先進企業は、統計学をどのようにビジネスに使っているのか?
「ビジネス×統計学」の最前線で第一人者として活躍する著者が、日本で知られていない「リサーチデザイン」の基本を伝えたうえで、経営戦略・人事・マーケティング・オペレーションで統計学を使う知恵と方法を詳細に解説します。
<書評>
統計的な処理は、私たちの事業でも安全管理や品質管理などの色々な面で行われている。
設備の保守管理を行う上でも、故障発生回数や故障の部位、停止時間などを分析。取り換えや手入れのタイミングを予測し、予防保全を行うことで機能停止時間を短縮し、機能の低下を防ぐことがお客様の安全安心につながる。そのため、統計学は重要な学問であり、統計の処理、利用方法を正しく理解することが大切である。
私たち人間は、統計数量と処理結果に対し、時に誤った解釈や、判断をする事がある。これは、得られた結果の背景や信頼度、推計の基となったデータの特性などの理解不足から起こるもので、避けることが可能である。
この本は、統計学の直接的な手法の解説ではなく、前述したように、結果やデータの取り扱いについて分かり易く解説している、統計学に興味のある方には一読をお勧めします。
統計学の素晴らしいところは「最善」の道を最も早く確実に示してくれているところであると筆者は述べている。
一方、我々は、仕事を行う上で「最善」を目指して取り組んでいるが、失敗することも多々ある。これは我々がすべきことの多くはデータや文献の上では明らかであるにもかかわらず、実行するまでのギャップが「最善」から遠ざかっているからとも述べている。
本書は、やや専門的で分かりづらいところもあるが、統計学が「最善」を目指すためのツールとして重要であることは幾分か分かった気がした。
一連の「最強の学問」シリーズの入門書。
「あみだくじの必勝法」から「コレラを拡大再生産させた社会システム」、「だからどうした?というグラフ」、「背が低い野村くんの恋愛」、「見たから買ったのか、買ったから見たのか」と魅力的な内容が矢継ぎ早に続いた後、p値から95%信頼区間、重回帰分析、ロジスティクス回帰までを一気に説明。
ニュートン2020年9月号の特集記事である「ベイズ統計」についてもきわめて分かりやすく書いてあり、読んでみて「なるほど」の一言。
「我々がやるべきことはわかっているが、それを現実のものとして実現するまでのギャップが我々を最善から遠ざけている」、「統計学はこうした最善への道を最も確実に速く示してくれる」が「おわりに」での辞。
「サンプリング調査の結果はあてにならない」とする人たちを「80年前と変わらないおっさんたち」と一刀両断しており、気になる方は第1章だけでよいので御一読を。統計リテラシーが確実に上がります。
西内 啓 (著)
出版:ダイヤモンド社
出版:ダイヤモンド社