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2017年12月25日
さようならマギ!最終巻 37巻の感想 ※ネタバレ
始まりがあればいつか終わりがある・・・。
それはこの世の全てに共通する理(ことわり)です。
マギも勿論例外ではありません。
遂に最終巻を迎えました!といっても37巻。最近の漫画の中ではむしろ短い方かもしれません。
でもそれもマギらしい。
という訳で最終巻の感想を書きたいと思います。思い出を噛み締めながら・・・
37巻はアリババの大ピンチから始まります。
金属器使い、眷属、軍隊に囲まれて孤軍奮闘のアリババ。
体力を、身体を、魔力(マゴイ)を振り絞り、削りながら必死に戦う相手はあくまでも「世界をルフに還す魔法」。
聖宮の使者のみと戦うアリババ。
「お前らを絶対にルフには還さねぇ!!」という信念を貫き、ひたすら戦い抜こうしていきます。
その戦いの最中、第361夜でグッと来たシーンがありました。
世界中を敵に回しながら、それでもひたすらに皆を救おうとするアリババの戦う姿に、紅玉が、一兵士が、ムー・アキレウスが、皆がかつての自分の「大事なものを守るために戦った姿」とを重ね、圧倒されるシーンです。
「なぜ戦うの!?それでも必死で戦う理由は!?」と紅玉が心を揺さぶられるなか、なぜかアリババの戦い抜く姿が自分の記憶に重なっていくんです。
それは紅玉だけではありません。他の金属器使いやその眷属、更には、戦いを見守る一人一人の兵士が同じ思いになっていきます。
アリババの背後に、
「煌帝国のために・・・」
「煌帝国のために・・・!!」
とかつて闘っていた自分たちの姿を重ねていくシーンは圧巻です。
物語を読んでいる私の脳裏にも、これまでの戦いが走馬灯のようによみがえってきます。
マギを読みながら私は、
「そうだ。皆、自分の大事なものを守るために戦ってきたんだよな。
そして今アリババは皆を守るために戦っている。
たとえ世界中が敵に回ろうとも、アリババは、その世界中を守ると決めたんだ。
それがアリババの決意なんだ・・・!!」
そう思うと、涙が溢れ出してきました。
アリババの戦う姿は、ルフに縛られた皆の心を大きくそして激しく揺さぶり、ルフの鎖を引き千切らんばかりの勢いでした。
しかし強化した聖宮の力は呆気なく皆の心を縛り直すのです。
もう完全に大ピンチ!というところで突然出てくる紅炎。
金属器使い全員にフェニクスの調定をかけるというおまけ付きで登場します。
敵の能力を無力化したと思ったら、煌帝国の面々を「フザけるな!!」と一喝してたちまちに籠絡してしまう。
さっきまでのアリババの戦いは何だったんだ!?と思うような拍子抜け振りで、一気に話を自分のところに持っていってしまいました。
なんか張り詰めていた緊張感も霧散してしまったような・・・。
いやあ、おいしすぎますよ紅炎さん。
もうちょっとアリババを褒めてあげてください・・・。
色々ありましたが(この辺は書くと長くなるのではしょります)、聖宮でのシンドバッドとダビデ、アラジンの戦いも終局を迎えます。
シンドバッドは「世界を救うために金属器の力を唯一の王に集約してくれ」と提案しましたがアリババにあっさりと断られ、それでもどこか嬉しそうな表情を浮かべていました。
アラジンが言うように、きっとアリババがそう言うことを分かっていたのでしょう。
マギシステム、ジン、金属器というこれまで世界のバランスを保ってきたシステムと袂を分かつことをアリババは決め、その思いは聖宮の力を借りて世界中に伝播し、一体となって「世界をルフに還す魔法」と最後の戦いを仕掛けました。
しかしルフを大量に世界から獲得したダビデは強い。
シンドバッドはダビデの力の前に盾となってその姿を消します。
皆の力が尽きようかというその時、アラジンはウーゴや両親(ソロモンにシバ)の手助けを得てダビデの眉間を穿ちました。
次の瞬間世界が真っ白に染まり・・・
というところで、最終話に進みました。
最終夜「願い事」は、後日談といった感じで話が進みます。
戦いから2ヶ月が過ぎた世界は景色も人の生活も、がらっと変わった新世界。
マギシステムも金属器も無くなった世界。
でも魔法はそのまま存在しているようです。「次元をつなぐ魔法を研究している」という台詞がありましたから。魔法は「世界の理」として、物理法則みたいな扱いということなんでしょう。
今までの戦いや葛藤やそんなものが全て無くなった世界。
ということで、これで話は終わりです!
