2022年03月14日
長距離レースは騎手で買えという格言はウソ!?データ傾向から考察してみた
競馬の世界には昔から「長距離戦は騎手で買え」という格言がある。微妙な駆け引きが要求される長丁場の道中では、騎手の技量が非常に重要になるというわけだ。データから見えてくる長距離戦における騎手の狙い方とは?
今週は東京競馬場でダイヤモンドSが行われる。04年から従来の距離より200m延長された芝3400mで施行。平地のレースでは、年末のステイヤーズSに次いで長い距離で行われる。競馬の世界には「長距離は騎手で買え」という格言がある。道中の若干のロスは、短距離に比べて致命的なミスにはなりにくいももの、騎手が色々乗り方を工夫できる時間的なゆとりがある。折り合い、位置取り、仕掛け所…長距離戦は騎手の技量差が出やすいレースなのかもしれない。
そこで過去のデータを元に、長距離戦における騎手別成績を調べてみた。長距離戦の定義は曖昧な点があるのだが、ここでは2500m以上のレースを対象とした。
96年以降、1000万クラス以上の芝2500m以上の騎手別成績の一部を見ると、基本的には勝ち鞍が多い順に騎手を並べているが、それに加えて着別度数によって分類を行っている。1〜3着の数に注目し、そのうち1着の数が最も多い主な騎手を記載している。
まずは、日本のNo.1ジョッキー武豊騎手。長距離戦においても例外はなく、日本で一番勝っている。連対率・複勝率も高く、長距離戦に出てくれば2回に1回は馬券になっている。ただし、回収率は低め。実力・人気のある馬を乗った時は、キッチリ仕事をしているが、穴馬を上位に持ってきているケースはほとんどない(人気薄の騎乗機会自体が少ないのだが)。武豊騎手の騎乗技術の高さは疑う余地はないと思うが、データから長距離戦が抜群に上手いとまでは言いにくい。
勝利数2位の蛯名正義騎手、3位の横山典弘騎手も好走した時は、1着になることが最も多い騎手。しかも両騎手ともに単勝回収率が100%を超えている。全レースを含めたリーディングの上位にいるだけの力を示してると言えるだろう。
意外なところでは和田竜二騎手の名前が目立つ。10勝のうち4勝がテイエムオペラオーによるものだが、単・複の回収率がともに100%を超えている。つまりは、他に人気薄での好走が多いわけだ。結果は2着だったが、昨年の天皇賞(春)で14番人気のビッグゴールドを持ってきたのは記憶に新しい。隠れた長距離の一発屋として覚えておきたい。
関東のトップジョッキーである柴田善臣騎手は、長距離戦では2着を量産しているのが特徴。2着の数が1着の倍近くあり、詰めの甘さが目立つ。ただし、単勝の回収率は112%あるので場合によっては頭からも狙える。後述することになるが、特に東京の長距離重賞で実績を残している。
四位洋文騎手は、柴田善臣騎手と勝ち鞍は同じだが内容がイマイチ。回収率が低く、長距離ではあまり美味しい馬券は狙えない。96年以降、重賞勝ちもない。
もっと深刻なのが福永祐一騎手。ここ数年でグングン勝ち鞍を伸ばし、関西のリーディングのトップクラスに名を連ねるようになったが、長距離戦の勝ち鞍はわずか3勝。2、3着の数も少なく、全体の成績に比べて圧倒的に悪いことがわかる。昨年の天皇賞(春)のリンカーンをはじめ、1番人気を頻繁に着外に飛ばしている。長距離戦は苦手なのかも?
