2018年04月07日
緒形拳主演「必殺仕掛人」第21話「地獄花」
男がみなぎる!奮い立つ!【タクラマカン砂漠人参】
4月6日の午前9時から、テレ玉(地上波のテレビ埼玉)で、緒形拳主演「必殺仕掛人」第21話「地獄花」が放送されました。
私は「必殺仕掛人」にみならず「必殺シリーズ」を繰り返しみていますが、この「地獄花」という話は特に印象に残っている話です。
主人公の藤枝梅安(緒形拳さん演じる)は、殺しの現場を神谷兵十郎(田村高廣さん演じる)という浪人者に目撃されてしまいます。
そして、それをネタに金銭を要求されます。
「仕掛人」は、殺しの現場を見られてはならない。特に、裏稼業の者以外に見られてはならない。見られたならば、見た人間を抹殺しなくてはならない。それが掟なのだ。
だから、梅安は神谷兵十郎の命を狙う。掟の為でもあり、生かしておいてはまた強請られるかもしれないと思ったから。
しかし、夜道を追跡して、「立ちしょんべん」で隙を見せた神谷兵十郎を「仕掛」ようと瞬間、逆に斬りつけられ、兵十郎の剣客としての「凄腕」を見せつけられます。
そこへ声をかけたのが仕掛人の元締の音羽屋半右衛門(山村聰さん演じる)です。
「音羽の元締」こと半右衛門は兵十郎の腕を見込み、仕掛人の世界に誘います。
乗り気のようには見えなかった兵十郎でしたが、やがて、半右衛門にごちそうになりながら、半右衛門話を聞きます。
兵十郎は、けっして生活に窮していたわけではなかったのですが、武士としての誇りを捨てず、再仕官の道を探っていました。
彼の妻の「しず」(金井由美さん演じる)は針仕事の内職で「越後屋」という商人の家に出入りしていました。越後屋は親切ごかしに「御主人の再仕官の世話を」と、しずに申し出ます。浪人暮らしから足を洗って再仕官するには、仕官運動の為の資金が必要でした。
剣の腕だけでは再仕官は極めて難しい。再仕官には多額の金銭が必要だ。それは、兵十郎もじゅうぶん承知していることでした。
或る晩、兵十郎はしずに言いました。おれに再仕官してほしいか、と。しずは、腹から吐き出すかのように強く本音を言いました。「浪人暮らしはもう嫌でございます!」と。
同じころ、兵十郎の知人で同じく浪人暮らしをしている者が、喰いつめた挙句に罪を犯し、兵十郎の目の前で捕らえられる、ということがありました。
兵十郎は決意します。音羽の半右衛門のもとへ行き、仕掛を引き受ける条件を言います。それは相当な金額でしたが、仕官の為の運動に必要な金額でした。
このとき、梅安とともに音羽の半右衛門が頼りにしていた西村左内(林与一さん演じる)は不在でした。左内不在の間に仕掛の依頼がある。剣の腕がたつ男が必要だった半右衛門には、どうしても兵十郎の協力が欲しかったのです。
半右衛門は兵十郎の要求通りの金額を出すと言います。
さて、そのころ、しずに対して親切ごかしに「金を稼ぐ方法を教える」と言っていた越後屋は、その「金を稼ぐ方法」が何であるかを彼女に伝えます。それは、「一晩だけ、目をつぶっていただければ」というものでした。
つまり、一晩だけ、男に抱かれろ、ということです。
どうやら、遊女相手ではなく、わけありの人妻を抱きたいという「好き者」がいて、越後屋にあっせんを頼んでいるらしい。
もちろん、自らすすんで体を売るようなしずではありません。
が、一晩だけのことなのに相当な金額が稼げるという。夫の仕官には金が必要だ。その金があれば、夫の仕官が叶うかもしれない。そうすれば、みじめな浪人暮らしから脱せられる。晴れて、武士らしい武士に戻れるのだ。
「夫のために」自分が一晩だけ恥を忍べば……。
しずは悩みます。
そんな妻の葛藤を知らない兵十郎は、半右衛門、梅安とともに、仕掛の相手の邸宅へ向かいます。
雪が激しく吹きすさぶ夜でした。
仕掛ける相手は、永井監物(外山高士さん演じる)という、身分ある武士。
監物の屋敷に乗り込んで、女と臥所を共にしている監物を仕留める兵十郎。布団の下で震えている女に声を掛けます。そなたに危害を加えるつもりはないから早く逃げろ、と。
その兵十郎の声に、女は「ハッ?!」となります。
監物に抱かれていた女は兵十郎の愛妻、しずでした。
叫ぶしず。その騒ぎを聞きつけて、永井家の家臣・用心棒らが寝所に駆け付けます。
兵十郎と梅安が吹雪の中、敵を倒しまくります。
半狂乱になるしず。
そして、しずと兵十郎に悲しい結末が待っているのでした。
妻の願いの為に、あえて「一度だけ」殺し屋になる夫。夫の仕官の資金の為に、あえて自分の身を犠牲にする妻。お互いを想う気持ちは一緒だが、殺しの現場に偶然出会ったために起こった悲劇。
夫婦がお互いの為を想って「大切なもの」を捨て「お金」を得る、というのはO・ヘンリーの「賢者の贈り物」を連想させるような設定・筋書ですが、この「必殺仕掛人」では、なんともやりきれない悲劇で終わっています。
