。お義父さんなんか、いつもあんな口の利き方か?って真顔で言うんだよ。」梨央は「怒られればいいのよ。」と言いながら笑った。」いつもの、とろける笑顔だった。とりあえずは梨央の怒りの火は治まったようだった。
その夜ベッドで子供の時の話をした。ナイトランプの薄明りでも梨央が泣いているのが見えた。「かわいそうだったのね。真君は。でもね、今は真也がいて、もうちょっとしたらこの子も生まれて、あなたは二児の父よ。私もいるし、軽率だけど。あなたは、もう孤独とはお別れよ。これからは、いい加減に静かにしろ〜って叫ばなきゃならないわ。」といった。
「うれしいね。家族が増えるのは。梨央のおかげだ。本気でお手伝いさん探さなきゃな。」と言いながら抱きしめた。
続く
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義母が「どう考えたって真さんが良くない。ちゃんと謝らないと」といった。「真、いつも梨央にあんな口の利き方か?」義父の目が怒っていた。「いや、そんなことありません。話の流れでつい、すんません。」と義父に謝った。「いや、僕に謝ってる場合か!梨央に謝れ、あれはまずいぞ。」といった。玄関から梨央と真也が外へ出る音がした。俺は慌てて追いかけた。
梨央に追いついてすぐ「梨央、ごめん、あんな言い方して悪かった。」と声をかけた。梨央は「いいの、私が軽率だから。」と返事をしたが冷たい。家の玄関を入るとすぐに、「ごめん、イライラしてたんだ。」「イライラさせてごめんなさい。私は軽率なの。これから夕食の準備なの。真也を遊んでやって。」とキッチンへ行ってしまった。
俺のイライラの原因は遊園地だった。俺が不安にさいなまれていた時に父は別宅の妹たちを連れて遊園地ではしゃいでいた。それが許せなかった。母が亡くなってからの俺の子供時代は本当に孤独だった。祖母が亡くなってからは不安が上積みされていった。
やっと父に引き取られたときには俺は小さな資産家だった。そして、妹たちの存在が母を悲しませていたとわかった。俺はまともな育ちじゃない。そのことが大きなコンプレックスだった。
その妹の駆け落ち騒動の後始末を俺がするのかと思うと腹が立った。ましてやなんで妊娠中の妻がいる家で預からなければならないのかと思うとむかっ腹が立った。梨央に当たるのは筋違いだ。しかも梨央が俺のために言った言葉を強く否定して我ながら何てバカなんだと嫌になった。
食事中も「梨央、あの時ちょっといらだつ原因があったんだよ。梨央にイラだったんじゃないんだ。俺は自分の父親にイラだったんだ。ごめん。なんかお詫びしなきゃな。今度の休みに、新しい服を新調しよう。」というと「これからおなかが大きくなるんだから、今は服は要らないの。」
「じゃあ、どうだ、香水を買おうか?」「今つわりで気持ち悪いの。香水は要らないわ。」
「指輪はどうだ。ちょっといいのを買おうか?」「子供たちが小さいうちは指輪は使わないの。けがをさせちゃったらいけないから。」
「じゃあ、え〜と、う〜ん、何がいい?」と困っていると梨央が笑い出した。
「なんで、要らないものばっかり思い付くの?」といわれて、「わかってないオッサンなんだよ。ごめんな。お義父さんとお義母さんに怒られたよ。お義父さんなんか、いつもあんな口の利き方か?って真顔で言うんだよ。」梨央は「怒られればいいのよ。」と言いながら笑った。」いつもの、とろける笑顔だった。とりあえずは梨央の怒りの火は治まったようだった。
その夜ベッドで子供の時の話をした。ナイトランプの薄明りでも梨央が泣いているのが見えた。「かわいそうだったのね。真君は。でもね、今は真也がいて、もうちょっとしたらこの子も生まれて、あなたは二児の父よ。私もいるし、軽率だけど。あなたは、もう孤独とはお別れよ。これからは、いい加減に静かにしろ〜って叫ばなきゃならないわ。」といった。
「うれしいね。家族が増えるのは。梨央のおかげだ。本気でお手伝いさん探さなきゃな。」と言いながら抱きしめた。