・・・何それ?
今までの戦いは何だったの?
ルフの統一化は?次元を超える対話は?シンドバッドは何処に行ったの??
この急激な話の大展開と、色々な謎を残したまま(ほっぽりだしたまま?)1話で終わらせてしまうやり方は、まさかの「打ち切りでは?」という疑念も生じてしまうかもしれません。
あるいは「伏線を張るだけ張っといて、全部を投げ捨ててしまったのかよ!」と怒ってしまうかもしれません。
・・・というように感じてしまうところもあるかもしれませんが、私はそうは思いませんでした。
なぜならこの「マギ」は、
・アリババが苦悩と戦いの中で「自分の決意」を探す旅。
・ルフシステムの申し子であるアラジンが「自分の意志」を探す旅。
ということが物語の核だからと受け取ったからです。
更にそれはアリババ、アラジンだけではありません。
白龍やジュダル、シンドバッドもそうでした。
運命に翻弄されながら、その中で自分の決意と意志を見付けていきました。
その意味では物語はシンドバッドとの聖宮での戦いのシーンでクライマックスを迎えていたと思います。
最終話はクライマックス後のおまけエピソードと、あともう一つ、アリババの結婚シーンを披露しておかないといけない宿題を終わらせたというような意味なんだと思います。
これからも彼らの世界の物語は続き、その中でまた苦悩や戦いが生じるのでしょう。
そうして生きて行く。
それはとても素晴らしいことで、そしてアリババ達が強く願った事でもあります。
とにかく「マギ」は37巻で終わりました。
短いようで長い旅だったなあと思います。
ということで、私の単行本の感想を書くという旅も一旦は終わります。
でもマギには紹介しきれていない魅力が一杯あります。
今後は、マギの好きなエピソードや、人物考察など、マギの世界をどんどん深めていくような記事を書いていきたいと思います。
長文を読んでいただきありがとうございました!
それはこの世の全てに共通する理(ことわり)です。
マギも勿論例外ではありません。
遂に最終巻を迎えました!といっても37巻。最近の漫画の中ではむしろ短い方かもしれません。
でもそれもマギらしい。
という訳で最終巻の感想を書きたいと思います。思い出を噛み締めながら・・・
アリババの覚悟と壮絶な戦い
37巻はアリババの大ピンチから始まります。
金属器使い、眷属、軍隊に囲まれて孤軍奮闘のアリババ。
体力を、身体を、魔力(マゴイ)を振り絞り、削りながら必死に戦う相手はあくまでも「世界をルフに還す魔法」。
聖宮の使者のみと戦うアリババ。
「お前らを絶対にルフには還さねぇ!!」という信念を貫き、ひたすら戦い抜こうしていきます。
その戦いの最中、第361夜でグッと来たシーンがありました。
世界中を敵に回しながら、それでもひたすらに皆を救おうとするアリババの戦う姿に、紅玉が、一兵士が、ムー・アキレウスが、皆がかつての自分の「大事なものを守るために戦った姿」とを重ね、圧倒されるシーンです。
「なぜ戦うの!?それでも必死で戦う理由は!?」と紅玉が心を揺さぶられるなか、なぜかアリババの戦い抜く姿が自分の記憶に重なっていくんです。
それは紅玉だけではありません。他の金属器使いやその眷属、更には、戦いを見守る一人一人の兵士が同じ思いになっていきます。
アリババの背後に、
「煌帝国のために・・・」
「煌帝国のために・・・!!」
とかつて闘っていた自分たちの姿を重ねていくシーンは圧巻です。
物語を読んでいる私の脳裏にも、これまでの戦いが走馬灯のようによみがえってきます。
マギを読みながら私は、
「そうだ。皆、自分の大事なものを守るために戦ってきたんだよな。
そして今アリババは皆を守るために戦っている。
たとえ世界中が敵に回ろうとも、アリババは、その世界中を守ると決めたんだ。
それがアリババの決意なんだ・・・!!」
そう思うと、涙が溢れ出してきました。
アリババの戦う姿は、ルフに縛られた皆の心を大きくそして激しく揺さぶり、ルフの鎖を引き千切らんばかりの勢いでした。
しかし強化した聖宮の力は呆気なく皆の心を縛り直すのです。
おいしいところを持っていく紅炎
