カナダのコンビニエンスストア大手アリマンタシォン・クシュタールが買収提案を行った。
実現すれば、海外企業による日本企業の買収としては最大規模になる。
ただ、現段階で提案内容の詳細は明らかになっておらず、買収実現には不透明感も漂う。
19日午後、セブン&アイに対する買収提案が明らかになると、市場は敏感に反応した。
セブン&アイの株価は値幅制限の上限(ストップ高)となる
前週末終値比400円(22・7%)高の2161円で取引を終えた。
市場関係者は「買収で高値での株式買い取りを期待する思惑が買いを呼んだ」と話す。
19日終値で計算した時価総額は5兆6000億円と前週末比で1兆円程度膨らんだ。
仮にグループ全体の買収となれば5兆円を上回る規模となり、
米投資ファンドなどが約2兆円で買収した旧東芝メモリ(現キオクシアHD)を大きく超える。
セブン&アイを巡っては近年、収益力の高いコンビニ事業に集中するよう投資家から求められてきた。
祖業のイトーヨーカ堂は不採算店舗の整理を進め、百貨店のそごう・西武は投資ファンドに売却。
コンビニ事業では、成長が見込める北米で2021年に米スピードウェイを買収した。
店舗数で米国首位に立つなど強化を進めている。
一方、米国2位のクシュタールは20年にもセブン&アイに買収を提案した経緯がある。
スピードウェイ買収を巡ってもセブンと競合したとされる因縁の相手だ。
今回、再度の提案となるが、セブン&アイ幹部は
「水をあけられた米国市場獲得のため、セブン自体を買収しようという腹づもりだろう」とみる。
今後、セブン&アイが提案をのむかは不透明だ。
今回の提案は「法的拘束力のない初期的な買収提案」と位置づけ、
まずは社外取締役で構成する特別委員会で提案の妥当性を検討するとしている。
ただ、社内には「規模拡大が目的で企業価値向上には結びつかない」(幹部)と
すでに否定的な声も聞かれる。
北米市場での規模拡大に伴う独占禁止法上の課題もネックとなる可能性がある。
スピードウェイ買収時、セブン&アイは米独禁当局の指摘で一部事業に制限が加えられており、
今回の買収についても「仮に実現しても、審査はより厳しくなるのではないか」(市場関係者)との見方がある。
セブン側が提案を拒否した場合、クシュタールが「同意なき買収」に踏み切る可能性も否定できない。セブン&アイの株式は創業家の資産管理会社が8・1%保有しており、実現にはハードルも多い。
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image