4月6日の午前9時から、テレ玉(地上波のテレビ埼玉)で、緒形拳主演「必殺仕掛人」第21話「地獄花」が放送されました。
私は「必殺仕掛人」にみならず「必殺シリーズ」を繰り返しみていますが、この「地獄花」という話は特に印象に残っている話です。
主人公の藤枝梅安(緒形拳さん演じる)は、殺しの現場を神谷兵十郎(田村高廣さん演じる)という浪人者に目撃されてしまいます。
そして、それをネタに金銭を要求されます。
「仕掛人」は、殺しの現場を見られてはならない。特に、裏稼業の者以外に見られてはならない。見られたならば、見た人間を抹殺しなくてはならない。それが掟なのだ。
だから、梅安は神谷兵十郎の命を狙う。掟の為でもあり、生かしておいてはまた強請られるかもしれないと思ったから。
しかし、夜道を追跡して、「立ちしょんべん」で隙を見せた神谷兵十郎を「仕掛」ようと瞬間、逆に斬りつけられ、兵十郎の剣客としての「凄腕」を見せつけられます。
そこへ声をかけたのが仕掛人の元締の音羽屋半右衛門(山村聰さん演じる)です。
「音羽の元締」こと半右衛門は兵十郎の腕を見込み、仕掛人の世界に誘います。
乗り気のようには見えなかった兵十郎でしたが、やがて、半右衛門にごちそうになりながら、半右衛門話を聞きます。
兵十郎は、けっして生活に窮していたわけではなかったのですが、武士としての誇りを捨てず、再仕官の道を探っていました。
彼の妻の「しず」(金井由美さん演じる)は針仕事の内職で「越後屋」という商人の家に出入りしていました。越後屋は親切ごかしに「御主人の再仕官の世話を」と、しずに申し出ます。浪人暮らしから足を洗って再仕官するには、仕官運動の為の資金が必要でした。
剣の腕だけでは再仕官は極めて難しい。再仕官には多額の金銭が必要だ。それは、兵十郎もじゅうぶん承知していることでした。
或る晩、兵十郎はしずに言いました。おれに再仕官してほしいか、と。しずは、腹から吐き出すかのように強く本音を言いました。「浪人暮らしはもう嫌でございます!」と。
同じころ、兵十郎の知人で同じく浪人暮らしをしている者が、喰いつめた挙句に罪を犯し、兵十郎の目の前で捕らえられる、ということがありました。
兵十郎は決意します。音羽の半右衛門のもとへ行き、仕掛を引き受ける条件を言います。それは相当な金額でしたが、仕官の為の運動に必要な金額でした。
このとき、梅安とともに音羽の半右衛門が頼りにしていた西村左内(林与一さん演じる)は不在でした。左内不在の間に仕掛の依頼がある。剣の腕がたつ男が必要だった半右衛門には、どうしても兵十郎の協力が欲しかったのです。
半右衛門は兵十郎の要求通りの金額を出すと言います。
さて、そのころ、しずに対して親切ごかしに「金を稼ぐ方法を教える」と言っていた越後屋は、その「金を稼ぐ方法」が何であるかを彼女に伝えます。それは、「一晩だけ、目をつぶっていただければ」というものでした。
つまり、一晩だけ、男に抱かれろ、ということです。
どうやら、遊女相手ではなく、わけありの人妻を抱きたいという「好き者」がいて、越後屋にあっせんを頼んでいるらしい。
もちろん、自らすすんで体を売るようなしずではありません。
が、一晩だけのことなのに相当な金額が稼げるという。夫の仕官には金が必要だ。その金があれば、夫の仕官が叶うかもしれない。そうすれば、みじめな浪人暮らしから脱せられる。晴れて、武士らしい武士に戻れるのだ。
「夫のために」自分が一晩だけ恥を忍べば……。
しずは悩みます。
そんな妻の葛藤を知らない兵十郎は、半右衛門、梅安とともに、仕掛の相手の邸宅へ向かいます。
雪が激しく吹きすさぶ夜でした。
仕掛ける相手は、永井監物(外山高士さん演じる)という、身分ある武士。
監物の屋敷に乗り込んで、女と臥所を共にしている監物を仕留める兵十郎。布団の下で震えている女に声を掛けます。そなたに危害を加えるつもりはないから早く逃げろ、と。
その兵十郎の声に、女は「ハッ?!」となります。
監物に抱かれていた女は兵十郎の愛妻、しずでした。
叫ぶしず。その騒ぎを聞きつけて、永井家の家臣・用心棒らが寝所に駆け付けます。
兵十郎と梅安が吹雪の中、敵を倒しまくります。
半狂乱になるしず。
そして、しずと兵十郎に悲しい結末が待っているのでした。
妻の願いの為に、あえて「一度だけ」殺し屋になる夫。夫の仕官の資金の為に、あえて自分の身を犠牲にする妻。お互いを想う気持ちは一緒だが、殺しの現場に偶然出会ったために起こった悲劇。
夫婦がお互いの為を想って「大切なもの」を捨て「お金」を得る、というのはO・ヘンリーの「賢者の贈り物」を連想させるような設定・筋書ですが、この「必殺仕掛人」では、なんともやりきれない悲劇で終わっています。
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