もう完全に大ピンチ!というところで突然出てくる紅炎。
金属器使い全員にフェニクスの調定をかけるというおまけ付きで登場します。
敵の能力を無力化したと思ったら、煌帝国の面々を「フザけるな!!」と一喝してたちまちに籠絡してしまう。
さっきまでのアリババの戦いは何だったんだ!?と思うような拍子抜け振りで、一気に話を自分のところに持っていってしまいました。
なんか張り詰めていた緊張感も霧散してしまったような・・・。
いやあ、おいしすぎますよ紅炎さん。
もうちょっとアリババを褒めてあげてください・・・。
聖宮の戦いは終わりを告げる。そして・・・
色々ありましたが(この辺は書くと長くなるのではしょります)、聖宮でのシンドバッドとダビデ、アラジンの戦いも終局を迎えます。
シンドバッドは「世界を救うために金属器の力を唯一の王に集約してくれ」と提案しましたがアリババにあっさりと断られ、それでもどこか嬉しそうな表情を浮かべていました。
アラジンが言うように、きっとアリババがそう言うことを分かっていたのでしょう。
マギシステム、ジン、金属器というこれまで世界のバランスを保ってきたシステムと袂を分かつことをアリババは決め、その思いは聖宮の力を借りて世界中に伝播し、一体となって「世界をルフに還す魔法」と最後の戦いを仕掛けました。
しかしルフを大量に世界から獲得したダビデは強い。
シンドバッドはダビデの力の前に盾となってその姿を消します。
皆の力が尽きようかというその時、アラジンはウーゴや両親(ソロモンにシバ)の手助けを得てダビデの眉間を穿ちました。
次の瞬間世界が真っ白に染まり・・・
というところで、最終話に進みました。
全てが変わった新しい世界
最終夜「願い事」は、後日談といった感じで話が進みます。
戦いから2ヶ月が過ぎた世界は景色も人の生活も、がらっと変わった新世界。
マギシステムも金属器も無くなった世界。
でも魔法はそのまま存在しているようです。「次元をつなぐ魔法を研究している」という台詞がありましたから。魔法は「世界の理」として、物理法則みたいな扱いということなんでしょう。
今までの戦いや葛藤やそんなものが全て無くなった世界。
ということで、これで話は終わりです!
・・・何それ?
今までの戦いは何だったの?
ルフの統一化は?次元を超える対話は?シンドバッドは何処に行ったの??
この急激な話の大展開と、色々な謎を残したまま(ほっぽりだしたまま?)1話で終わらせてしまうやり方は、まさかの「打ち切りでは?」という疑念も生じてしまうかもしれません。
あるいは「伏線を張るだけ張っといて、全部を投げ捨ててしまったのかよ!」と怒ってしまうかもしれません。
・・・というように感じてしまうところもあるかもしれませんが、私はそうは思いませんでした。
なぜならこの「マギ」は、
・アリババが苦悩と戦いの中で「自分の決意」を探す旅。
・ルフシステムの申し子であるアラジンが「自分の意志」を探す旅。
ということが物語の核だからと受け取ったからです。
更にそれはアリババ、アラジンだけではありません。
白龍やジュダル、シンドバッドもそうでした。
運命に翻弄されながら、その中で自分の決意と意志を見付けていきました。
その意味では物語はシンドバッドとの聖宮での戦いのシーンでクライマックスを迎えていたと思います。
最終話はクライマックス後のおまけエピソードと、あともう一つ、アリババの結婚シーンを披露しておかないといけない宿題を終わらせたというような意味なんだと思います。
これからも彼らの世界の物語は続き、その中でまた苦悩や戦いが生じるのでしょう。
そうして生きて行く。
それはとても素晴らしいことで、そしてアリババ達が強く願った事でもあります。
とにかく「マギ」は37巻で終わりました。
短いようで長い旅だったなあと思います。
ということで、私の単行本の感想を書くという旅も一旦は終わります。
でもマギには紹介しきれていない魅力が一杯あります。
今後は、マギの好きなエピソードや、人物考察など、マギの世界をどんどん深めていくような記事を書いていきたいと思います。
長文を読んでいただきありがとうございました!