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2019年10月15日
家族の木 THE FOURTH STORY 真と梨央 <55 八つ当たり>
八つ当たり
「まあ、おかけになって。」と義母がみんなを席に着かせた。梨央も席に着いた。「実は、お嬢さんの行方を探すのに真君に探偵社を奨めたのは私です。探偵社の報告書も申し訳ないが読ませていただきました。それで、風羽田君の名前を見て驚いた次第です。風羽田は私の実母の姓です。最初は単なる同姓かとも思いましたが、君のお爺ちゃんが私の実母の兄だ。」と最後は風羽田裕也に向かって言った。
義母以外の人は皆、なにかおとぎ話を聞いているような顔をしていた。「 君らが今住んでいる地域に君のお爺ちゃんの家があった。君、それで土地勘があったんだね。」「はあ。」風羽田裕也はおとなしい性格らしく、不思議そうな顔をして一言答えただけだった。
「私は一歳に成る前に実母を亡くして養子に出されました。ですから、風羽田家とは縁が切れておりますが裕也君と血はつながっています。あまりにも唐突なことで私もびっくりしました。探偵社を使わなければわからないことでした。」といった。
一同は分かったようなわからないような顔をした。俺も同じだった。それから、現在の借金の額を義父に報告した。父は「とにかく、一旦恵美を連れて帰ります。」というので、「思わず、何言ってるんだ。自分の娘のことばかり考えやがって。この男をここまで連れてきたからには、この男の居場所を決めなくちゃすまんだろう!」と大きな声を上げた。
男は「自分は何とかなります。とにかく恵美さんを無事にお返ししたいです。」といった。恵美は「家には帰れない。お兄ちゃん二人で住める部屋を紹介して。費用は出せるんだから。お願い!」といった。「そんなこと言っても、このまま二人でおいとくわけにはいかんから。とにかく恵美は家に帰れ!」と言いながらうんざりした。
浜野の家族はいつもこうだ。話がまとまらない。義父が「風羽田君はうちであずかる。とにかく法的な処理をきちんと終わらせるんだ。2,3日で終わる。うちに居て書類を作るんだ。弁護士にたのもう。」といった。
恵美は「私は家に帰りたくないの。お母さんが泣きわめくじゃない!もううんざりなの。」と恵美がいうと「今郁美が必死で相手をしている。お前妹にどんなに迷惑をかけているのかわからないのか!」と父が怒った。
今まで黙っていた梨央が「じゃあ、恵美さんはしばらくうちにいらっしゃったらどうかしら?」といった。突然俺の何かが噴火した。「何、軽率なこと言ってるんだ!身重でそれ以上負担増やすな!真也と自分のことだけ考えろ!」と叱りつけてしまった。
梨央の目の周りがみるみる赤くなった。それでも、真也が「マ〜マ」と声をかけると、満面の笑みを作って「なあに。」と答えた。「お姉さん、身重?すみません。兄は私たちのことでイライラしちゃって。ホントにごめんなさい。」と恵美が謝った。
義母があきれ顔で「ちょっと梨沙に頼んで見るわ。新田さんのビルだったら空きがあるかもしれない。」と言ったので、「お義母さん、家の恥です。」と制止した。
「恵美、家に帰れ!お母さん泣きわめいて当たり前だろ。お前の責任でなダメろ!母娘だろ、度が過ぎるようなら鎮静剤処方してもらえ。とにかく家に帰れ!」と言って家に帰した。
だいたい、風羽田は何もしゃべらない。なんで恵美ばかりしゃべるんだ。この男は恵美をどう思ってるんだと気になった。しばらく離した方がいいと思った。
義父は風羽田に「あとで内容をしっかり教えてくれ。とにかく飯にしよう。この辺りは蕎麦か寿司しかないんだ。真達も一緒に食べて帰ればいい。」と言ってくれたが、梨央は「うちは簡単なものだけど、もう用意ができてるの。私は帰ります。あなた、御馳走になれば?」「いや用意ができてるんだったら俺も帰るよ。」と言ったが「簡単なものよ。」と梨央は冷たい。梨央は先に玄関へ行ってしまった。
続く
