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高坂圭
フリーランスの放送作家・脚本家、コピーライター として活動し、33年目を迎えました。 最近は、物語プランナーとして、ストーリーの力で ビジネスをアップするクリエイターとしても活動しています。
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2023年10月17日

沁みるエッセイ 「歌うように伝えたい人生を中断した私の再生と希望」                                塩見三省


俳優の著者が脳出血で倒れたのは
2014年。命は取り留めたが
半身不随となり、7年間懸命にリハビリを
続け、不自由な体のままではあるが、
俳優として復帰を果たす。
本作は、その道のりを綴った書き下ろし。

Ipadに右手の人差し指一本で打ち込みながら
書いたこのエッセイは、出来上がるまでに
二年かかったそうだが、
「我が身に起きたことを、困難な状況にある
誰かに伝えたい」と書き続けた。
その想いは硬質で真面目な文章から、胸を
しめつけられるほど、香ってくる。

「絶え間のないこの肉体的な痺れと苦痛が、
私の生きていく気力と精神力をじわじわと
萎えさせる」状況でありながら、北野武監督は
「アウトレイジ最終章」で彼を起用する。

胸が熱くなる著者、でも出たとしてもすぐに殺される
だろうと思う。
しかし渡された台本は、30シーンを越える
出番数。驚き。
必死に歩きと発声のリハビリを行う。
そして北野監督に会う。
ここからのシーンがいい。

そして6月、東宝撮影所にて衣裳合わせ。
ただこの身体を北野監督に見てもらおうと
いう私の勝手な思いのまま杖をつき部屋に入った。
4年ぶりに目を合わせる所まで来た。
「こんな身体になりました……」
しかし監督は何も聞こえなかったように
平然としていた。
「うん……。それじゃシオミさん、ヨロシクね」
何も聞かれないのである。鳥肌が立った……。
私は黙って礼をして踵を返し、足を引きずりながらも
何故か精一杯胸をはった。

本当に言いたいこと、伝えたいことが
あれば、文章はおのずと光る。
魂で書かれた一冊だ。




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感想(2件)






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