タグ:マギ
2017年12月03日
起業家って凄い・・・と面白く読むことができた「渋谷ではたらく社長の告白」藤田 晋
72時間ホンネTVで話題になった感がある、AbemaTVの社長、藤田晋さんの本です。
発刊から結構な年数が過ぎていて「今頃読むのは遅いかな?」と思ったけれど、そんなことは全くありませんでした。
面白い本でした。
↑表紙の藤田社長・・・わ、若い!
AbemaTVでよく拝見する今の藤田さんとは全然違いますが、このような若い時から全力で闘ってきたのかと思うと、脱帽です。。
「渋谷ではたらく社長の告白」というタイトルが示すとおり、渋谷=ITベンチャーの集積地で働く社長のありのままの姿が書き出されています。
藤田社長が上京する前から始まり、大学時代、バイト時代、就職そして独立、上場とその後までを物語のように読むことができます。
藤田さんは若くして上場し、300億円の個人資産を得たことで一躍有名になりました。
私は単純に「若くして大金持ちになって、恵まれた凄く幸せな人生だなあ」と考えていました。
しかしこの本を読むと、それはいかにも無邪気で想像力のない考えだったことに気付かされます。
確かに「若くして」「大金持ちになった」ことだけを切り取ると、それは幸運で幸せなことでしょう。
でも本の中で書き出されていた光景はそんな単純なものではありませんでした。
成し遂げた人の想像を超える苦悩、修羅場、激務、挑戦を超えた先に死に物狂いで手にした成果だということ。
特に創業期では、遊び、彼女ーーー仕事以外のものは全て投げ捨て、文字通りその身を捧げていました。
そんなことが自分に出来ただろうか?出来るだろうか?そう考えると、自然と読み進める手に熱がこもりました。
創業当時の勢いのあるシーンの描写は熱狂が伝わってくるようで、こんな生き方も楽しそうだ、とつい感化されてしまいそうです。
ネットバブル時の勢いや、また、バブル後の逆風の凄さもありありと伝わって来るようでした。
「そんなのあり?」みたいな面白エピソードもあり、度肝を抜かれます。
と、こんな感じで全体を興奮しながら読むことができました。
藤田さんのストレートな文章に生々しいリアリティを感じながら、未来を切り開くパワーすら感じる本でした。
それと「起業家」というものの印象が大きく変わりました。
以下にこの本を通じて起業家について感じたことを書いておきます。
読み進める中で、正直に起業家って凄いと思いました。
起業と経営には、嫉妬、逆風、離反・・・人間がもたらすあらゆる負の要素を浴びながら、それでも正面から戦い続ける体力と気力が必要なんだなあと。
それらを備え、戦い続けられる人が「起業家」なのだと。
読んでいて読者の立場ながら辛くなることもありました。
株価低迷時の描写では藤田さんの苦悩、迷走、しんどさが息遣いとともに伝わってくるようでした。
例えば、投資家への対応なんていうのは起業家の姿として想像したこともありませんでしたが、割と大変な仕事で、それこそ身を骨を、神経をすり減らすような大変さがあるのだということが伝わってきました。
それと藤田さんの視点から描かれる宇野さん、三木谷さんといった他の経営者も凛として格好良かったです。
厳しい四半期決算を前に「なんとか黒字は確保しなければとは思っているのですが・・・」と話す藤田さんに対して三木谷さんはこう言いました。
「いいよ、そんなの。もっと中長期の経営を目指してるんだろ?」
「だったら、自分の信念を貫けよ」
この言葉は揺れていた藤田さんの心情に突き刺さり、強さを与えたように思います。
出資者としては当期のリターンが得られない経営に腹を立ててもおかしくない状況です。
自分の信念を持っているからこそ言える一言なのでしょう。
胆力、信念。
そういった強さを備えた人こそが経営者であり事業家なんだなあ、と痛感させられました。
(そういえば「人生の勝算」(前田裕二さん)の中で、DeNA創業者の南場さんが「実業には胆力が必要」と話していたことを思い出しました。)
今をときめくサイバーエージェントの藤田社長の生き方、考え方を追体験できる面白い本です。
ベンチャービジネスに興味がある人、「社長」や「起業家」に興味のある人はとても楽しく読めると思います。
発刊から結構な年数が過ぎていて「今頃読むのは遅いかな?」と思ったけれど、そんなことは全くありませんでした。
面白い本でした。
↑表紙の藤田社長・・・わ、若い!