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「まあ、おかけになって。」と義母がみんなを席に着かせた。梨央も席に着いた。「実は、お嬢さんの行方を探すのに真君に探偵社を奨めたのは私です。探偵社の報告書も申し訳ないが読ませていただきました。それで、風羽田君の名前を見て驚いた次第です。風羽田は私の実母の姓です。最初は単なる同姓かとも思いましたが、君のお爺ちゃんが私の実母の兄だ。」と最後は風羽田裕也に向かって言った。
義母以外の人は皆、なにかおとぎ話を聞いているような顔をしていた。「 君らが今住んでいる地域に君のお爺ちゃんの家があった。君、それで土地勘があったんだね。」「はあ。」風羽田裕也はおとなしい性格らしく、不思議そうな顔をして一言答えただけだった。
「私は一歳に成る前に実母を亡くして養子に出されました。ですから、風羽田家とは縁が切れておりますが裕也君と血はつながっています。あまりにも唐突なことで私もびっくりしました。探偵社を使わなければわからないことでした。」といった。
一同は分かったようなわからないような顔をした。俺も同じだった。それから、現在の借金の額を義父に報告した。父は「とにかく、一旦恵美を連れて帰ります。」というので、「思わず、何言ってるんだ。自分の娘のことばかり考えやがって。この男をここまで連れてきたからには、この男の居場所を決めなくちゃすまんだろう!」と大きな声を上げた。
男は「自分は何とかなります。とにかく恵美さんを無事にお返ししたいです。」といった。恵美は「家には帰れない。お兄ちゃん二人で住める部屋を紹介して。費用は出せるんだから。お願い!」といった。「そんなこと言っても、このまま二人でおいとくわけにはいかんから。とにかく恵美は家に帰れ!」と言いながらうんざりした。
浜野の家族はいつもこうだ。話がまとまらない。義父が「風羽田君はうちであずかる。とにかく法的な処理をきちんと終わらせるんだ。2,3日で終わる。うちに居て書類を作るんだ。弁護士にたのもう。」といった。
恵美は「私は家に帰りたくないの。お母さんが泣きわめくじゃない!もううんざりなの。」と恵美がいうと「今郁美が必死で相手をしている。お前妹にどんなに迷惑をかけているのかわからないのか!」と父が怒った。
今まで黙っていた梨央が「じゃあ、恵美さんはしばらくうちにいらっしゃったらどうかしら?」といった。突然俺の何かが噴火した。「何、軽率なこと言ってるんだ!身重でそれ以上負担増やすな!真也と自分のことだけ考えろ!」と叱りつけてしまった。
梨央の目の周りがみるみる赤くなった。それでも、真也が「マ〜マ」と声をかけると、満面の笑みを作って「なあに。」と答えた。「お姉さん、身重?すみません。兄は私たちのことでイライラしちゃって。ホントにごめんなさい。」と恵美が謝った。
義母があきれ顔で「ちょっと梨沙に頼んで見るわ。新田さんのビルだったら空きがあるかもしれない。」と言ったので、「お義母さん、家の恥です。」と制止した。
「恵美、家に帰れ!お母さん泣きわめいて当たり前だろ。お前の責任でなダメろ!母娘だろ、度が過ぎるようなら鎮静剤処方してもらえ。とにかく家に帰れ!」と言って家に帰した。
だいたい、風羽田は何もしゃべらない。なんで恵美ばかりしゃべるんだ。この男は恵美をどう思ってるんだと気になった。しばらく離した方がいいと思った。
義父は風羽田に「あとで内容をしっかり教えてくれ。とにかく飯にしよう。この辺りは蕎麦か寿司しかないんだ。真達も一緒に食べて帰ればいい。」と言ってくれたが、梨央は「うちは簡単なものだけど、もう用意ができてるの。私は帰ります。あなた、御馳走になれば?」「いや用意ができてるんだったら俺も帰るよ。」と言ったが「簡単なものよ。」と梨央は冷たい。梨央は先に玄関へ行ってしまった。
続く
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2019年10月14日
