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2018年02月08日

松嶋菜々子・唐沢寿明主演NHK大河ドラマ「利家とまつ」第21回「利勝の初陣」







 2月7日の午前6時から、CS放送のチャンネル銀河で、NHK大河ドラマ「利家とまつ」の第21回「利勝の初陣」が放送されました。
 いうまでもないことながら「利家とまつ」は、平成14年に放送され、松嶋菜々子さんと唐沢寿明さんのダブル主演で話題になった(反町隆史さんは織田信長役)作品です。
 
 利家とまつの長男である利勝(のちに加賀前田藩主となる前田利長)は、晴れて初陣の日を迎えることとなる。
 ちょうどそのころ、摂津の荒木村重が織田信長に対して謀反を起こした。信長は家臣の前で怒りをあらわにする。
 利家(唐沢寿明さん演じる)に伴われ安土城に駆けつけた利勝は、怒る信長の激しいけんまくと、初陣の緊張とで震えてしまう。信長は利家の初陣の時のことを引き合いに出し、「震えているだけまし」と優しく言葉をかけるが、「おそれながら荒木の謀反は」と意見を述べ出した羽柴秀吉(香川照之さん演じる)に怒り秀吉を利家たちの面前で打ち据える。
 荒木村重との戦は長引くが、その間、利勝は高山右近の誘いでキリシタンの信仰をもつようになってしまい、「殺生はいやだ」と戦嫌いになってしまう。
 利家はなげき、利家の家臣の村井又兵衛(的場浩司さん演じる)や利家の義理の甥にあたる前田慶次郎(及川光博さん演じる)、それに信長の小姓・森蘭丸(ウエンツ瑛士さん演じる)は利勝の根性を叩き直そうとするが、利勝の気持ちは変わらない。
 利家は「武士が殺生するのは武士のつとめだからであって、百姓がコメをつくるのと変わらぬ」というが、「なぜコメをつくるのと同じなんですか!」と反発される。
 信長が「利勝を手元にひきとり、じっくり育てて武士らしく育ててやるから」という意味の内容が書かれた手紙を利家・まつ夫婦に送り、まつはそれをありがたいと思うが、利家は「こんなことで喜ぶ利家だと思うか!」と手紙を破り捨てる。
 その理由をまつに言うと、まつも納得し、「はる(天海祐希さん演じる)さまの顔がまともに見られなくなるところでした」という意味のことを言う。「はる」とは佐々成政(山口祐一郎さん演じる)の妻で、まつの親友だった。
 成政・はる夫婦は、嫡男を初陣で死なせてしまっていた。
 親友の子が初陣で命を落とし、親友が深い悲しみに暮れているのに、自分たちの子が初陣で戦いもせず信長に優遇されては、成政・はる夫婦に申し訳が立たないし、長男が武士としての生き方を否定したままにして信長に頼り切るのでは、利家の武士としての誇りが許さないのだ。
 そうして、利家は息子とまた直接むかいあい、厳しく接し「おれは鬼だ、鬼だと思え」といって投げ飛ばし「向かってこい!」と信長や重臣たちの前で言い、利勝も父への反発心を戦国武士らしい勇ましい気持ちに変えるのだった。
 と、こういうストーリーです。

 前田利家の長男が初陣で殺生できぬと言ったかどうかは分かりませんが、前田家と「キリシタン大名」高山右近との間に交流があったことは史実ですし、利家とまつの娘の豪姫もキリシタンにこころをよせていたのですから、このような「利勝が初陣でいくさ嫌いになった」というエピソードも一概に「そんなことはない」と否定することもできないでしょう。
 このお話で考えさせられたのは、戦国武士としての信念を息子にみせつける父・利家の姿と、親友を思うまつの姿です。
 武士の、しかも武将の家に生まれて、戦が嫌、では乱世を生きられぬ。男は強くあらねばならぬ、というのが戦国時代、と言うより「武家社会」での生き方であって、武士の父親は子を甘やかせてはいけないのです。むしろ、自分の生き方が地獄に堕ちるような殺生かさねるものであっても信念をもたなくてはならない。父が信念を持っているからこそ、息子もついてくる。
 一方、息子を失った親友を思い、自分も息子を甘やかしてはいけないのだと思いなおす「まつ」。
 戦国時代の夫婦のきずなと思いやりなのでした。

 また、大河ドラマが戦国時代等過去の時代を描きながら「ホームドラマ」の要素を強くしたのは「利家とまつ」以降だと思われますが、この父と息子のやり取りや、母として妻としての「まつ」の姿は現代にも通じるものがあると思います。
 現代社会もまた荒波があるのです。厳しさ無くして、ただ甘やかすだけでは子どもが社会の荒波を乗り切れない弱い人間になってしまいます。ときには厳しさも必要なのだと思います。また、まつのように親友を思い他者を気遣う気持ちも大切なのです。






 
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