リーディング上位騎手の中では、藤田伸二騎手が該当。勝ち鞍こそ多いものの、実は詰めが甘い。複勝率が43.5%という数字は立派なものだが、馬券の買い方に気をつけたいところだ。
中舘英二騎手は1000万クラス以上の長距離戦では恐ろしく偏った成績。好走する時は、ほぼ2、3着なのだ。
意外だったのが北村宏司騎手。連対経験が一度もなく、3着が2回あるだけ。着外45回という散々な成績だ。これまで上位人気馬の騎乗機会が少ない事実もあるのだが、それにしても他のレース成績とギャップがありすぎる。
1000万クラス以上の東京芝コースの長距離戦は、実はほとんどが重賞。つまり目黒記念、アルゼンチン共和国杯、そして今回のダイヤモンドSの過去の傾向だ。
前述したように、東京の長距離重賞は柴田善臣騎手が5勝でトップ。佐藤哲三騎手は5回の参戦で4回馬券になるという、驚異的な相性の良さ。
逆に横山典弘騎手は、東京だと不振。いろいろ工夫を凝らし、作戦を立てて乗る騎手なので、小回りコースの方が小細工がしやすいのかもしれない。武豊騎手は、参戦機会自体がとても少ない。
【結論】
一般的に長距離戦と言われる2500m以上のレースでの騎手別成績を調べると、いろいろな発見がある。通常のリーディングジョッキーの顔ぶれと若干違う面があったり、競走成績の内容から騎手の特徴が伺える。
例えば、近年リーディング上位の常連になっている福永祐一騎手だが、長距離戦においては意外なまでに結果を残していない。柴田善臣騎手、四位洋文騎手は2着が多い、また藤田伸二騎手は3着が多い。
そしてきっちり勝ち星を積み上げている武豊騎手、蛯名正義騎手、横山典弘騎手などは、近年の天皇賞(春)や菊花賞で勝利を収めたりと、長距離戦で目立った活躍をしている。後藤浩輝騎手(サンライズジェガー)、和田竜二騎手(ビッグゴールド)なども、天皇賞(春)で人気薄の馬を好走させたりしている。
個々の競走馬の能力差の問題もあり、これだけを持って騎手の技量の巧拙を言うわけにはいかないが、ある程度の傾向は読み取れる。「長距離戦、“迷ったら”騎手で買え!」ぐらいは、言ってもいいだろうか。頭の片隅にでも留めておいていただきたい。
今週は東京競馬場でダイヤモンドSが行われる。04年から従来の距離より200m延長された芝3400mで施行。平地のレースでは、年末のステイヤーズSに次いで長い距離で行われる。競馬の世界には「長距離は騎手で買え」という格言がある。道中の若干のロスは、短距離に比べて致命的なミスにはなりにくいももの、騎手が色々乗り方を工夫できる時間的なゆとりがある。折り合い、位置取り、仕掛け所…長距離戦は騎手の技量差が出やすいレースなのかもしれない。
そこで過去のデータを元に、長距離戦における騎手別成績を調べてみた。長距離戦の定義は曖昧な点があるのだが、ここでは2500m以上のレースを対象とした。
96年以降、1000万クラス以上の芝2500m以上の騎手別成績の一部を見ると、基本的には勝ち鞍が多い順に騎手を並べているが、それに加えて着別度数によって分類を行っている。1〜3着の数に注目し、そのうち1着の数が最も多い主な騎手を記載している。
まずは、日本のNo.1ジョッキー武豊騎手。長距離戦においても例外はなく、日本で一番勝っている。連対率・複勝率も高く、長距離戦に出てくれば2回に1回は馬券になっている。ただし、回収率は低め。実力・人気のある馬を乗った時は、キッチリ仕事をしているが、穴馬を上位に持ってきているケースはほとんどない(人気薄の騎乗機会自体が少ないのだが)。武豊騎手の騎乗技術の高さは疑う余地はないと思うが、データから長距離戦が抜群に上手いとまでは言いにくい。