家族の木 THE FOURTH STORY 真と梨央 <54 怒りの理由>
怒りの理由
恵美は年下の男をかばった。「ねえ、お兄ちゃん、この人ね闇金に騙されたのよ。追われてるの。だから、身軽なように家財道具も買ってないの。」
「何三流映画みたいなこと言ってるんだ。ちゃんと法的に処理しろ!」
「だから、それが危ないの。そういうことさせないためにこの人を捕まえようとしてるのよ。ねえ、お兄ちゃんの物件で安全なところない?」と真剣だ。闇金などという下品な言葉を恵美が使うこと自体情けなかった。
「お前黙ってないでなんとか言え!どうするつもりなんだ。いくらあるんだ借金は!」と聞くと、「地銀のビジネスローンが215万と、闇金が820万です。」と答えた。「闇金で800万も借りてどうするんだよ!お前、親はどうした!親は何にもしてくれないのか!」と聞くと、親は公務員だから世話になれない。こういうことが表に出れば親の職が続かなくなると答えた。
「お前人の家の娘を無茶苦茶にして親を守るのか?公務員なら退職金があるだろう。恵美の金を使う前にそっちを使え!」気が付けば俺が闇金のようなことを言っていた。「お兄ちゃん違う。恵美がこの人を逃したの。逃げなくちゃこの人殺されちゃう。」と泣いた。「あほか。誰が金を貸した人間を殺すか。」と答えながら自分のガラの悪さに驚いた。
「お父さん、こいつら連れて帰ってくれ。このままタクシーで走ってしまえば見つからんだろう?」といったが恵美が嫌がった。「お母さん、またヒステリーを起こすじゃない!大騒ぎになるじゃない!」と叫んだ。父も「うちへ来ん方がいい。母さんが騒ぎ立てて事がややこしくなる。お前の方で段取りできんか?金の方はもちろん負担させてもらう。お前の関係でいい場所はないか?」という。
「どこまで甘えた野郎だ。」と思ったが俺の親だった。結局一旦俺の家に行ってから改めて賃貸物件を探すことにした。すぐにでも入れるところに心当たりがあった。また、梨央に負担がかかると思った。
車の中で俺は不機嫌だった。おかげでみんな黙りこくっていた。この家の人間と俺はいつもこんな関係だ。俺の不機嫌でみんな黙る。慣れているはずの雰囲気なのに、今は気が滅入る。
途中遊園地の観覧車が見えた。恵美が「あっ、湊遊園だ。久しぶりだわ。」といったので「知ってるのか?よくいくのか?」と聞くと「大人になってからは行かないわよ。幼稚園の頃?よく家族で行ったわよね。お父さん。」と恵美がいうと、父は不機嫌に「そうだな。お前呑気だな。」といった。
俺は、この場で運転をやめてみんなを降ろそうかと思うほど腹が立った。恵美が幼稚園の頃といえば、祖母が亡くなったころだ。俺はそのころ毎日が不安で不安でしょうがなかった。祖母がなくなると近所のおばさんが俺の世話をしてくれた。坊ちゃん、坊ちゃんと呼んで大切にされた。
しかし、可愛がられているわけではなかった。ただ毎日生真面目に働いているだけだ。仕事に来ているだけだった。時間が来ればさっさと帰った。祖父の帰りが遅い日は大きな寝室で一人で寝た。
そして、毎晩、祖父が亡くなったら自分は誰に引き取られるのだろうと心配していた。まだ小学5,6年生だった。そのころは、祖父の全財産を相続するのが自分だということもわからなかった。毎日が不安で不安でしょうがなかった。
そんな時、こいつらは家族で遊園地に行っていたのだ。みんなでキャーキャー騒いでいたのだ。俺は何でこいつらのために奔走しているのだろう。田原の家に恥をさらし、身重の妻に負担をかけようとしていた。俺が守るべきはこいつらじゃない。そう思うとイライラした。
家に着くと梨央は驚いていたが、それでも「大変でしたね。」とお茶を用意してくれた。リビングには田原の義父と義母がいた。父親が深くお辞儀をして「迷惑をおかけします。」とあいさつをした。
義父は「いや、ひょっとしたらご迷惑をおかけしたのはこちらかもしれません。」と深いお辞儀を返してくれた。父や恵美や風羽田はちょっと不思議そうな顔をした。
