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2021年08月19日
便秘の解消方法について!!!
常習性便秘のほとんどは腸の働きが悪くなって起こる
排便は、毎日なければ異常というわけではありませんが、便が硬くてスムーズに出なかったり、腹痛や不快感などがある状態を便秘と呼んでいます。
便秘の中には、大腸がんなどの病気が原因で起こる「器質性便秘」もあり、その鑑別は必要ですが、そうした病気がない常習性の便秘は、ほとんどが腸の働きが悪くなって起こる「機能性便秘」です。
機能性便秘は、次の2つのタイプに大きく分けられます。
弛緩性便秘
大腸の緊張がゆるんでぜんどう運動が弱くなり、便がうまく運ばれていかないために起こります。
けいれん性便秘
大腸のぜんどう運動が強すぎて、収縮した腸管がくびれたりして、便の通りが妨げられるために起こります。
西洋医学でもどちらのタイプの便秘かを客観的に調べる検査法はまだなく、判別がつきにくい場合があります。
女性の場合はホルモン分泌の変動も血流に影響し、骨盤内や腸壁に血液がうっ滞すると、便秘がおこりやすくなります。
便秘の解消には、生活習慣の改善と合わせて薬を使う
機能性便秘の解消には、まず排便習慣の改善、食物繊維の多い食事、適度な運動などが大切で、それでもつらい場合には薬を用います。
西洋医学では、腸を刺激して排便を促す薬(刺激性下剤)、腸内の水分量を増やして便を柔らかくし、排便しやすくする薬(塩類下剤など)、肛門から注入して腸を直接刺激する浣腸薬などが用いられています。
漢方では大横を含む薬を体力などによって使い分ける
便秘に対する漢方治療は、機能性便秘が対象になります。
漢方では便秘は、気逆、気虚、瘀血、血虚、水滞など、気血水の様々なバランスの乱れから起こると考えられています。
治療の中心となるのは、大黄という生薬を含む漢方薬です。
大黄には腸を刺激してぜんどう運動を促す作用があり、西洋医学でも刺激性下剤の一つとして使われています。
漢方では、単に排便を促すだけでなく、腸管を温めたりうるおしたりする生薬の作用も生かして、腸の働きを整えるような様々な処方があり、体力やあわせもつ症状によって使い分けられます。
代表的な処方が大黄甘草湯
便秘に用いられる代表的な漢方薬が大黄甘草湯です。
近年の研究でも、便秘に対する有効性が改めて証明されています。
便秘以外に特に症状がなく、体力が中等度以上の人であれば、まずはこの薬を使用するのが一般的です。
実証の場合
体力があり、胃腸が丈夫な実証の人では、大黄とともに芒硝という生薬を含む薬がよく用いられます。
芒硝は天然の含水流酸ナトリウムで、便の水分量を増やして柔らかくする作用があります。
代表的なのが調胃承気湯で、腹部膨満感を伴うなら大承気湯、女性に多い瘀血がある場合は、桃核承気湯や大黄牡丹皮湯などがよく用いられます。
そのほか、上腹部がが張るような感じのある人は、大柴胡湯、のぼせ気味で顔面充血のある人では三黄瀉心湯などがよいこともあります。
虚証・虚実間証の場合
いっぽう、より体力がなく胃腸が弱い人の便秘には、大黄とともに、その刺激を和らげる生薬が配合され、腸を温めたりうるおしたりする処方が用いられます。
虚証の場合は麻子仁丸、虚実間証の場合は潤腸湯が代表的です。
特に腸が乾燥して便が硬くなりやすい高齢者には、これらがよく用いられています。
ただし、虚証の人では大横は刺激が強すぎて腹痛が起こることもあります。
そういう場合には、大黄を含まない薬が選ばれます。
主に、血流を改善して腸を温めるような薬を使って、腸の働きの改善をはかります。
漢方薬を使う場合も、便秘を招きやすい生活習慣の改善は欠かせません。
漢方では、腸の働きを整えるためにはおなかを温める事が大切と考えます。
飲み物や食べ物もなるべく暖かいものを摂るようにし、おなかを冷やさない服装を心掛けましょう。
機能性便秘のタイプ
弛暖性便秘
・高齢者や腹筋の弱い女性、肥満している人に多いタイプ。
・運動不足、食物繊維不足、ダイエット、便意を我慢することなどが原因になる。
けいれん性便秘
・若い人に多く、兎の糞のようなコロコロした硬い便が出るのが特徴。
・ストレス、睡眠不足などが原因になる。
市販の便秘薬
市販の便秘薬で、多くを占めているのが刺激性下剤です。
これは弛暖性便秘に効果がありますが、けいれん性便秘の人が用いると、ひどい腹痛を起こすことがあります。
また、連用すると薬の効きが悪くなって、薬の量が増えていきやすいので注意が必要です。
浣腸薬は最も強力な下剤ですが、その反面、最も癖になりやすく、連用すると薬なしでは排便が難しくなります。
実際、市販の下剤の連用が原因の便秘も少なくはありません。
薬に頼りすぎは禁物です。
大黄を含まない薬
虚証の人の便秘で、大黄を含む薬が使いにくい場合は、腸の働きを整えるような薬で、便秘の改善をはかります。
冷えや腹痛を伴うような人では、大建中湯や小建中湯、桂枝加芍薬湯などがよく用いられます。
このような漢方薬は、下痢にも同じ薬が用いられることがあります。
痔の漢方治療
便秘がちな人には、痔の悩みも少なくはありません。
便秘は痔を悪化させ、痔があると排便を我慢して悪循環になりがちです。
漢方にも、痔に使われる薬があります。
代表的なものは、乙字湯で、血の巡りをよくして肛門周辺のうっ血状態を改善し、特にいぼ痔の治療に適します。
痔の痛みには紫雲膏という塗り薬もあります。
また、痔の出血がある時に三黄瀉心湯などが用いられることもあります。
便秘に用いられる主な漢方薬(大黄を含む)
向く人の特徴
便秘以外の症状が特にない場合
漢方薬
大黄甘草湯
向く人の特徴
腹部膨満感
漢方薬
調胃承気湯
向く人の特徴
服力充実、腹部膨満感
漢方薬
大承気湯
向く人の特徴
のぼせ、月経異常、頭痛、イライラ、左下腹あたりの圧痛
漢方薬
桃核承気湯
向く人の特徴
右下腹あたりの圧痛
漢方薬
大黄牡丹皮湯
向く人の特徴
腹力充実、みぞおちのつかえ感、顔面充血
漢方薬
三黄瀉心湯
向く人の特徴
腹力充実、肋骨の下の圧痛・不快感、肩こり
漢方薬
大柴胡湯
向く人の特徴
高齢者、兎の糞のようなコロコロした硬い便
漢方薬
麻子仁丸
向く人の特徴
高齢者、皮膚の乾燥
漢方薬
潤腸湯
向く人の特徴
腹部膨満感、腹痛、腹直筋の緊張
漢方薬
桂枝加芍薬大黄湯