AbemaTVでよく拝見する今の藤田さんとは全然違いますが、このような若い時から全力で闘ってきたのかと思うと、脱帽です。。
総論的な感想。
「渋谷ではたらく社長の告白」というタイトルが示すとおり、渋谷=ITベンチャーの集積地で働く社長のありのままの姿が書き出されています。
藤田社長が上京する前から始まり、大学時代、バイト時代、就職そして独立、上場とその後までを物語のように読むことができます。
藤田さんは若くして上場し、300億円の個人資産を得たことで一躍有名になりました。
私は単純に「若くして大金持ちになって、恵まれた凄く幸せな人生だなあ」と考えていました。
しかしこの本を読むと、それはいかにも無邪気で想像力のない考えだったことに気付かされます。
確かに「若くして」「大金持ちになった」ことだけを切り取ると、それは幸運で幸せなことでしょう。
でも本の中で書き出されていた光景はそんな単純なものではありませんでした。
成し遂げた人の想像を超える苦悩、修羅場、激務、挑戦を超えた先に死に物狂いで手にした成果だということ。
特に創業期では、遊び、彼女ーーー仕事以外のものは全て投げ捨て、文字通りその身を捧げていました。
そんなことが自分に出来ただろうか?出来るだろうか?そう考えると、自然と読み進める手に熱がこもりました。
創業当時の勢いのあるシーンの描写は熱狂が伝わってくるようで、こんな生き方も楽しそうだ、とつい感化されてしまいそうです。
ネットバブル時の勢いや、また、バブル後の逆風の凄さもありありと伝わって来るようでした。
「そんなのあり?」みたいな面白エピソードもあり、度肝を抜かれます。
と、こんな感じで全体を興奮しながら読むことができました。
藤田さんのストレートな文章に生々しいリアリティを感じながら、未来を切り開くパワーすら感じる本でした。
それと「起業家」というものの印象が大きく変わりました。
以下にこの本を通じて起業家について感じたことを書いておきます。
起業家について
読み進める中で、正直に起業家って凄いと思いました。
起業と経営には、嫉妬、逆風、離反・・・人間がもたらすあらゆる負の要素を浴びながら、それでも正面から戦い続ける体力と気力が必要なんだなあと。
それらを備え、戦い続けられる人が「起業家」なのだと。
読んでいて読者の立場ながら辛くなることもありました。
株価低迷時の描写では藤田さんの苦悩、迷走、しんどさが息遣いとともに伝わってくるようでした。
例えば、投資家への対応なんていうのは起業家の姿として想像したこともありませんでしたが、割と大変な仕事で、それこそ身を骨を、神経をすり減らすような大変さがあるのだということが伝わってきました。
それと藤田さんの視点から描かれる宇野さん、三木谷さんといった他の経営者も凛として格好良かったです。
厳しい四半期決算を前に「なんとか黒字は確保しなければとは思っているのですが・・・」と話す藤田さんに対して三木谷さんはこう言いました。
「いいよ、そんなの。もっと中長期の経営を目指してるんだろ?」
「だったら、自分の信念を貫けよ」
この言葉は揺れていた藤田さんの心情に突き刺さり、強さを与えたように思います。
出資者としては当期のリターンが得られない経営に腹を立ててもおかしくない状況です。
自分の信念を持っているからこそ言える一言なのでしょう。
胆力、信念。
そういった強さを備えた人こそが経営者であり事業家なんだなあ、と痛感させられました。
(そういえば「人生の勝算」(前田裕二さん)の中で、DeNA創業者の南場さんが「実業には胆力が必要」と話していたことを思い出しました。)
まとめ
今をときめくサイバーエージェントの藤田社長の生き方、考え方を追体験できる面白い本です。
ベンチャービジネスに興味がある人、「社長」や「起業家」に興味のある人はとても楽しく読めると思います。
タグ:藤田晋 サイバーエージェント