続く
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恵美は年下の男をかばった。「ねえ、お兄ちゃん、この人ね闇金に騙されたのよ。追われてるの。だから、身軽なように家財道具も買ってないの。」
「何三流映画みたいなこと言ってるんだ。ちゃんと法的に処理しろ!」
「だから、それが危ないの。そういうことさせないためにこの人を捕まえようとしてるのよ。ねえ、お兄ちゃんの物件で安全なところない?」と真剣だ。闇金などという下品な言葉を恵美が使うこと自体情けなかった。
「お前黙ってないでなんとか言え!どうするつもりなんだ。いくらあるんだ借金は!」と聞くと、「地銀のビジネスローンが215万と、闇金が820万です。」と答えた。「闇金で800万も借りてどうするんだよ!お前、親はどうした!親は何にもしてくれないのか!」と聞くと、親は公務員だから世話になれない。こういうことが表に出れば親の職が続かなくなると答えた。
「お前人の家の娘を無茶苦茶にして親を守るのか?公務員なら退職金があるだろう。恵美の金を使う前にそっちを使え!」気が付けば俺が闇金のようなことを言っていた。「お兄ちゃん違う。恵美がこの人を逃したの。逃げなくちゃこの人殺されちゃう。」と泣いた。「あほか。誰が金を貸した人間を殺すか。」と答えながら自分のガラの悪さに驚いた。
「お父さん、こいつら連れて帰ってくれ。このままタクシーで走ってしまえば見つからんだろう?」といったが恵美が嫌がった。「お母さん、またヒステリーを起こすじゃない!大騒ぎになるじゃない!」と叫んだ。父も「うちへ来ん方がいい。母さんが騒ぎ立てて事がややこしくなる。お前の方で段取りできんか?金の方はもちろん負担させてもらう。お前の関係でいい場所はないか?」という。
「どこまで甘えた野郎だ。」と思ったが俺の親だった。結局一旦俺の家に行ってから改めて賃貸物件を探すことにした。すぐにでも入れるところに心当たりがあった。また、梨央に負担がかかると思った。
車の中で俺は不機嫌だった。おかげでみんな黙りこくっていた。この家の人間と俺はいつもこんな関係だ。俺の不機嫌でみんな黙る。慣れているはずの雰囲気なのに、今は気が滅入る。
途中遊園地の観覧車が見えた。恵美が「あっ、湊遊園だ。久しぶりだわ。」といったので「知ってるのか?よくいくのか?」と聞くと「大人になってからは行かないわよ。幼稚園の頃?よく家族で行ったわよね。お父さん。」と恵美がいうと、父は不機嫌に「そうだな。お前呑気だな。」といった。
俺は、この場で運転をやめてみんなを降ろそうかと思うほど腹が立った。恵美が幼稚園の頃といえば、祖母が亡くなったころだ。俺はそのころ毎日が不安で不安でしょうがなかった。祖母がなくなると近所のおばさんが俺の世話をしてくれた。坊ちゃん、坊ちゃんと呼んで大切にされた。
しかし、可愛がられているわけではなかった。ただ毎日生真面目に働いているだけだ。仕事に来ているだけだった。時間が来ればさっさと帰った。祖父の帰りが遅い日は大きな寝室で一人で寝た。
そして、毎晩、祖父が亡くなったら自分は誰に引き取られるのだろうと心配していた。まだ小学5,6年生だった。そのころは、祖父の全財産を相続するのが自分だということもわからなかった。毎日が不安で不安でしょうがなかった。
そんな時、こいつらは家族で遊園地に行っていたのだ。みんなでキャーキャー騒いでいたのだ。俺は何でこいつらのために奔走しているのだろう。田原の家に恥をさらし、身重の妻に負担をかけようとしていた。俺が守るべきはこいつらじゃない。そう思うとイライラした。
家に着くと梨央は驚いていたが、それでも「大変でしたね。」とお茶を用意してくれた。リビングには田原の義父と義母がいた。父親が深くお辞儀をして「迷惑をおかけします。」とあいさつをした。
義父は「いや、ひょっとしたらご迷惑をおかけしたのはこちらかもしれません。」と深いお辞儀を返してくれた。父や恵美や風羽田はちょっと不思議そうな顔をした。