勝利数2位の蛯名正義騎手、3位の横山典弘騎手も好走した時は、1着になることが最も多い騎手。しかも両騎手ともに単勝回収率が100%を超えている。全レースを含めたリーディングの上位にいるだけの力を示してると言えるだろう。
意外なところでは和田竜二騎手の名前が目立つ。10勝のうち4勝がテイエムオペラオーによるものだが、単・複の回収率がともに100%を超えている。つまりは、他に人気薄での好走が多いわけだ。結果は2着だったが、昨年の天皇賞(春)で14番人気のビッグゴールドを持ってきたのは記憶に新しい。隠れた長距離の一発屋として覚えておきたい。
関東のトップジョッキーである柴田善臣騎手は、長距離戦では2着を量産しているのが特徴。2着の数が1着の倍近くあり、詰めの甘さが目立つ。ただし、単勝の回収率は112%あるので場合によっては頭からも狙える。後述することになるが、特に東京の長距離重賞で実績を残している。
四位洋文騎手は、柴田善臣騎手と勝ち鞍は同じだが内容がイマイチ。回収率が低く、長距離ではあまり美味しい馬券は狙えない。96年以降、重賞勝ちもない。
もっと深刻なのが福永祐一騎手。ここ数年でグングン勝ち鞍を伸ばし、関西のリーディングのトップクラスに名を連ねるようになったが、長距離戦の勝ち鞍はわずか3勝。2、3着の数も少なく、全体の成績に比べて圧倒的に悪いことがわかる。昨年の天皇賞(春)のリンカーンをはじめ、1番人気を頻繁に着外に飛ばしている。長距離戦は苦手なのかも?
リーディング上位騎手の中では、藤田伸二騎手が該当。勝ち鞍こそ多いものの、実は詰めが甘い。複勝率が43.5%という数字は立派なものだが、馬券の買い方に気をつけたいところだ。
中舘英二騎手は1000万クラス以上の長距離戦では恐ろしく偏った成績。好走する時は、ほぼ2、3着なのだ。
意外だったのが北村宏司騎手。連対経験が一度もなく、3着が2回あるだけ。着外45回という散々な成績だ。これまで上位人気馬の騎乗機会が少ない事実もあるのだが、それにしても他のレース成績とギャップがありすぎる。
1000万クラス以上の東京芝コースの長距離戦は、実はほとんどが重賞。つまり目黒記念、アルゼンチン共和国杯、そして今回のダイヤモンドSの過去の傾向だ。
前述したように、東京の長距離重賞は柴田善臣騎手が5勝でトップ。佐藤哲三騎手は5回の参戦で4回馬券になるという、驚異的な相性の良さ。
逆に横山典弘騎手は、東京だと不振。いろいろ工夫を凝らし、作戦を立てて乗る騎手なので、小回りコースの方が小細工がしやすいのかもしれない。武豊騎手は、参戦機会自体がとても少ない。
【結論】
一般的に長距離戦と言われる2500m以上のレースでの騎手別成績を調べると、いろいろな発見がある。通常のリーディングジョッキーの顔ぶれと若干違う面があったり、競走成績の内容から騎手の特徴が伺える。
例えば、近年リーディング上位の常連になっている福永祐一騎手だが、長距離戦においては意外なまでに結果を残していない。柴田善臣騎手、四位洋文騎手は2着が多い、また藤田伸二騎手は3着が多い。
そしてきっちり勝ち星を積み上げている武豊騎手、蛯名正義騎手、横山典弘騎手などは、近年の天皇賞(春)や菊花賞で勝利を収めたりと、長距離戦で目立った活躍をしている。後藤浩輝騎手(サンライズジェガー)、和田竜二騎手(ビッグゴールド)なども、天皇賞(春)で人気薄の馬を好走させたりしている。
個々の競走馬の能力差の問題もあり、これだけを持って騎手の技量の巧拙を言うわけにはいかないが、ある程度の傾向は読み取れる。「長距離戦、“迷ったら”騎手で買え!」ぐらいは、言ってもいいだろうか。頭の片隅にでも留めておいていただきたい。
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