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紙書籍版 出口汪の論理的に考える技術 [ 出口汪 ]

電子書籍版 出口 汪の論理的に考える技術【電子書籍】[ 出口 汪 ]

※出口さんと元教え子の女性（ゆいさん）との対談という形式です！
「出」＝出口さん、「ゆ」＝ゆいさん

面接の意味がわからない学生

出：私もこれまでに、成績は優秀で、筆記試験は文句なしに通るのに、面接でバタバタ落ちるっていう学生を何人も知っているよ。それが続いて、「自分という人間が否定されたような気がして、落ち込んでしまいます」なんて言って、悩んでいた学生もいたな。

ゆ：「何で面接で失敗するんだろう」「私のどこがいけないんだろう」って悩んじゃったり・・・。私も面接で落ちた会社がありましたけど、筆記試験で落ちるよりもショックですよね。

出：ゆいちゃんは会社の面接って、どんな場だと思っていた？

ゆ：やっぱり面接官の人たちに、自分がどんな人間かを知ってもらったり、自分が仕事に対してどう考えているかをわかってもらうのが面接なんじゃないですか？私だけじゃなくみんなそう考えていたんじゃないかな。

出：じゃあ、ゆいちゃんはどこの面接試験でも、「私はこんな人間です」とか「こういう仕事をしたいです」っていうような話をしたのかな？

ゆ：だいたいそうですね。でも、そうじゃない会社もあったかな。今の会社の面接は、面接官の人から趣味や友達のこととかいろいろ聞かれて、雑談みたいな感じになって、すごくリラックスして話ができたんですけど、終わってから、「こんなので良かったのかな？」って思ったくらいです。だから、内定をもらったときはビックリしちゃいました。

出：きっと、その雑談みたいな面接が良かったんだね。面接官は、雑談に入った時にはもうゆいちゃんに内定を出すことを決めていたのかもしれない。その後の質問や会話は、確認のような感じだったんじゃないかな。

ゆ：えっ、どういうことですか？あまり自分のことを話していないのに、面接官は私のことがわかったんですか？

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出：私の知り合いにも、企業の人事担当者や採用試験で面接官を務める人が何人もいるいけど、そういう人たちに「面接のときの選考基準は何ですか？」と聞くと、みんな口を揃えて、「一緒に仕事をしたいと思うかかどうか、それだけです」と言うんだ。

ゆ：「仕事ができそう」とか、そういうことじゃなくて？

出：違うんだ。面接というのは自分が優秀であることをアピールする場だと考えている学生も結構いるようね。でも、成績が優秀かどうかは、大学の成績表を見てもわかるし、筆記試験の成績を見れば一目瞭然だ。
ゆいちゃんは「自分という人間を知ってほしいと思った」というけど、面接の短い時間の中で、初めて会う相手のことを知ることはむずかしいよね。
だから、面接官はたくさんの学生と面接をするときに、「この人間となら、一緒に仕事がしたい」と思えるかどうかを判断基準にするんだ。

ゆ：何だか、意外な気がします。

面接対策講座

出：中途採用で経験者を募集するならともかく、学生には入社したその日から戦力になることは求めていない。仕事はだんだん覚えていけばいい、教えていけばいいと考えている。仕事ができるかどうかは、それからの話だよ。
だから、自分の言うことを素直に聞いてくれ、職場環境に順応できて、周りの人たちと協調できる人間を部下にしたい、そういう人間と一緒に働きたいと思うんだ。

ゆ：だから、学生の話をいろいろ聞かなくても、相手がどういう人間か、すぐにわかっちゃうんですね。

出：面接官は、採用か不採用かをほとんど瞬時に決めるっていうよ。その後の質問は、いわば確認作業なんだ。ゆいちゃんの場合も、今の会社の面接官はすぐに「このコなら一緒に仕事をしたい」って思ったんだよ。後の「雑談」はその判断が間違いじゃないかを確認していたんだ。