続く
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2019年10月13日
家族の木 THE FOURTH STORY 真と梨央 <52 男の素性>
男の素性
1週間後には調査報告が届いた。今、中野区の賃貸マンションに住んでいるらしい。男は都内の生まれ育ちだった。両親とも教師で兄は国家公務員だった。エリート志向の強い家庭で育っていて都内でも有名な中高一貫校出身だった。
どこのやくざ者かと思っていたが意外に堅実な家庭で育っている。本人は大学受験に失敗してから水商売に入っていた。年は30歳、恵美より2歳下だ。10年間スナックの裏方やキャバレーのボーイなど水商売で食べている。やっと経営者になったが、その経営に失敗していた。名前は風羽田裕也といった。
俺は、自分が調査報告書を読んだ後に義父にその報告書を渡した。義父は読み始めてすぐに「う〜ん}とうなり声をあげて難しい顔になった。そりゃ確かに気分のいいものではないけれど、そんなにいやな顔をしなくてもいいと思った。しかもそのあと、しばらく席を立ってしまった。義母がその報告書に目をやると突然表情が変わって何もしゃべらなくなってしまった。
一体どうしたことかと焦っていると義父が席に戻ってきて、「その風羽田裕也は僕のいとこの息子だ。」といわれた。俺は1オクターブ高い声で「は?」と言ってしまった。梨央はぽかんとなっていた。「パパ何言ってるの?」といった。義母が「パパの叔父さんの孫よ。」といった。俺はもう一度「は?」といった。
「今二人が住んでいるところは僕の叔父の住んでいたところだ。土地勘があるんだろう。とにかく行ってみたらどうだ?詩音君も一緒に行けないか聞いてみてくれ。一人じゃ危ないだろう。」というので、「いや、父を連れていきます。詩音さんは怪我でもしたら画業に触りますから。父は自分の娘ですから。」
翌日父と二人で、調査会社が調べ上げた場所へ行ってみた。高級マンションが並ぶところだったが、その町の片隅にある小さなマンションに恵美と風羽田裕也は住んでいた。表札を上げていないので人違いだったらどうしようと思いながらインターフォンを押した。
何度押しても返事がない。父と二人でドアの前をうろうろしていると、そっとドアが開いた。恵美だった。「なんだ居たのか?」というと、声を潜めて「入って!」と言った。慌てて部屋へ入って暗澹とした。小さな冷蔵庫とテーブルしかなかった。小さなキッチンにはコップしかなかった。その隅にビニールのごみ袋があった。
風羽田裕也は部屋の奥で敬礼に近いようなお辞儀をしていた。「申し訳ありません。」とだけ言った。
父が風羽田の襟首をつかんだ。こういう時人間は気の利いたセリフは出ないようだった。「どういう了見だ。」と至極ありきたりのセリフを言った。男はまた「申し訳ありません。」といった。
「それにしてもこれじゃまともな暮らしは出来んだろう。食事はどうしてるんだ?」と聞くと「コンビニとか出前とか。」と恵美が答えた。「金はどうした。全部こいつにとられたのか?」と聞くと、また恵美が「持って歩いてるの。いつ引っ越さなければわからないから持って歩いた方が安全かなと思って。」と答えた。なんとなく、この駆け落ちは恵美主導のような印象だった。
続く
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1週間後には調査報告が届いた。今、中野区の賃貸マンションに住んでいるらしい。男は都内の生まれ育ちだった。両親とも教師で兄は国家公務員だった。エリート志向の強い家庭で育っていて都内でも有名な中高一貫校出身だった。
どこのやくざ者かと思っていたが意外に堅実な家庭で育っている。本人は大学受験に失敗してから水商売に入っていた。年は30歳、恵美より2歳下だ。10年間スナックの裏方やキャバレーのボーイなど水商売で食べている。やっと経営者になったが、その経営に失敗していた。名前は風羽田裕也といった。
