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高坂圭
フリーランスの放送作家・脚本家、コピーライター として活動し、33年目を迎えました。 最近は、物語プランナーとして、ストーリーの力で ビジネスをアップするクリエイターとしても活動しています。
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2023年05月18日

江戸の僕の先生です。 「対談 杉浦日向子の江戸塾」

杉浦先生の本は僕にとって宝物の
ひとつ。
落語を好きになり、江戸に興味を
持って以来、彼女の本はすべて読み、
ことあるごとに読み返します。
この本は作家の宮部みゆきさんや
北方謙三さんが江戸について著者に
学ぶというスタイル。
相変わらず目からウロコの宝庫。

たとえば、
ご飯と飯の違い。
炊き立ての銀しゃりがだけがご飯で、
それ以外が飯。具が混ざっているのも飯。

刺身をつまみに一杯飲んで、それからお鮨は
関西風で、江戸では野暮。
江戸はいきなりご飯。
お酒に対して生魚は主張しすぎるというのが
理由(これ、僕もよくわかる。刺身って
味が強いし、二切れも食べたら飽きるんですよね)。
握り鮨が二巻ずつ出てくるのは、
江戸っ子の口が大きくシャリの量が
地方より多かった。
上方の人は一口で食べられないので
真ん中をぽんと切って二つに出したがの
始まり。

女性の柄の好みは、江戸は渋い。
赤い色などを身に付けなくても
色気が出るようにした。
これを「赤ぬける」といった。
むろんもともとは「垢ぬける」。
身体を磨き込んで垢のない体に
するという意味だが、「赤」の
意味もある。

マイナス要因をかっこよく見せる
ことが粋。
たとえば頭が禿げてれば、
あの人の禿げはかっこいいと
言わせれば粋。
背が高くて美男子は、かえって野暮天。

江戸は女天国。
圧倒的に女が少ないので、男たちは
肌を磨き、化粧をし、お金を使い
女を追いかける。
選ぶのは女。
女性の性欲が当然のものとされて
いるので、ナンパするのも女。
料理屋に連れ込むのも女。
別れを切り出すのも女。
三行半を書いて出ていくのは男。
武士は別だが、庶民にとって三行半は
再婚許可証。
だから女はいつも積極的。
気に入れば女の子は男の子の身体を
つねったり噛みついたり。
「つねりゃ紫、食いつきゃ紅よ、色で
仕上げたこの体」というようにもてる男は
体のあちこちに傷跡があった。

ちなみにもてる男は、人生棒にふりそうな
やんちゃな男。
泣かない女とやんちゃ男。
これが江戸の最強コンビ。

見栄を張るのは、自分をよく見せようと
する背伸び。
見栄を切るのは、自分が安く見られたとき。
男は張っちゃだめ。
安く見られたら「べらぼうめ」と言って
暴れ回れ。

江戸では病や死が日常。
だから死んだ人にも「さようなら」
ではなく、「行ってらっしゃい」。
「往生」は、死んでなくなるのではなく、
彼岸に往って生まれ変われるということ。

1800年のニューヨークの人口は6万人。
江戸は山手線の内側の範囲に120万人。
「鼻擦り合わせる町暮らし、路地通り抜けるにも
肩擦り合わせ」と詠まれるほど密。
だから銭湯を始め、共有できるところは
共有しあった(現代のシェアの論理ですねー)。
庶民にとって江戸は機能的で気楽に暮らせた
町ではないか。

ここで言われてる江戸はおそらく後期だと
思いますが、いやー、聞けば聞くほど、
その頃の江戸に住みたいなー。


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