俺は、自分が調査報告書を読んだ後に義父にその報告書を渡した。義父は読み始めてすぐに「う〜ん}とうなり声をあげて難しい顔になった。そりゃ確かに気分のいいものではないけれど、そんなにいやな顔をしなくてもいいと思った。しかもそのあと、しばらく席を立ってしまった。義母がその報告書に目をやると突然表情が変わって何もしゃべらなくなってしまった。
一体どうしたことかと焦っていると義父が席に戻ってきて、「その風羽田裕也は僕のいとこの息子だ。」といわれた。俺は1オクターブ高い声で「は?」と言ってしまった。梨央はぽかんとなっていた。「パパ何言ってるの?」といった。義母が「パパの叔父さんの孫よ。」といった。俺はもう一度「は?」といった。
「今二人が住んでいるところは僕の叔父の住んでいたところだ。土地勘があるんだろう。とにかく行ってみたらどうだ?詩音君も一緒に行けないか聞いてみてくれ。一人じゃ危ないだろう。」というので、「いや、父を連れていきます。詩音さんは怪我でもしたら画業に触りますから。父は自分の娘ですから。」
翌日父と二人で、調査会社が調べ上げた場所へ行ってみた。高級マンションが並ぶところだったが、その町の片隅にある小さなマンションに恵美と風羽田裕也は住んでいた。表札を上げていないので人違いだったらどうしようと思いながらインターフォンを押した。
何度押しても返事がない。父と二人でドアの前をうろうろしていると、そっとドアが開いた。恵美だった。「なんだ居たのか?」というと、声を潜めて「入って!」と言った。慌てて部屋へ入って暗澹とした。小さな冷蔵庫とテーブルしかなかった。小さなキッチンにはコップしかなかった。その隅にビニールのごみ袋があった。
風羽田裕也は部屋の奥で敬礼に近いようなお辞儀をしていた。「申し訳ありません。」とだけ言った。
父が風羽田の襟首をつかんだ。こういう時人間は気の利いたセリフは出ないようだった。「どういう了見だ。」と至極ありきたりのセリフを言った。男はまた「申し訳ありません。」といった。
「それにしてもこれじゃまともな暮らしは出来んだろう。食事はどうしてるんだ?」と聞くと「コンビニとか出前とか。」と恵美が答えた。「金はどうした。全部こいつにとられたのか?」と聞くと、また恵美が「持って歩いてるの。いつ引っ越さなければわからないから持って歩いた方が安全かなと思って。」と答えた。なんとなく、この駆け落ちは恵美主導のような印象だった。
続く
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2019年10月12日
家族の木 THE FOURTH STORY 真と梨央 <52 身上調査>
身上調査
みっともないと思ったが梨央に事情を説明した。梨央は「パパやママにも言っといた方がいいと思うの。パパって紳士然としてるけど意外に水商売系のことも詳しいの。」ということだったので義父や義母にも報告した。
もちろん梨沙ちゃんや詩音にも報告した。実家の恥をこんなにみんなにしゃべったのは協力してほしいからだ。こういうことに慣れた親戚や知人を紹介してほしかったからだ。
翌日郁美と会った。郁美は「お兄ちゃんごめんね。お母さん、家取っちゃったのよね。普段何にも構わなくてこんな時だけ連絡して。お姉さん、嫌な顔しなかった?」
「嫌な顔なんかしないさ。郁美、大人になったなあ。そんなセリフを言うようになったんだ。」と感心した。
「よかった。お姉さんにも謝っといてね。だってお兄ちゃんしか頼りにならないんだもん。」久しぶりに見る妹をかわいいと思った。
「あのね、お姉ちゃんなんだけど、お姉ちゃん騙されてると思うの。すごく好きになっちゃって言われるままに家出しちゃったんだと思うんだ。でも、お姉ちゃんこの半年ぐらいずっとお金渡してたと思う。何ていうの?ヒモ?そういう感じじゃないのかな?」
「それ、母さんに言ったか?」
「言ってない。だってお母さん興奮すると泣くじゃない。今泣いてる場合じゃないじゃない。お父さんには言ったの。だから、お父さん、お母さんに内緒でクラブの従業員の人に色々聞いてる。でも、わかんないのよ。お兄ちゃん、そういう場合の調べ方わかる?」
「駆け落ちの調べ方がわかるわけないだろう。うちの事業にそういう項目はないんだよ。」とはいうものの何とかしなければいけないのは分かっていた。田原の義父に相談してみた。
田原の義父は「そんなときは調査会社が一番頼りになる。しっかりしたところに頼めば出生から恋愛遍歴までわかる。行方を探す手掛かりはそういうところにあるだろうから。ただ、会社で使っているところはまずいだろう。身内のプライバシーが全部知れてしまう。ここどうだ。」と義父は超一流の調査会社名前を言った。
「僕に伝手がないが隆の方であると思う。聞いてみるか?隆は事情を人にしゃべるようなアホじゃない。信用してくれ。」
「でも、こんな大きな調査会社がこんなつまらない仕事受けますか?」「大丈夫だ。ただし高い。そこだけの問題だ。」「それならお願いします。」ということで大手調査会社に「クラブ風」の経営者の身上調査を依頼した。
続く
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コラーゲン、植物プラセンタ、鉄、ヒアルロン酸、エラスチンを同時配合した美容サプリメント。
みっともないと思ったが梨央に事情を説明した。梨央は「パパやママにも言っといた方がいいと思うの。パパって紳士然としてるけど意外に水商売系のことも詳しいの。」ということだったので義父や義母にも報告した。
もちろん梨沙ちゃんや詩音にも報告した。実家の恥をこんなにみんなにしゃべったのは協力してほしいからだ。こういうことに慣れた親戚や知人を紹介してほしかったからだ。
翌日郁美と会った。郁美は「お兄ちゃんごめんね。お母さん、家取っちゃったのよね。普段何にも構わなくてこんな時だけ連絡して。お姉さん、嫌な顔しなかった?」
「嫌な顔なんかしないさ。郁美、大人になったなあ。そんなセリフを言うようになったんだ。」と感心した。
「よかった。お姉さんにも謝っといてね。だってお兄ちゃんしか頼りにならないんだもん。」久しぶりに見る妹をかわいいと思った。
「あのね、お姉ちゃんなんだけど、お姉ちゃん騙されてると思うの。すごく好きになっちゃって言われるままに家出しちゃったんだと思うんだ。でも、お姉ちゃんこの半年ぐらいずっとお金渡してたと思う。何ていうの?ヒモ?そういう感じじゃないのかな?」
「それ、母さんに言ったか?」
「言ってない。だってお母さん興奮すると泣くじゃない。今泣いてる場合じゃないじゃない。お父さんには言ったの。だから、お父さん、お母さんに内緒でクラブの従業員の人に色々聞いてる。でも、わかんないのよ。お兄ちゃん、そういう場合の調べ方わかる?」
「駆け落ちの調べ方がわかるわけないだろう。うちの事業にそういう項目はないんだよ。」とはいうものの何とかしなければいけないのは分かっていた。田原の義父に相談してみた。
田原の義父は「そんなときは調査会社が一番頼りになる。しっかりしたところに頼めば出生から恋愛遍歴までわかる。行方を探す手掛かりはそういうところにあるだろうから。ただ、会社で使っているところはまずいだろう。身内のプライバシーが全部知れてしまう。ここどうだ。」と義父は超一流の調査会社名前を言った。
「僕に伝手がないが隆の方であると思う。聞いてみるか?隆は事情を人にしゃべるようなアホじゃない。信用してくれ。」
「でも、こんな大きな調査会社がこんなつまらない仕事受けますか?」「大丈夫だ。ただし高い。そこだけの問題だ。」「それならお願いします。」ということで大手調査会社に「クラブ風」の経営者の身上調査を依頼した。
続く
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コラーゲン、植物プラセンタ、鉄、ヒアルロン酸、エラスチンを同時配合した美容サプリメント。